概要
2004〜2008年に公開されたOVA作品。全5話。
地球を含む銀河「A(アー)銀河」の資源などを狙いに侵略してきた四つのほか銀河からの侵略者たちに立ち向かうA銀河連合「最後の艦」大YAMATO零号とそのクルーたちの奮戦を描く。
なお、後述する制作経緯から「宇宙戦艦ヤマト」シリーズには含まれていない。
タグの表記揺れとして大ヤマト零号がある。
制作の経緯
元々本作は、宇宙戦艦ヤマトシリーズの続編劇場版アニメとして「新宇宙戦艦ヤマト」の仮題で企画され、2001〜2003年の公開を目標にしていた。
だが、1999年の松本零士-西崎義展間の宇宙戦艦ヤマトシリーズの著作権をめぐる民事訴訟の結果、松本側が「ヤマト」シリーズを独自に制作することができなくなったため、方針を転換し「ヤマト」シリーズとは無関係な作品として制作された。
当初はテレビアニメ「大銀河シリーズ 大ヤマト編7vs7」として展開予定だったがTV放映には至らず、当初の予定だったDVD全10巻構想も全5巻にまで大幅に削減したうえで「大YAMATO零号」と題してOVAとして公開された。
大YAMATO零号
本作の題名にもなっているメインとなる宇宙戦艦。
外見としてはほぼほぼ宇宙戦艦ヤマトの外見を引き継いでいるが、最大の特徴は胴体に無理やり押し込められたような円盤部分と、両舷に生えた特大サイズの逆ガルウィングである。この外見ゆえファンの本艦に対する評価は芳しいとは言い難いのが実際のところ。
まあ、著作権的なアレでそのままヤマトと分かるデザインにはできないという成約故のデザインなのだろうが。
なお、作中でもA銀河連合本部地球代表の一人、X-3から「おお、ダサい」と酷評されている。
一方で、巨大な艦体に対して空室や余剰スペースが多く、戦いを通じて「進化」を遂げる艦という側面も持っており、同じく地球代表の一人、X-5からは注目されている。
この余剰スペース云々の設定は、のちに明かされた大YAMATO零号の意外な正体(後述)にいかされた...かもしれない。
決戦兵器は艦首の大型砲と両翼のジェネレーターを連動させて放つ「大ヤマト砲」(大ヤマト三連砲)、あるいは青の地球の戦艦「まほろば」と連動して発射する「大銀河砲」がある。
主な登場人物
大YAMATO零号クルー
- オズマ・ソウジ
(CV: ささきいさお)
大ヤマト艦長。元地球のデジマ地区(唯一外宇宙との交流が許された地区)責任者。過去に宇宙人排斥運動で息子を喪った過去がある。
- オキ・シンマ
(CV: 浪川大輔)
戦場へと出航する大YAMATO零号に戦闘機ごと飛び込んできた青年。のちに大ヤマト砲の砲手となる。
とある戦争で轟沈した宇宙艦艇「シラヌイ」唯一の生存者であり、「シラヌイ」轟沈に関わったガイラー要塞(後述)に強いこだわりを持つ。
- ホンゴウ・ユキ
(CV: 皆口裕子)
科学分析班に属する女性士官。
名前の通りこの人っぽい外見で、レーダーやデータ解析を行う。
無茶が多いオキとはそりが合わず何かと突っかかっているが、オキからは「お姫様」と茶菓され相手にされていない。「お姫様」と言われると余計ヒートアップし「撃墜してやる」とまで言い出す。
- ムーア・L・プロスター
(CV: 銀河万丈)
副艦長。基本的に艦の運用や艦橋の配置は彼が指揮をおこなっており、オズマ艦長が直接指揮をとることは少ない。
航海長のダイチとは何か因縁があるようで...?
