「やっぱりやってきたか…流石だメイトリックス」
概要
洋画『コマンドー』に登場する悪役にしてこの映画における実質ラスボス。
元は主人公・ジョン・メイトリックスの部下であったが、「楽しんで人を殺した」ため隊を追い出され、さらに彼らコマンドー部隊の活躍でバル・ベルデ大統領に就任したベラスケス大統領からは国外追放されている。その過去からメイトリックスを逆恨みしており(それこそ後述通りメイトリックスを殺せるなら報酬はいらないと言うレベルで)、復讐の機会を長年窺っていた。当時の階級は大尉。
普段は漁師として働き生計を立てていたらしく同業者と互いに気さくな挨拶を交わす場面があるなどそれなりに親しかった様子。
映画冒頭部分でクックに船もろとも爆破されるが実はトリック(どういったからくりだったのかは最後まで不明)で、カービー将軍を動かして、隠棲するメイトリックスの家に案内させるのが目的だった。
メイトリックスの住む山荘を部下と共に襲撃したベネットは、メイトリックスの娘であるジェニーを人質に、ベラスケス大統領を暗殺するようメイトリックスに迫った。ベネットは、黒幕である元バル・ベルデ大統領のアリアスと繋がっていたのである。なお、この仕事の報酬としてベネットは10万ドルPONと貰っている(原語版、及び屋良版では当初は10万ドルで依頼されたが、メイトリックスが絡んでいると聞いた瞬間タダでいいと返答していた。玄田版と完全版は上記の通り)。
中盤以降はアリアスの本拠地であるサンタ・バーバラ沖の孤島でメイトリックスを待ち受けていた。その際にアリアス配下の兵士(アリアス曰く「愛国者」)を「口だけは達者なトーシロ」、「ただのカカシですな」(言語版及び屋良版吹き替えの場合は「だが使い物にならん」とシンプルにこき下ろしていた)、「俺達なら瞬きする間に皆殺しに出来る」と酷評している。一方で「君こそメイトリックスを恐れているんだ」という皮肉には「もちろんです。プロですから」(「当然でしょう、馬鹿じゃねぇんだから」とも)と答え、彼我の実力をしっかりと理解し警戒を怠っていないことを示した。
ちなみに上記のアリアスの皮肉も的外れで「メイトリックスは恐ろしい奴だから警戒しろ」と忠告しているのに全く理解せず「君こそ恐れているんだ」などとズレた返答をしてきたのを見て、ベネットは「カカシ同然の部下」だけじゃなくアリアス本人の事も「口だけは達者なトーシロ」として呆れていただろう。
それが証拠にベネットはメイトリックスがアジトに乗り込んできた事を察した際にジェニーの事は他の兵士に任せるなりしてアリアスの元に戻って彼を守るなりできた筈なのにそれを一切しなかった。
忠告すらまともに聞かない「馬鹿」の事など当に見限っていたのだと思われる。
そして、実際に彼が評した通りアリアス配下の兵士達はほとんどメイトリックスにまともなダメージを与えられずにあの世行きになっていたためカカシ呼ばわりしていたのも納得である。
終盤、いざメイトリックスが上陸して派手に暴れ回る中、逃げたジェニーを追いかけボイラー室でメイトリックスと対峙。彼の利き腕を銃撃し負傷させ、更にジェニーを人質に取って圧倒的優位に立つ。
しかしベネットの性格を熟知するメイトリックスは「銃なんか捨ててかかって来い! 楽に殺しちゃつまらんだろう。ナイフを突き立て、俺が苦しみもがいて死んでいく様を見るのが望みだったんだろう?」と挑発。
自分の方が強いんだというプライド、言われた通りナイフを突き立て残忍に殺したいという欲求、しかしメイトリックスの力を知っているが故の恐怖など、様々な感情が彼の中で渦巻く。
そこにメイトリックスが駄目押しとばかりに「怖いのか?」と発言。半ばパニックになったベネットは泣き笑いのような顔になりながら、遂にメイトリックスの挑発に乗ってしまった。
「ガキにはもう用はねぇ! ハジキも必要ねぇや。誰がテメェなんか! テメェなんか怖かねぇ!」と言い放ち、「プロですから」との発言はどこへやら、人質も拳銃も捨て、すさまじい顔芸を披露しつつ「野郎ぶっ殺してやぁぁるぁぁ!」と叫びながらナイフでの一騎打ちに臨む。
この時の顔芸、もといヴァーノン・ウェルズ氏の名演技が特に有名であり、殺意に満ちた発言とは裏腹に、メイトリックスへの恐れが明確に顔に表れているのが分かる。
鉄パイプなどの攻撃でダメージを与え、感電しても死ぬどころか逆にパワーアップしたり(『コラテラル・ダメージ』の黒幕の片割れや『ゴールドフィンガー』の山高帽の怪力男なんてソレで死んでるのに)と高い戦闘能力を見せ付けるも、「ふざけやがって!!」と逆上したメイトリックスの怒りのラッシュに圧倒される。
形勢不利に陥ったベネットは「ボールを吹っ飛ばしてやる」と先程までのプライドをかなぐり捨ててUZIピストルを使おうとしたが、投げつけられた鉄パイプで胴体を貫かれ、そのまま後方の蒸気を送るパイプにも串刺しにされ、蒸気抜き(高温の蒸気が鉄パイプを通っている為、内部から蒸し焼きであろう)する形でその生涯を終えた。
吹き替え
巷ではテレビ朝日版がよく知られているが(通称石田版)、テレビ初公開となったTBSでの吹き替え版もある(通称青野版)。
テレビ朝日版に比べて和訳やスラングがややぎこちないものの、メイトリックスの挑発に乗った時のベネットの台詞などは石田版にも引けを取らない出来であり、こちらはこちらで中々いいものである。
「俺が勝つんだ。子供なんているか! ハハハハ、子供なんているかーい! へへへへへ、銃も必要ねぇぜ……。俺が勝つんだ。アハ、アハ、アハ! こんな銃なんかいらねぇやぁ!! 貴様を殺してやらああああああ!!」
ちなみに2015年に発売された完全版では、石田氏や青野氏が既に逝去しているため後任として若本規夫氏が演じている。
余談
「ベネット」だけで検索すると骨粗鬆症の治療薬である「ベネット錠」やアメリカの女優が出てくるのに対し、画像検索するとコマンドーのベネットばかりが引っかかる。(最近は原神にて同名のキャラが登場したためそちらの方が多くなっている。)もちろん、例の顔芸のシーンが多数を占めている。
本作と同じくシュワルツェネッガー主演映画「トータル・リコール」で、裏切り者ベニーの土手っ腹にドリルをブチ込むシーンで、吹き替えが「行くぞベニー!!」になっている版があり、本作の「来いよベネット!」を意識してるのかもしれない。
また、「10万ドルポンとくれたぜ」の「ポン」の部分があまりに石田氏の発音が上手すぎたゆえとても人の発音には聞こえず、どう聞いてもコルク栓か何かを抜いた音にしか聞こえない。
また、PONの気持ち良さから案の定さまざまな動画の素材にされ(あまりにさまざまな動画で使用されすぎて、ベネットを知らない人にはフリー素材にしか聞こえないだろう)、ニコニコでは上記のシーンになると「ポン」「ポ☆ン」「PON」「PON☆」「P☆O☆N」などと弾幕が流れるのがお約束になっている。