注意
この記事ではワールドウィッチーズシリーズに登場するウィッチの音楽隊について述べる。作品については『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』の記事を参照のこと。
概要
負傷や本人のパーソナリティ、スキルといった面で「戦闘不適合者」と見做されたウィッチ達により構成された、歌や音楽で世界中のネウロイと戦う人々や故郷を追われた人々にひと時の安らぎと心の癒しをもたらす異色の航空団。
正式名称「連盟空軍第72統合戦闘飛行隊兵站支援中隊航空魔法音楽隊」、通称は「ルミナスウィッチーズ」。
連盟空軍直轄の音楽隊であり、「歌と音楽」で人々の笑顔を守る部隊として第二次ネウロイ大戦のさなか、1943年頃に設立された。
通常の軍楽隊とは異なり、吹奏楽の技術を持つ軍人による部隊ではなく、(さまざまな理由で前線から離れざるをえなかった)戦いに向かないウィッチたちが活躍している。音楽隊(Music Band)ではあるものの、人員の編成上実際には器楽演奏は行わず歌唱・合唱を主とする歌唱部隊である†と言える。
航空ウィッチが歌唱部隊員として所属していることを活かし、歌唱やダンスだけではなくアクロバット飛行による航空ショーも演目に加えた活動を特色としている。そのため、航空魔法音楽隊はその名の通り音楽隊だけでなくウィッチによる曲技飛行隊としての側面も持ち合わせている。
部隊としての本拠地はブリタニア連邦ヘストン空軍基地にある。ただし、実際の活動の場面では一箇所の基地や戦線に留まるのではなく、世界各地を巡り、さまざまな場所でコンサートや慰問活動を行うスタイルを取る。
ヘストン基地はロンドン郊外の飛行場であるが、交通至便という立地でもなく、周囲には一面の農地が広がり、夕方にもなればロンドン市街へ戻る手段が無くなるようなのどかな土地である。基地では隣接する飛行訓練施設に間借りするかたちで部隊が置かれ、こぢんまりとした平屋建ての官舎が建っている。食堂や応接室兼執務室として使用されている2,3部屋程度からなるその建物が、音楽隊のほぼ全容である。隊員の宿舎は地元の村の使われなくなった屋敷を借り受けて使用している。
†...史実でも、たとえば旧ソ連には軍に所属し歌唱活動を専らとした赤軍合唱団が存在した。
装備・制服
輸送機(ルミナス号)
部隊の輸送装備として、耐用年数の迫った中古の軍用航空機アクロ ランカスター1機を保有している。本来爆撃機である同機を人員・物資の長距離輸送用に改造した通称「ルミナス号」と呼ばれるこの機体は、爆装の代わりに航空ショー用のストライカーユニットおよびコンサート用の機材・衣装を搭載し、各地のコンサート会場へ向かう足として運用されている。
機体側面に示されているブリタニア空軍機としてのコードレターはLW◎A(ルミナスウィッチーズ1号機、の意)である。
ストライカーユニット
各国から派遣されたエースウィッチが原隊の装備をそのまま運用する(そのため機材の種類もバラバラになりがちな)統合戦闘航空団と違い、音楽隊では舞台および航空ショーでの演出に供することを期して、部隊としての統一装備が存在する。
まず、部隊のストライカーユニットには、リベリオン製の練習機AT-6テキサンが使用されており、舞台衣装に合わせた専用の共通塗装が施されている。連盟空軍直轄の部隊であることから、機体には“LNAF”(League of Nations Air Force, 連盟空軍)のイニシャルとシンボルマークが大書きされたものとなっている。
劇中では登場する舞台衣装(後述)のバリエーションごとに、赤い塗装と青い塗装、白い塗装(参考ツイート)の三種類を見ることができる。
舞台衣装
舞台衣装は基本的に、部隊の全員が同一デザインの衣装を着用する。
制服をモデルとした統一感のあるデザインでありつつも、各メンバーごとに袖の長短有無やネクタイ・リボンの別などの差異が見られる。細かい意匠は(同じ制服ではありながら)長袖からノースリーヴまで個人差が存在している。また、パフォーマンスの際には舞台衣装のままストライカー飛行を行うこともあるが、戦闘部隊ではないこともありスカートスタイルとなっている。
