概要
本作の敵・鬼が苦手とする植物。その為、これに由来したいくつかの事柄が描写されている。吸血鬼で言う「ニンニク」と「十字架」に相当するアイテムである。
藤の花とは
マメ科フジ属で蔓性の落葉低木に咲く花。日本の固有種。
山野に自生し直射日光の差す場所を好む。
4月から5月に開花時期をむかえると「藤棚」が鑑賞の対象となる。
房状の薄紫(藤色)をした花が咲く。花序は長くしだれ、20cmから80cmに達する。風に靡いて揺れる姿は優雅で、藤の花の甘い香りも併せて艶やかさが魅力。
人との関わり
蔓(つる)の部位は丈夫であり、民具の素材としてこれを編んで椅子や籠を作り利用されていた。
前述で触れたように「藤棚(藤の花が垂れ下がるようにしつらえた設備)」は鑑賞・観光の対象として日本庭園で多く見られ、藤の花が満開の時期のそれは非常に見ごたえのある風景となる。
花は可食でき、シロップ漬けや天ぷらなどにして十分に加熱すれば食べることができる。ただし他のマメ科植物同様にレクチンを中心とした毒性が含まれており、多量に摂取すると吐き気、嘔吐、眩暈、下痢、胃痛などを起こすおそれがあり、重症化すると胃腸炎にもなるため注意が必要。
ちなみに、樹皮や豆の莢にはウイスタリン、種子には有毒性アルカロイドの一種であるシチシンといった毒が含まれている。
日本では古来から藤の花を魔除けとして捉え、縁起の良い花だと考えられている。一説には、藤の発音が「不死」「不二」と通じることから由来するとも。
また、藤の花房は子孫繁栄の象徴とされることもあり、これらのことから、人間に害をなす悪霊や悪いものを除く力があるとされた。
鬼除け
本作「鬼滅の刃」に登場する敵・鬼は藤の花の香りを嫌い、近づく事さえできないほど。
この生体から鬼殺隊では『藤の花の匂い袋』を製作し、鬼の被害を受けやすい者などへ渡し鬼除けとしている。
因みに、匂い袋の製作は隠(かくし)の皆さんが行っている。
なお『藤の花の匂い袋』を渡す時は、鎹鴉が吐き出して譲渡していた(無論鴉の唾液でべっちょりなわけで、これが渡し方の基本であると思いたくない)。
また作中の一般社会において鬼は伝説上の存在として認知され、実在するとは考えられていない。地方によっては藤のお香を焚いて、鬼が家に入ってこないようにしていた描写がある。
藤の花の家紋
作中で稀に登場する『藤の花の家紋』を掲げている家。これはかつて鬼殺隊に命を救われた恩返しに、鬼殺隊士へ無償に尽くしてくれる一族の証。鬼殺隊ではないが、鬼の存在を知る一般人たちで、過酷な鬼退治を裏で手助けしている。
主人公・竈門炭治郎や彼の同期・我妻善逸と嘴平伊之助の三人も、奇妙な屋敷での戦いから負傷・疲弊した際にお世話になっている。
藤襲山(ふじかさねやま)
藤の生態と照らし合わせれば、よく日光の差す土地なのかもしれない。この山には鬼殺隊が生捕した鬼達が閉じ込められている。鬼の弱点である藤の花が年中咲いている事から、鬼達は逃走を阻む自然の牢獄から出られない。
この立地を利用して鬼殺隊では、入隊試験「最終選別」を行う場所として活用している。
藤の毒
鬼殺隊の蟲柱・胡蝶しのぶは、自身の医学によって、藤の花から抽出した毒を使って鬼を退治する特異な隊士。
超生物である鬼は、花の香りだけでも怯む生体から、しのぶが調合した「藤の毒」を受けると悶え苦しみ、やがて体の自由が利かなくなり、そのまま腐るか日光で消滅するまで野晒しにされるという惨たらしい末路を辿る。
その他、詳細は【藤の毒】を参照。
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物語最終章の終局。
ある鬼殺隊士を窮地から救うため藤の花も最大限に活用した特効薬が打たれ、