概要
『夕暮れに、手をつなぐ』は、2023年1月~3月にTBSの火曜ドラマ枠で放送されたドラマ。
主演は、広瀬すず。広瀬は本作でTBSの連続ドラマ初主演となる。脚本は、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』や『あすなろ白書』・『ロングバケーション』・『ビューティフルライフ』・『愛していると言ってくれ』・『オレンジデイズ』・『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』などの脚本を手掛け、『恋愛ドラマの神様』としても名高い北川悦吏子氏が担当。挿入歌は、ヨルシカの「アルジャーノン」、主題歌はKing&Princeの「Life goes on」。
また、OPでヨルシカの「春泥棒」も使用されている。
登場人物
- 浅葱空豆(演:広瀬すず)
主人公。九州・宮崎県の片田舎で育ったデザイナー志望の女性。母は世界的に有名なデザイナー・浅葱塔子、父は志半ばで急逝した幻の天才画家・菱川誠二というサラブレッド中のサラブレッド。両親から捨てられる形で祖母の家で育てられ、幼なじみで婚約者でもある翔太を追って上京するが、その翔太にフラれ、自暴自棄になっていたところで音と再会し、「命の恩人」として交流するようになる。祖母や親戚に結婚を宣言している手前故郷には帰れないため、雪平邸に下宿されてもらい、大野屋でバイトとして働くこととなった。
東京での結婚を望んでおり、利害が一致した爽介と婚約することになったが、結局利害関係優先の婚約だったため破綻し、別れることとなった。
その後、デザイナーとしての才能を見抜いた響子が昔のよしみで久遠に空豆を弟子入りさせるよう頼んだところ、久遠も彼女の才能を評価し弟子入りすることとなり、頭角を現していくが、彼女の才能を見て無力感と嫉妬心が芽生えた久遠によってデザインを盗作されてしまい、その件をきっかけにアンダーソニアから決別した。だが、仕事が悉くキャンセルになるなど八方塞がりとなってしまったため、ついに避けていた母親に資金援助を頼み、才能を評価してもらったことで投資してもらい、パリに行くことになった。しかし、押し寄せるコレクションやイベントの期限が間に合わず、彼女の創造力を欠いてしまい、自由なファッション制作ができなかったため3年後に帰国し、地元・宮崎に帰郷していた。
その後、「ビートパーミニット」の福岡公演に招待されるものの、音と自分の立場の違いを理由にその場を後にしていたが、初めて音と会った交差点を思い出し、その場所で3年ぶりの再会を果たし、想いを伝えた。
- 海野音(演:永瀬廉(King&Prince))
「デカフェ」名義でパソコンで楽曲を制作するコンポーザーとしてメジャーデビューを目指す青年。その傍ら、喫茶店でアルバイトをしている。ただ、感情の起伏が穏やかすぎて、自ら「泣いたことも憎んだことも愛したこともない」と自虐しており、磯部にもその点を指摘されている。
福岡で空豆と会っており、東京での二度目の再会の際に彼女の服が水浸しになる原因を作ってしまったため、三度目の再会の際に空豆が自暴自棄になっていたこともあって恨まれていた。だが、橋の上から落ちそうになっていたところを助けたため、それをきっかけに交流するようになる。
徐々に仕事を獲得しており、遂に元ズビダバのボーカル・アリエル改めソイとユニットを組むことになった…が、当のソイ(アリエル)がマンボウくんと結婚することになり福井に移住したためおじゃんとなってしまった。
しかし、セイラの歌声を聞き、磯部に打診したところ快諾され、行き詰まっていたユニットのボーカルが決定。ついに男女混合ユニット「ビートパーミニット」としてメジャーデビューを果たしたが、マスコミ等の対応を危惧して雪平邸を去ることとなり、ユニバースレコード所有のマンションに引っ越すこととなった。
その後、着実にブレイクしていき、3年後、ついに紅白歌合戦出場を果たした。
