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概要編集

『太陽の季節』とは、1955年に発表された短編小説。

作家としての石原慎太郎の出世作にして、後に政治家としての石原慎太郎のやったことを考えると笑えない問題作。


あらすじ編集

ボクシングギャンブルしか興味のない若者(今のネットスラングでいうところのDQN)が、自分の女を兄に売ったところから始まる阿鼻叫喚の復讐劇。


作品成立の経緯編集

ストーリー自体は慎太郎の弟であり後の国民的大スター・石原裕次郎が「仲間からこんな話を聞いた」と慎太郎に話したことが由来となっている。実は同じような話が慎太郎のデビュー作「灰色の教室」にも収録されておりこちらが原型とも言われている。


文学界新人賞に応募した際には冒頭でシモーヌ・ド・ボーヴォワールの書いたマルキ・ド・サド作品の評論の一節をエピグラフとしてつけていたが、選考委員から外したほうがいいと言われて外した形で受賞した。実はこのエピグラフ自体は「出だしの部分で相手を引き付けるため」につけたものであり外しても問題はなかったようだ。


社会への影響編集

映画は弟であり、後の国民的大スターである石原裕次郎のデビュー作となった。

一方で、(他の石原慎太郎原作映画『処刑の部屋』、『狂った果実』を含めて)作中に描かれている無軌道・刹那的な生き方は未成年者への若者への悪影響を考えて「太陽族映画」と呼ばれ上映館での自主規制が相次ぎ、映倫管理委員会の設立へとつながった。


映画版編集

1956年に日活で映画化された。実は当初石原慎太郎は東宝に所属していたのだが、本作の映画化に前後して退社しており、1957年に今度は東宝が石原慎太郎の『若い獣』を制作するにあたり石原慎太郎自身に監督させることに当時の助監督陣が反発。その結果社内でシナリオ選考を行い監督デビューを果たしたのが岡本喜八である。

その岡本喜八のデビュー作『結婚のすべて』もいわゆる太陽族系映画だった。

実は石原裕次郎は本作にはあくまで監修として関わるだけだったが、役者の数が足りなくなったことから急遽出演することになったという経緯がある。

メインキャストの長門裕之と南田洋子は本作をきっかけに結婚した。


スタッフ編集

  • 監督:古川卓巳
  • 製作:水の江瀧子
  • 音楽:佐藤勝

キャスト編集


アニメ版編集

1986年には日本テレビでアニメ版が放送された。


スタッフ編集

  • 脚本:永原秀一
  • 総監督:黒川文男
  • 演出:石黒昇
  • 音楽:山本純ノ介
  • 製作:本橋浩一
  • 主題歌:ダ・カーポ「青春は舟」「ため息」

キャスト編集


テレビドラマ編集

2002年にはTBS系列「東芝日曜劇場」でテレビドラマも放送された。

ただし時代の変化もあってタイトルと登場人物の名前以外は全くの別物で、銀行に融資を打ち切られて自殺に追い込まれた父の仇討ちに燃える津川竜哉と、交差点で偶然出会った足に障害を持つ少女和泉英子の切ない恋愛を描く作品になっている。


キャスト編集


余談編集

晩年に政治家としての石原慎太郎が制定したある条例を巡って、本作を用いた皮肉表現の自由戦士によりしばしばいわれるようになった。

この作品で書かれた性描写に対しても、「漫画は卑しい仕事だが、太陽の季節は高尚な芸術であるとでもいうのか」と批判の矛先が向かっていた。


関連タグ編集

石原慎太郎 東京都

太陽族 石原裕次郎

映倫


東京都青少年健全育成条例

青少年健全育成条令改悪反対


表現の自由 表現の自由戦士

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