概要
漫画「鬼滅の刃」に登場する竈門禰豆子の鬼化が顕著に現れた状態の通称。
物語冒頭で鬼になってしまった人間の禰豆子は、変異した体質から状況に応じて体格を変化できる。また人喰いの〝鬼〟とされる生物だが、人を喰わず、人を守る特異な存在として、兄・炭治郎と共に己が人へと戻るための道を進んでいる。
また本稿では便宜上、禰豆子が有する鬼の特徴(特異性)についても記述する。
留意
閲覧媒体の都合で、禰豆子の「禰」が正しく表示されない場合がある。正しい表記は、左側に位置する部首(しめすへん)が【示】ではなく【礻】であり、公式の字面や字幕、本稿を閲覧する対応機種では【礻】の字形で表示される。
異端の鬼
本作「鬼滅の刃」に登場する〝鬼〟は、強靭な肉体と異能を有する人喰いの超常生物。主人公の一人・竈門禰豆子は突然に厄災へ遭い、この〝鬼〟となってしまったのだが、他とは異なるいくつかの特質性を有しており敵味方の両陣営から注目されている。
本能を抑える強靭な精神力
〝鬼〟は強い人喰い衝動を有し、人肉や血に対して激しい飢餓感が生じる。これは鬼になってしまった禰豆子も抱えている本能だが、彼女は強靭な理性によって〝人を守る〟と自我を保ち、食人衝動を抑えている。人の血を前に―どんなに誘惑的な対象でも―強い飢餓で涎を垂らし興奮状態になろうが、これに抗い人を喰わずにいる。
物語序盤にて、主人公兄妹の恩人・鱗滝左近次から暗示をかけられ人を全て「家族」と認識し「家族を傷つける鬼を滅する」よう意識下に刷り込まれている。もし家族と認識した者たちが近くで鬼に傷付けられると激昂して、禰豆子は自発的に惡鬼へ立ち向かう。
この拮抗した精神状態に関連しているか不明慮だが、鬼へよくみられる記憶の混濁と合わせてか、精神年齢は幼児化が生じている。
また人間だった頃はしっかり者だった反動でか、唯一生き残った肉親・炭治郎へ甘えたりする微笑ましい様子が良くみられる。
また周囲の出来事に対して感情豊か・興味ありげに反応する可愛らしい姿もみられる。
「睡眠」を取る
人間を喰って栄養補給や肉体強化する〝鬼〟であるが、禰豆子の場合は「睡眠」によって肉体の維持・消耗した体力回復を行うよう、自ら肉体改造している。本来の鬼は気絶で一時的に意識を失う事はあっても、無防備な状態になる「睡眠」は行わない生体となっている。この変異は物語序盤で兄・炭治郎が修行と試練を超えて行き鬼殺隊に入隊するのへ合わせるように、彼が鍛錬していた2年を眠り続ける事で、彼女は自身の体を作り変えた。
この睡眠体質(人を喰わずにいられる)に至った変化は「奇跡」と言い表せられるほど特異な事。それでも前述で触れたように、人を喰いたい飢餓は残っているので、絶対に安心は出来ない。その保険として、普段から竹製の口枷を常に噛まされている。
また戦闘で体力を消耗するとよく眠り、それ以外も基本的に眠っているか赤子のようにぼーっとしている姿も散見される。
また肉体変化の影響もあってか、他の鬼と比べ肉体の再生力などは劣っていた。だが戦闘時の興奮状態では、他の鬼と同等かそれ以上の再生力・潜在能力を発揮する。
呪いの除外
本作の〝鬼〟には、始祖・鬼舞辻無惨から【呪い】をかけられている。これにより無惨配下の鬼は、彼へ反逆できないよう肉体的・精神的の両面で絶対の制約を強制的に課せられている。この支配(呪い)で無惨は、程度の差はあるが全ての鬼が居る場所を特定や状況の把握など、現在情報を感知することもできる。
だが例外に、この【呪い】を外す鬼が存在する。その一人が竈門禰豆子であり、彼女は知らずのうちに自力で【呪い】を外している。このため特異存在である禰豆子の現在地や状態を鬼舞辻無惨は把握できていない。
同族を焼く炎
〝鬼〟として強い生命力を有する者の中には、異能の力『血鬼術』を発現させる事がある。
禰豆子は〝鬼〟として成長していく過程で、彼女も血鬼術『爆血(ばっけつ)』が発現した。これは自らの血を爆熱させる事により、血が付着した対象を焼却あるいは爆裂させる術。その効果は、人や衣類を燃やさず『人喰い鬼の細胞のみを焼却する』という、同族殺しともいえる火力を有している。
この威力は―
- 鬼舞辻無惨の直属である十二鬼月の鋼糸すら焼却
