主よ―――タネもしかけも無いことを、お許しください
『怪盗セイント・テール』に登場するキャラクター。
同作の主人公である羽丘芽美が扮装(アニメ版では変身)する事で顕現する正義の怪盗(義賊)としての姿。なのでCVは芽美と共通で櫻井智。当たり前だが個人的な性格などに関しては芽美に準じている。→羽丘芽美を参照
しかし正しくは深森聖良が迷える子羊(詐欺窃盗犯罪の被害者)を救済する(いわゆる自力救済。もちろん法律では禁止されている行為)ために芽美を無理に巻き込んで仕立てたアイコン的存在である。
ちなみに原作とアニメ版では微妙に設定が異なるので注意。
またpixivでは、時折「原作とアニメ版の双方が混ざったイラスト」や「うろ覚えで衣装の細部が異なっている(どっちにも無い要素が組み込まれている)イラスト」が投稿されている場合がある。
なおpixivタグとしては登場する作品や、その略表記であるセイントテール、あるいは変身者である羽丘芽美と同義(表記揺れ)として、そちらのタグで表される事が多い。
共通する概要
物語の舞台地である「聖華市」に突如として現れた怪盗。
ポニーテールを鮮やかに翻して見事な手際で狙ったものを盗み出し、何処かへと持ち去っていく。
この怪盗に狙われた品は「ある特徴」を持っている。
それは「実は以前に持ち主(あるいは世話をしていた者)が存在し、その持ち主の全面的な納得をもって譲渡されたものではない品物」である事である。持ち去られた品は以前の持ち主の手に戻る事が多い。
ゆえに、この怪盗の被害に遭った者は、総じて犯罪者(特に詐欺師や窃盗犯)が多い。もっとも全てがそのような者でもなく、中には「法律的には何も問題はない」(ただし倫理的には大いに問題がある)者もいる。
この事から聖華市の人々からは(一部を除いて)義賊と称えられている。
正体
上述したように聖ポーリア学院にて見習いシスターとして迷える子羊の悩みを聞き続けてきた深森聖良が、その人々の悩みと苦しみを捨て置けず、同級生である羽丘芽美の弱みを握って脅して巻き込み実働係にして仕立てた、犯罪被害に悲しむ人々を直接救済するためのアイコン。なので、もちろん命名は聖良。
元々は聖良が、子どものイタズラで取られてしまった礼拝堂懺悔室の鍵を、イタズラで取り返すために芽美を巻き込んで仕掛けた騒動が原因。やりかえされた子どもが「怪盗だ」と騒ぎだした事で話が大きくなり収拾がつかなくなってしまい、これに気を良くしてしまった聖良が、これを機に悩める子羊を助けようと動いたのが始まり。
聖良が迷える子羊と物品に関する関連情報を仕入れると共に仕掛けに必要な資材も用意(時に現場に出て撹乱)し、その情報を元に芽美がセイント・テールとして現場に乗り込み仕掛けをして乗り込み目的の品を奪還する。
現場では芽美によって、母親譲りの運動神経による軽業と、父から仕込んだマジックを用い、標的や捜査陣などの人々を翻弄する。
芽美にとって「セイント・テールの盗みの現場」とは「人々を救う」ために自らを魅せる「マジックを披露するためのステージ」である、という側面を持っている。そのためセイント・テールとなった芽美は普段より度胸があり肝っ玉が据わっている。
そして自らを逮捕目的で追ってくる飛鳥大貴(アスカJr.)は、ぶっちゃけ熱烈なファンにして、マジックを心おきなく披露できる上に面白リアクションまで返してくれるステキなお客さんに見えていたりする。
ちなみに芽美がセイント・テールとして着ているシルクハットと、燕尾服式のスカートスーツは、元々父のようなマジシャンに憧れていた芽美が、将来のために両親にナイショで仕立てていたステージ衣装。
トランプを投擲や目くらましの武器とする事と、風船を空中の移動手段とする事は原作・アニメ版共通。
特にトランプにおいては、さすがにどこぞの白い怪盗みたいなトランプ銃などギミックは持ってないが、そんなものなど必要ないほどの投擲能力で、同様の効果を生み出している。
問題点
以上の経緯と成果から、救済された人間(ひいては読者)からは、とても「よくできた」多くの人が得をし因果応報のもとに報いを受ける「うまい」話に見えるが、客観的に考えれば様々な問題がある。
