「そうだ!あんたとやりあうなら動きを封じるしかない!俺はこの時を!
この瞬間を待っていたんだーっ!」
概要
長谷川裕一作の漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』中のセリフ。
木星帝国の総統である影のカリストが駆るインプルース・コルニグスとの戦いでトビア・アロナクスが発したもの。
X1パッチワークのフックシールドにより敵の動きを封じ込め、バルカン砲とガトリング砲を斉射する際に叫んだ。
原作において
このセリフの前提として、月面のサナリィ開発基地における影のカリストとの初対戦において、トビアは完全敗北を喫していた。
元々、トビアがキンケドゥから受け継いだクロスボーンガンダム(X1)は、ビームシールドの発達で銃器の優位性が揺らいだ同時代にあって、射撃戦よりも格闘戦の重視をコンセプトとした機体である。事実『機動戦士クロスボーン・ガンダム』作中で、クロスボーンに格闘戦で痛打を与えることに成功したのは、同型機同士の戦いを除けば、対クロスボーン機として設計されたクァバーゼ程度であり、そのクァバーゼのコンセプトも「クロスボーンの格闘武器の間合いの外から攻撃できる長尺格闘武器(スネークハンド)を装備する」というものだった。
しかし、コルニグスを駆る影のカリストは、クロスボーン・ガンダムの機体特性を理解した上で、いとも簡単にクロスボーンの間合いに踏み込んだ上で格闘戦で撃破するという芸当をやってのけた。
トビアの駆るX1スカルハートは攻撃をかわされ、完全に懐に飛び込まれた上で両腕を斬り落とされ、コルニグスにマウントを取られた所をミノル・スズキの救援で危うく命拾いしたに過ぎなかった。
トビアは極度の疲労も相まって寝込んでしまい、敗北の記憶にうなされて「どうしたら勝てる」とうわ言をつぶやくほどの状態に陥った。この敗北で、木星帝国への対抗策として考えられていた新型MSレコードブレイカーは全機破壊、開発データは破損・強奪され、地球圏にとって戦況は絶望的かに見えた。
が、トビア・アロナクスはそんなヤワなタマではなかった。
ようやく目を覚ましたトビアは嘘のようにケロリとしており「勝てる目は残っている」と語り、逆に周囲を勇気づけた。
迎えたグレートキャニオンでのコルニグス(インプルース・コルニグス)との再戦でも、トビアのX1パッチワークは健闘を見せるもののじわじわと押されていく。
僚機の量産型クァバーゼに乗るギリは「なぜ(パッチワークへの改修で装備された)Iフィールドを使わない?」と訝しむが、実はそれがトビアの策であった。
すなわち、「影のカリストは懲りずに挑んできた自分に対して、前と同じ屈辱を与えるために、必ず最後は懐に飛び込んで同じように格闘武器で殺そうとするはずだ」とトビアは読み、
その通りにコルニグスが接近戦でビーム・アックスを振るおうとしたところで、初めて(影のカリストが知らない装備である)Iフィールド・ハンドを起動してビーム・アックスを止めたのだった。
苦い敗北を乗り越え、強敵相手に耐えに耐えて自分の読みに賭け、ようやく逆転のチャンスをつかんだトビアが叫んだのが
「この瞬間を待っていたんだーっ!」
なのである。
初めてコルニグスの動きを止めたトビアは、フックシールドのワイヤーでコルニグスを拘束し、頭部バルカンと胸部ガトリング砲の斉射でようやく痛打を浴びせることができた。
このように、原作においては前置きの過程を経た上で発せられた熱いセリフなのだが……後年、以下のようにネタ的に有名になることとなる。
機動戦士ガンダム エクストリームバーサスでのフルクロス
この台詞が有名になったのはチームバトルアクションゲーム、機動戦士ガンダム エクストリームバーサスに参戦したクロスボーン・ガンダムX1フルクロスでの台詞。上述の通り、原作においてはこのセリフを発した時のトビアの搭乗機体はX1パッチワークなので、この点は違いが生じている。
本作においての主兵装は特殊格闘で任意リロード可能なピーコックスマッシャー(弾数5)で、通常の発射以外では特殊射撃で横一列に発射する一斉発射が可能。
これだけならちょっと継続戦闘能力が高いだけの機体……
……だったのだが、その後、恐ろしい程の強機体だったと発覚する。
- フルクロス
ビーム属性の射撃を無効化するアーマー系武装。ビーム主体の相手に対しては多少の強引な間合い詰めができる。
ただし、他のクロスボーン系機体のABCマントとよく似ているが、この機体のものは一度破壊されると再出撃までリロードはされない。
そのかわり、コストオーバーしても再補充されるので一筋縄ではいかない性質をもつ。
- ムラマサブラスター(薙ぎ払い)