- 鬼が生み出した毒を人の体内から消滅させる解毒効果や術の効力を和らげる削弱効果をもつ
- 鬼自体がこの炎で焼かれると、火傷部分は再生能力が鈍り中々治らなくなる効果がある
実に強力な反面、禰豆子自身の消耗は大きく―血を媒介とするから殊更に―『爆血(ばっけつ)』を使った戦闘後は術の行使頻度に比した眠り(体力回復)が必要となってしまう。
禰豆子自身は消耗が大きい術だと本能的に理解しているようで、敵対する鬼の強さを鑑みて、可能な限り体術のみで戦おうとする傾向を見せている。
これら通常の〝鬼〟にある幾つかの呪縛を自ら解いている竈門禰豆子。
だが最大の弱点「太陽(日光に当たると肉体が消滅)」は残っており、殆どの日中は兄・炭治郎が担ぐ「背負い箱」へ身を潜めている。
因みにファンアート・二次創作では、鬼の弱点でもある藤の花と共に描かれた作品もある。本編では禰豆子が藤の花に対しての反応(リアクション)は描写されなかったが、異端の鬼で自己の都合に合わせた身体づくりをしている事から、嫌がる程度で兄・炭治郎たちと短時間の鑑賞なら大丈夫かもしれない(たぶん)。
またアニメ版「大正コソコソ噂話」で、竈門兄妹は人間に戻ったら藤の花を観にいこうと会話している。
鬼化の進行度
〝鬼〟が有する能力の一つ「変形」によって、鬼となった禰豆子は自身の肉体年齢を操作できる。また各状態の彼女を観察すると、本能的に「肉体の変化」で「鬼化の進行」を抑制していると推測される。
軽度
幼児並の子どもになった姿。この時は最も鬼化が抑制され体力を温存した状態なため、戦闘時に消耗した時や平常時で過ごす際にちびっ子でいる事がある。また日中は、鬼にとって大敵である『日光』から逃れるため、兄・炭治郎が担ぐ「背負い箱」へ入る際にも体を小さくしている。
体のみ小さくなったため、着ている少女用の服がダボついたちっちゃな容姿に侮るなかれ。この姿でも超生物の鬼であるため、子どもの体躯に反して運動能力・筋力は人間の大人以上有している。
例えば―
- 本気でなかったとは言え、鬼殺隊士の少女が刀で斬りかかっても、ぴょいぴょいと身軽に―まるでお遊びのように―避けながら逃げる。
- 戦闘後の消耗した状態であったが、傷ついた鬼殺隊士の少年を担いで運搬役をこなす。
つまり小っちゃいけど力持ちな禰豆子ちゃんである。
中度
本来の肉体年齢である少女の姿。鬼化の進行を瀬戸際で留めている状態でもあり、平常時はこの姿でいる事もある。
戦闘時には、禰豆子の両腕や額などに血管が浮き出て、手の爪は鋭くなり、鬼の凶暴性が表層化した風貌となり、飛躍的に戦闘力が増強する。
本能的(動物的)な戦い方をし、引っ搔きよりも蹴りを多用する。
重度
戦闘に適した大人の姿であり、最も鬼化が進行した危険な状態。
禰豆子は傍目からも分かる〝鬼〟の体へ変化しており、右側の額から角が生え、左目の周りにひび割れのような紋様、身体の各所には枝葉の様な紋様が―まるで痣のように―現れた風貌となる。
手足の長い成人にもなった事で筋力増強の他、四肢をもがれても瞬時に治癒する再生力など、上弦の鬼すら上回る身体能力を得る。一方で鬼としての闘争本能も上昇するし、更に体力の消耗も大きいため飢餓状態へ陥りやすく、長時間の継続はこれらが重なって人喰いの衝動に駆られやすくなってしまう。
最初に重度の鬼化を解禁した際は、強敵へ重傷を負わせた後で危うく暴走しかけたが、すんでのところで炭治郎に抑えられ、彼の機転で亡き母の子守唄を聴かされてなんとか鎮静化し眠りについた。アニメ版では妓夫太郎が倒されて毒が飛び散った際に目覚めて復活、毒を全て無効化した。以降は自力で沈静化し、負傷した炭治郎たちの解毒を行った。
この戦いを経て禰豆子は力の制御を覚えたらしく、刀鍛冶の里編で再び大人へ変身(極度に鬼化)した際は暴走すること無く、更なる強敵を相手に兄と共闘している。
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🎥アニメ「鬼滅の刃」キャラクターCM [竈門禰󠄀豆子] - YouTube
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