概要
2006年6月に公開され、物語は前作「霹靂奇象」に続く。素還真、一頁書など、登場人物の化身・分身が多く登場するのが本作の特徴。素還真の分身が三名同時に現れるのは、本作で初となる。
2019年10月下旬から、2020年1月上旬まで、本作は「霹靂布袋戲」のYoutube公式チャンネルにて一時期無料配信した。
解説
本作は不老不死がテーマである。題名の「謎城」は、作品に登場する謎の城「天荒不老城」のことを指す。
作品の前半は天変地異の解決と、不老不死を求め、中原の各勢力が不老城と長生殿に接触する内容が主である。後半は不老城と長生殿が、本格的な攻防を繰り返す一方、法門などが次回作「霹靂皇龍紀」に関わる「造天計畫」について調査を進める。
あらすじ
異度魔界に協力した昭穆尊と尹秋君の計により、命を落とす素還真と談無慾。それと同時に、天変地異が起こり、淚陽と血月が空に浮かび、苦境に大きな災いをもたらす。
異変の影響により、謎の城「天荒不老城」と「詭齡長生殿」が姿を現す。長年対立し続けた二つの勢力が、再び戦火を引き起こす。
素還真の亡き今、一頁書、六絃之首蒼、一步蓮華たちは、災いを止めるべく、各地に奔走していく……。
主な登場人物
素還真の分身その一。本作の主人公。
異変解決のために、不老城に入るが……。
素還真の分身その二。赤い剣士。
雲渡山に出没し、一頁書を守る。
墨淵水蓮(ぼくえんすいれん)
素還真の分身その三。黒い刀使い。
攫われた葉小釵を救出する思いで、異度魔界の外で様子を見張る。
雲渡山の高僧。淚陽の異変を止めるべく行動する。
昭穆尊らに狙われ、重傷を負う。
道教組織「玄宗」の権力者。玄宗の裏切り者を追いながら、苦境に起きた異変の解決に動く。
萬聖巖の高僧。苦境を守るため、異変の解決に奔走する。
分身の襲滅天來に狙われ、危険に晒される。
一步蓮華を取り込むため、彼を危機に陥れる。
識能龍(しきのうりゅう)
不老城の城主。穏やかな性格で、城を守るために、中原の豪傑たちを城内に招き入れる。
素還真の遺体を保有しているが……。
彝燦天(いさんてん)
長生殿の殿主。好戦的な性格。
不老不死を求めて、野心家たちを集め、不老城に攻め入れようとする。
九章伏藏(きゅうしょうふくぞう)
扇を手に持つ謎の青年。札を使った呪術を駆使する。不老城の守備に協力。
長生殿と何らかの関係があるようだが……。
殷末簫(いんまつしょう)
地方宗教「法門」の教祖。中盤から登場。
かつて武林に起きた事件「三月浩劫」の調査に取りかかる。
天荒不老城
(てんこうふろうじょう)
天荒山脈にあるヨーロッパ風の謎の城。通称「不老城」。本作の題名に関わる。飲むと若返る「不老神泉」があることで、中原の各勢力に注目される。城内は謎が秘めている。
識玲瓏(しきれいろう)
城主・識能龍の養女。文芸を嗜む箱入り娘。
靛羽風蓮の婚約者になる。
不老城太輔(ふろうじょうたいふ)
途中で太師と共に長生殿に操られる。
不老城太師(ふろうじょうたいし)
不老城の太師。「霹靂異數之萬里征途」に登場した陰陽師を真似る文官。
途中で太輔と共に長生殿に操られる。
不老城の太宰。謎多き幻術使い。
城主に従いつつ、裏で何かを企んでいるようだが……。
詭齡長生殿
(きれいちょうせいでん)
血海の下に封印された怪しい地下宮殿。通称「長生殿」。不老城と敵対する。薄暗い内部には、赤い虫が多く生息する。使用すると不死になる「不死淵源」があることで、中原の各勢力に注目される。
莎羅曼(サロマン)
長生殿の魔法使い。前半に登場。
