概要
演:神尾佑
『ウルトラマンX』の登場人物。
防衛チームであるXioの日本支部隊長。48歳。
10年以上前から既に地球防衛組織UNVERに所属して怪獣などへの対処を行っていた描写がある。その後、UNVER日本支部長の南川大輔の推薦により、実働部隊であるXioの日本支部隊長に着任した。
「敵を倒す」のではなく「敵を理解する」信念の持ち主であり、人類の脅威である怪獣や宇宙人に対しても可能な限りその姿勢を崩さない。第2話で卵を身籠っていたバードンの討伐を躊躇していたり、第6話でゴールド星人テルを「侵略者である」と一方的に断じたUNVERの南川支部長に対して、真っ向からその意見に反対した姿からも、その信念の強さが窺い知れる。第9話で宇宙人同士がラグビーで決着を付ける取り決めを知った際も、(明らかに悪人集団が混ざっていたにもかかわらず)特に咎めず事態の成り行きを見守るスタンスを取った。また『ホトケの神木』の異名もあり、第16話で犯罪組織の1人であったケムール人を取り調べた際にも、恫喝などの荒っぽい手段はとらず、あくまで相手の感情に訴えかける手法を取り、結果見事に相手を完オチ。重要な証言の引き出しに成功している。
自身の信念を重視する一方で、その信念が独善的なものにならないよう『融和』よりも『民間人の保護(それに伴う敵の殲滅)』を優先する考えを持つ橘さゆりを副隊長に置いて自らのブレーキ役としたり、部下の隊員達がスタンドプレーに走って窮地を招いた際には叱責しつつ、チームワークの重要性を説くなど優しさと厳しさ、思慮深さを併せ持つ人格者である。
常に冷静沈着であまり感情を表に出しはないが、第9話で風間ワタルの弟のイサムと星雲荘の面々の混成チームが暗黒星団チームとラグビーの試合を行い、劇的な逆転勝利を果たしたのを見た際には普段の姿からは想像できないほど大はしゃぎして喜んでいた(こうした姿は滅多に見せないらしく、一緒にはしゃいでいた橘副隊長も引いていた)。また、支部隊長の立場故か取材慣れもしているようで、第16話でインタビューを受けた際には、橘副隊長を含む他の隊員達がしどろもどろになる中、彼は満面のドヤ顔で自身の信念を語っている。
更に劇場版では、娘の送ってきた菓子をミーティング用デスクの上で他の隊員と共に食べていたために、危うく橘副隊長に叱責されそうになるなどのお茶目な一面も見せた。
ボクシングの心得があるようで、第15話でサイバーゴモラをリアライズさせた際には、ボクシング風のスタイルでゴメスを相手に戦いを挑み、鬼気迫る表情で白熱した戦いを繰り広げた。
実は既婚者であり、1人娘の裕美(演:平田薫、上の画像左上)もいるが、妻の雪(演:森田亜紀)が危篤状態の時に任務が重なり、最期を看取れなかった(その際に裕美が描いたと思われる、妻の死を示唆する一枚絵を戒めとして今も持ち歩いている)。娘の裕美は父親の立場や苦悩を理解しつつも、未だ「家族よりも任務を優先された」とする割り切れない感情を抱えており、結果的に親子の関係は疎遠になっていた。
橘副隊長曰く「ずっと口も聞いてない」状態で、結婚式の前日まで祐美の結婚は疎か交際相手についてさえも知らされてはいなかった。そのような家族間のわだかまりを抱えているがためか、第11話にてサイバー怪獣の実体化に躍起になり「ゴモラのことは誰よりも知っている」と主張する大地に対して「たとえ家族の間柄でも、身近な存在だから何でも知ってるとは限らない」と窘めている。
裕美から送られてきた結婚式案内状の文面にも投げやりな言葉が綴られていたが、本心では「来てほしい」本心があり、裕美は式が終わり新郎が帰宅した後も式場に1人残って待ち続け、駆け付けた父とヴァージンロードを歩いた。
その後、娘との関係は良好な方向へと向かっているようで、劇場版では神木の元へ裕美から手作りのお菓子が届けられている(嬉しさでつい作戦室内で開封してしまい、上記のシーンになってしまった)。
余談
第15話の戦闘シーンでは、激しい市街戦と間に合わなかった結婚式の様子が交互に描かれ、メンデルスゾーンの結婚行進曲をBGMに、ゴメスとサイバーゴモラ、エックスが戦いを繰り広げる、シリアスさと若干のシュールさが綯交ぜになった演出が話題を呼んだ。
演じた神尾は4年前に『ウルトラゾーン』内のドラマ『最後の攻撃命令』で主人公の山本を演じており、こちらでも任務の為に家族を犠牲にする役を演じている。第11話のキングジョー戦において、グルマン博士の発した “ペダン星人” の言葉に反応を示すシーンや、「たとえ家族の間柄でも知らないことはたくさんある」とのセリフを述べるシーンなどで、同作のストーリーを思い出した視聴者も多いのではないだろうか。
更に5年前のライダー作品では世界の終末を引き起こそうとするラスボス、その翌年のライダー作品ではヒロインの父親を演じていた。また、娘の裕美を演じた平田薫も『魔法戦隊マジレンジャー』で山崎由佳役を演じており、2人揃って東映特撮と縁がある。
また、娘の佑美の相手役は後ろ姿だけだが、助監督の越知靖氏が務めてる。
ワタル役を演じた細田善彦とは2019年に日本テレビで放送されたドラマ『3年A組』でも共演している。
背景設定では娘の佑美と仲違いした原因はテロチルスが現れたからである。