概要
新生代の3つの紀の中で最も古い年代。中生代白亜紀の後、新第三紀の前。暁新世・始新世・漸新世の3つの世が含まれる。
気候は白亜紀から引き続き総じて温暖だった。特に約5500万年前の前後は暁新世-始新世温暖化極大と言われ、新生代では最も高温の時代だった。
生物相
動物は白亜紀末の大量絶滅を乗り越えた鳥類と哺乳類が急速に適応放散をとげた時代である。
植物相は後期白亜紀の継続の色が濃く、この時代まではイチョウ、ラクウショウやメタセコイアなどのヒノキ科針葉樹、センペルセコイア(スギ科)といった古いタイプの裸子植物が繁栄していた。裸子植物やモクレン科に代表される原始的な被子植物の樹木が今よりも広く分布し、より現代的なタイプの真正双子葉類の樹木と共存していた。
今の北半球の高緯度地域(冷帯)にはカラマツ、トウヒ、マツ、モミなどの針葉樹を主にカバノキ属を交えた森林が広がっているが、古第三紀は今より気候が温暖だったため、熱帯性の植物が中緯度にまで分布し、ブナ科の夏緑樹など現在温帯に分布する植物の祖先は北極のまわりの高緯度地域に集中して分布していた(第三紀周北極植物群)。これが新第三紀にかけて気候の寒冷化と再温暖化に伴い何度も南下と北上を繰り返すことにより、現代的な北半球の植物相が形成されていったのである。
現代の主要な陸上植物の系統はこの時代にほぼ出揃ったと考えられ、キク科やマメ科などの最初の植物化石がこの時代の地層から発見されている。
単子葉類は温暖な気候を背景にヤシ科やサトイモ科、ショウガ科の植物が繁栄した。今日の地球の草原はイネ科植物の天下となっているが、イネ科が頭抜けて繁栄しはじめるのは新第三紀に入ってからである。