- そもそもセイント・テールのやりかた自体、学問的に言えば「他者による自己救済」と呼ばれるもので法律はおろか現代法学において「法治社会国家」の根幹を揺るがす、人間社会が長い歴史をかけて築いてきた仕組み(宗教戒律や法や倫理)そのものを否定する行為(人類の知恵への背信行為)と、されるものである(もっとも、そんな事を言っていては救えないのもまた事実ではあるが)。
- いくら努力しても一部の助けられた人には「神様に助けられた」としか意識がない(話によってはアスカJr.の手柄になっている)
- セイント・テールの活動は、どれだけ好意的に見ても緊急時の対症療法による、いわば応急処置に過ぎないもので、根本的な原因を解決せず(できず)犯人を驚かしてから実力行使する救済しかやり方がない(そのため、真犯人の逮捕や罰を与えるのは敵対関係にある警察、ひいては裁判に依存しているところがある)
- あくまでも困ってる人を助けることが目的である事は読者・視聴者(神の視点を持つ者)しか知らない。世間には「罪人を罰する」「高額商品に目をつける」などと勝手に決め付ける人がいる。またアスカJr.でさえ解決するまで、ただの犯罪者なのかと思うときすらあった。
- 新聞記事などに中傷されても彼女の評判を守る術がない。また物語の終盤ではこれを利用され苦しむ事もあった(庇うのは予告状を実際に受け取ったアスカJr.くらい)
- 警察以外でも危害を加えようとしたり、殺そうとしたりする人が多い(元々盗まれる側も犯罪者であったり、それに近い事をしているので盗まれてバレると困る為、ある意味当然ではある)
- アニメ版では飛鳥刑事の捜査によって個別の回収が無効にしてしまうことがある(現実の法律でも自己救済による利益(権利)の回復は「不法行為」として無効にされやすい。日本では刑法242条、民法119条、121条2項、200条、414条など)
などなど、軽く例に挙げるだけでも、問題点はボロボロ出てくる。
前からセイント・テールに興味を持っていたアスカJr.でも最初に「オレの知る限り…」としか断言できず、毎回見に行って「なぜそんなことをするんだ?」と検討することを繰り返しを繰り返した結果、それでも「理想(的な存在)」としか評価できなかった。
結局一番困っているのは芽美自身かもしれない。
もちろん、いわゆる「義賊」としての活躍は自己満足からではなく警察にはどうにもなれない純粋に犯罪被害を助けるためだというのが確かである。
結局のところ経験を経て、芽美もアスカJr.も沢山のことを得ただけに、それぞれの立場が決して明確に肯定も否定もしていない(正しくは「肯定も否定もできない」)というのは『怪盗セイント・テール』という作品の特徴だと言える。
原作版
芽美が手品による扮装によって着替えた姿。
上述のように母譲りの軽業と父のマジック(イリュージョン)で人々を翻弄する。
後述するアニメ版に登場する各種アイテムは基本的に持ってない。(ステッキなどを使うときも基本的には飾り物の無いシンプルなケーンを用いている)
アイテムなど(原作)
- 開かずの懺悔室
- 聖良がカギを失くした(盗まれた)事で「開かずの間」となった礼拝堂の懺悔室。しかし芽美(セイント・テール)がカギを密かに奪還した事で実質的な聖良の私物と化した。(芽美は「ちょっと、それって懺悔室ネコババするんじゃ……!」とツッ込んだが、聖良はいつものように黙殺した)
- さすがにアニメでは登場せず、礼拝堂裏の池がそれに代わる場所となった。
- あやしい香水
アニメ版
芽美が自身の持つロザリオであるセイントコロンペンダントの加護によって変身した姿。
マジックを仕掛けるためのタネ(玉ジャリ糸など)を内包したギミック(アピアリング)ケーンであるセイントイリュージョンステッキを持っている。
アイテム(アニメ)
- セイントコロンペンダント
- セイントイリュージョンステッキ
- 芽美が変身後に持つギミックケーン。マジックを仕掛けるためのスレッド(糸)が仕込まれており、これをもって芽美の意思通りに自在に空中をカッ飛ばせる事ができる、アピアリングケーン。