「HADAR SEN OLMEN.」
解説
CV:Dave Rogers Ruiz
惑星ZDR最深部『アルタリア』にてサムスを襲った、銀色のパワードスーツを纏った鳥人族。
鳥人族の中でも武闘派で知られたマオキン族の長であり、卓越した頭脳と身体能力を持つ。宇宙最高のテクノロジーとスペックで知られた鳥人族、その戦闘集団のトップという事もあり尋常でない戦闘力を発揮する。
経歴
メトロイドを操る術を持つソウハ族のクワイエットローブのみを計画のために生かし、ZDRに連れ帰り軟禁した。
一旦ZDRに帰還した後はSR388のメトロイドをZDRに移送する準備を進めていたが、SR388から帰ってきた兵士の1人がXに擬態されており、結果兵士全員がXに成り代わられるという非常事態が発生。
辛くも兵士全員を封じ込める事に成功するが、このアクシデントにより計画の一時中止を強いられる。
その後何とか立て直し単身で計画を再開するも、折悪くサムスによってSR388のメトロイドが絶滅させられてしまう。
その後唯一の生き残りであるベビーメトロイドも失われたことで彼の野望は完全に潰えた……と思われていた。
銀河連邦が秘匿していたベビーメトロイドの細胞がサムスに投与されるまでは。
野望がまだ潰えていなかったことを知ったレイヴンビークは、サムスの中のメトロイドDNAを奪うことを画策。Xの映像を銀河連邦軍に送りつけ誘導。更に調査のために派遣されたE.M.M.I.を全機鹵獲。サムスがZDRにやってくるように仕向けた。
劇中E.M.M.I.がサムスを襲ってくるのは、サムスのメトロイドDNAを採取するためであった。
能力
銀色のパワードスーツを身に纏い、右腕に人一人以上に巨大なアームキャノン、四肢の先には非常に鋭い爪を備え、背には帝王然としたマントを付けた見るからに厳めしい巨躯の戦士。
パワードスーツの強度は巨大な敵を幾つも蹴散らしてきたスーパーミサイルでさえ顔の一部にヒビを入れるのがやっとの程で、更にバリアオーラを展開しているため基本的に常時無敵である。
また、鳥人族がとうの昔に翼を失っているにもかかわらず背中から双翼を生やして空を飛ぶ事ができる他、先に記した通り攻撃を無効化するバリアオーラやSR388の戦いでサムスが用いたビームバースト等強力なエイオンアビリティーと思われる能力を使う事ができる。
SR388開拓時代から生きている事からも分かる通り高齢であり、その素顔は苛烈に重ねた歳月を思わす壮年の鳥人。
しかしイベントや戦闘等ひとたび戦いとなれば全く老いを感じない膂力、スピードを誇り、ストーリー開始時点で此まで次元を越えた戦いや宇宙自体の存続を賭けた激闘、時にはコズミックホラーに根差す神格らしき存在やXとの死闘さえ乗り越えたサムスを何と1分足らずで殺す手前に至る戦闘力を持つ。
それもそのはず、サムスには惑星ゼーベスの環境に適応するためソウハ族(グレイヴォイス)のDNAが移植されているが、もう1つマオキン族のDNAも移植されており、それがサムスの比類無き超人的身体能力の由来である。
そしてサムスに移植されたマオキン族のDNAの持ち主こそこのレイヴンビークであった。
また、最初に遭遇するE.M.M.I.-01Pが中破しているのは彼の仕業である。
宇宙で最も硬い装甲を持ち、あらゆる生物を瞬時に蒸発させるパワーボムの直撃や分子レベルで対象を抹消するプラズマビームすら傷1つ付けられないE.M.M.I.を無傷でスクラップ同然にするという、レイヴンビークの究極の更に先を行く異常な戦闘力が演出されている。
性格
此までシリーズで培われてきた鳥人族のイメージを覆すには余りあるほど残忍で冷酷。
「HADAR SEN OLMEN(力こそが全てだ)」を掲げ、力を盲信し、自らの計画こそが銀河社会の秩序を維持すると信じて疑わない。
宇宙で最も優れた技術力・戦闘力を持つ鳥人族は、通常であればその力を悪用しないように、他者を傷つけようとすると精神と肉体に大きな負荷がかかる心理プロテクトを自分達に施しているのだが、レイヴンビークや彼が率いるマオキンの戦士達にはその心理プロテクトが掛かっている様子は見られない。
