突っ込んでくるか────マヌケが…
知るがいい────その理由を教えてやる────我が能力は、まさに────"人間を凌駕する"能力だということを!
概要
『ジョジョの奇妙な冒険』第5部『黄金の風』の外伝小説『恥知らずのパープルヘイズ』の登場人物の1人。本小説の実質的なラスボス。
ディアボロがパッショーネを率いていた頃の負の遺産である、ヴラディミール・コカキ率いる”麻薬チーム”のメンバーの1人。チームの真の中核を担う人物。25歳。
リーダーのコカキがチームそのものが彼のためにあると言っているように、麻薬チームにとっては何が何でも彼だけは守らなくてはならない最重要人物であるが、それ以外にも不治の病に侵されているアンジェリカの苦痛を自身の能力によって和らげるという役目も担っている。
実はディアボロが莫大な利益を得る為にイタリア中に蔓延させた麻薬は全て彼がスタンド能力で岩塩や海水から製造したもの。コカキからは「お前の能力さえあれば、全ての人間の上に君臨することが可能」と評される一方で、その危険性によりジョルノは「最悪他の標的は全員取り逃しても、彼だけはどんなことが有ろうとも必ず始末する様に」と、抹殺対象リストの最上位に掲げる程に危険視している。
元々はイタリアの貴族の生まれで、第4部に登場したトニオ・トラサルディー(本名:アントニーオ・ヴォルペ)の実の弟だが、彼が生まれた時には既に家柄は没落しており、当主であった父親の荒んだ姿を見ながら成長してきたためか、料理人になるという夢を叶えるべく家を出た兄とは違って夢や希望を持てず、物事に関心を向けられない酷く退廃的で無気力な人間になってしまった。貴族の身分で料理人という仕事に就くことを許さなかった父に失望して出奔した兄に変わって家を継いだが、程なく家の借金により身分ごとパッショーネに身売りし、ギャングの道に堕ちた。その後意気消沈した父親は彼が製造した麻薬の中毒患者になってしまっている。
物事に関心を持てないが故に、目的のためならば他人をどれだけ傷つけても、どれだけ自身の能力で蝕んでも構わないと考える精神の持ち主………というよりもそれに対する気遣いというものを全く考える事ができないようで、自身の能力で命を縮めてしまう事に対しても後ろめたさを全く感じていない。そしてそれは自分自身に対しても同じであり、チームの要(それこそヴォルペのスタンド能力がなければチームが成り立たない)でありながら自ら危険な戦闘にも平然と出向こうとしており、コカキからも「自覚がなさ過ぎる」と苦言を呈されている。この性格は兄からも危惧されており、別れ際には「世界の在り方を無視している」と忠告を受けていた。
自分の性格の問題点については一応自覚はしており、自嘲している節も見られるが、結局それも「ま、どうでもいいがな」と無関心に締めている。
その一方で兄のトニオについては自分と同じくスタンド能力に目覚めた可能性を考慮した上で「あの兄のことだから、きっともっと”夢”のある才能になったんだろうな。生体反応を活性化させるといっても、それこそ”健康的な料理を作る”とかになっていたりするかも知れない」と、出奔後は一度も再会していないにもかかわらず的確に見抜いており、実の兄に対する理解はあった模様。
また、常に他人に対してドライかつクールな態度を維持しているが、他のメンバー同様に仲間意識が強く、コカキが殺された時は怒りをあらわにして、自分たちを売ろうとした他のギャングたちを容赦なく殺害し、アンジェリカが目の前で死に瀕した際には怒りと悲しみの混じった雄叫びを上げるなど、激情家の一面を垣間見せた。
なお、フーゴとは大学時代の級友だったが、表面的には優等生として振舞っていた彼のことを「俺と同じくらい周囲のことなどどうでもいいと思っている」と見做し、同族嫌悪を抱いていた(同時にこのときだけは自分自身の性格に自己嫌悪を感じてもいた)。しかしその一方で彼に共感も感じており、キレて教師を暴行したことで退学になったフーゴの破滅的な行動に対しても特に驚きはしなかった。
また性格以外にもフーゴとは何かと類似点が多く、表面上は名家ながら実態は荒んだ家柄の出身であること、家族を含め人間関係に恵まれなかったこと、家族に1人は良心といえる存在がおり(ヴォルペは兄、フーゴは祖母)その人との別れを境に裏社会へと転落していったこと、奇しくもギャングの世界に入って初めて大切に思える仲間と巡り会えたことなどが挙げられる。さらに言えばスタンド能力も「人体を蝕み破壊する」という意味では似通っていると言えなくもない。
フーゴは暴行事件を起こして逮捕され、その後収監されているところ(この部分は『恥知らずのパープルヘイズ』オリジナル。後に放送されたアニメ版では逮捕→釈放されたフーゴが食い逃げしようとしているところ)をブチャラティに救われたことが人生の転機となったが、このときの彼はヴォルペと似た投げやりな言動をとっており、ある意味ヴォルペはフーゴの可能性の一つの形と言えるのかもしれない。
略歴
ヴィラ・サン・ジョヴァンニの港倉庫で組織の刺客として自分たちを襲撃して来たサーレーとズッケェロをチームで返り討ちにし、自らの能力でズッケェロを捕え尋問し、彼からフーゴの情報を入手する。そしてこの後も続くであろう刺客たちの襲撃に備えて彼を麻薬漬けにし、襲撃者たちへのトラップに仕立て上げる。その後チーム全員でシチリア島へ渡り、ズッケェロを餌に追っ手を攪乱するが、タオルミーナの戦いでコカキがフーゴに敗れ戦死する。
その後はコカキが生前遺していた言葉に従いシラクサのオルティージャ島に移動し、かつてナチス・ドイツが行っていた不死の研究材料であった石仮面を入手して人を超えた存在になることを画策する。
アンジェリカの能力でフーゴたちが乗ったヘリコプターを撃墜した後は石仮面の回収をビットリオに任せ、自身はフーゴとの対決を望み、残りの追っ手を迎え撃つべく出撃する。
フーゴに先んじて挑んできたシーラEを軽々と圧倒し、フーゴを呼び寄せる為の餌として彼女を利用しようとするが、その直後にアンジェリカがフーゴのスタンドパープル・ヘイズの殺人ウイルスにより肉体の大半が崩壊し、いつ死んでもおかしくない状態になった姿を目の当たりにして激昂。
シーラEを自身の能力で拷問してフーゴを呼び出し、それに気づいてやって来たフーゴを殺害しようと襲い掛かるが、フーゴは相打ち覚悟で密かにパープル・ヘイズ(パープル・ヘイズ・ディストーション)の殺人ウイルスカプセルを口に忍ばせており、口の中で噛み砕いたことで発生した殺人ウィルス混じりの吐血を浴びた事で感染。後悔する暇もなくその体は強化されたウィルスによって一瞬のうちに崩れ去り、絶命した。
スタンド「マニック・デプレッション」
白骨化した餓鬼を思わせるような不気味な容姿のスタンド。全身から注射器の様なトゲを出して、刺された対象者の生命力を過剰促進させる能力を持つ。
詳細は個別記事へ。