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MeToo

みーとぅー

MeTooとは英語で「私(Me)も(Too)」を意味する性犯罪・セクハラ被害告発運動・ハッシュタグである。
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概要

2007年、アフリカ系アメリカ人の市民活動家タラナ・バークが性暴力被害者支援活動のスローガンとして提唱。


2017年10月、アメリカの映画監督ハーヴェイ・ワインスタインが長年に渡り多数の女性にセクハラ・性的暴行を繰り返されていたことがマスメディアに大々的に報じられた。イタリア系アメリカ人の女優アリッサ・ミラノが、同じように性被害、セクシャルハラスメント被害を受けた女性に対し、”me too”と声をあげようとTwitterで呼びかけ、それを機に世界中にMeToo運動が広がった。

性犯罪の告発者は解雇される事例も多い、警察や法曹関係者においても性犯罪、性被害への意識が低い(レイプでないと性被害と認めない等)、純粋に権力で握りつぶされる、といった背景もあり、性犯被害の事実を消さないという連帯運動として支持され、拡大した。


2018年1月1日、この運動に呼応したハリウッドの著名人たちにより「Time's Up(時間切れ、もう終わりにしよう)」という新たな運動が結成・展開された。


MeToo運動拡大の要因となった、ハーヴェイ・ワインスタインが経営していたワインスタイン・カンパニーは2018年3月19日に連邦倒産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し経営破綻。ワインスタイン自身も同年5月25日に強姦と犯罪的性行為などの容疑で逮捕・訴追され、2020年3月11日、ニューヨークの裁判所によりレイプと性的暴行の罪による23年の禁固刑が言い渡された。


日本での事例

2017年5月、フリージャーナリストの伊藤詩織が2015年に当時のTBS政治部記者山口敬之と会食後、昏睡状態に陥った状態でホテルに連れ込まれ、山口にレイプされる被害を受けたことを週刊新潮が報じた。この事件は準強姦容疑で捜査が進められ、2016年6月に逮捕状が発行されるところまで行ったが、当時の警視庁刑事部長中村格が執行停止を命じたため逮捕には至らなかった。

2017年10月、伊藤は手記『Black Box』を出版。また山口とは訴訟合戦の様相を呈した末、刑事罰には問わないが被害の訴えと損害賠償は認めるという、なんとも言えない結論に至っている。


2017年12月、元電通社員のブロガー・作家はあちゅうこと伊藤春香が電通時代の上司岸勇希から長年にわたりセクハラ・パワハラ被害を受けていたことを告発。岸は告発を受け謝罪。後に岸は自身が立ち上げた株式会社刻キタルの代表取締役を辞任すると同時に退社した。


2017年8月と2018年4月、写真家のアラーキーこと荒木経惟は過去に被写体となったモデル3人(湯沢薫、KaoRiと水原希子)から告発を受けた。2018年5月30日現在、荒木からのコメントは出ていない。


2018年12月、週刊文春にフォトジャーナリストの広河隆一がかつて自身の元でアシスタントなどを勤めていた女性達合計7人に性暴力を行ったとして告発する記事が掲載された。

広河は合意と主張したものの自社の代表取締役を解任処分となり、謝罪文を発表。

この記事を書いた田村栄治記者はかつて広河の信奉者であったが、彼の女性問題に関する噂を見過ごしていた反省からこの記事を著したと表明している。


pixiv社社長によるセクハラ事件

2018年5月、pixivがプロデュースするアイドルグループ『虹のコンキスタドール』の卒業メンバーの1人がpixivの代表取締役社長(当時)であり、同グループのプロデューサーでもある永田寛哲からセクハラ・盗撮被害を受けたことを告発。この卒業メンバーは以下の被害を訴えている。

  • 京都旅行に強引に同行し、同じ宿の同じ部屋に泊まることを強要した。
  • アルバイト名目で卒業メンバーに永田の全身をマッサージさせた。他のアルバイトを禁止したうえで。
  • 永田の自宅マンションの脱衣所で盗撮行為をした。

卒業メンバーは脱衣所での盗撮被害を受けた後、ショックで大学入試センター試験が控えていたにもかかわらずペンを持つことができなくなり、試験当日に永田からLINEのメッセージが来た後、フラッシュバックを起こし、試験を断念した。

