概要
正式名称は『仮面ライダーアマゾンズ外伝 蛍火』。
講談社より発行されている青年漫画雑誌『モーニング』及び、その電子書籍版『Dモーニング』で連載されていた仮面ライダーアマゾンズのスピンオフ作品。
主人公はアマゾンズの世界観におけるライダー怪人であるアマゾンの人間態の青年で、彼を通して本編で語られなかった彼らが持ち合わせている人間としての理性と人食い怪物としての食人本能の間で葛藤する苦悩。そして彼らを巡る様々な思惑から見えてくる人間の醜いエゴを鋭くえぐり出した作品で、決してただの悪役とは言い切れないアマゾンたちにスポットを当てた物語構成となっている。
その他、アマゾンズ本編で謎のままであった裏設定にも触れられており(例として研究所から逃げ出した直後のアマゾンたちが最初、どのようにして暮らしていたのかや、どうやって人間社会に潜入して馴染んで行ったかなどの詳細が詳しく書かれていたり等)、本編の補足的意味合いも所々に散りばら撒かれているという特徴を持つ。
また、掲載紙が青年誌であることや、アマゾンたちを主軸にしている事からも分かるように、内容は大変ハードかつ、猟奇的な描写などが多い等々、バイオレンスに満ち満ちた作風となっているので、そのような描写が苦手な人には結構応えるかもしれない。
なお、時系列的には本編での描写やセリフからseason1の第9話の少し前か後から始まり、最終回でのトラロック作戦での出来事の裏側で起きていた事を描きつつ通ってseason2までの間の空白の5年間に起きた出来事であると思われる。
主な登場人物
本作の主人公であるホタルアマゾンの人間態の青年。人間社会での役職は土木作業員。
仲間からは相手の立場で物事を考えて感情移入してしまう優しい性格と認識されている。
トラロック作戦が決行された日、たまたま仲間との情報交換に為に外出していたが、対アマゾンガスに耐性を持っていたらしく、数日間昏睡状態に陥りながらも意識を何とかを取り戻すが、それ以来、ある感覚に苦しめられるようになる。
本作のヒロイン。理知的な性格の女性。
頭の回転が良く、シェアハウスのオーナー兼翻訳家の櫛原の仕事の手伝いを行っている。また、トラロック作戦が決行された日もいち早くその特性を見抜き、何とか危機を乗り切っている。
彼女もまたアマゾンで、カニアマゾンと同じく仲間意識は高いものの、基本的に人間に対してはドライ。
なお、アマゾン態としての姿はホタルアマゾンの雌個体。
昇、紬たちと共にシェアハウスで暮らしているアマゾンの1人。怪人態としての姿はカブトガニアマゾン。
人間社会では弁当屋でアルバイトをして生計を立てており、トラロック作戦が決行された日は偶々連絡先を知っていた紬からの連絡を受けてその難から逃れる事が出来た。
アマゾンとしての食人本能を抑えて人間社会で静かに暮らして行きたいと願っているアマゾンの1人でもあり、自身が働ているバイト先のとある女性従業員に密かに想いを抱いているようだが………。
素性の分からない昇たちにシャアハウスを提供している翻訳家の眼鏡を掛けた男性。
ちなみに彼はアマゾンではなくれっきとした“人間”で、おそらく本作におけるおやっさんポジションであると思われる。
第6話で判明したその正体は“元”野座間製薬の研究者。その本質は根っからのマッドサイエンテストでアマゾンたちの生態を知りたいと考えており、紬たちに協力するのもそのためである。
主なゲストアマゾン
茂山
第1話のゲストキャラである壮年の男性。アマゾン態は恐らくアリアマゾン(兵士)。
アマゾンズレジスターの効果が切れ、食人本能が抑えられなくなってきたため、仲間である昇と誠司に最後の別れを言いに仲間との情報交換の場の1つであるとある公園へとやって来た。
その夜、遂に人食い怪物としての本能が覚醒し、路上生活者の老人を襲撃していた所を駆除班に発見され交戦。たまたま現場を目撃した昇の介入で理性を一時的に取り戻し、発信機でもある腕輪が付いて左腕を切断して事無くを得るが、その後、買い出しの為に別行動を取っていた悠に見つかり、バイオレントパニッシュで切り裂かれ絶命した。
トラロック作戦以降にゲシュタルト崩壊に悩む昇が情報を得る為に接触していたアマゾンの生き残りの有無を調査していた調査班に襲いかかったアマゾン。
既に腕輪の効果が切れて食人本能に飲み込まれ理性を失っており、情報を得る為に調査班を守ろうとする昇=ホタルアマゾンと攻防戦を繰り広げる。最後は一瞬の隙をついて調査班を食い殺すも、それに怒りを露わにしたホタルアマゾンにコアをぶち抜かれて死亡する。
板野
昇たちと連絡を取り合っていたアマゾンの1人。アマゾン態はコウモリアマゾン。
トラロック作戦で生き残った1000体のアマゾンの1一人だが、この後遺症で顔が半分焼けただれた姿となってしまい、仕方なくとある廃屋に身を潜めて暮らしていた。
元々はその他多数のアマゾンたちと同様に人間社会で静かに暮らして行きたいと願っていたが、自分がトラロック作戦で殺されそうになった事と腕輪の効果が切れたのを契機に腕ごと腕輪を取り外すと進んで復讐を兼ねて人食本能のままに人間に襲い掛かり多数の行方不明事件を引き起こす。
最後はとある人物を食い殺した事で昇の怒りを買い、自身が食い殺されるという皮肉な最期を遂げた。
アマゾン態がオシドリ型アマゾンである夫婦。
駆除班や昇と応戦した。
詳しい解説はリンク先の項目にて。
人間態は黒いロングヘアに泣きほくろが特徴的な女性。人気のない場所(おそらくゴミ採石場だと思われる)で獲物となる男性を捕食していたが、そこに突如として現れた昇に喰い殺され絶命した。
横山
水澤悠の率いるトラロックから生き延びたアマゾンのグループに属していた中年の男性。
アマゾン態はトンボアマゾン。
登場した時点ですでに理性を失いかけており、人間を襲ってしまい迷惑をかける前にと仲間とは別れを告げていた。
山中で飢えに苦しんでいるのを飯柴紬に発見され、人間を食べたくないと言いつつも紬に提供された人間の死体を見て貪り食ってしまう。
その後、まんまと紬の策略通りに動いてしまった彼は、紬の連絡を受けて駆けつけた昇にあっけなく殺害されてしまった。
野座間製薬研究所を襲撃する昇の前に現れたスキンヘッドの男性。既に死んでいる人間にシグマタイプのアマゾン細胞が移植されている。
研究所を警備しておくようプログラムされているようで、昇を抹殺するべくアマゾンシグマへと変身しホタルアマゾンと激闘を繰り広げた。
蝶アマゾン・アリアマゾン(兵士)・カニアマゾン
昇が野座間製薬に捕らわれてしまった際、彼を助けるために協力してほしいという紬の要請に応えた男性2人と女性1人。
誰がどのアマゾンになるのかは明確に描写されていない。
いずれも昇には何かしらの恩があるようで、仲間である昇を見殺しにはできないと3人揃って紬と結託し、内通者たちが昇の救出をしている間の陽動のためにアマゾン化して乱暴狼藉に戦う。
…が、実際は彼らも紬に利用された手駒に過ぎなかった。
結局、紬の盾がわりにされたり敵を薙ぎ払うための道具として散々な扱いをされた末に3人とも絶命した。