チョウゾアーカイブで描写された支配体制は何らかの理由で咎を受ける者達の身ぐるみを剥がして後手に拘束し、捕食者が待ち構える水槽に落とすという残忍な処刑を行っていたようで、典型的な恐怖政治だった模様。
当然他者を攻撃することができ、反乱分子や計画遂行に邪魔な一切を断じて許さず、躊躇無く殺害する。
単なるパワー系のボスかと思いきや非常に執念深く、部下を全員失おうが、母星の生態系を狂わせる事になろうが、自分の計画が幾数年中断する事になっても、その完遂を絶対に諦めないという、半ば暴走に近い野心を抱いている。
銀河連邦がまんまとZDRへサムスをよこした事実からも優れた策略家である上で計画にズレが生じれば腕付くで解決出来てしまう生粋の文武両道であり、任天堂IP総じて見ても屈指の実力派ヴィラン。
差詰パワー信奉の超インテリといったところで、隙と呼べる要素はほとんど無い。
上述の能力で述べられたように、グレイヴォイスがチョウゾの魂の父親であるとするならば、レイヴンビークは戦士としてのサムスの父親だと言える。
現にサムスに対して「我が娘」と呼んでいるが、家族として愛情を持っていたグレイヴォイスと違い、レイヴンビークはサムスを自分の計画に必要な駒としか見なしていない。
またチョウゾアーカイブによると、Xとして本性を露わにした鳥人兵士を見るや、何を思う迄も無くアームキャノンをチャージしており、此はボスと対峙したサムスも同じであった。
更には「一縷の可能性があるならたとえどんなに自分が不利な状況でもそれに賭ける」、「一度敵と見なしたら、それが誰であれ全力を以て倒す」などサムスにも随所にレイヴンビークから継承した側面がある。
サムスが其等全てを「数多の脅威から銀河を守る」事に使っているのは言うに及ばずながら、其こそレイヴンビークとの最大の違い。
価値観や目的こそ異なれど圧倒的戦闘力も含め、親子のコンセプト自体は非常に似通ったものだった。
最終決戦
レイヴンビークが待ち受ける空中要塞イトラシュに乗り込んだサムスは、アクセスステーションにたどり着きアダムと対話する。
アダムは語る。
サムスの中のメトロイドのDNAが覚醒し、サムスの体質がメトロイドそのものになった事、サムスに移植された鳥人族のDNAに纏わる秘密、メトロイド化したサムスこそが銀河社会にとって極めて危険な存在になった事。
アダムが示した道は───これまで通り自分の指示に忠実に従い、服従する事。サムスの力を自分の計画のために捧げ、銀河社会の秩序の維持に貢献すべきだと。
「異論は認めない」
この一言はアダムが紛い物である証に十分だった。
サムスは声の背後に座した者に既に気づいている。
返答代わりのミサイルがアダムに扮した幻を消し滅ぼし、サムスの砲火は暁差す玉座にレイヴンビークを暴き出した。
レイヴンビークがサムスを見逃したのは、最初の遭遇の際に一時的にメトロイドのDNAが覚醒したのを見て計画を変更し、サムスをメトロイド化させようと企んだからである。
中盤でエルンからXを解き放ったのも、Xとの死闘を経てサムスの中のメトロイドのDNAの覚醒を促すためであった。
E.M.M.I.がメトロイドのDNAの採取に成功すればそれでも良かったが、E.M.M.I.-07PBと赤い鳥人兵士との戦いでサムスがメトロイドの力に完全に覚醒した事を確認したレイヴンビークは、アダムを偽り最強のメトロイドとなったサムスの懐柔を目論んだのだった。
答えは「拒絶」。
失望を口にし、遂に決戦の火蓋が切られた。
戦闘
鳥人族の戦闘種族であるマオキン族最強の長、しかも「力こそ全て」と主張するだけあって技の一つ一つはシリーズ全体通しで見ても超強烈である。
第1形態
戦闘開始後のレイヴンビークはバリアオーラを纏い、どんな攻撃もダメージを通さない。
バリアオーラは撃ち込む事に青→紫→赤→金と変化し、メレーカウンター対象の特殊攻撃が変化していく。
このため、ダメージを通すにはバリアにある程度打ち込んだ後、メレーカウンターを決める事が必須条件となる。
バリアオーラ関係なしの攻撃
連続コンボ
サムスに向かって薙ぎ払い、振り下ろし、踏み抜きの計3回爪で攻撃する。サムスが近くにいるとほぼ必ず使って来る。予備動作が小さくリーチも長いため繰り出し始めてからダッシュで逃げるのは非常に困難。