福岡公演の際に空豆を招待したが、彼女が途中で会場を後にしていたことを知り、連絡を取った。その際に、空豆に「あの場所(空豆と初めて出会った交差点)で伝えたいことがある」という旨を伝え、その場所で空豆と3年ぶりの再会を果たし、想いを伝えた。
雪平邸
音と空豆が暮らす下宿先。
- 雪平響子(演:夏木マリ)
家主。元画家で資産家。お金にはかなりがめつい性格で、雨の日の洗濯の取り込みだけで音に500円を請求しようとした。空豆と音、2人のそれぞれの才能を見抜き、期待を眼差しを注ぎながら彼らを暖かく見守っている。
- 雪平爽介(演:川上洋平(ALEXANDROS))
響子の一人息子。ニューヨーク在住の起業家だが、出張のため一時帰国中。出張がてらに日本で結婚相手を探す予定。これまで女運に恵まれていないらしく、二度も交際相手に浮気されフラれている。元々音楽家志望だったため、ギターの弾き語りや作曲も得意だが自身の才能に限界を感じて挫折してしまい、趣味程度に留めている。
結婚相手を探す過程で事情故に実家に帰れずにいた空豆からプロポーズされ、利害が一致したことで婚約することになったが、結局利害関係優先の婚約だったため破綻し、別れることとなった。
その後、ニューヨークで交際していた彼女との問題を解決するためにまたニューヨークへと旅立った。
大野屋
雪平邸の近所にある蕎麦屋。
- 丹沢千春(演:伊原六花)
店員。空豆のアルバイト仲間。空豆を婚活に誘おうとする。
- 丹沢博(演:酒向芳)
店主。千春の父。響子の幼馴染。響子の経営する銭湯に足しげく通う常連客。
ユニバースレコード
音が所属するレコード会社。
- 磯部真紀子(演:松本若菜)
A&R(アーティストの発掘、育成担当)。音の担当。
音楽ユニット「ズビダバ」を世に送り出した張本人でもあるが、稼ぎ頭である2人が共にスランプに陥った末結婚を決意し、芸能界を引退したため、頭を抱えていたが、セイラが救世主かの如く現れたため、すぐに彼女を起用。稀に見る大バズりに衝撃を受け武者震いしていた。
- アリエル(演:内田理央)
音楽ユニット「ズビダバ」のボーカリスト。「ユニバースレコード」の所属アーティスト。楽曲の方向性を巡ってマンボウくん(サトシ)とはしょっちゅう喧嘩している。マンボウくんが引退した後は、ソロアーティスト「ソイ」として活動することとなり、音とユニットを組むことになった…が、マンボウくんとの結婚を決意。芸能界を引退し、福井に移住した。
音楽ユニット「ズバダバ」のギタリスト。仮面を付けて音楽活動をしている。本名はサトシ。楽曲の方向性を巡ってアリエルとはしょっちゅう喧嘩している。楽曲の売上低下により若干スランプに陥ってしまい、実家の眼鏡工場を手伝うために芸能界を引退し、実家のある福井に帰ってしまった。その後を追うようにアリエルも福井に移住し、結婚することとなった。
アンダーソニア
空豆の憧れるファッションブランド。
- 久遠徹(演:遠藤憲一)
天才デザイナー。響子とは美大時代の同級生の間柄。周囲からは「テツ」と呼ばれる。だが、デザインや発送が奇想天外すぎて人によってはなかなか理解して貰えない場合もある。
空豆のデザイナーとしての才能を評価し、弟子入りを承諾。まず身の回りの雑用から始めさせたが、彼女の急成長ぶりに感服する。スランプに陥っており、自身の年齢も考え引き際を模索していたが、空豆のデザイン帳を見たことで自身の才能の無さを痛感し、彼女のデザインを盗用する形でパリコレのデザインとして自身の名で採用してしまう。そのことを空豆に問い詰められるが、土下座をして懇願するという醜態を晒してしまった。この件をきっかけに空豆はアンダーソニアを去り、葉月もアンダーソニアを去る形となってしまった。だが、2人が去ったことを機に自身の行動がいかに愚かであったことかを思い知り、空豆にアイデアを返すことにした。