昭穆尊たちと共に「風水禁地」で世間を騙しながら、長生殿の再起に献身する。
祖祭司(そさいし)
長生殿の司祭である老婆。莎羅曼の祖母。
殿主・彝燦天に代わって、一時期指揮を取り、不老城侵攻の戦略を立てる。
哭麻衣(こくまい)
長生殿最強の武士。長生殿のために奮戦し、忠誠を尽くす。
黑道聯盟
(こくどうれんめい)
彝燦天が武林から野心家や無法者を集めて、結成した連盟。「天下步武」の理念を掲げて、長生殿に協力し、不老城に侵攻する。
道教組織「玄宗」の裏切者。不老不死を求めて、権謀術数を巡らす。
問天敵(もんてんてき)
昔に一頁書が滅境にいた頃の宿敵。傲慢な覇者。
一頁書の打倒と不老不死を求めて、黑道聯盟に入るが……。
賈子方(かしほう)
殺し屋組織「幽燕征夫」の主・賈命公が若返った姿。刀剣を使いこなす。
不老不死のために、手段を選ばない利己的な人物。
戤戮狂狶(がいりくきょうき)
萬聖巖の脱走犯。電撃を操る体質を持つ狂人。
義兄弟の悟僧癡迷と共に黑道聯盟に入る。
悟僧癡迷(ごそうちめい)
一頁書の従者。かつては凶悪犯だった僧侶。
戤戮狂狶と再会することで、黑道聯盟に入るが……。
萬聖巖
(ばんせいがん)
苦境の仏教聖地。苦境に起きた天変地異の解決と、脱走犯を追うために動く。異度魔界に狙われる。
善法天子(ぜんぽうてんし)
大日殿の主事である青い高僧。異変の解決と脱走犯の追跡に奔走する苦労人。序盤のみ登場。
風水禁地の罠から仲間を守り、絶命する。
摩訶戒者(まかかいしゃ)
執戒殿の主事である高僧。一頁書不在の時期は、一頁書の姿になって雲渡山を守る。
紫宮世家
(しきゅうせいか)
武林の名門。淚陽の異変に関わる「鳳麟鏡」を持つ。
紫宮世家の少主。太極拳の使い手。
異変の解決に協力しながら、「三月浩劫」について調べる。
紫宮彤麟(しきゅうとうりん)
紫宮世家の太君。太一の曾祖母で、彼を溺愛している。
昔は「造天計畫」に関わったようだが……。
紫宮昊辰(しきゅうこうしん)
愁落暗塵の幼い息子。戤戮狂狶の拉致を経て、紫宮世家の養子になる。
戤戮狂狶の影響で、体から電流を放つ。
中原武林
刀の使い手である青年侠客。燕歸人を助けるために、不老城に協力する。
武勇に優れた熱血漢。恋人の死で落ち込む中、自分の武器と才能を巡って、長生殿に利用される。
愁落暗塵(しゅうらくあんじん)
暗器の名手である殺し屋。復讐のために、殺し屋の仕事を再開。上司の捨て駒になってしまう。
車車老(きしゃろう)
萬聖巖の脱走犯。多くの技を身に付けた風変わりな老人。紫宮彤麟に恋心を抱く。
血斷機(けつだんき)
出目の眼鏡を掛けた占い師。長生殿で藥人にされた過去から、長生殿を恨み、不老城に協力する。
貪杯買醉人(どんはいばいすいじん)
酒黨の主席。異変の解決に活動し、不老城に協力する。
七巧神駝(しちこうしんだ)
功名心が異様に強い鍛冶師の老人。酒黨の一員。
長生殿の操りが解かれた後、不老城に協力する。
秦假仙(しんかせん)
中原一の情報屋。異変解決のために、各地に奔走する。
中盤で着替えて「鬼王秦」と名乗り、頭がいかれた業途靈に振り回される。
蔭屍人(いんしじん)
秦假仙の弟分その一。風水禁地の陣を破るなどの活躍を見せる。
中盤で着替えて「腹中蔭」と名乗る。
業途靈(ごうとれい)
秦假仙の弟分その二。戤戮狂狶の電撃により、三途判時期の人格に戻る。
中盤で着替えて、秦假仙ら三人で「新三途判」を結成。
桑道涼(そうどうりょう)
戤戮狂狶の弟。性格は兄と違い、正義感が強い道士。
