曖昧さ回避
- スズメ目ツバメ科ムラサキツバメ属に分類される鳥類→ムラサキツバメ(鳥)
- 鱗翅目シジミチョウ科ムラサキシジミ属に分類される蝶→当記事で解説
概要
和名 | ムラサキツバメ |
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英名 | powdered oakblue |
学名 | Arhopala bazalus |
分類 | 鱗翅目 アゲハチョウ上科 シジミチョウ科 ミドリシジミ亜科 ムラサキシジミ族 ムラサキシジミ属 |
前翅長 | 16~25mm |
開帳 | 3.6~4cm |
分布域 | 日本(福島県以西の本州・四国・九州・対馬・南西諸島)、台湾、中国南部、インドシナ半島、マレー半島、ヒマラヤ地方東部 |
成虫の出現期 | 5~11月・翌年3月/年3~4化性 |
越冬態 | 成虫 |
幼虫の食樹 | 「ブナ科」(マテバシイ、シリブカガシなど) |
シジミチョウの一種。日本に分布する者は、日本亜種Arhopala bazalus turbataとされる。
元々日本では西日本の平地~山地の照葉樹林で見られる森林性のチョウだったが、1990年代頃から温暖化の影響か分布が北上しており、現在は関東地方でも普通に見られるようになった。
生息範囲も広がり、現在はマテバシイが植えられた大きな緑地があれば都市部でも見ることができるようになった。
形態
翅の表側はメスが周囲を黒褐色で縁取られた青紫色で、オスは青紫色がかった茶色。
翅の裏側は薄茶色の地色に鮮明な濃茶色の帯状や点状の模様が入る。
裏側の色は枯葉に擬態していると考えられている。
近縁種のムラサキシジミとは、一回り大きく後翅に一対の尾状突起をもつ、前翅前縁の先端が丸みを帯びる、翅裏の模様が鮮明、オスの翅が表裏どちらも茶色いなどの違いがあり、これらで区別可能。
幼虫はワラジムシの様な姿で黄緑色。
生態
成虫
昼行性だが昼間は樹上で休んでいることが多く、夕暮れ時になると活発に活動する。
樹冠部や林縁部、林床部を素早く飛び回り、よく葉や枝に止まって縄張りを主張する。
翅を閉じてとまるときは、頭を下にして後翅をすり合わせるように動かす場合がある。
陽だまりで下草や岩等にとまって日光浴をしている事もある。
樹液や花の蜜、果実の汁、アブラムシやカイガラムシの甘露などを吸うが、花の蜜はあまり好みではないようで、体力維持の為栄養が多く必要な越冬前後以外はほとんど花には訪れない。
訪れる花はヤツデ、クリ、サザンカ、ハマボウフウ、ツワブキ、ソバ、センダングサ、ヒメジョオンなど。
越冬形態は成虫で、常緑樹の葉に数匹~時には数100匹の集団で集まり越冬する。
丸まった枯葉の中での単独越冬や、ムラサキシジミとの混成越冬集団も確認されている。
暖かい日は冬でも活動するが、日が暮れる頃にはまた元の越冬場所に戻ってくる。
成虫の寿命は2ヶ月以上とシジミチョウにしては長い。
幼虫
新芽付近に産卵された卵から孵化した幼虫はマテバシイやシリブカガシなどの若葉を夜間に食べて成長し、ある程度大きくなると若葉を糸で綴って丸めた巣を作るようになる。
幼虫は近縁種のムラサキシジミと同じく、蟻に特殊な化学成分が含まれた甘露を与えて洗脳し、兵隊&世話係として使役する生態をもつ。
終齢幼虫は地上に降りて落ち葉で蛹化する。