同年5月7日に開かれた第1回口頭弁論で、永田は京都旅行の件とアルバイト名目のマッサージを強要した件について認めた。しかし、脱衣所での盗撮行為の件については一部事実と異なると主張している。


pixiv社はBuzzFeed Japan週刊FLASHなどのマスメディアの取材に対しノーコメントを貫いていたが、6月6日、永田はpixiv代表取締役社長を辞任した(後任にはムービック代表取締役の國枝信吾が就任)。


しかし、pixiv社のプレスリリースでは、関係者のプライバシーが含まれていることを理由にセクハラ事件のことが伏せられている上、BuzzFeed Japanのpixiv社員への取材よると、社長退任のあいさつの際にもセクハラ事件に関する言及はなかったという。その一方で、パワハラ・セクハラ相談窓口を設置していくという説明が退任あいさつのあった同じミーティングでなされたという。


MeTooを受けた対策への取り組み

アメリカ合衆国におけるタレント・芸能関係者(俳優、歌手、スタントマンなど)の労働組合「SAG-AFTRA(サグ・アフトラ)」では、オーディションをホテルの部屋や私邸で行わない事を要求し、「SAG-AFTRAは、オーディションや面接、これに類する仕事絡みの打ち合わせをホテルの個室や私邸で行うことに反対する」「われわれは、キャリアに影響し得る決定を左右する影響力や権力を持つプロデューサーなどの意思決定者に対し、こうしたリスクの高い場所で仕事の打ち合わせを開くのをやめ、仕事の話をするにふさわしい他の場所を見つけるよう求める」「また、SAG-AFTRAの組合員やその代理人に対しては、こうしたリスクの高い場所での打ち合わせに今後は同意しないよう求める」と文書において宣言した。

どうしても代わりの開催場所が見つからない場合は、信用できる立会人を伴う事を推奨している(米ハリウッド有力組合、ホテルでのオーディション・打ち合わせに「NO!」)。


MeTooへの反応

ペンス・ルール

Metoo運動ののち、防止方法の一つとして「ペンス・ルール」が提唱されることになった。

これは家族や結婚相手以外の女性とふたりきりにならない、というルールのこと。

もともとはドナルド・トランプ大統領のもとで副大統領をつとめるマイク・ペンスが2002年のインタビューで言及したもの。その大本は著名なテレビ伝道師ビリー・グラハムが提唱した「モデスト・マニフェスト(Modesto Manifesto)」通称「ビリー・グラハム・ルール」である。

ペンス副大統領はカトリックからプロテスタントに改宗した人物で、その中でも「福音派」「宗教右派」と呼ばれる立場をとる。

ペンス・ルールもまた、結婚相手以外との女性との接近・接触そのものを戒めるキリスト教の伝統的規律に基づいたものである。


セクハラの多くは一対一の状況で行われるため、これを導入すれば、物理的にやりにくくなる以上、皆でやれば多くのセクハラを防止できることになる。


一方で男女と一対一にならない、ということは、一対一の純粋に業務上のミーティングもできなくなるということである。そして出張の場合、男同士なら相部屋にもできるが、女性なら別個に部屋を借りる必要も出てくる。

すると、「男同士で仕事をしたほうが手っ取り早い」ということになる。一対一のミーティングはしばしば腹心の相手とするものでもあり、そうした重要ポストに女性があげられにくくなる(特定の方法のミーティングができなくなるため)。

そして、一応はプライベートの食事や懇親という名目である食事なども、そこでの会話からビジネスに繋がる機会、そこで重要な仕事情報をやりとりする機会でもあるため、そこでの機会からも女性が遠ざけられることになる。


こうした背景のもとウォール街などにおいて女性を雇うことが「未知のリスク」になるとして「女性を徹底的に避ける」ことが鉄則となり、女性が財政界において力のある男性の援助を受けにくくなってしまったという報告もある。

