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赤穂浪士(大河ドラマ)

あこうろうし

本記事では、1964年に放送されたNHK大河ドラマとしての『赤穂浪士』を取り扱うものとする。
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概要編集

NHK大河ドラマの第2作目で、1964年1月5日から12月27日にかけて全52回を放送。「国民的文学をやれ」との芸能局長の意向から、大佛次郎の同名小説を原作とし、赤穂四十七士たちの討ち入りに至るまでの、彼等自身やそれに関わる人々の苦悩や葛藤、そして討ち入り後の最期に至るまでの日々を丹念に描いている。

主演に当時大映の看板俳優であった長谷川一夫を担ぎ出し、歌舞伎界の大物、人気アイドルなども起用して、前年放送の『花の生涯』を上回る豪華キャストの競演で話題を集めた。


企画・制作編集

花の生涯』のヒットにより、当時のNHK芸能局長は同じ趣向のドラマを毎年作る方針を固めた。主役に長谷川を起用したのも、前作同様スターを出したいという意向による。

前作と同様に、部下の合川が大映に直接交渉に向かったが、テレビを軽蔑していた当時の大映の社長は一顧だにしなかった。しかしその後、長谷川本人に直接交渉に向かったところ、「『花の生涯』の放映開始後、「(主演の)尾上松緑のように毎週テレビに出てくれれば顔が見られる」という地方在住ファンの手紙を多数受け取っていた」という理由で、本人は快く承諾したという経緯がある。


「大河ドラマ」の名称が生まれたのも、この『赤穂浪士』放送中のことである。当時、読売新聞が外国の大河小説に倣って、前作『花の生涯』で井伊直弼、そして本作で大石内蔵助の生涯を描くことから、「大河ドラマ」と呼称したことに由来している。


本作以降は1月スタート、同年12月終了へと放送期間が変更され、以来2023年現在に至るまでこの放送スタイルが定着している(例外としては、大河の短期間・スリム化が試みられた3作、また度重なる不幸によって意図せず越年しそれによって1月スタートが崩れた大河が挙げられる)。


主演の長谷川一夫は、大河ドラマ単独主演では歴代最高齢である(放送開始時55歳10ヶ月9日、単独主演でないケースも含めると、2000年の『葵徳川三代』で津川雅彦が60歳0ヶ月7日で演じた事例が最高齢記録となる)。


反響編集

視聴率は優に30%を超え、浪士の討入りが放送された第47回「討入り」では、視聴率53.0%という大河ドラマ史上最高視聴率記録をも打ち立てた。

オープニング編集

芥川也寸志が作曲したオープニングは、板ムチによるビシッ、ビシッという音が討ち入りの厳しさを感じさせたことが視聴者の共感を得て、レコードも発売された。放送から50年以上経つ現在でも「忠臣蔵といえばこの音楽」というイメージが定着している。

また、メインテーマの演奏をNHK交響楽団が手掛けたのも本作が最初であり、これにより「大河ドラマのメインテーマといえば交響曲」というイメージが定着することとなる。

堀田隼人と林与一編集

原作小説での主人公で、本作でも主要人物の一人に数えられるのが、素性不明の架空の浪人・堀田隼人である。

この堀田役には、長谷川一夫の義理の甥に当たる林与一が起用されているが、その長谷川が本作のカメラテストに出向いた際、林も付き人として同行したところ、同席していた原作者や脚本家、それにプロデューサーの目に止まり、堀田役を射止めたという経緯があった。

放送開始後の堀田隼人、そして演者の林への反響は凄まじいものがあったようで、視聴者からの助命嘆願の投書が多数殺到したのを受け、原作では密偵のお仙との心中という形で途中退場する堀田が、なんと最終回まで生き延びた上に物語全体のラストシーンまでも飾るという、おいしい役どころを得る格好となったのである。

後年、林は当時この最終回を一緒に見ていた長谷川から「このお前のシーンのために主役の俺は出てたのか」「お前な、日本中の男優を敵に回したよ。俺も敵に回したな」と怒られたことを述懐しており、裏を返せば役者として長谷川から認められたとも言えるこの反応について、未だに自身にとっての「最大の宝物」「言葉の勲章」であるとも語っている。