「三月浩劫」を調べるうちに、命を落とす。
沐紫瑛(もくしえい)
凄腕な女剣士。率直な性格で、気が強い美女。
「三月浩劫」を調べる中、紫宮太一と出会い、行動を共にする。
忘殘年(ぼうざんねん)
荒城を守る瀟洒な中年剣客。断たれた廢劍を武器とする。
生死不明になった荒城の主の手がかりを探す。
月漩渦(げつせんか)
荒城を守る半人半鬼の暗殺者。銃と剣を武器とする。
「三月浩劫」の件について、殷末簫に説明する。
法門
(ほうもん)
儒教、仏教、道教と異なる宗教。法廷のように、武林の中に起きた事件や紛争の解決に活動する。後半から登場。
殷芊嫿(いんせんかく)
殷末簫の令嬢。わがままで嫉妬深い性格。
沐紫瑛への嫉妬から、囚人の毘非笑を解放してしまう。
一式文使(いっしきぶんし)
法門の長老である監察医。殷末簫の要請を受け、桑道涼の死因について調べる。
異度魔界
異次元空間に存在する魔界。後半で襲滅天來が魔君の代理人になってから、中原の侵略に動き出す。
赤髪の狡猾な魔将。一步蓮華を刺し、襲滅天來と共に魔界に戻るが……。
補劍缺(ほけんけつ)
鬼族の狼主である鍛冶師。完璧主義者。
黃泉弔命(こうせんちょうめい)
邪族の先鋒魔将。後半から登場。
襲滅天來に従って、萬聖巖と酒黨の殲滅を行う。
西城風流子(さいじょうふうりゅうし)
邪族の魔将。女好きな青髪の文士。後半から登場。
襲滅天來に従い、萬聖巖を侵攻する。
玉蟾宮(ぎょくせんきゅう)
邪族の魔将。男好きな魔女。後半から登場。
襲滅天來に従い、萬聖巖を侵攻する。
「刀狂劍痴」の二つ名を持つ侠客。異度魔界に攫われ、体が改造される。
造天計畫
(ぞうてんけいかく)
次回作「霹靂皇龍紀」に関わる組織。かつて南武林を中心に活動した。後半から終盤にかけて、構成員が次々登場する。詳しい内容は用語で説明。
飄舟神隱(ひょうしゅうしんいん)
造天計畫の「書」。桑道涼の先輩である隠者で、故人。
「三月浩劫」を阻止せんと、計画から抜けた。
毘非笑(びひしょう)
黑夷族の族長である残酷な毒使い。造天計畫の「絕」で、法門に捕らわれた。
脱走後、積極的に「君」の行方を探す。
法雲子(ほううんし)
造天計畫の「劍」。凄腕な女剣士。
月眉劍法の剣術師範にして、沐紫瑛の母。
汲無蹤(きゅうむしょう)
南武林で名を馳せた、正義感溢れる剣客。造天計畫の「飛」。
計画から抜ける時に重傷を負い、酒黨で身を隠す。
六禍蒼龍(ろくかそうりゅう)
造天計畫の発起者「君」。壮大な野心を抱く覇者。
「三月浩劫」の後、行方不明になるが……。
用語
淚陽(るいよう)
異度魔界と苦境の断層が繋がった影響で、太陽が泣くように見える現象。苦境に災害をもたらした異変(奇象)の一つ。ひでりが続き、昼夜が不安定になる。前作「霹靂奇象」の題名に関わる。解除するには、中原にある三箇所の物を破壊する必要がある。
血月(けつげつ)
異度魔界と苦境の断層が繋がった影響で、血海の上に浮かんだ赤い月。苦境に災害をもたらした異変(奇象)の一つ。前作「霹靂奇象」の題名に関わる。血海が乾いた後に消えるが、同時に詭齡長生殿の再起につながる。
風水禁地(ふうすいきんち)
淚陽の異変解除に関わるとされる危険な場所。内部の仕掛けを破ると、淚陽を弱めるという。五行や八卦を基に作られた仕掛けは、五人同時に破る必要がある。その実は、昭穆尊、尹秋君、莎羅曼の三人が中原正道の戦力を削ぐために、作られた罠である。
鳳麟鏡(ほうりんきょう)
