概要
ラアプ(Rarphu)、ラアフ(Rahph)、ラウエ(Rahwe)とも。
名前はヘブライ語で霊魂や息吹を意味する「ルーアハ」、又はこれに相当するアラビア語の「ルーフ」に由来するという説がある。
召喚した者の前では、馬に乗り、カラスの尻尾を生やしたライオンのような姿をとる。
魔術書の挿絵では旅人のように馬に荷物を載せており、手には地図らしき紙を手にしているものもある。
過去、現在、未来を見通す力を持つ。自身を召喚した術者に宝がある場所を教えるという。
過去に埋蔵された宝物だけでなく、未来に作られる宝物とそれが置かれる場所についても通じているため、
古代の宝の場所だけでなく、現在の富豪や貴族の隠した富の在り処を知ることもできるという。
魔女弾圧の目的で書かれたと思われる文書ではソロモン王の72の悪魔の何人かと共にラアペの名が言及されている事から、
彼を73番目のデーモンとする説もある。共に言及される事の多いソロモンの悪魔はアスモデウス、セーレ、ガープであるが、これらは東の魔王アマイモン(マモン)の配下とされる。ラアプ自身もこの魔王に仕え、その富の管理を主に任されているという。
ラーペと東の方角との結びつきは、その起源(後述)に関係がある、という説がある。
起源
ソロモン72柱のメンバーであるアモンやフェニックス(フェネクス)のように異教神話を起源とするデーモンはいるが、ラアペのルーツは不明である。
ただし仮説はいくつか存在する。
例として、名前がヒンドゥー教の魔神(アスラ)ラーフに似ている事から、
酒で不死身になったラーフを、サバトや黒ミサで 悪魔の力を得ようとする異教徒と重ねて考えたのではないかとする説がある。
実際『バガヴァッド・ギーター』等のインドのテキストの一部はペルシャ語等に翻訳されており、中央アジア以西にもインド由来の民話やモチーフが伝来している。
多神教神話をエウヘメリズム(英雄や偉人が神格化されたのが神話の神々だとする説)的に解釈する事は東方教会でも行われたが、
その中に「獅子の仮面を被って酒を呑み、太陽と月を刻んだシンバルを打ち鳴らして日食を招く妖術使いの盗賊」が登場するものがある。
彼は突然日食が起こる事による混乱に乗じ、配下と共に宝や財産を盗み出し、やがて民衆から「日食の神」にされたという。
これもラーフとするなら、野獣のような顔をしたラーフ像の後光をたてがみと誤認したか、騎獣(ヴァーハナ)がライオンであるのが、
どこかで取り違えられたのかもしれない。又は双方とも同一起源の、インド・アーリア系の伝承の派生物である可能性もある。
東西教会の信徒の間には交流があり、東ローマ帝国崩壊後、オスマン帝国統治下の正教徒が、
やむをえず西方に神学教育を受けに行ったという歴史もある。こうした伝承が形を変えて西洋に渡る可能性も十分に考えられる。
次の起源説として、中世のキリスト教司祭の文書の中で言及された、蛮族が行うという「東方の呪術」の中に「ルーア(フン族の王)の術」がある。
酒を用いてトランス状態になったシャーマンが死者の霊と繋がる、という一種の交霊術であるが、
そこで呼び出されるルーアの霊はライオンの頭を持ち、馬に騎乗している。
さらに都市や城の城壁の抜け道の場所と、財貨が隠された場所を教えるという特徴を持ち、ラアペとの共通点が見られる。
ただし本来、キリスト教の世界観では、死んだ人間の霊が地上に現れることはない。異教徒ならなおさらである。
このため「ルーアの術」を引用した司祭は「ルーアの霊」は本人ではなく、同名の悪霊なのだと記している。
フン族についての史料は少なく、この儀式がフン族の間で実際に行われていたかは不明である。
蛮族の口寄せ呪術というイメージと、当時のキリスト教徒が同じく野蛮視したアラブ人の言葉における「霊(ルーフ)」が曖昧に混濁したものという説も根強いが、
ラアペについて言及した教会側の文書と魔術文書が書かれたと推定される地域は、フン族の侵入地帯とほぼ重なっており、
「フン族の王ルーアに仮託された術」自体はラアペと何らかの繋がりはあるだろうとされる。
三つ目としてソロモン72魔神の一人、ロノウェの別名なのではないかとする説がある。 表記の一つであるロンウェー(Ronwe)はラアプの別名ラウエ(Rahwe)と音が似ている。
関連項目
ミシャンドラ(ラーぺ同様ソロモン72柱の73番目とされる悪魔)
* *
* + うそです
n ∧_∧ n
+ (ヨ(* ´∀`)E)
Y Y *
実際は2ちゃんねるの「神話・民俗板」の住人たちがミシャンドラに対抗して創作した悪魔である。