主な登場人物編集

四十七士編集

  • 大石内蔵助…長谷川一夫
  • 大石主税…中村賀津雄
  • 小野寺十内…志村喬
  • 礒貝十郎左衛門…井上孝雄
  • 堀部弥兵衛…中村芝鶴
  • 片岡源五右衛門…中村又五郎
  • 不破数右衛門…黒川弥太郎
  • 原惣右衛門…中村福助
  • 前原伊助…林成年
  • 奥田孫太夫…下元勉
  • 堀部安兵衛…加藤武
  • 吉田忠左衛門巌金四郎
  • 矢頭右衛門七…舟木一夫
  • 赤埴源蔵…舟橋元
  • 村松喜兵衛…宮本曠二朗
  • 富森助右衛門…金田竜之介
  • 武林唯七…戸浦六宏
  • 神崎与五郎…鈴木瑞穂
  • 横川勘平…大山克巳
  • 間喜兵衛…高橋正夫
  • 貝賀弥左衛門…幸田宗丸
  • 潮田又之丞…渥美国泰
  • 木村岡右衛門…内田稔
  • 茅野和助…田口計
  • 岡嶋八十右衛門…松本朝夫
  • 岡野金右衛門…中村豊
  • 大高源五…外山高士
  • 杉野十平次…伊達正三郎
  • 吉田沢右衛門…小沢慶太郎
  • 三村次郎左衛門…生井健夫
  • 寺坂吉右衛門…佐伯徹
  • 千馬三郎兵衛…伊吹総太朗
  • 大石瀬左衛門…藤岡琢也
  • 間十次郎…服部哲治
  • 小野寺幸右衛門…戸田皓久
  • 間瀬久太夫…笹川恵三
  • 間新六…花ノ本寿
  • 中村勘助…山田晴生
  • 近松勘六…関根信昭
  • 倉橋伝助…吉田柳児
  • 勝田新左衛門…宗近晴見
  • 早水藤左衛門…新田昌玄
  • 村松三太夫…中川謙二
  • 奥田貞右衛門…内山森彦
  • 間瀬孫九郎…花上晃
  • 菅谷半之丞…小浜幸夫
  • 矢田五郎右衛門…月森一蔵

赤穂藩編集

  • 浅野長矩…尾上梅幸

吉良家編集

  • 吉良上野介…滝沢修
  • 吉良義周…山岸勝
  • 小林平七…芦田伸介

幕府編集


その他編集

  • 堀田隼人…林与一
  • お仙…淡島千景
  • 蜘蛛の陣十郎…宇野重吉

スタッフ編集

原作:大佛次郎「赤穂浪士

脚色:村上元三

音楽:芥川也寸志


通常放送時間編集

本作より土曜昼の再放送がスタートし、以降2023年現在に至るまで日曜夜の本放送・土曜昼の再放送というスタイルが定着している。

  • 本放送は、1964年3月29日放送分(第14回)までは毎週日曜20:45-21:30、同4月5日放送分(第14回)より同21:30-22:15。前年よりもさらに遅い時間帯での放送となったが、同時間帯での放送は本作のみに留まっている。
  • 再放送は、第10回までは毎週土曜14:05-14:50、第14回以降は同13:15-14:00。第11回から第13回までは特別編成につき、別時間帯にて放送。

映像の現存状況編集

第7回「松の廊下」における松の廊下のシーンと、第47回「討入り」の全編が現存している。

後者は前述の通り、大河ドラマ史上最高視聴率を記録した本作最大の山場であり、2003年にこれを収録したDVD『NHK想い出倶楽部2~黎明期の大河ドラマ編~(2)赤穂浪士』が販売されている。


関連タグ編集

大河ドラマ 忠臣蔵 大石内蔵助


元禄太平記 峠の群像 元禄繚乱:いずれも本作と同様に、忠臣蔵事件を題材とした大河ドラマ


花の生涯赤穂浪士太閤記

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