「ボクはおねしょしない、しない! しない! よぉ〜〜し今夜は絶対だ!!」
演 西脇政敏
概要
第35話「ゾフィからの贈りもの」に登場する少年。
小学3年生の9歳の少年で、梅津ダンの同級生で友人でもある。
ベッドのそばや本棚に学習机など部屋中に怪獣のソフビが数多く置かれたり、ベッドの枕元には沢山の怪獣のポスターが貼られている程の怪獣好きではあるが、トラウマになる程おねしょに悩んでおり、遂にはそのトラウマによって超獣ドリームギラスを産んでしまう。
寝小便小僧と呼ばれた少年
9歳の誕生日を過ぎても雪夫は超獣の夢とおねしょに悩み続けられた。初冬のある日の朝、いつものようにおねしょをしながら一本杉の丘のそばにある湖から現れた超獣から水をかけられる夢を見た。そしていつものようにおねしょをしては起こしに来た母親を呆れさせるのであった。
「うーん、もうすこしいいじゃない・・・あッ!!」
しかし、その日のおねしょの地図はいつもよりも大きく、しかも夢に出てくる超獣の型をしていた。
「あれぇ、へんだなぁー?」
その様子を見ていたクラスメートから馬鹿にされ、サッカーチームにも入れてもらえなかった。
TACを呼べば入れる事を条件に
ユキオはいたずら電話をかけてしまう(この時、雪夫は夢の中の超獣をドリームギラスと名付ける)。
通報が嘘だとわかり、駆けつけた北斗に叱咤された雪夫は思わず失禁してしまうが、ダンに取り成されて雪夫は北斗にもう嘘をつかないと約束する。
一方、その頃雪夫の自宅の庭に干されていたおねしょの地図が乾かず、取り込もうとした母親が奇妙に感じていた。
「あら? まだ乾かないわ、おかしいわねー?」
おねしょの地図には既に超獣の生命が宿っていたのであった・・・
超獣を産んでしまった少年
その日の夜、雪夫はおねしょに効く薬を飲んで上述のおまじないをしながら眠ったが、またしても雪夫はおねしょをしながら超獣の夢を見てしまい、無限ループの如く布団に超獣型のおねしょの地図が描かれていた。
「ひゃーーっ! 冷たいっ!!」
それは雪夫が「寝小便をするかもしれない」という自分自身の弱い心によって、就寝中に超獣が目の前の湖から出現する夢を見ながらそのトラウマで造られたおねしょの尿であり、超獣から追いかけられる夢を見ている時に雪夫は未知の力によって膀胱に繋がったへその緒と化した尿の一部分(ドリームギラスの腹の触手部分)を通じてDNAと超獣実体化能力(超獣の生命)や瞬間移動能力等、雪夫自らの未知の超能力を供給し続け、その結果、尿は次第に超獣の姿となっていった。そして、尿が完全に超獣の生命を持った瞬間その尿は口からの水流を雪夫に浴びせる夢を見せ、そのショックで雪夫は放尿したのである。
翌日、ダンに夢の中の湖に行った事があると聞かされた雪夫がその湖を見つけた時、雪夫は恐怖心を発してしまう。その恐怖心に反応した自宅の庭に干してある布団の雪夫のおねしょの地図は遺伝子を通じて実体化能力が作用し、尿の中のカルシウムとタンパク質等が結合しながら一瞬のうちに浮き上がって超獣の姿になった瞬間、雪夫から授かった瞬間移動能力を発動させてユーモラスかつ間の抜けた実体化音を発しながらドリームギラスが誕生してしまう。
ピュ〜〜〜ッ!
誕生と同時に瞬間移動した直後に巨大化して湖に現れ、上空を飛行していた戦闘機と旅客機を口から水流を吐いて撃墜した。その様子を見ていた雪夫はTACに通報する。
「もしもし、TACですか? 北斗隊員お願いします!」
しかし、その直後に超獣は湖に潜って間抜けなテレポート音を発しながら再び瞬間移動して布団のおねしょのシミの姿に戻り、タックアローで駆けつけた北斗を撹乱する。
ビョョ〜〜〜ン!