また途中でサムスが上や背後にジャンプするなど、攻撃範囲から離れると中断して別の行動に移る。
空中を経由して距離を取るのがセオリー。
エネルギー放出
腕を掲げ、地上の近く以外の画面全体にダメージを与える拡散ビームを放つ。避け方の都合上、次はほぼ必ず3連斬りになるので、すぐ高くジャンプするかフラッシュシフトなどで距離を取る。
黒色追尾弾
サムスをゆっくり追いかける黒い弾を放つ。ミサイルなら4発、パワーボムなら1発で破壊可能。壊せば幾ばくかの回復が得られる。
さながらブラックホール弾であり、メトロイドプライム2でサムスが用いたダークバーストを彷彿させる。
バリアオーラの色に応じて追加される攻撃
インパクトブロー
アーマーが紫の時から使用。サムスに向かって高速で突撃し渾身のボディブローを叩き込んでくる。しゃがみ・モーフボール・スライディングで避けられるが、メレーカウンターも決められる。
クレイドの足や巨大な瓦礫の山で潰されようが無傷で、削岩ドリルを叩き付けられようが反物質砲を打ち込まれようが多少のノックバックで済んだサムスが盛大に吹き飛び、背中から壁に激突する信じ難いパワー。食らえば大ダメージは免れないので、積極的にメレーカウンターを狙おう。
リバーサルスラッシャー
アーマーが赤の時から使用。OPのアルタリアで遭遇した時にも使った技。画面全体に赤い靄を掛け、空間そのものを斬り付け震撼させるようなモーションで広範囲攻撃を繰り出す。
インパクトブロー同様に下1マスにだけ判定が無いので、しゃがみやモーフボールなどで回避可能。突っ立っていたりジャンプすると大ダメージを受けてしまう。
回避すればメレーカウンターのチャンス。
挑発
アーマーが金の時に使用。左手で「かかってこい」と言うようなジェスチャーをした後、腕を組んだ仁王立ちでサムスを待ち構える。そこで近づくと不意打ちをしてくる。
不意打ちに対し2回連続でメレーカウンターを決めれば、グラブシーケンスに移行する。
第2形態
サムスが刹那の隙を見出だして繰り出したチャージビームの接射によってレイヴンビークのバリアオーラとマントは破壊された。
マントが焼失してからは翼を生やし、空中から攻撃を仕掛けてくる。ここはメレーカウンターも回復ポイントも無いので、第1形態で喰らいすぎたり無駄撃ちしすぎると苦戦を強いられる。レイヴンビークとの闘いでは隙が少ない最も恐るべきラウンドといえる。尚鳥人族は翼を隠しているのか、彼特有なのかは不明。
攻撃の間隔が総じて短めで、連射コンで狙い続けるような場合でもない限り、短いチャンスの中でストームミサイルを一気に叩き込まねばならない。
極論、ここはRボタンをずっと押しっぱなしにしているくらいで良い。いつでもストームミサイルのロックオンをできるようにすると戦い易い。
耐久力が非常に高いため長期戦前提で臨もう。
攻撃
ハイパービーム
中高度からサムスの斜め上に位置取り、巨大なレーザーを放つ。予兆が分かりづらいが、後スキが長め。
フラッシュシフトで真下に陣取ればスキを狙えるが、急降下との見分けが問題となる。鍵は敵の縦位置。
ビームバースト
赤いポインターでサムスに照準を合わせた後、ビームを連射する。連射中もサムスを追うように照準を動かしてくる。
ビームのエフェクトはサムスリターンズのエイオンアビリティ、ビームバーストに酷似している。
突進
サムスに横軸を合わせて突進。地上にいる時はスライディングやモーフボールなりで姿勢を低くすれば回避可能。
急降下
サムスに縦軸を合わせて、高高度の真上から急降下してくる。フラッシュシフトするのが楽。
第3形態
サムスのビームがレイヴンビークの翼を千切り飛ばした。もう片方もむしり取ったレイヴンビークが再び地上に降り立つ。
第1形態のいくつかの技も使ってくるが、第1形態と違いバリアを張らないため、メレーカウンター後でなくても直接ダメージは入る。
ここまで来ると戦闘中の回復手段が第1形態と同じく複数回チャンスがあるので、第2形態でダメージを受けていた場合は補う事ができる。最後の踏ん張りどころなので回復のチャンスを活かして余裕を取り戻そう。
攻撃
ハイパービーム