また、クルーでも数少ない青の地球の戦艦「まほろば」のことを知っていた人物である。
- デンゼル・スピアー
(CV: 諸角憲一)
艦長補佐官。常に艦長の傍らに控えている色黒の男性。基本的に無口。
元艦隊勤務で名を轟かせた猛将らしい。
「シラヌイ」とオキの関係をしる数少ない人物。
- イグァ・トシゾウ
(CV: 黒田崇矢)
科学分析班長兼監視班長。この人っぽい外見。
ロボットとともに暮らす都市「カレルノイド区」出身。その出身ゆえロボットとともに生きてきた人物で、Vol.1においてムーアからは「人間嫌いのイグァ」と称されている。
- ダイチ・ヒロシ
(CV:野島健児)
航海長。この人っぽい外見。
A銀河連合
- 「マホロバ」
太陽系の地球そっくりの緑豊かな星かつ地球の遠い祖先である「青の地球」に属する宇宙戦艦。「青の地球」の守護者であり、「星の防人の船」とも呼ばれる。外見は大YAMATOにそっくり。
決戦兵器は艦首の大口径砲から放たれる「マイナス時空砲」。この砲は攻撃対象を宇宙の遥か彼方へ時空転送してしまう恐ろしい兵器である。
- 羽黒妖(ハグロ・ヨウ)
(CV: 渡辺美佐)
「青の地球」出身。白亜帝艦とマホロバ・ティム艦隊の戦闘の後、大YAMATO零号に乗り込んでくる。
「マホロバ」の艦長でもあり、最終決戦は青の地球の仇であるメタノイドインセクターに対して憎悪と共に大銀河砲をぶっ放す。
元々は「超時空戦艦まほろば」のキャラであり、その後の松本零士初作品に複数回登場するハーロックやトチローのようなスターシステムキャラクターの一人。
- ティム艦隊
全体的にこいつっぽい外見の丸っこいロボットたちからなる戦闘部隊。全体的に陽気で常に歌ったり踊ったりしており、戦闘マシンの名前も「プチロール」に「ロックンロール」とふざけているような名前をしているが、マザーコンピューターに人格のバックアップをとってあるので、本気になれば体当たりや自爆も辞さない勇敢な一面もある歴とした「戦士」。
彼らが善戦に出たことで地球代表たちは頭を抱えたが、思いがけず白亜帝艦相手に善戦した。
大型の「モンスターティム」、中型の「コマンドティム」、小型の「プチティム」が存在する。
- ティム
(CV: 龍田直樹)
ティム艦隊の生き残りである黄色いコマンドティム。ハグロと一緒に大YAMATO零号に乗り込んでくる。
- リゲル
(CV: 仲木隆司)
A銀河連合最後の希望とも言われる大艦隊「七千艦隊」を率いる司令。旗艦「ユーノス」の艦長も務める。
共闘することとなった大YAMATO零号を当初こそ見下していたが、メタノイドラッケンとの戦闘以降は信頼を向ける。
敵対勢力
- メタノイドラッケン
A銀河に攻め込んできた4勢力の一つ。通称「ドラッケン」。
ポッド型の多数の戦艦を有するが、彼らの真骨頂は複数の戦艦を連結させ巨大な龍の形態をとり、高温と重火力と高速を持って密集した敵艦隊に突っ込み戦局をかき乱すことである。
ほとんどのエピソードに登場し、何度も大YAMATOを苦しめた。
- 影の艦隊
A銀河に攻め込んできた4勢力の一つ。
その名前の通り、艦全体が影のように暗く常に輪郭が変じているため全容が不明という謎の艦隊。また物凄いスピードを有しており、正体不明と機動力を生かして攻撃を仕掛けてくる。
- 白亜帝艦
ザリク聖帝指揮する大型戦闘艦。A銀河に攻め込んできた4勢力の一つ。クラゲのような艦型で、艦首に三連の大型主砲を搭載している以外は結構オーソドックスな戦艦・
雑魚と侮っていたティム艦隊に苦戦し、最終的に「マホロバ」に吹っ飛ばされた。
- メタノイドインセクター
A銀河に攻め込んできた4勢力の一つ。同じくメタノイドの名前を冠しているドラッケンとの関係は不明。
通常時は異空間に姿を隠している。主兵装であるコマンド部隊を展開するときのみ通常空間に現れるため捕捉が難しい。大口径砲などは装備しておらずコマンド部隊による敵艦隊の外壁に含まれる金属資源を食い尽くす戦法が主兵装。
その他
- ガノン・ガイラー
(CV: 楠大典)
A銀河連合にも侵攻勢力にも組さない男。
その気になればA銀河連合と敵対することも辞さないが、今回は自分の副官であるカインがかつてオズマの息子に受けた恩義からA銀河連合の助太刀をすることに。
ガイラー要塞という巨大な機動要塞を指揮しており、その戦力は一体であれだけ大YAMATOを苦しめていたドラッケンを3体相手に秒殺という凄まじいもの。
名前も外見もこの人そっくりで、「アルティメットジャーニー」では彼の従兄とされている。
その後の大YAMATO零号
当初の構想を大幅に短縮し、「7vs7」が「4つの侵略者」に変更されたうえにTV放映もされなかった本シリーズ。当然続編は制作されず、「ヤマト」シリーズにも数えられない宙ぶらりんな存在である本作は、あとは忘れ去られるのを待つだけだった...。
そう誰もが思っていた。
だが、2012年に松本零士監修のもと出版された「銀河鉄道999」の映画第3作の実質的な続編「アルティメットジャーニー」内にてまさかの再登場を果たす。
そこで明かされた衝撃の真実、それは...
大YAMATO零号は「大銀河連合艦隊旗艦」こと超時空戦艦まほろばが異次元宇宙でのミッションのために名乗っていた仮の姿だったのである!!!
ΩΩΩ<「な、なんだってー!?」
当時は松本零士主導で完全新作アニメ「Cosmo Super Dreadnoughtsまほろば」の制作が進んでおり、その主役たる「まほろば」の先行登場という形で「アルティメットジャーニー」上巻のラストで大YAMATO零号最大の特徴である円盤部分と両翼を装備した外殻部分を真っ二つに叩き割って真の姿を表したのだった。
なお、艦長のオズマ以下クルーたちも本来はA銀河ではなく「大銀河連合」側の人間であり、外殻偽装の解除と共に本来の階級と姓名が返還された。なお、オズマの真の名前は近藤雷蔵であり、そのまま「まほろば」艦長として大銀河連合での指揮を執った。
これにより、A銀河は「999」や「宇宙戦艦ヤマト」シリーズとは時系列が異なる並行宇宙であることが確定した。
...青の地球の戦艦「まほろば」との兼ね合いとか、オズマの息子のエピとか、ムーア副長の過去とかはどーなるんだなど細かいところは突っ込んではいけない。多分。