ムラサキシジミ
むらさきしじみ
和名 | ムラサキシジミ |
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英名 | Japanese Oakblue |
学名 | Arhopala japonica |
分類 | 鱗翅目 アゲハチョウ上科 シジミチョウ科 ミドリシジミ亜科 ムラサキシジミ族 ムラサキシジミ属 |
前翅長 | 14~22mm |
開帳 | 3~4cm |
分布域 | 日本(宮城・山形県以西の本州・四国・九州・対馬・南西諸島)、台湾、中国西部、朝鮮半島南部?、済州島、ヒマラヤ? |
成虫の発生期 | 2~11月/年2~6化性 |
越冬態 | 成虫 |
幼虫の食樹 | 「ブナ科」(コナラ、ミズナラ、クヌギ、カシワ、イチイガシ、アカガシ、アラカシ、アマミアラカシ、オキナワウラジロガシ、ウラジロガシ、シリブカガシ、ウバメガシなど) |
元々は暖かい地域の平地~山地の照葉樹林や落葉樹林で見られる森林性のチョウだったが、近年は大都市の中心部にも進出しており、少しまとまった緑があれば見ることができる。
温暖化の影響で分布が北上している。
前翅の先端はやや尖り、翅の表側は周囲を黒褐色で縁取られた青紫色で、裏側は薄茶色の地色に不鮮明な濃茶色の帯状や点状の模様が入る。
南の個体群になるほど翅の青紫色の光沢が強くなる傾向にある。
メスのほうが翅の青紫色の部分が狭い。
幼虫はワラジムシの様な姿で薄緑色。
成虫
日中は樹上で休み、夕暮れ時になると活発に活動する。
樹冠部や林縁部、林床部を素早く飛び回り、よく葉や枝に止まって休む。
陽だまりで下草にとまって日光浴をしている事もある。
樹液や花の蜜、果実の汁、アブラムシやカイガラムシの甘露などを吸うが、花の蜜はあまり好みではないようで、体力維持の為栄養が多く必要な越冬前後以外はほとんど花には訪れない。
訪れる花はキブシ、サカキ、マテバシイ、ツワブキ、ソバ、タチアワユキセンダングサなど。
湿った地面での吸水行動も行う。
成虫で越冬する習性をもち、枯葉や常緑樹の葉に数匹で集まって集団越冬する。
暖かい日は冬でも活動するが、日が暮れる頃にはまた元の越冬場所に戻ってくる。
成虫の寿命は2ヶ月以上と長い。
幼虫
新芽付近に産卵された卵から孵化した幼虫はブナ科樹木の葉を食べて成長し、ある程度大きくなると若葉を糸で綴って丸めた巣を作るようになる。
蛹化する際には地上に降りて落葉などの間で行う場合と、そのまま葉上で蛹化する場合がある。
幼虫の蟻との関係
以前は他のシジミチョウ類の幼虫と同じくアリに甘い蜜を提供して見返りに天敵から守ってもらう相利共生関係とされていたのだが、実はアリを特殊な蜜で洗脳し、奴隷として使役していると言う恐ろしい真実が判明した。
ムラサキシジミの仲間が分泌する蜜には麻薬的中毒性がある特殊な化学物質が含まれており、蜜を摂取したアリはムラサキシジミ至上主義の依存状態になって本来の仕事を放棄、巣にも帰らず幼虫の周囲に留まり幼虫に近づく天敵を激しく攻撃して撃退する。
幼虫が触覚を引っ込める等の危険信号を発した際はより攻撃的になる。
蜜を摂取したアリの脳内ドーパミン量が減少する事が判明しており、脳のドーパミンシグナルを改変することでアリを操っていると考えられている。