紫宮世家が代々引き継がれてきた宝物。一族を災いから守る鏡。淚陽の異変解除に関わる物の一つ。破壊することによって、淚陽を弱めることに成功した。しかしそれをきっかけに、紫宮世家に危険が相次ぐことになる。
不老神泉(ふろうしんせん)
不老城が所有する不思議な水源。その泉水を飲むと、若返ると同時に、不老になる効果がある。淚陽の異変解除に関わる物の一つ。
不死淵源(ふしえんげん)
長生殿が所有する秘宝。虺尊の血から作った薬。衰退した肉体を、藥人の体や器官と取り替える際に、これを使うことで命を維持できる。延命のみ可能で、老衰していく体を修復できない。そのため、長生殿の人間はほとんど老人の姿をしており、不老神泉を欲していた。
赤虺血蟲(せききけつちゅう)
長生殿に生息する赤い不気味な虫。作中では血虺蟲とも呼ばれる。呪術によって、人体に寄生して、その者を長生殿の手駒にすることができる。
虺尊(きそん)
長生殿の敷地である血蛛毒林に棲む、巨大な毒虫。赤虺血蟲の王にして、彝燦天のペット。長生殿の秘宝「不死淵源」はその血を使って作成した。外見は王蟲に似ている。
藥人(やくにん)
長生殿が不死淵源を使う時に、身体や臓器の提供者として培った人間。非人道的な人体実験を受けており、体の一部が他人に移植され、どこかが欠損している。口封じのために、長生殿への外出が禁止されている。脱走者に血斷機と揹九命がいる。
血蛛毒林(けつちゅどくりん)
長生殿の敷地にある、毒虫が生息する森。赤虺血蟲の王・虺尊が棲む場所。虺尊が守っている卵が、淚陽の異変解除に関わる物の一つである。
連命術(れんめいじゅつ)
長生殿の人間が使う呪術。相手の血液、または髪を媒介に、術者と命を繋がる。発動後、術者が亡くなれば、術にかかった相手も死亡する。相手が先に死亡する場合、術者は死なないという利点がある。
玄機門(げんきもん)
不老城の城内にある重厚な門。不気味な雰囲気を放つ。七つ星が刻まれており、厳重に封鎖されている。動かす者を門に吸い込み、絶命させる謎の力がある。門の向こうには、大きな秘密があるという……。
造天計畫(ぞうてんけいかく)
かつて武林の紛争をなくし、平和な理想郷を作ろうとした秘密の計画。南武林を中心に活動していた。構成員は六人で、それぞれに一文字の暗号名(君、絕、書、劍、飛、仙)が付けられた。構成員の身内に危険を及ぼさないため、「君」以外の者は、互いの正体を知らない。行動の際も、正体を隠して、暗号名で呼び合っていた。
時は乱世の真っ只中。非常時期に応じて、組織が強行手段を取ったことにより、「三月浩劫」の事件を起こした。「書」と「飛」の離脱により、計画は中断された。
暗号名 | 正体 | 身分 |
---|---|---|
君 | 六禍蒼龍 | 造天計畫の発起人 |
絕 | 毘非笑 | 黑夷族の族長 |
書 | 飄舟神隱 | - |
劍 | 法雲子 | 月眉劍法の剣術師範 |
飛 | 汲無蹤 | 酒黨の恩人 |
仙 | 紫宮彤麟 | 紫宮世家の太君 |
三月浩劫(さんがつこうごう)
かつて造天計畫の強行手段によって、南武林に起きた未解決事件。その年の三月、南武林の各武芸組織に招待状を送り、従わない者は強制的に捕らえる。従って赴いた者たちも、橫雲山の桃源邊境に閉じ込めた。それから三ヶ月の間、南武林の各武芸組織のうち、組織の主は七十九人が失踪し、二十八もの組織が滅亡された。事件の裏に「君」の野心と陰謀を知り、「書」と「飛」は計画から抜け出した。
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