酒が出、男女が集まる場となるクリスマスパーティ等の各パーティを取りやめにしたりスタッフの参加を自粛する選択をする企業関係者もいる(米国人が悩む職場でのセクハラの「境界線」)。もっとも、セクハラを防止するには物理的に接触しないのが確実な解決策であり、その点では不必要な接触を避けるのは妥当だと言えるが、過剰になれば女性を排除する動きにもなりかねずどうバランスを取るかが課題となっている。


metooのようにペンス・ルールも海を越え、例えば韓国でも受け入れられてきている(「もう女性社員とは仕事できない」…MeTooを斜めに見る韓国社会の素顔「妻以外と食事しない」 絶対MeTooされないルールが韓国で物議。けっきょく女性にマイナス?)。


マイク・ペンス自身は業務が終わればすぐ帰宅し、スタッフに対しては業務時間内の仕事だけをもって評価し、昇進させる、というスタンスをとっており、下院時代の女性スタッフから評価されている(保守派クリスチャンの鑑、ペンス副大統領)。


ハラミ会

日本語のtwitterでは瀧波ユカリ著の漫画『モトカレマニア』に登場する「ハラミ会」が引き合いにだされた。

「ハラ」スメントを「未」然に防ぐ「会」というネーミングである。うっかりセクハラをしてしまうことに嫌気が差して結成された、男性だけの呑みメンバーからなる会であると解説されている。なお、作者の瀧波はあくまでフィクションであるとしており、別に流行ってもいないとTwitter上でコメントしている(今後流行る可能性はあるが)。


#MeTooへの批判

運動が盛り上がる一方で、「被害者を名乗る女性の一方的な言い分のみが尊重されるのではないか」「客観的な証拠がない状態で性犯罪者として一方的に公表される男性の人権が守られないのでは」という指摘も多くされるようになった。


日本では上記のはあちゅうがtwitterで度々童貞を小馬鹿にする発言を繰り返しており、これを指摘された際に逆ギレを繰り返したことで炎上した。

また広河隆一の事件では、彼の周囲にいた多くの運動家達が以前から噂を知っていたと表明し彼を切り捨てるような宣言を次々と行ったことで逆に「知っていたのになぜ放置した」と炎上する羽目になり、「#MeTooを推進する団体や運動家が信用されないから文春に垂れ込んだのでは」という疑念が広がる結果になっている。


そうしたことから、「#MeTooは「私もやりました」「私も知っていました」という意味ではないか」という皮肉も散見されるが、告発しても加害者の関係者から協力的反応を得られないことがあることは、#MeTooという方法がとられる理由の一つであり、よりベターな方法を模索する上での選択理由としては矛盾にはあたらないという意見もある。


日本では2021年の衆議院選挙で、これらの運動に積極的に関わってきた立憲民主党が議席を大幅に減らす事態となった(もっとも立憲民主党が選挙で苦戦したのはMetoo運動の影響というよりは政策や野党共闘路線があまり評価されていないのが主な要因である)。


また、#MeTooの告発を行った女性自身が別件では加害者となる事件も起こっている。欧米での#MeToo運動の主導者のひとりとして有名だったイタリアの女優アーシア・アルジェント(同名のキャラとは無関係)が、自身が被害者となるセクハラを告発する一方、共演者であった当時未成年の男性俳優に性関係を迫っていたスキャンダルが発覚。無論、犯罪を犯した人間に対する犯罪ならやっても問題がない訳ではないが、自身の罪と向き合う必要が露になったと言える事案である。


カナダ出身の女性作家であるマーガレット・アトウッドは、性暴力の被害を告発する「MeToo(私も)」運動の行き過ぎを懸念する論説をカナダの新聞に寄稿している。セクハラ疑惑をかけられた作家に対する一方的な処罰に抗議したことで、自分は批判されており「今や私は『女性への戦争』を展開しているらしい。女性を嫌悪する、強姦に協力する『悪いフェミニスト』として」と述べた。さらに「そもそも女性は人間で(中略)犯罪行為も可能だ」「(女性は)間違った行為のできない天使ではない」とし、運動の行き過ぎに懸念を示した(作家アトウッドさん、「MeToo」運動に懸念 「悪いフェミニスト」と反発され)。



関連タグ

セクシャルハラスメント 性犯罪 フェミニズム

エージェント・スミス-作中で「MeToo」を印象的に言い放つシーンがあるが、もちろん性犯罪と一切関係がない。


外部リンク

MeToo - Wikipedia

#MeTooに関するTwitterニュース

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