サムスに照準を合わせて巨大レーザーを放つ。アームキャノンが光り、動きが止まった瞬間にレーザーの方向が決まるので、一気に動いて避ける。
なお、第1形態も含めてグラブシーケンスではこれを発射しながら巨大なビームサーベルか何かのように振り回して攻撃してくる(尚、サムスは其等すべてを全自動で回避している)。
ハイパービーム使用時はアームキャノンが変形しているが、グラブシーケンスやOP時等レーザー照射で攻撃する際は非変形で砲撃しており、サムス同様ビームの撃ち分けが出来るようだ。
火炎弾
太陽のような赤い球体を発生させて天井に設置。そこから全画面へ太陽風さながらに衝撃波が放たれる。
衝撃波を出される前にパワーボムで破壊するのが楽。結構な量の回復アイテムも出る。
メトロイドプライム2でサムスが用いた太陽弾サンバーストを彷彿させる。
第1形態にあった黒のエネルギー弾も使うが、第3形態ではそれを破壊しようとするよりはまずその直後に来る手痛い不意討ちを避ける方を優先しよう。
シャインスパーク
青く光って突進してくる。ジャンプが遅れると、終わり際に真上に方向を変えられて餌食になる。
また、距離をとっていると使用しやすくなるようで、エネルギー弾に手こずるとそのスキをこれで狙われやすい。
サムスと違いスピードブースターによる助走もなしに発動する上に完全無敵状態という、ある意味サムスのシャインスパークの設定に忠実過ぎる仕様。そのため助走を確保してシャインスパーク同士でぶつかっても一方的にサムスが打ち負けてしまう。
決着
レイヴンビークの猛攻を凌ぎ、着実に追い詰めるサムス。メトロイドの力でトドメを刺すべく左手を翳し突貫するも一歩及ばずOP同様に首を掴み上げられてしまう。
レイヴンビークは自分に逆らう意志を見せたサムスも用済みと見なし、サムスを殺したあと、メトロイド化したサムスのクローンを作成して利用するつもりだと告げる。
SR388を開拓したソウハ族達を皆殺しにし、サムスを救ったクワイエットローブを利用して殺害し、サムスの中のメトロイドDNAを覚醒させるためだけに宇宙自体を破滅させかねないXを解放し、挙句の果てにサムスですら用済みとして殺害しようとするレイヴンビークの傍若無人にサムスは憤慨する。しかし最早打つ手はなく、意識は遠退くのみ。
だが、昂る意思が命の終わりを許さなかった。
怒号同然の雄叫びと共にサムスがメトロイドDNAを完全に覚醒させ、レイヴンビークの兜を一薙ぎで粉砕。五指と凶爪が彼の頭を鷲掴む。レイヴンビークのエネルギーをイトラシュのエネルギー諸とも吸収し、サムスは恐るべき変貌を遂げていく。
イトラシュを墜落させ、雷鳴と硝煙を背に立ち上がったサムスが纏うのは『メトロイドスーツ』。厳密には纏ってすらいない、彼女自身の完全な変身であった。
レイヴンビークはエネルギーを吸収され、イトラシュの墜落にモロに巻き込まれて尚も生きており、憔悴する足取りながら依然確固たる執念の下サムスに迫る。
しかし、そんな彼の背後には紫色のXが浮遊しており、レイヴンビークは紫色のXに寄生され、クレイドに似た巨大で醜悪な怪物の姿と化してしまう。
サムスがZDRで打ち倒した強豪クリーチャー全ての特徴を備えた異形に姿を変えてさえ「HADAR……SEN……OLMEN……」と呻きながらサムスに迫るレイヴンビークXだが、サムスが発射したハイパービームを顔面に受けてとうとう沈黙。
擬態が解けた最強最悪の寄生生物へサムスが再びハイパービームを発射を放つとXは塵も残さず消滅し、幾星霜も燻り続けたレイヴンビークの暗い野心はついに潰えたのだった。
なお、ハイパービームの発射はプレイヤーの操作に委ねられており、放置していると捕食されてゲームオーバーになる。
幸い、リトライはイトラシュが墜落した時からであり、照準は自動的にレイヴンビークの頭部に固定されるので、攻撃ボタンを押すだけで決着を付けられる。
最後に発した言葉である「HADAR SEN OLMEN.」を発しているが、これはXが宿主の記憶をコピーする際の反復行動に過ぎず、宿主を殺害するXの性質上、既に本人の意識は残っていないと考えられる。
余談
