演:神尾佑
概要
野座間製薬“国際営業戦略”の本部長を務める43歳の男性。
キザったらしい一面を持った野心家で、アマゾン関連のプロジェクトを生物兵器に転用することで会社に莫大なビジネスマネーを呼び込み、その手柄で自らが出世できると考えている。その為、本心を胸中に隠しつつプロジェクトリーダーを務める令華を失脚させて実権を手中に収めようと日々画策している。
まず手始めとして秘密裏にアマゾン細胞の更なる改良を推し進める一方で、天条会長に取り入り、令華の秘書を務める加納をスパイとして自らの駒にすると、特殊研究開発本部が仁を捕えた時に入手した“アマゾンズドライバー”のデータを入手。
更に極秘裏に回収しておいた駆除班の前原淳の死体に改良型アマゾン細胞を植え付け、生体兵器アマゾンシグマを制作するとその性能テストの為に街に解き放たれたアマゾンたちを利用しようと、自身の手駒とした加納を使ってアマゾンの駆逐作戦(実は選別)の為のトラロック作戦を妨害しようと暗躍する。
しかしその目論見はそれを阻止せんと奮戦する駆除班とアマゾンアルファとオメガの共闘作戦によって自慢のシグマが撃破された上に、自信満々で天条への手土産として提供したシグマが天条が求める完全な生物と余りにもかけ離れていた(兵器としてのアマゾンが食事をしないということ自体が生物として論外らしい)為に見捨てられてしまい失脚。天条の狂気に満ちた思想を垣間見たことで戦慄を覚えつつ、その場から立ち去っていった。
死体を兵器として利用したり、アマゾン達を野放しする事を、良心の呵責も覚えずに平然と実行する辺り、倫理観や道徳感が欠如した外道ではある。しかし、その行動原理は出世欲や金銭欲に根差した理解可能なものであり、狂った価値観で周囲を振り回す令華や天条に比べればまだマシな人間であるとも言える。また、シーズン1の最終回を見る限り、天条の思想や思惑には当初、全く気付いていなかった上に何も知らされていなかったようだ。
ただ、漫画版『仮面ライダーアマゾンズ外伝 蛍火』では、天条や令華、鷹山仁の言動に対して、「どいつもこいつも頭がおかしいと言わざるを得ない。皆、経済学を、いや経営学を学ぶべきだ」というどこかズレた感想を抱いており、自身の正当性を全く疑っていない辺りは狂っていると言えなくもない。
シーズン2では野座間製薬を辞し、政府の対アマゾン機関“4C”の局長として君臨していた(『蛍火』では野座間の実態を政府へ内部告発し、野座間のライバル企業や国会議員の協力を得て4Cの局長へ収まっていく過程が描かれている)。
シーズン1の頃よりも明らかに格上の存在(?)へと出世を果たしたようだが、それでも会社時代の野心は完全に捨てきれてはいないようで、未だにアマゾン細胞を兵器転用しようと考えている。更に、人間とアマゾンの細胞を併せ持つ千翼の存在を重要視しており、彼のデータを収集することで溶原性細胞の秘密を探ろうとしている。また、新たなアマゾンシグマであるイユを制作、4Cの戦力として運用している。死体の兵器転用への糾弾に対しては「生きた人間を生体兵器にしているのでは無いから人道的」と持論を展開した。
Episode7にて、千翼が溶原性細胞のオリジナルである可能性が高い事、彼が鷹山仁の息子である事が判明した際はこれに激怒し、Episode9では千翼を危険過ぎる存在として凍結処分を施す事を決定する。しかし千翼は防衛本能からアマゾン態に変貌し暴走、警報を聞いて駆け付けた橘は千翼アマゾン態の触手に捕まり、無惨に身体をへし折られてしまった。
ほぼ全ての視聴者が彼の死を確信していたが、Episode10にて「8ヵ所の複雑骨折を負いながらも何とか一命は取り留めた」ことが明かされる。Episode11では全身包帯だらけでベッドに寝かされた状態ながら登場、千翼と共に逃亡したイユの廃棄処分を目論んでいた。
そして、Episode12にて早くも電動車椅子に乗った姿で復職。札森にイユの廃棄システム起動ボタンを押させてしまう。
最終回ネタバレ注意
「5年前の事件はまだ続いている!」
「完全なる終結まで脅威は去らない!!」
「その為にも、新しいシグマプロジェクトを……!!!」
千翼とイユが死亡した後、未だ去っていない溶原性アマゾンの脅威に備え、
新たなシグマプロジェクトを実行するべく彼は再び動き出した。
劇場版での活躍
劇場版『最後ノ審判』でも引き続き4Cの局長を務めている。
下半身の負傷も完治し、以前と変わらず歩けるまでに回復していた。
最後に生き残ったアマゾン、水澤悠と鷹山仁の駆除命令を下していたが、
その裏で不正にアマゾン細胞技術の横流しを行い、畜産アマゾンの実用化を進めていた。
要するに本作の黒幕である。
しかし、偶然にも悠が「切子聖園」に迷い込んだことで計画が破綻。
アマゾン牧場は壊滅し、経営者の御堂英之助は鷹山の手で殺害された。
更に現地を捜索していた4C隊員にアマゾン牧場の存在がバレてしまう。
結果、報告を受けた令華は橘を告発することを決定した。
あくまで「これはビジネスだ」と主張する橘は激怒して令華に掴みかかろうとしたが、
それを見ていた黒崎隊長が正当防衛という名目で拳銃を発砲。
脚を撃ち抜かれた橘は無様な悲鳴を上げたものの、誰も彼を助けようとはせず、
その場にいた全員から見下された状態で再び病院送りとなった。
シーズン2ラストでは大物のような扱いを受けていたにもかかわらず、
その結末はある種コミカルなものとなった。
関連項目
神木正太郎:同じく神尾氏が演じた『ウルトラマンX』の登場人物。こちらは善人。
橘朔也:名字が同じライダーシリーズの登場人物。ただし、こちらはコミカルなシーンやネタシーンこそあるもののベクトルが異なり、またヘタレ扱いこそあれど仮面ライダーに変身するのもあってこちらの橘よりも遥かに全うな倫理観を持っている。