概要
原語はサンスクリット語だとサットヴァ(sattva、生きとし生けるもの)で、生物や人にあたるインドの原語にもこの訳語があてられることがある。
別訳は「有情」。意識や感情、本能や衝動すら持たない草木は、岩石や水、大地のような物質と同類とされ「無情」「非情」という対義語でくくられる。
つまり、仏教用語としての「生きとし生けるもの」に植物は含まれない。
仏教における最も基本的な戒律「五戒」の筆頭は「不殺生戒」であるが、これは人間だけでなく全ての動物(虫すらも)を対象とする。
が、植物を抜いたり引き抜いたりして生気を失わせることは「殺生」に該当しない。
衆生(有情)は例外なく、神々(デーヴァ、天部)すらも六道を輪廻転生しながら彷徨う存在であり、その本源的な苦しみは仏教が説く悟りでしか脱し得ないと説かれる。
菩薩の原語は「ボーディ・サットヴァ(bodhi-sattva)」といい、「菩提」と訳される「ボーディ」は悟りの智慧や境地を意味し、「道」とも訳され、ボーディ・サットヴァには「道衆生」という訳語もあてられる。
如来となる前の釈迦も「菩薩」と呼ばれる。悟りの道を行き、辿り着く者もある衆生を指す語となっている。
四生
衆生はその生まれ方によって四つに分類される。
- 胎生
人間や獣のように母親の胎内から生まれる生き物。
- 卵生
- 湿生
蚊のように湿ってじめじめした環境から生まれる生き物。
- 化生
上記の三つとは異なり、ただ業力(業、カルマの力)によって忽然と発生する生き物。天道、地獄道や餓鬼道の住人がこの形で生まれる。妖怪変化も「化生」というが、人間が成った鬼や後天的な化け狐などはこの意味では該当しないと思われる。
極楽浄土に往生した者はそこにある蓮華の台の上に出現する「蓮華化生」の形で誕生する。
関連タグ
クリーチャー:アブラハムの宗教であるキリスト教文化圏で発達した英語における単語。語義としては「(神に)創造されたもの」であるが(旧約聖書『創世記』にも神が草木を創造するくだりがある)、単語としては基本的に人間や動物を指す。架空生物としてのクリーチャーも人間、動物モチーフである事が殆ど。魔物、怪物という意味のクリーチャーには「機械系」や「植物系」もあるが、動物のように能動的に動く(動き得る)存在であることが前提になっている。