概要
川上稔作品のうち『終わりのクロニクル』及び『境界線上のホライゾン』に登場する巨大ロボット。前者の過去に存在した異世界「3rd-G」で開発された。
戦力としては作品によって差があるものの、比較的上位に位置する。
人間が生身でビームをぶっ放すような作品に巨大ロボットが登場すると噛ませ犬になりがちであるが、武神はちゃんと活躍するので巨大ロボットファンも安心である(全く噛ませにならないわけではないが)。
また、女性型が多めなのも特徴。
検索の際は「川上稔 武神」とした方が良いだろう。
操縦システム
時代によって細かい差異はあるが、その多くは搭乗者を情報に分解して機械の神経系や駆動系に流し込む、「合一」と呼ばれる融合型の操縦システムを採用している(例外的に何らかの装置によって遠隔操縦する形式や、自動人形でありながら武神の姿をしているものも存在する)。総じて遠距離兵器よりも剣等の近接兵器を主力としており、翼を有し飛行能力を持つ物も多い。
あくまで人間による使用を前提としているため、自動人形が通常の方法で操縦した場合は感覚に齟齬が発生し細かい操作ができない。これを補うために仲介機構の取り付けや自動人形による高速演算などのフォローを必要とする。また、上述の通り自動人形自身を武神の一部とする、あるいは武神そのものとしてしまえばデメリットは解消される。
弱点
それなりに巨大ロボットアニメを齧ったことがあれば最初の一文の時点で察しがつくと思うが、当然のごとくこの手の同化型・トレース型の巨大ロボットのお約束通り、機体のダメージがパイロットにフィードバックされる。しかも他作品のこの手の機体と比べてもかなり酷い方で、痛覚だけでなく機体の損傷がそのままパイロットの損傷となる。すなわち頭部が吹き飛べばパイロットの頭が吹き飛び、致命傷を受ければパイロットも死ぬのである。
ただしフィードバックは実質的に機体から降りる=融合を解除する際に発生するため、致命傷でない限りは融合したまま機体を修理=治療することで回復が可能。治療の容易さ・頑丈さで言えば生身で戦うよりは遥かに安全といえる。
また、機体と作品によっては機体とのリンクを緊急切断する機能がついている場合もある。
AHEAD時代の武神
終わりのクロニクルに登場。全長8m程度。ちなみにアーバレストが8.5m。
巨大な鎧武者のような姿であり、上述の通り異次元「3rd-G」の作業用人型機械が発祥。異世界同士の生き残りを賭けた「概念戦争」の開戦に伴い戦闘用として改良され、その力を存分に振るった。しかし、3rd-Gは大戦の過程で武神のパーツを調達するためにある禁忌を犯し、多くのGから戦後まで糸を引く程の多大な憎悪を受けることになった曰く付きの兵器である。
刀剣による近接攻撃を基本とし、木の十本二十本はまとめて叩き斬る大出力を誇る。
飛行能力を有する機体もあるが、基本的にLow-G(我々の宇宙)製の武神は3rd-Gの物にはまだまだ及ばない。
3rd-G
大破した3rd-G製の機体をLow-Gの技術で再生した機体。
デッドコピー的な立ち位置だが、それでも純粋なLow-G製よりも遥かに高性能。
3rd-Gを滅ぼすきっかけとなったため、生き残りからは『死神』と呼ばれる。
大戦当時から幾度も大破している。
3rd-G製のワンオフ機。上述の禁忌以外にも真っ黒な過去を持つ、輪をかけて曰く付きな機体。
本編時点では主人公側に渡っており、ある理由により幾度も形状を進化させる。
必殺技の「神砕雷(ケラヴノス)」は雷を纏う超巨大パイルバンカー。武神の全長程のサイズ。
威力も作中最大級であり、終盤にてパイルバンカーでありながら1.5kmに及ぶ敵の群れを跡形も無く消滅させた。
機体と共にこちらも進化するが、装弾数は三発→五発→巨大な一発となった。
