影-アンノウンハンド-
かげあんのうんはんど
本作において強烈な悪役を演じてきた溝呂木眞也が登場する最後の回。
本編ではEpisode.24以来、久々にダークメフィストが再登場した他、新たに3人目の暗黒適能者が登場。そして千樹憐ことジュネッスブルーにとっては初のウルティノイドとの対決となる。
TLTに拘束され、拷問を受けていた溝呂木。「俺は誰なんだ？」と戸惑う中、何者かが囁く。
？？？「お前は人形…ただの…道具だ！」
何者かの囁きによって、記憶を取り戻した溝呂木は、捕獲部隊の隊員達を格闘戦で圧倒し、気絶させる。
松永は「あなたのゲームは終わった」と告げるが溝呂木は「俺にはやるべき事がある」と言い、野々宮瑞生を連れて脱走した。
「三沢です。機関室にて、逃亡中のターゲットを確認。これより追跡します。」
メモリーポリスの三沢広之は溝呂木を追跡しようとしたが、背後に何者かが現れ…
「お前は……うわああああああああああああっ！！」
ナイトレイダーは溝呂木が脱走した事を知らされる。松永が「全員を出す訳にはいかない」と言ったため、凪は孤門と共に向かうことにした。
一方、溝呂木と行動を共にしていたは彼に目的を問う。溝呂木はかつて自分が操っていたビーストを使って幸せを奪った山邑理子に謝罪したいというのだ。
だが、そこへ孤門と凪が現れる。孤門は溝呂木にこれまでの怒りをぶつけるかの様に銃を向けるが、復讐するつもりはなく、凪と共に投降を勧める。
「本当に、変わった奴らだ……」
遂に観念した溝呂木は投降を決意するが、そこへ何者かが溝呂木を背後から撃ち抜く……
以下、ネタバレ
瑞生「三沢さん！？」
何と、溝呂木を狙撃したのは三沢だった。その手には、かつて溝呂木が使っていたダークエボルバーが…！
三沢「溝呂木眞也……そいつの役目は終わった。これからは、俺が奴に代わって、この世界を闇に塗りこめる！」
アンノウンハンドによって洗脳された三沢は以前の溝呂木と同様にダークエボルバーを使ってダークメフィスト・ツヴァイに変身し、孤門達に襲い掛かる。
駆けつけたネクサス・ジュネッスブルーと激しい空中戦を繰り広げ、メフィストクローを使った連続攻撃で撃墜させる。
ツヴァイ「ドノ道貴様ノ命ハ、ジキニ燃エ尽キル……ソノ光、俺ガ全テ吸イ取ッテヤル！」
更に崖に激突してダウンしたジュネッスブルーのエナジーコアから光を吸収しようとする。
だが、それを見ていた溝呂木は、何と光の力でダークメフィストに変身した。
ツヴァイ「オ前ハモウ……変身出来ナイ筈！」
当初は戦闘経験の差でツヴァイを圧倒するメフィストだったが、先ほどのダメージが大きかったのか、次第に逆転され、ついにはメフィストクローで腹を貫かれ、致命傷を負ってしまう。
それでもメフィストは最後の力を振り絞り、ツヴァイをはがい絞めにすると、ネクサスに告げる。
「今だ！俺に構わず撃て！」
ツヴァイ「離セ！ハ、離セェ……！」
「何をしている！それが光を得た、お前の……お前の役目だ！」
メフィスト＝溝呂木の覚悟を知ったネクサス＝憐はアローレイ・シュトロームを放ち、ツヴァイをメフィストごと葬ったのだった。
その後、変身解除された溝呂木は凪に「自分も三沢もアンノウンハンドの操り人形に過ぎなかった事」を打ち明け、同時に「奴はお前達のすぐ近くにいる」と警告する。
そんな溝呂木の言葉と気持ちを受け取った凪は…
「私は、あなたを憎むしかなかった…そうしなければ、ビーストと戦えなかったから…」
「なのに、死んで罪を償うなんて！最期だけ人間らしい顔をして、そんなの卑怯よ！」
「罪を償うなら生きて！もう一度、人間として…！」
溝呂木「もう一度、人間として……」
ようやく人の心を取り戻した溝呂木。だが、そんな凪が言う贖罪を背負う事も叶わないまま、そのまま凪の胸元に倒れ込み、粉雪が舞う森の中で、静かに息を引き取った。
そんな中、とある部屋において、謎の男がモニターを見て不吉な笑みをこぼしていた。
「目覚めの時は近い…」
そのモニターには、既に「抹消済み」と記された姫矢准と斎田リコ、新たに抹消済みとなった溝呂木と三沢のデータが写っていた。
そして彼らの下には、千樹憐と孤門、そして凪のデータが…。
- 本編ではビーストが一切登場しない唯一の回であり（回想シーンでは登場しているが）、「ウルトラマンしか登場しない」エピソードが放送されたのは、『ウルトラマンガイア』第25話「明日なき対決」以来、７年ぶりとなる。
- 溝呂木が凪の腕の中で息を引き取るシーンでは、直後に雪が降り始めているが、これはスタッフによる演出ではなく本物の雪。脚本にも書かれておらず、全くの偶然であったという。
- 撮影終了後に溝呂木を演じた俊藤光利氏はダークエボルバーの玩具が送られたが、俊藤氏は「今更かよ！」とツッコんでいた。
- Episode.29と同様、今回も憐の台詞は無かったが、溝呂木とは殆ど接点が無いにも拘らず、何故か孤門を差し置いて彼の最期を影から見届けている。今回ウルティノイドと初めて戦った憐ではあったが、果たして彼は溝呂木やメフィスト達の事をどう感じていたのだろうか…？
