概要
不正乗車の一種で、定められた運賃、代金を支払わずに交通機関を利用する、いわゆる「ただ乗り」と呼ばれる犯罪行為。
同じ不正乗車でも、行程の中間の運賃を誤魔化す「キセル」とは意味が異なる。
無賃乗車の場合、悪質なものは(電子計算機使用)詐欺罪・偽造有価証券行使等罪といった重罪が適用されることもある他、国際便で出入国手続きを経ていない場合は密航となって強制送還になる。
鉄道における無賃乗車
鉄道では、本来、乗車駅において降車駅までの運賃を支払って乗車の手続きをしなければならないのだが、無人駅で乗降車して車内改札を無視等の方法によってすり抜けたり、降車駅の改札を不正に通過(突破)して、最終的に運賃を支払わずに乗降車する行為をさす。
世界的に見ると日本はかなりペナルティが甘いほうで※、本来の運賃と2倍の増運賃(つまり3倍に。倍返しということであろう)で済むが(悪質であれば詐欺罪の適用余地はある)、海外では不正乗車率が5%であることを理由に一律20倍請求したり、交通違反と同義とみなして即裁判沙汰にする国もある。寝過ごしなどの過失による乗り越しすら不正とされる国も多い(日本では事後精算で済み、ただちに不正とはならない)。
一部発展途上国では機関車のデッキや列車の屋根などに無賃で乗車し、上海雑技団のような鈴なりすら日常というレベルにまで至る。
そういった場所への乗車は日本でも終戦直後見られたが、当時の日本人乗客は無賃乗車を目的に乗っていたというわけではない(単に乗客数に対し車内が狭すぎるからであった)。
※元々旅客比率が高い国であるため利用促進の意図もあった可能性がある他、今現在の東京などの都市部で一々欧州のような厳罰主義をやっていたらとてもではないが乗客を捌ききれない状況もある。
指定席特急券のネット予約購入サービス「チケットレス」とは意味が異なる。しかし、ネット予約導入を機に指定席の車内改札が省略されるようになる傾向を悪用する事で、両方の意味で正真正銘のチケットレスになる危険性を孕んでいる。
そもそも名前自体が無賃乗車を想起させる意味で紛らわしいので、ICOCAの機能をスマホに格納した「モバイルICOCA」に引っ掛けてモバイル特急券(仮称)と呼ぶべきかもしれない。
タクシーにおける無賃乗車
タクシーに乗車したものの、最終的には運賃を支払わないというのが、これにあたる。
・・・とはいえ被害者(ドライバー)のハコに乗っかっている以上、最終的に営業所または警察へ直送がオチであろう。
無一文に陥った貧困層が留置場のメシ目当てでタクシーに無賃乗車して警察署へ行先指定してワザと逮捕された事件も時折ある。背に腹は代えられないとはいえ・・・。
飛行機における無賃乗車(無賃搭乗)
飛行機では、航空券を持たなければ機内の客席に搭乗できないことから、主脚の格納庫に入り込んで無賃搭乗を試みる例がある。国外への不法移住が目的のケースが多いが、そういった航路を飛ぶ飛行機は成層圏飛行するため非与圧区画である主脚格納庫は低温・低圧で、大抵の場合着陸地で発見されるが死亡している。
大概凍死か窒息死である。
船舶における無賃乗車(無賃乗船)
運賃を支払うことなく、貨物に紛れる等の方法により、乗船券のチェックをすり抜けて乗船し、目的地へ到達後は、海へ飛び込む等の方法によって乗員に運賃を請求される前に船を脱出してしまう行為をさす。
関連項目
平忠度:名前の所為で無賃乗車の符丁を「薩摩守(役職名)」とされる。
食い逃げ:こちらも詐欺罪が適用されることも。