荒帝と対になるワンオフ機であり、同様に真っ黒な過去を持つ3rd-G最強の機体。
大戦当時は3rd-Gの王アポルオンが搭乗する旗機であった。
特殊能力の系統は最強キャラお約束のもの。
3rd-Gとの全竜交渉が終わったと思った矢先、敵勢力に強奪・改造されてしまう。
Top-G
GENESIS時代の武神
境界線上のホライゾンに登場。
GENESISシリーズの時代には外観がバリエーション豊かになっている。更に重量や大きさで分類がされており、終わクロと同等の8m級の中武神の他に4m級の軽武神、10m級の重武神が存在する。(作中に登場するのは重武神のみ)。
ちなみにスコープドッグが3.804m、鋼鉄ジーグが10mちょうどである。
四聖
神格武装級の機体。各々が特殊能力を持つワンオフ機。
武蔵アリアダスト教導院の機体。女性型。遠隔操縦型で操縦者は直政。
四聖だが元はジャンクパーツの寄せ集め。
作中でもあちこちからパーツをパクって少しずつ強化されている。
三征西班牙の機体。女性型。操縦者は第二特務所属の江良・房栄。
三征西班牙
「武神」ではなく「大きな人形」を意味する「Gran Muñeca(グラン・ムニェーカ)」の名で呼ばれる。
フロート脚部の量産型。空戦仕様。本編開始時点で既に十年選手。
量産型故にパイロットは名無しの一般兵であるが、川上作品なのでモブにしては異様にキャラ立ちしている。
六護式仏蘭西
「武神」ではなく「重い人形」を意味する「Lourd de Marionetta(ルール・デ・マリオネッタ)」の名で呼ばれる。
六護式仏蘭西の旗機。銀色の女性型。 搭乗者は副会長のリュイヌ。
里見教導院
神格武神級の機体。搭乗者は総長の里見・義頼。本編最強クラスの機体。
その分汎用性・整備性は劣悪で、代替部品の交換すら困難。
先代義頼の『二年間、最強であればいい』との考え通りの機体と言える。
CITY時代の重騎
CITYの時代で武神にスポットが当たる作品は今のところなく、代わりに「重騎」(及び「軽騎」「中騎」)が登場する。
登場作品は「閉鎖都市:巴里」と「機甲都市:伯林」。「電詞都市:DT」にもコクピットのみ登場する。
武神は神由来・もしくは神を模した大型機械であるが、重騎は人間製の大型人型機械であり、厳密に言えば別スキルツリーの代物。
細かい違いは各所に見受けられるが、明確な違いは重量区分による性能差と「凌駕紋章」、そして生産性の低さが挙げられる。
その性能差は型落ちした旧型重騎であっても最新鋭の中騎に重装備を施した機体を圧倒できるほど。そして凌駕紋章は搭乗者の意思に反応して、周囲を巻き込んで機体を変質させるというもはや何でもアリな機能である。完全に展開すれば出力だけでも軽く数十倍は上昇する。
ただし、完全展開に成功した重騎師(パイロット)は歴史に名を残すとまで言われるほど起動が難しく、出力の上昇に応じて同様に燃費も悪くなる。
弱点
そして上述の生産性の低さ、これは劣悪を通り越してもはや兵器としては欠陥品以下の何かである。
まさに一騎当千の重騎であるが、なにせ職人の手作りというどこぞの白騎士集団以上の「量より質」極振りの機体であり、仮に量産されても二桁にも届かない。
上述の通り扱いがやたら難しいことも相まって1943年(と言う名の超々々遠未来)には主力の座を航空戦力や戦車に譲ることになってしまった。
ただしこれは「人型機動兵器とかねーよw」なリアルリアリティではなく、主力にしたくても数が揃わないだけ であり、むしろ各国は新型重騎の開発に力を注ぎ続けている。
余談
設定上はCITYの時代にも武神は存在するらしく、戦時中を舞台にした上記作品から半世紀が経っている「矛盾都市:TOKYO」では「閉鎖都市:巴里」の一件を経て技術が進歩して開発可能になったのか、しれっと武神に言及されているところがある。