用法
言葉の意味としてはざっくりと「怒りのあまり死ぬこと」とされているが、実際に歴史上で憤死したと表現されるケースは大きく分けて3パターンある。
本来の用法
- ①:怒りのあまり、その場で倒れて死んでしまうパターン
激昂のあまりその場で倒れ死亡したり、目耳などから血を吹き出して死亡してしまったというケース。
怒りは血圧を急に高めるため、元々脳や循環器系に持病があったり、高血圧持ちだったりするところへ更に血圧が上がり、その負荷で脳卒中や大動脈解離などを起こして突然死……というのも起こり得る。
- ②:腹立たしい出来事が原因で寝込んでしまい、後に死亡するパターン
腹立たしい事があった後、それが元で病気となり失意のうちに死んでしまうというケース。
病は気からとも言うが、あまりの衝撃で精神疾患となり、それが元で食事をとれなくなりそのまま栄養失調などで死んでしまったという例は歴史に名を残している偉人でも多々記録されている。
- ③:激昂して起こした行動で事故死、または勢いで自殺してしまうパターン
激昂して自らを危険に晒す行動をしてしまいその結果死亡する、またははずみで自殺する、抗議の意を表明するために自殺するようなケースも憤死と表現される事がある。
なお、②と③を複合したパターンも少なからずある。
例として、ウイスキーメーカーのジャック・ダニエル(現存する同名会社の創業者)は自らが施錠した金庫が開かなくなった事に腹を立てて蹴飛ばしたが、その際に爪先を負傷、細菌感染で徐々に体調が悪化していき死んでしまったとされる。
また権力闘争に巻き込まれた結果「お前ワシ(桓武天皇)に呪いをかけようとしただろ」という言いがかりをつけられて流罪になった早良親王も幽閉中潔白を主張するため絶食していたが、結局聞き入れられず島流しになり、道中で死亡したという(10日以上絶食していたので直接の死因は餓死)。同様に「呪いをかけようとした」という言いがかりで流罪にされた人物はかの崇徳上皇も有名で、二人とも怨霊となって祟りを起こしたという伝説が残っている。
俗語的用法
- 野球用語の「憤死」
惜しいところでアウトになること。
- ネットスラングとしての「憤死」
反論の余地すらない的確な指摘をされた際や、思い出したくもない屈辱的な過去を思い出して悶絶状態になる事も「憤死」と例えられる事がある。
なお、Pixivでは、死ぬほど興奮するような作品に対し、賞賛の意で憤死という言葉が使われる。その場合の類語は尊死、キュン死にであろうか。
- その他
「鬼滅の刃 煉獄杏寿郎外伝」に登場する鬼・佩狼は「憤死してしまう」という口癖がある。
歴史上憤死した人物
- 陸遜
- 荀彧・・・自殺説が有力
- 于禁
- 楊儀
- 曹休
- 菅原道真
- 崇徳天皇⋯諸説あり。ちなみに生前は即位してない(できなかった)ので、顕仁(あきひと)「親王」という一皇族に過ぎなかった。
- 早良親王
- ローマ教皇ボニファティウス8世⋯アナーニ事件
- 鍋島高房
- ウィリアム・ピット
多くは病死であると考えられる。
創作の中で憤死した人物
余談
三国志演義では度々死因として登場するが、上司と諸葛亮がその2大要因である。
前者の例としては陸遜が挙げられる。晩年、後継者問題で疑心暗鬼に陥った孫権が周囲の讒言を信じ、忠臣だった陸遜に延々叱責する手紙や使者を送ってきた為に精神に不調を来たし死んでしまったとされる。また、于禁も「尊敬していた曹操の墓に、于禁が関羽に降伏した情けないシーンの壁画を描かれる」という曹丕によるイジメに遭って憤死したという逸話が描かれている。
後者の例としては、周瑜、王朗、曹真の3人が該当する。いずれも散々策を破られた挙げ句煽られる、演説をぶったら逆に罵詈雑言を浴びせられる、病気で寝込んでいる時に喜々として煽りレターを送られるなどした結果死んでしまったとされており、諸葛亮の知力を印象づけるための噛ませ犬にされた格好である。