概要
吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』へ登場する鬼殺隊士・不死川玄弥は、所属部隊で唯一の特異体質「鬼喰い」を有した銃剣士。
一時的に超生物「鬼」へ――正確には「鬼擬き」の体質に――なれる玄弥。強力な能力だが、様々な事情から奥の手としている戦闘手段。
本稿では、玄弥個人にみられる変化、自他の心理描写などを解説。
異能の詳細は「鬼喰い」の項目を参照。
鬼化する特異体質
不死川玄弥は鬼殺隊の通常戦闘法「全集中の呼吸」に才能がなく、精神的な焦燥から力を求めて鬼の肉を食べた事がきっかけで自身の特異体質に気付いた。
本能で人喰いをする超生物〝鬼〟
これと近似した体質を発揮できる〝鬼喰い〟
玄弥の場合、鬼の骨肉や血鬼術を喰らう事で一時的に鬼の能力(怪力・不死身・超再生)を取得、これのために強力な咬合力(噛む力)と消化器官を有している。
主人公・竈門炭治郎と刀鍛冶の里で再会する時期には、この〝鬼喰い〟を続けた影響か、鬼化前でも抜けた歯が再生しているなどの一部の能力を発現していた。
また、これらの超能力は、喰らった鬼が強ければ強いほど高く発現する。
原作版 | アニメ版 |
容姿の変化は、鬼のような黒白目、鋭い糸切り歯、浮き出た血管が特徴的。
アニメ版では、闇夜の戦闘事情を映像化する都合からか、鬼化すると髪先が黄色く変色する変化が加えられ、薄暗い戦場で玄弥が鬼状態となってる描写が分かり易く表現されている。
欠点
鬼化中は理性や判断力も下がってしまうようで、鬼喰いした初期の頃には暴走する玄弥を取り押さえる悲鳴嶼行冥との一幕があったらしい。
そして鬼の弱点も同様に発現してしまい、最大の弱点「日光で消滅」も発現してしまう他、禰豆子の鬼を焼く炎『爆血』も有効になってしまう。
また通常の鬼よりも数段能力は落ちての変異であり、つまり〝鬼擬き〟な変化から、鬼対抗武器「日輪刀」以外の手段で頚を落とされれば死に至る。
鬼擬きへの情緒
不死川玄弥が所属する鬼殺隊で〝鬼喰い〟ができるのは彼のみ。本編の大正時代より過去、戦国時代では同様の力を持った鬼殺隊士が所属していたらしい。
しかし、大正現在では玄弥のみである事、他と比較できない状況やかつて暴走をしていた背景諸々、彼の健康状態を確認する為に蝶屋敷での定期健診が欠かせないでいる。担当医となった胡蝶しのぶからは、玄弥が鬼喰いしている事を会う度に彼へ説教しているとの事(玄弥と同期隊士・炭治郎はあくまで玄弥の体を心配しての事と諭している)。
だが玄弥当人は、鬼殺隊へ入隊した目的を果たす為、鬼喰いに頼らざるを得なかった。
この目的を達成するための焦燥が元で〝鬼喰い〟ができる事を自覚した玄弥。呼吸の才覚もなく、特技の射撃だけでは鬼退治に限界がある。それでも人として鬼殺隊士の闘い方、最愛の兄のように人間の力で活躍したい情緒があった節もみられる。
主人公・竈門炭治郎と刀鍛冶の里で再会するまでは、上記の焦燥感や健康診断などから、どれだけ傷ついても呼吸ではなく力技で鬼を退治する無茶な闘いをしてきたと推察される。
そして炭治郎と再会時、鋭い歯を抜いていた場面。この疑惑へ炭治郎が触れた時にぎこちない反応をみせた玄弥。これらの様子から玄弥当人も〝鬼喰い〟ができる事へ後味の悪さを抱いてる心情が察せられる。
鬼殺隊士としての最大の武器を使えず、本来は敵対勢力側にある〝異能〟を使うということ。
その残酷な現実に抗うように、玄弥は小太刀の日輪刀と南蛮銃も使って功績をあげようとする。
己は〝鬼〟ではなく〝人〟として戦っていると言わんばかりに…。