曖昧さ回避
概要
SIRENとは、昭和78年(2003年)の日本を舞台としたSCEI社製の3Dアクションホラーゲーム。
(パッケージには「ジャパンダークサイドモダンホラー」と明記されている)
一種のテレパシーのように敵が見ている映像を盗み見る、「視界ジャック」というシステムを特徴としている。
複雑且つ難解なストーリー構成や謎をあえて残したまま終わるエンディング、また近年の和製ゲームの中でも群を抜いた難易度などは賛否両論あるものの、ホラーゲームには珍しい近代日本的なテーマ、隠れキリシタンをモチーフにした宗教やアーカイブなどの独自の設定、挑戦的なシステムなどから一部で熱狂的な人気を集めた。
キャラクター達も様々な苦悩を抱える者から平凡な人々、善人まで多彩に、しかし迫真のリアリティで描かれている。そのためプレイヤーが共感できる所や、何より実在の俳優を起用したことも人気の一つとなっている。キャラのそれぞれが繰り広げるドラマと下した決断が物語の臨場感と絶望感に拍車を掛けている。
実はサイレントヒルのスタッフが作ってたり…。
昭和が続いているため、ゲーム内では2003年が昭和で表記されている。
ゲームの世界観は、クトゥルフ神話から、設定を小野不由美の小説『屍鬼』から、影響を受けている。他にも多数のホラー作品などの影響が見受けられる。また、ジャパニーズホラーらしい演出も随所に見られる。
作品の発売前後に放映されていたTVCMが「CMを見た子供が怖がる」などの苦情が殺到した為放送中止になったことでも有名。なお、そのCMは、屍人化した前田知子が家の窓の外から両親に呼びかけ続ける・理沙が屍人化した美奈と対面するという2つのパターンがあった。
2018年に本作品のリブート版にあたる漫画『SIREN ReBIRTH』が連載されている。
2022年7月15日~8月21日にナンジャタウンとコラボすることが明らかになった。好評を博したため2024年にも二回目のイベントが開催されている。
あらすじ
三方を山に囲まれ、外界との接触を拒むかのように存在する内陸の寒村羽生蛇村。独特の土着信仰や伝承を持つこの村が物語の舞台となる。
1976年8月2日深夜。大規模な土砂災害が発生し、村に甚大な被害をもたらす。
災害から27年後、2003年。夏休みを利用し、村に関する都市伝説を確かめるべく東京からやってきた高校生や、自らの学説を裏付ける為に村の秘祭の調査をしにきた民俗学者、テレビ番組の取材でやってきたTVレポーターらが村を訪れる。
そんな中で、羽生蛇村では長らく行われずにいた“秘祭”が、27年の歳月を経て再び始まろうとしていた。
8月3日午前0時、村の四方を囲うように出現した赤い海からサイレンの音が鳴り響き、羽生蛇村は外界から隔離された異界と化す。異界化に伴って現れる異形、赤い水の影響によって人が変貌した存在「屍人」。人々は状況的に、そして精神的に追い詰められながらも、人として生きるために絶望的な戦いに身を投じていく。これは人でありたいと願い、人として生きたいと祈る人々の群像劇である。
登場人物一覧
メインキャラクター
須田恭也(演:篠田光亮)
本編の主役の一人で東京から来た男子高校生。オカルト好きが高じて夏休みを利用し、ネットの掲示板で噂になっていた羽生蛇村を訪れる。持参してきたマウンテンバイクがパンクし、宿も見つからず途方に暮れていた中、白い犬を連れた少女と怪しげな儀式を行う人々を目撃。それをきっかけに村の異変へ巻き込まれていく。16歳。
宮田司郎 (演:満田伸明)