劇中ではメトロイドには『マオキン族に敵対する様にプログラミングされている』と語られているが、これはアダムに扮したレイヴンビークの発言であるため、本当にそうであるかは不明。
仮にレイヴンビークの発言通りだとしても、スペースパイレーツのみならず銀河連邦のタカ派に警戒してメトロイドとXの情報を秘匿したソウハ族の事だから、マオキン族がメトロイドを容易に悪用しない様、ソウハ族がいなければメトロイドを運用できないようにしたと考えるのが自然であろう。
結果、レイヴンビークはソウハ族を皆殺しにしたものの、メトロイドのコントロールのためにクワイエットローブだけが生かされた。
のちにロボット鳥人兵士を使ってクワイエットローブを殺害したが、おそらくサムスの中にソウハ族のDNAがある事、またはメトロイドの刷り込みの性質を利用するためか、自分に逆らう意志を見せ始めたクワイエットローブを生かす理由が無くなったためと思われる。
何れにせよ、レイヴンビークの発言は真偽不明として受け取っておいたほうがまだ良いだろう。
また、今作のクレイドは、チョウゾアーカイブのおまけイラストによるとマオキン族が一丸となって捕らえた個体である。イラスト内のマオキン族が健在である事を踏まえると、スペースパイレーツが惑星ゼーベスを乗っ取るより前、もっと言えばSR388でソウハ族を皆殺しするより前の出来事である事が考えられる。
そうなると、今作のクレイドはスペースパイレーツのクレイドとは別個体と見られる。
しかし、フェーレニアのとあるエレベータ部屋の背景には、ゼーベス星人と戦うマオキン族の兵士の壁画が描かれており、更にはマオキン族の背後にマザーブレインがいるため、惑星ゼーベスでの出来事であると思われる。
現にマガジン漫画版メトロイドでは、サムスがゼーベスに来る前に一度スペースパイレーツの襲撃を受けたと語るシーンがある。
つまり、ソウハ族と袂を分かつ前にマオキン族はスペースパイレーツと交戦し、彼らを返り討ちにしたと考えられる。そうなると、惑星ゼーベスがスペースパイレーツに乗っ取られたのはメトロイドに目が眩んだマオキン族が裏切ったのも一因であるとも考えられる。
野心深いレイヴンビークではあるが、メトロイドのDNAの覚醒のためにXを解き放ったものの、銀河連邦の上層部と違いXの軍事利用については考えていないように見える。
惑星破壊クラスで漸く死滅可能なXを纏めて消し飛ばすハイパービームを使えるレイヴンビークがXをエルンに隔離後に始末しなかった理由も、捕獲したメトロイドへの給餌兼激闘を通じた進化の促しと考えれば辻褄が合う。
サムスリターンズのチョウゾメモリーではメトロイドが進化したのはX捕食後である事が描写されており、正にメトロイド討伐要請を受け現地でマオキン全体を率いた彼がその光景を目にするのは何らおかしくない。
メトロイド養成エリアとして確保したは良いものの暫く使い道が無かったエルンだが、結果的にサムスの覚醒に応用し本来の狙い通りに機能させた、ないしそうなるよう仕向けた彼の手腕は流石チョウゾというべきもの。
推測にはなるが銀河統治に際しXをばら蒔いた後メトロイドに掃除させる戦略を取るならば結論Xは全滅しメトロイドの強化にもなるため、経緯はどうあれ隔離したX達を絶滅させなかったのは慧眼であった。
マオキン族の由来は『猛禽類』を捩ったものだと思われる。
ハトのアナグラムであるソウハ族が『ハト派』である事に相対しマオキン族は『タカ派』と評すべきだろう。
第3形態で使用する「火炎弾」は前述の通り太陽の様に見える。カラスと太陽は全く関係が無いように思えるが、「日本神話」などに登場するヤタガラスは「太陽の化身」とされており、日本などの国では太陽とカラスは昔から深い関わりがある。
また、詳細はカラスの項目を参照してもらうとして、
名前や素顔からカラスをモチーフの一つにしている事はうかがえるが、カラスは猛禽類には含まれない。
こじつけ混じりに追記すればエジプト神話のホルスの右目は太陽を意味し、レイヴンビークの兜のヒビは正に右目に走っている。鳥人族自体が古代エジプト調の芸術的意匠を持ち、ホルスやラーの頭となる隼は言わずもがな猛禽類である点を踏まえて彼のモチーフをより具体的に分析するとカラス+ホルスないしその同一神と考えられる。