講談社『なかよし』に連載された、たかなししずえ版『おジャ魔女どれみ』に登場するキャラクター。そのためアニメへの登場は無い。
いろんな意味で「漫画版どれみ」を象徴するキャラクターであるためアニメのファンには話題に上るのを忌避されやすいキャラクターであるが、同時に、たかなし版の真骨頂ともいえるキャラクターでもあるために一定のファンも存在する。
概要
魔女界に迷い込んだ「魂を運ぶコウノトリ」によってもたらされた怪獣の赤ちゃんで、置いてきぼりにされた寂しさからあたりかまわず炎を吐き、魔女界に甚大な被害をもたらす。そのため急遽どれみたちが呼ばれ魔女検定2級試験課題(この頃の魔女検定課題は漫画オリジナルのものでありアニメ版とは異なる)として「この子を何とかしてほしい」という指令が下される。
主食は植物(特に生花)であり、どれみが下校中、偶然摘んで持ってきていたブタクサに反応し、これを食べて騒動が収束。食べ物を持ってきたどれみに懐きMAHO堂までついてくることとなる。主食が主食であるために、この子がいついてからのMAHO堂は、それまでの魔法グッズに加えて生花まで扱うようになってしまう。
基本的に好奇心旺盛なトラブルメーカー。そのため、この子が登場してからのどれみたちは、その対応に苦慮していくこととなる。
なお「ボオちゃん」と名づけたのはどれみ。炎をボオボオと吐くため。成長に合わせて少しずつ脱皮し人間態に近づいていく。
以下ネタバレ注意
その正体(ネタバレ)
本来は天界へ行くはずだった天使の幼生態。そのため無性別である。
神の補佐をするために生まれたその能力は絶大なものとされ、そのために魔法使い界の面々であるオヤジーデやFLAT4に狙われる。特にFLAT4はそのためにどれみたちを篭絡して騙す(恋愛詐欺にかける)という悪辣さを見せ、正体がばれたときには暁くん以外はおジャ魔女たちに対して冷淡な本性を見せた。(漫画版のファンがFLAT4を過剰に嫌うことがあるのは、このため)
その能力は周囲の知的生命体が巻き起こしている敵愾心や対抗心の無差別な排除であり、最終的にはその能力を覚醒を見たために全てが丸く収まることになる。
天界に戻ったボオちゃんは「恋愛守護天使」として活躍し、神より勲章を賜るほどの活躍を見せ、一度だけではあるが天界より地上へと降りる事を許される。
その際にはまっさきに、どれみたちの元へとやってきて世話になった3人(どれみ・はづき・あいこ)の恋愛を支援しようとする……のだが、その内容は。
どれみ | スポーツ万能で優しくてステーキをおごってくれる人。サーフィンとスポーツカーでのドライブが趣味 |
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はづき | タッキーみたいなジャニーズ系。歌って踊ってバク転の出来る人。(注・漫画版に矢田は登場しない) |
あいこ | 金持ちのハンサム。おこづかいをいっぱいくれる人 |
おんぷ | (仕事のため、その場に登場せず) |
という、どう見ても(小学生の女の子の夢とはいえ)ミもフタも無い、救いようのない内容(一目見るとバラエティに富んでいるように見えるが、実は三人とも「ハンサムでスポーツ万能で金持ちな都合のいいイケメン」を要求しており、その中身=性格に関してはキチンと言及していない)であった。3人のあまりといえばあまりのムチャ振りにボオちゃんは驚き「修行しなおしてきます」と置手紙して退散してしまう。
シリーズでの立ち位置
上記に記した展開でわかるように、早い話が漫画版におけるハナちゃんのパラレル的な存在である。後に漫画版にもハナちゃんは存在するが、そのハナちゃんには「どれみたちのファンだからMAHO堂にやってきた」という理由付けがなされて友人関係にとどまり、アニメ版で重要視された、どれみたちとの親子関係が完全にオミットされている。(これはアニメ版のファンにボオちゃんが嫌われる一因でもある)
そのためアニメ版を基調としている現在の「どれみ」シリーズ作品では、公式・二次創作を含め大抵の場合いなかったことにされるキャラクターになっている事が多い。
なにゆえにボオちゃんというキャラクターが登場したのかに関しては、現在でも公式の発言がないために不明ではあるのだが、基本的には「漫画側のスタッフが子育てを子どものおもちゃのように軽いものに扱いかねないアニメ版(いわゆる♯)の設定に拒否を示したため」という見方が一般的である。(漫画版どれみのスタッフは、作画者も担当も女性で、しかも母親として子育て経験を持つ人物である)
また『なかよし』自体が講談社の雑誌であるがために別のメディアミックスで連携関係にあった別雑誌とその版権元に対し大人の事情で配慮したのではないか(『♯』の設定は同社の少女向けの有名作品と重複している部分がある)という見方もある。
一方で、無印漫画版連載において1年でアニメ側が提示した全ストーリー単元を消化できなかった、という事情もある。消化できなかったのは主に「検定試験」と「おんぷとの確執」であり、それを消化するために『♯』に充てねばならない物語枠を3話、消費したのである。単に話数だけなら「たった3話」だが、連載総数(1年に12話前後。紙面編集によっては2話近くは飛ぶことも計算に入れる必要がある)から見れば約四分の一強。季節にすればほぼ1シーズン。テレビ番組に換算するなら1クール丸々をすっ飛ばした計算になる。しかもオリジナル展開に切り替え、話を省略させて、なお、これだけの消費を要した。これは漫画側スタッフにとって看過できる量分ではなかったのである。
漫画側が「このままアニメのストーリー単元をなぞっていては、完結まで何年かかるかわからない。連載スケジュールがさらに破綻する上に、メディア展開が全て終わった後も漫画だけ取り残される事になり、下手をすれば読者に対して無責任なおれたた(=打ち切り)を行わねばならなくなる。少なくとも綿密な心理描写や十分な配慮を必要とせねばならない『赤ちゃんを育てる』物語は不可能だ」と焦ったのも無理からぬ事ではあった。
余談
上記のようにファンの間ですら「なかったことにされる」事の多いボオちゃんであるが、一部の二次創作では植物を主食にするという特性と天使であるという設定から飛躍し、本人の意思はともかくとして「魔女・魔法使い(特にハナちゃんやFLAT4)の天敵」ではないかと指摘される事がある。
植物を主食とし炎を吐いて植物を燃やし尽くす、その特性は、植物(ウィッチー・クィーン・ローズやウィザードペンペン草)から生まれる魔女および魔法使いにとっては確かに脅威そのものであり、天使として一定の精神力のベクトル(つまりは敵対などの負の感情)を排除する能力は紛れも無く魔法の無効化に繋がるためである。
関連タグ
MAHO堂(春風どれみ・藤原はづき・妹尾あいこ・瀬川おんぷ)
ハナちゃん…パラレル的存在。