羽生蛇村の診療所『宮田医院』の院長。医業を営む傍ら、村の暗部に気付いた村人や嗅ぎ回る余所者を秘密裏に始末する汚れ仕事も担っている。そのせいで人間らしい感情が欠落しており、殺人にも躊躇が無い危険な人物。一方で村を襲った異変にも冷静に立ち回る頼もしさがあり、スパナやハンマー等の大工道具を得物に屍人を撃退していく。27歳。
牧野慶 (演:満田伸明)
「求導師」という羽生蛇村独自の信仰“眞魚教”の司祭の青年。村では最も権威ある職で、数十年に一度村で行われる儀式(秘祭)の主催者にもあたる。しかし当人は儀式に伴う重責や村人からの尊敬に疲弊しており、何かあるとすぐ八尾に縋るヘタレぶりを見せる。異変の中にあっても常に及び腰で、子供以外で武器を持って戦えない唯一のキャラでもある。
村医者の宮田と顔がそっくりだが…。27歳。
竹内多聞 (演:舘正貴)
東京の城聖大学(元ネタは成城大学)で民俗学を教える教授。本来の学問のみならずオカルトや都市伝説にまで手を出し、先鋭的な持論を展開するため学会では異端児扱いされる。実は竹内は羽生蛇村の出身で、27年前の土砂災害で両親を亡くしている。竹内はこの時難を逃れたものの、両親の命を奪ったのはただの災害ではなく、同時期に行われていた儀式に纏わるものではないかと疑念を抱いていた。今回再び儀式が行われるという情報を得た竹内は、教え子の安野依子と村に帰って来ることになる。34歳。
高遠玲子(演:細川聖可)
羽生蛇村の小学校の教師。以前は村外で暮らし家庭にも入っていたが、娘の事故死とそれに伴う離婚により、出身の村に帰って来た。娘を亡くしたトラウマからやや陰を帯びているものの、明るく生徒思いの良き教師。親を亡くして塞ぎ込んでいた受け持ちの生徒、四方田春海を気にかけている。春海がクラスに馴染めるよう開催した『星を観る会』の準備にあたっていた所で異変に巻き込まれる。29歳。
キーキャラクター
神代美耶子(演:岡本奈月)
羽生蛇村の有力者である神代家の次女で、歳離れした美貌を持つ。儀式が開かれる日の前後に会場で何かを壊していたところを須田に目撃される。生まれつき目が見えず、盲導犬のケルブを連れて歩く。実は羽生蛇村の成り立ちと秘密に深く関わる、儀式の要でもある少女。14歳。
四方田春海(演:小南千明(現・COMiNUM))
羽生蛇村に住む小学四年生。幼い頃に両親を落雷事故で失い、そのショックから周囲に心を閉ざす。加えて幻視という他人の視界を覗き見る能力を僅かばかり使えるため、その事実が疎外感となって彼女を苦しめていた。担任の高遠の尽力で少しずつ元気を取り戻していたが、高遠、校長の三人で『星を観る会』の準備をしている最中に異変に巻き込まれる。10歳。
八尾比沙子(演:南りさこ)
羽生蛇村独自の信仰“眞魚教”の聖職「求導女」の女性。柔和な笑みを絶やさない穏やかな人物で、須田が最初に会った村の人間。余所者の須田にも親切で、村で起きた異変について詳しく教えてくれる。村でも一部の人々を除いて厚い信頼を寄せられており、特に牧野にとっては親代わりとも言えるため、絶対的な存在である。
実は美耶子同様、羽生蛇村の儀式と秘密に関わる最重要人物。年齢不詳。
サブキャラクター
安野依子 (演:水野雅美)
城聖大学四年生で竹内の教え子。竹内に強い憧れと好意を抱き、竹内の力になりたい一心で彼の帰郷に無理やり付いて来た。性格は極めてマイペースで、異変の最中でも呑気な発言や喧しさで竹内を閉口させることもしばしば。しかし絶望的な状況下でも挫けない安野の強い心は、周囲の人々に希望を与えていく。22歳。
美浜奈保子 (演:小代恵子)
オカルト番組『ダークネスジャパン』のレポーター。昔は人気絶頂のアイドルだったが、今やすっかり忘れ去られ、なんとか芸能界で食べていこうと焦燥している。そのせいか異変が起きても恐怖より苛立ちや怒りが勝り、拾った拳銃片手に、果敢に村を探索していく。自称26歳(本当は28歳)。