サブ射撃に装備された武装。前に踏み込みつつムラマサをシザーアンカーにひっかけ大きく振り上げるため、高跳びやバックブーストを捕えることが可能。さらに打ち上げた相手にコンボを仕掛けることもできる。当たり判定も大きくマスターを引き合いに出されるほど。
- スカルヘッドユニット
射撃CSはスカルヘッドユニットからIFを発生させる時限強化武装、メインの弾数が18発にまで上昇し威力も強化され、赤ロックとBD持続も伸びる。
また、一斉発射がバレルロールしながらの連続発射との使い分けが行えるようになる。
- ムラマサブラスター(セーフティ解除)
格闘CSにも時限強化武装が装備されており、ムラマサブラスターの安全装置が解除され、BD持続が強化され、さらに慣性、BD速度、上昇速度、旋回性能が著しく向上、そしてサブ射撃のシザー・アンカーでの打ち上げが踏み込み速度・範囲が大幅強化、さらにこの状態ではなぎ払いと使い分け可能。この状態だと火力が凄まじく、ダメージレースに打ち勝ちやすい。
- 両解放
そして1番凄まじいのが2種の時限強化武装同時使用。通称:両開放。
この状態だと『射撃武装の威力上昇』『機動力上昇』『20%の防御補正』と能力がずば抜けて上昇する。
ただし、各CSには使用後効果時間以上のリロードがあるため、どうしても素の状態で耐えなければならない時間帯が生じる。
とはいえ、こういった偏った機体の使い手と組もうとする相方プレーヤーならそういったムラを熟知しており、
インフィニットジャスティスのような迎撃武装に恵まれた機体でその穴を埋めるといった策で来ることも珍しくない。
以上のことから、
『BDの暴力』とまで恐れられ、
低耐久ながらも高機動&格闘荒しのクアンタと並び、3000最強の一角とされ、
トビアが格CS中N格使用時に発する「この瞬間を待っていたんだ!」の台詞は死刑宣告として多くのプレーヤーの脳裏に刻まれることになる。
ちなみにこの機体にもEXバーストアタック(通称:覚醒技)が実装されており、
これはトビアのライバル兼戦友ギリ・ガデューカ・アスピス最期の戦いを再現したもの。
ビギナ・ギナⅡが現れ相手に特攻を仕掛けるのだが、その爆風は核爆発級。
時限強化時間を浪費目的でダウンし続ける相手に強烈な起き攻めをぶち込める。
それゆえ、今日もどこかでギリが打ち出されることに・・・
それ以降のシリーズのフルクロス
流石に続編では下方修正を受け、サブ・格闘CSが弱体化。その結果、戦果は大人しめ。
しかし、マキシブーストに入り、射CS時限定で手動リロードの特殊格闘関連のキャンセルルートが追加。メイン又は特射→特格のキャンセルルートを活かし、凄まじい弾幕形成が可能になる。
格闘CS中のN格闘は判定こそそこまで強くないがアップデートで火力が上昇。
片解放がかなり実戦的になったが両解放もまだまだ脅威。覚醒と重ねれば並の迎撃は物ともせずに強引に荒らしていく事が可能。
この機体は実質4形態を状況に応じて使い分けて戦闘する特殊万能機となり、テクニカルな攻め方の機体としてに落ち着くことになる。
家庭版VSシリーズの「ガンダムバーサス」ではスカルヘッド展開中射撃CSとしてピーコックスマッシャー拡散照射が追加され、覚醒技もビギナ・ギナⅡ特攻からピーコックスマッシャー最大出力に変更された。なお、新たなキャンセルアクション「ブーストダイブ」の実装に伴い、特殊格闘関連のキャンセルルートがほぼ削除されている。
EXVS2では基本的な部分はGVSとほぼ変わらず、アップデートでキャンセルルートの追加や格CS時前格闘にダウン拾い追加など、微強化されている。
EXVS2XBでは覚醒技に鋼鉄の7撃という乱舞技が追加され、PS最大出力は後覚醒技になった。
EXVS2OBではビギナ・ギナⅡ特攻が覚醒技に帰ってきた。発動すると強制的に両開放状態になる。鋼鉄の7撃はキャンセル不可の特格派生技になった。
ただし、コストオーバーには注意。
全盛期と違い、上記の下方修正の際、相方が先に撃墜されるとフルクロスが補充されなくなった。
先落ち・後落ちの打ち合わせは計画的に。
余談
月刊ガンダムエースの2020年12月号ではトビアを演じる声優である山口勝平氏のインタビューが掲載されており、本人もゲームをプレイしていてこの台詞が印象的だったと語っている。
関連タグ
クロスボーン・ガンダムX1パッチワーク クロスボーン・ガンダムX1フルクロス
バトルスピリッツ少年激覇ダン:こちらの作品のOPの歌詞はコノシュンカンヲマッテイタンダー!ではなく、「この瞬間を待ってたんだ」なのでお間違いなきよう。まあ、アドレナリンがバーストする事に違いはないのだが。