幽声-コーリング-
ゆうごえこーりんぐ
かつて孤門を始めとしたナイトレイダー、及びネクサスこと姫矢准を幾度となく苦しめた溝呂木眞也と、彼の操るビーストによって両親を殺された山邑兄妹が再登場した回として注目を浴びたエピソード。
また、これまで連続パートが多かった本作としては珍しく、1話完結で終わった数少ないエピソードである(本編以外では、同じく溝呂木再登場回である32話、及び36話と最終話のみ)。
ネクサス(ジュネッス)との激闘の後、行方が分からなくなっていた溝呂木眞也が目撃されたという情報が流れる中、霧深い山間部に現れたビーストの調査に向かっていた孤門らナイトレイダー。
溝呂木が操ったノスフェルに両親を殺され、自身も重傷を負った山邑理子はメモリーポリスに配属された野々宮瑞生が初めて対処した被害者だったが、兄の山邑薫は記憶操作に成功し、理子を攻撃した孤門への憎しみも忘れて礼儀正しく接していたものの理子はなぜか事件の記憶ではなく、自分の名前を含めた以前の記憶をなくし、逆に事件の記憶は覚えていたままという異常状態に陥り、心の闇を現した不気味な絵を描いているといた。
理子は現在兄の薫と共に、親戚の姉である理美に引き取られこの山の近くで暮らしていた。その日、理子は何かを感じ取り神社の境内に向かうと、そこにはこれまでの記憶をなくした溝呂木が、身をひそめていたのだった。自分に降りかかった不幸の元凶が目の前の男であることを知らない理子は彼に手を差し伸べ、行動を共にする。
やがて例の山にやってきたナイトレイダーの前に、霧を操るスペースビースト・バンピーラが現れた。バンピーラはこれまでビーストに食われた人間たちの声を利用し人間を集めていたのだった。
和倉隊長と合流し、クロムチェスターで攻撃しようとする孤門だったが、そこに溝呂木と理子の姿を目撃し驚愕する。
孤門の姿を目撃し、過去の記憶がよみがえり逃げだす理子。あとを追う溝呂木を孤門が追跡するが、バンピーラが出たこともあり逃げられてしまう。その後、孤門は溝呂木を確保するために現場にきていた瑞生と合流する。近くに理子がきていることに気づいていた瑞生は、次にメモレイサーで記憶を消したり、もし理子がもう一度ビーストを目撃してしまったら、何が起こるかわからないと畏怖し、彼女を救う為、孤門に協力を依頼する瑞生。
翌日、理子と溝呂木が離れるとTLTは溝呂木を確保し理子も孤門に保護される。しかしまたしてもバンピーラが現れた。孤門はもう二度と彼女を傷つけないことを薫に約束し、薫もわずかに残った記憶から何か引っかかるものを感じながらも了承する。理子を瑞生に任せ戦闘に参加し、千樹憐が変身したネクサスも現れたがその戦いは瑞生たちのすぐそばで行われていた。理子がその目でネクサスやバンピーラを目撃したその瞬間、ネクサスはジュネッスブルーに変身しメタフィールドを展開。姿を消した。胸を撫でおろす瑞生だったが、理子にはメタフィールド内で行われている戦闘が見えていた。
バンピーラの糸攻撃に苦戦するネクサスだったが、ハイパーストライクチェスターの支援攻撃もありアローレイ・シュトロームでバンピーラは倒された。すると理子の目に自分を大切に思っている父と母のビジョンが見えた。
それを見た理子は記憶を取り戻し、元の明るい少女に戻るのだった。
- 本編において、憐編から初登場したメモリーポリスの野々宮瑞生が孤門と初対面し、更に自分が初めて記憶を消した相手が、前述の溝呂木の被害者である山邑理子である事を明かしている(ただし、メモレーサーの誤作動により、理子は逆にビーストに関する記憶以外の記憶を失ってしまい、精神的に不安定な状態に陥ってしまったとのこと)。
- 当初は2話に分けて放送する予定だったが、番組の放送短縮が決定した事に寄り本編が大幅にカットされ、1話に纏められた。後にカットされた部分はDVD第8巻において「ディレクターズカット版」として収録されている。
- 意外にも千樹憐の台詞が一切ないという珍しいエピソードであるが、これも放送短縮により彼の出番が大幅にカットされたため(ディレクターズカット版では台詞がある)。その為か、本編の憐は溝呂木や山邑兄妹とはおろか、孤門とも一切関わっておらず、「単にビーストを倒しに来ただけ」という役割となってしまった(同様に32話においても台詞が無いが、こちらは溝呂木との因縁が無いにも拘らず、何故か孤門を差し置いて溝呂木の最期を影から見届けている)。
- 辛い目に遭った子供、心の闇を表した絵、死んだ両親の声に導かれるストーリー展開は『ウルトラマンレオ』第49話「死を呼ぶ赤い暗殺者!」のオマージュである。
- 第1話から製作を担当していた円谷英明は円谷一夫とのお家騒動の影響で社長職を解任された影響で、今話から製作を降板した。
ウルトラマンネクサス 孤門一輝 溝呂木眞也 野々宮瑞生 山邑理子
詩織-ロストメモリーズ-:本エピソードと同様、放送短縮の影響を受けたエピソード。こちらは1話(正確にはこちらも2話に分けて放送するつもりだった)まるごと未放送に終わってしまったが、こちらも後にDVDに収録されている。
影-アンノウンハンド-:本エピソードの後日談。こちらも劇中において憐の台詞が一切ない。