超獣がいなかった事に対し北斗は雪夫にまた嘘をついたと怒りつけてしまう。
北斗から怒りをつけられた雪夫は涙を流し、その様子を聞いてなだめに行ったダンにさえも口が聞けない程にショゲてしまう。
そして、その悲しみは再び夢を通じてドリームギラスになるおねしょをしてしまう。
因みに、ドリームギラスは雪夫の「自分はおねしょをするかもしれない」というおねしょに対するトラウマが夢の超獣として実像化したもので、超獣が倒されずに雪夫が夢を見続ける限り現れ続ける(超獣が現れさせない為に雪夫を眠らせないという方法があるが、まだ9歳の子供で10時間前後の睡眠をとるので事実上不可能である)。
翌日、登校しなかった雪夫を心配したダンが自宅に行ってみると、母親は雪夫は朝から出かけたきり帰ってきてないという。話を聞いたダンは雪夫を探している最中に北斗と出会い、共に昨日超獣が現れた湖の橋の上にやって来た。そこにはショゲている雪夫の姿があった。ゾフィーの忠告によって雪夫の心に傷をつけた事を知った北斗は雪夫に謝罪し、その直後、ドリームギラスを誘き寄せる為に湖底に爆弾を仕掛けた。
雪夫はダンと共に湖のそばの丘の上に退避し、爆弾が湖底で爆発すると昨日の記憶が甦って恐怖心を発すると湖底からドリームギラスが姿を現した。
北斗からの連絡を駆けつけたTACが超獣を攻撃するが、口から吐く水流に撃墜されてしまう。そして、超獣は自分を産んでくれた恩を仇で返すが如く雪夫を追いかけ始めた。
「走れーっ! これは夢じゃないんだーっ!!」
ダンはこう叫ぶと雪夫と共に逃げ始めた。だが、雪夫はこのような状況でも悲鳴など上げず口が聞けなかった。それは超獣が自分の心の弱さから来たトラウマから生まれた影響で無心状態のようであった。
そして、超獣が吐き続けてきた赤い溶解液が当ろうとした瞬間、ウルトラマンAが登場して格闘を始める。最初は優位に立っていたものの、超獣が吐いた水流の威力と異臭(水流は超獣のベースとなった雪夫の尿から造られたのでとても臭い)によって追い詰められ、更に尻尾による巻きつけ攻撃により湖底に引き込まれ、Aが最も苦手な水中戦に持ち込まれてしまう(ドリームギラスは雪夫のおねしょの尿の化身なので水中戦は得意)。
その様子を見ていたゾフィーはこの回のタイトルである贈りものと言えるマジックレイを湖に投げ入れた。その結果、次第に湖の水が引いていき、超獣に有利な環境が無くなったので形勢は逆転していった。Aは急所蹴り(!)などの格闘攻撃を繰り返した後、メタリウム光線を放つと超獣は大爆発を起こした。そして、雪夫の家の庭で干されていた布団には、ドリームギラスの形をしたおねしょの地図が浮かび上がった瞬間、頭部からスーッと消えてしまったのだった。
この様子を見ていた雪夫は
「やったーっ! やはりAは強いやーっ!!」
と跳び上がりながら叫び、自分のトラウマの化身であるドリームギラスが倒されてようやく口が聞けるようになり、明るさも戻ったのであった。
超獣が倒された後の湖は何事も無かったのように、水がある元の姿に戻っていた・・・
翌日、サッカーグランドではダンやクラスメートと一緒に元気よくサッカーをやる姿があった。
やってきた北斗はサッカーをやる雪夫の姿を見て、たとえ相手が過ちを犯しても信じ合う事の大切さを知ったのだった(これはAの最終回のテーマであり、今回の話はその伏線でもある)。
また、雪夫はこの事件を通じて過ちを償うために超獣に立ち向かった北斗(ウルトラマンA)の姿を見て、心を救われた雪夫は何事にも負けない勇気を持つ事ができた。今の勇気が溢れている雪夫の明日は明るい。それを象徴するかのように蹴り上げられたサッカーボールにヘディングを高々とジャンプして決めるのだった。
だが、雪夫は自分がおねしょをしながら超獣の夢を見てドリームギラスを産んでしまい、自分のおねしょの地図から実像化してドリームギラスが生まれた事は最後まで知らなかったのである・・・
余談*
雪夫のベッドの枕元に貼ってあり、超獣の夢のイメージ形成に一役買った(?)ポスターは、前番組の『帰ってきたウルトラマン』の放送時に発売された怪獣ジャンボスコープに付いていたポスターであり、高さ40cm・長さ2mのポスターにはウルトラマン・セブン・ジャック(新マン)の他に100大ウルトラ怪獣が描かれており、裏側には怪獣の解説が書かれていた。その他にも100大怪獣の足跡のシールや、モロボシ・ダンこと森次晃嗣氏の解説で怪獣の鳴き声が聞けるソノシートが付いていた。
北斗が雪夫が着ているジャンパーにエースのバッチを取り付ける時の一瞬、そのジャンパーの縫い付けされているマーク付きのワッペンが見えるが、そのマークは
NHLのチームであるモントリオール・カナディアンズのマークであり、スタンレー・カップ優勝(総合優勝)回数は他のNHLチームを大きく引き離し、史上最多の計24回であり、2019年現在でも破られていない。
実際に1965年~1978年連続の日本一になったV9時代の巨人軍には及ばないものの、1965年~1979年までに10回も優勝しており、このウルトラマンAの放送時(1972年)はチームの黄金期の最中であった。
このエピソードはBS11で放送の「ウルトラ兄弟セレクション」において放送された。