前田知子(演:井出杏奈)
羽生蛇村に住む中学二年生。両親と些細なことで喧嘩し、プチ家出を決行中に異変に巻き込まれた不運な少女。怖くなって両親を探し求めるが、途中で牧野と出くわし行動を共にする。14歳。
石田徹雄 (演:江戸清仁)
羽生蛇村の駐在警官。超が付くほどの酒好きで、村の利き酒大会で優勝するほど。異変が始まって早々様子がおかしくなっていき…。24歳。
名越栄治(演:金子達)
羽生蛇村小学校の校長。温厚で優しく、生徒たちに慕われていた。孤独な春海を高遠と共に気にかけ、『星を観る会』を開催するため深夜の校舎利用を許可する度量の深さもある。高遠たちと準備を進めている最中に異変に巻き込まれるが…。55歳。
志村晃 (演:加藤忠男)
羽生蛇村の外れに住む老猟師。職業柄、作中のキャラクターの中では唯一遠距離射撃を得意とする。27年前の災害で妻と息子に死なれて以来厭世的になるが、家族が眠っている村から完全に離れられず、付かず離れずの距離にある山で一人暮らしをしている。村の秘密を知る数少ない人間だが、本人は村に逆らうつもりは無く、周りに話そうとはしない。70歳。
恩田美奈(演:児玉啓)
宮田医院に勤務する看護師。院長の宮田と交際しているが、詮索を嫌う宮田の性質に反し、しつこく迫って彼の地雷を踏んだために、首を絞められ殺されてしまう。亡骸は村外れの山中に埋められたが…。21歳。
恩田理沙(演:児玉啓)
美奈の双子の妹。姉とは異なり、村を出て東京で就職したものの、都会の暮らしには馴染めず、極め付けに詐欺被害に遭った事で傷心のうちに帰省してきた。病院まで姉を迎えに行こうとして異変に巻き込まれた。パニックを起こして逃げ惑ううち、よりによって宮田に出くわしてしまう不幸体質。21歳。
外伝『羽生蛇村異聞』にのみ登場。牧野の義理の父で先代の求導師。性格は気が小さく保身に走りがち。
神代淳(演:土倉有貴)
神代家の婿養子で美耶子の義兄。傲岸不遜を地で行く少年で、許嫁の亜矢子を嫉妬させる意図も含めて、美少女の美耶子にちょっかいを出すサディスティックな性格。18歳。
神代亜矢子 (演:松井亜耶)
神代家の長女で美耶子の実姉。妹とは違って村の暗部については何も知らないが、自分より妹が特別視されている事が許せず、内心美耶子の死を願う最低な姉。我儘で世間知らずなお嬢様のため、そんな気性も込みで美耶子には軽蔑されている。16歳。
外伝『羽生蛇村異聞』にのみ登場。宮田医院に嫁いだ牧野怜治の妹。なかなか子供に恵まれず嫁ぎ先で苦労していたが、ようやく一粒種の「司郎」を授かり、目に入れても痛くないほど可愛がっていた。しかし…。
27年前の儀式に臨んだ神代家の娘で、亜矢子、美耶子の叔母にあたる女性。下の姪とは偶然か必然か同姓同名である。儀式によって齎される運命を、諦念と共に受け入れていたが、お手伝いの澄子によって村から逃げるよう提案される。27年前の災厄に纏わるキーパーソン。14歳。
志村晃の親族。貴文は晃の従兄弟で、晃一は妻・陽子との間に生まれた一人息子にあたる。本編に登場する晃を含め、志村家は代々村の暗部を見抜く性質の者が多かった。晃は口を閉ざすことを選んだが、二人は村の因習に抗い、誰も救われない儀式を終わらせようと戦っていた。しかし貴文は不用意に騒ぎ立てたことで宮田家に目を付けられ拘留。晃一は儀式を妨害し、要たる神代美耶子と逃げ出したことで破綻させることには成功するが…。27年前の災厄に纏わるキーパーソン。
27年前の羽生蛇村に暮らしていた小学五年生の少女。当時謎の失踪を遂げ、捜索の貼り紙も出ていたが遂に発見されることは無かった。羽生蛇村を支配する恐るべきシステムを身を以て体験した人物。