3年後、旅行がてら宮崎県を訪れており、その際に空豆と再会。再び東京でのファッションデザイナーとしての活動を打診していたが、断られてしまった。
整理整頓が下手であることが発覚しているが、空豆のおかげで何とかカバーできていた。
- 葉月心(演:黒羽麻璃央)
パタンナー。久遠からダメ出しされることも多いが、彼に食らいついている。空豆の才能の高さにいち早く目をつけ、彼女を丁重に育てるように久遠に頼んだが、久遠が彼女のデザインを盗作したことにより久遠を信用できなくなり、アンダーソニアと決別した。その後、空豆と行動を共にするようになり、パタンナーとして空豆と共にパリに行くことになった。空豆は日本に帰国したが、彼はパリに留まっていると思われる。
コルザ
世界的ファッションブランド。
- 浅葱塔子(演:松雪泰子)
超有名デザイナー。幼いころに離別した空豆の母。自分の夢のために空豆の母親でいることを諦め、パリに渡航し心を鬼にして見事その地位を確立した。ただ、空豆に対して母親らしいことを何一つできなかったことを後悔しており、アンダーソニアを去って八方塞がりとなってしまった彼女に対して投資、パリに連れて行くことを決意した。しかし、彼女がパリのファッション業界と合わないと感じ取り、3年後、娘を再び宮崎県へと帰郷させた。
その他
- 矢野翔太(演:櫻井海音)
空豆の幼馴染で元婚約者。九州の大学を卒業後、上京して起業する。しかし、空豆への愛が完全に冷めきっていたことから空豆をフり、新たな婚約者を見つけた。
- 菅野セイラ(演:田辺桃子)
音がアルバイトをするカフェで出会う女性。保育士として勤務している。音に「一目ぼれした」と告げ、電話番号が書かれた紙を渡し、デートすることとなった。しかし、本来の目的は「妹が作ってしまった借金の補填」であり、そのために音を相手に詐欺行為をしようとしていたが、初めてだったためすぐに音に看破されてしまう。ただ、音に事情を理解してもらうことはできたようで、あくまで「電話友達」として接することになった。
その後、電話越しで空豆とも仲良くなり、第6話終盤でついに公園で対面。空豆と音から歌の才能を見出され、磯部に打診したところ快諾。行き詰まっていた音のユニット曲のボーカルとして急遽白羽の矢が立ち、メジャーデビューすることになった。いきなりサブスクチャート5位、MV700万回再生という稀に見る大バズりとなり、磯部から時期を考えた上で保育士の仕事を辞めるよう進言された。
第7話で、母親が毒親だったことも発覚。以前母親から「お前、気持ち悪い」「出てけ」と言われたことで自身の存在意義を見失い、その腹いせとしてリストカットを試みたが、躊躇ってしまい傷跡だけが残ることとなった。そのため、そのリストカット跡を気にしてブレスレットを付けたりファンデーションで消そうとしているなど今でもコンプレックスだと感じているようである。
また、第9話にて空豆に対して好意を持っていただったことが発覚。これも自身のコンプレックスとなっており、「自分は存在しちゃいけない人間」と自己否定する理由の一つとなってしまっていた。
その後、着実にブレイクしていき、3年後、ついに紅白歌合戦出場を果たした。
- 浅葱たまき(演:茅島成美)
空豆の祖母で、塔子の母。一向に地元に帰らない孫娘を心配していた。
余談
- 主人公の名前は、北川の娘である写真家の北川埜々香氏の名義の一つである「あさぎそら豆」が由来。
- 北川は当初、孤独な若者たちが夜に手をつなぐようなイメージで、本作のタイトルを『夜に、手をつなぐ』としていたが、構想段階でヒロインと決めていた広瀬と、その相手役に永瀬を起用することを決めると、二人のイメージは『夜』ではなく『夕暮れ』と感じたことから、現在のタイトルに変更し、ストーリーも暗い話から大幅に変更したと制作記者会見で明かしている。
- 最終話にて、福岡アリーナと博多中央駅が登場していたが、おそらく元ネタはコレとコレ。
- なお、ロケ地はさいたまスーパーアリーナと高崎駅。