最初のコンサートからワールドツアーにかけて用いられた一つ目の衣装は、赤と黒を基調とする華やかながら落ち着きのある舞台衣装で、肩章や軍帽風の帽子など軍服的な要素もありながら、女学校の制服のような淑やかさも備えるデザイン。右肩からは連盟空軍章と出身国の国籍マークの記されたサッシュをたすき掛ける。
ワールドツアーの締めくくりとなるリベリオン合衆国ニューヨーク公演で用意された二つ目の衣装は、青を基調としてグラデーション・カラーが特徴的な衣装となっている。黒地のリボンがスタイリッシュに配され、サッシュに代わり国籍マークはベルト部分に刺繍される。軍帽着用。
三番目の衣装として、1944年12月(アニメ最終回)、ネウロイによる支配から解放されたガリア共和国のパリで開催された「ガリア解放記念式典」に出席した際の専用衣装がある。白を基調としてガリア国旗のトリコロールカラーで彩られ、デザインはナポレオン軍の軍服をモチーフとしている。(ガリア凱旋記念式典衣装)
衣装作成とデザインはいずれも部隊内の衣装担当メンバーによる内製となっている。
メンバー
※◎は隊長を指す。括弧内は(出身国、階級)、および隊内での役割を示した。
- ◎グレイス・メイトランド・スチュワード(リベリオン合衆国、少佐)※エクスウィッチ
- アイラ・ペイヴィッキ・リンナマー(スオムス共和国、少尉)リーダー
- マリア・マグダレーネ・ディートリヒ(カールスラント、曹長)アクロバット演目考案
- ジョアンナ・エリザベス・スタッフォード(リベリオン合衆国、曹長)デザイン担当
- エレオノール・ジョヴァンナ・ガション(ガリア共和国、軍曹)サブリーダー
- シルヴィ・カリエッロ(ロマーニャ公国、軍曹)衣装担当
- ヴァージニア・ロバートソン(ブリタニア連邦、軍曹)編曲担当
- 渋谷いのり(扶桑皇国、軍曹)作曲担当
- リュドミラ・アンドレエヴナ・ルスラノヴァ(オラーシャ帝国、軍曹)作詞担当
- マナイア・マタワウラ・ハト(ニューゼーラント、軍曹)ダンス振り付け担当
楽曲の作曲・作詞やダンス、衣装(さらにはアクロバット飛行の演目)を全てメンバーたちが作成する設定は、『ラブライブ!』シリーズにおけるスクールアイドルのそれに近いものである。
また、他の統合戦闘航空団と比較して、航空ウィッチにおける士官の割合が低い(下士官の割合が高い)のも特徴である。
航空魔法音楽隊所属する航空ウィッチのうちではグレイス・メイトランド・スチュワード少佐とアイラ・ペイヴィッキ・リンナマー少尉の2人だけが士官で、残る8人は下士官である。
しかし他の統合戦闘航空団では、下記のように所属する航空ウィッチの過半数が士官で、下士官は1〜2人である。
- スオムス義勇独立飛行中隊:『スオムスいらん子中隊』作中における航空ウィッチ7人のうち、下士官は2人(ウルスラ・ハルトマン曹長と迫水ハルカ一等飛行兵曹)。
- 501JFW:航空ウィッチ11人のうち、下士官は2人(宮藤芳佳軍曹とリネット・ビショップ軍曹、後に2人とも曹長に昇進)。
- 502JFW:航空ウィッチ9人のうち、下士官は2人(ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン曹長と雁淵ひかり軍曹)。
- 504JFW:航空ウィッチ11人のうち、下士官は1人(マルチナ・クレスピ曹長)。
- 505JFW:航空ウィッチ6人のうち、下士官は1人(犬房由乃曹長)。
- 507JFW:航空ウィッチ6人のうち、下士官は2人(ヴェスナ・ミコヴィッチ曹長とクラマース・ブレンガーム曹長)。
- 31JFS「アフリカ」:航空ウィッチ4人のうち、下士官は1人(稲垣真美軍曹、後に曹長に昇進)。
- ワイト島分遣隊:航空ウィッチ5人のうち、下士官は2人(ウィルマ・ビショップ軍曹とアメリー・プランシャール軍曹)。
- 503JFWや506JFW、508JFWでは、所属する航空ウィッチは全員士官である。
余談
航空魔法音楽隊の主役は舞台に立つ「ルミナスウィッチーズ」のウィッチたちであるが、彼女たちを支える裏方も当然存在する。
原作者の島田フミカネによると、輸送機「ルミナス号」クルーや整備班、コンサートスタッフといった裏方の人員が非公式に自称していた名乗りとして「ライトハウス・キーパーズ」(“灯台守”)があるという。この名称は、人々に光を放つルミナスを「灯台」とし、自らはあくまで「灯台守」という心意気を表したものである。(当該紹介ツイートより)