タグとしては「カタナ」が使われる場合が多い。
刀/KATANAとは
1981年にスズキが発売したオートバイ。正式名称は「GSX-1100S KATANA」。
ホンダのCB750FOUR、カワサキのZ-1と肩を並ぶ伝説級のバイクであり、それは今も色褪せることは無い。
1980年のショーモデルでその名の通り、日本刀をイメージした先鋭的なデザインを世界に見せつけ登場し、「そのままのデザインで販売はされない」という当時の多くの意見をいい形で裏切り、ヨーロッパ向け販売で成功を収めた後、日本向けにも販売された。
このデザインは、ドイツのハンス・ムート率いるターゲットデザイン社によるもの。
「機能を損なわない形であれば好きな様にデザインして構わない」というスズキの注文によって、デザイナーとスズキの関係が上手くいった結果生まれたと言われる。
「ハンス・ムートがデザインした」と言われることも多いが、正確にはムートの会社に依頼されたのであって、彼が一人でデザインしたわけではない。
なお、「刀/KATANA」の名称はサブネームであり、KATANAの名称を持つバイクは125、250、400、600、650、750、1000、1100ccと作られた。
その種類分けからオリジナル系統のシリーズは1100ccは「太刀」、750ccが「刀」、400ccが「小刀」、250ccが「カッターナイフ」などと呼ばれるが、400cc以下を中型だからと見くびってはいけない。実際の所、エンジン出力はともかく、中型シリーズは後期に造られただけあって、大型、初期モデルにあった弱点を解消した安定性の高い作りになっている。
一部の機種が日本国内の規制に合わせた結果「耕運機」と蔑称されたダサいハンドル形式を採用していた為オリジナルに準じた形状に改造する事が流行り、警察側が格好の取り締まり対象として標的にした事から、「刀狩り」と呼ばれるような現象も一時期起こっている。
バリエーション
スズキのバイクで「カタナ(KATANA)」の名を冠せられたモデルは意外に多く、ネイキッドタイプのGSX400EやGS650G、スクーター(欧米向け)、果てはジムニー(インドネシアの現地生産車)まで「KATANA」を名乗った例がある。
その中でも、以下はオリジナルの「GSX1100S」と、その直系モデルである。
GSX1100S
「最初」から「最後」まで生産された、カタナのオリジナルモデル。当初は日本国内の排気量規制のため、国外(輸出)のみの販売だった。
発売開始とともに欧米で爆発的な話題と支持を獲得。幾度か生産終了がアナウンスされながらも、根強い人気から復活・再生産を繰り返し、1994年には排気量の上限枠撤廃に伴い、国内販売も開始された(SR型)。
しかし、基本設計の古さは隠しがたく、環境規制のクリアが難しくなったために、2000年のファイナルエディション(SY型)1,100台のリリースをもって、惜しまれつつも遂に生産終了。
それでも人気はなお高く、絶版・名車ランキングでは常に上位を維持し、再生産を期待する声も未だ絶えない。
GSX1000S
AMAスーパーバイク選手権のレギュレーションに適合させるためにボアダウンされたモデル。輸出用で、1,000台限定生産。
GSX750S
国内仕様としてリリースされた初のカタナ。『西部警察』での「黒いカタナ」が有名(だが、黒は純正カラーではない)。
当時日本向けに発売されるバイクの排気量上限が750ccであったためにデチューンされたが、排気量の低下のみならず、型式認定をクリアするためにウインドスクリーン、スポイラー、果ては『刀』のステッカーまで省略と、ことごとくオリジナルのイメージを損なった姿で登場し、ファンをがっかりさせた(規制の緩和で、後のモデルでは改善するが)。
中でもハンドルは、セパレートながらバーが極度に上方にシフトした、通称「耕耘機ハンドル」と揶揄されるみっともない代物で、1100cc(逆輸入車)のハンドルを取り寄せて改造するオーナーが続出。しかし、当時はこれが違法改造とされていたために警察によって厳しい取り締まりが行われ、「刀狩り」と称されたという話も有名である。
余談だが、当時大不評で交換、即、資源ゴミ化していた「耕耘機ハンドル」だが、バイクとともにオーナーも高齢化するにつれて、セパハンより楽なライディング・ポジションが取れる耕耘機ハンドルが再評価。中古パーツ市場では高値で取り引きされている次第である。
GSX750S3、S4
いわゆる「3型・4型」。スズキの社内デザインによる異色のカタナ。
世界でたった2車種しか存在しない、リトラクタブルヘッドライトを装備したバイクの一つでもあったりする。その構造からパカタナの愛称があり、独特な外見に惹かれるファンも多い。
一方、リトラクタブルという構造上、コントロールユニットが故障すると展開しなかったり、パカパカ開いたり閉じたりを繰り返すという「パカパカ病」を発症する事があるため注意が必要であった。
Pixiv上では、「雨天の高速で勝手にライトが閉じて、死ぬかと思った」と、シャレにならないエピソードも披露されていたり……
GSX400S
いわゆる「小刀」。前年の250ccタイプに続いて登場した。普通二輪(旧、中型二輪)免許で乗れる最大のカタナ。
「カタナ」のシルエットを大きく損なうことなくダウンサイジング。バランスも良好で、「最良のカタナ」と推す声も少なくない。Pixiv上でも比較的多くのイラストがアップされている。
後期には、車体色がガンメタリックとなった。
GSX250SS
「カッターナイフ」。最小のカタナだが、スタイルはオリジナルを忠実に再現しており、サイズを除けば全く遜色はない。ホイールが三本スポークのため、容易に見分けることができる。
KATANA1135R
マフラー等で知られるヨシムラ(スズキと連携関係にある)によるカスタムが施された、伝説のスペシャルカスタム。
なんと限定5台のみの完全限定受注生産&ヨシムラのメカニックによるハンドメイドカスタムという本当の特注車であり、買う際にもカタナにかける熱意を綴った作文による選考があったというエピソードも有名である。
数多くの新型が出現し続けている現在も根強いファンがいるカタナはまさしく名車と言え、今後もその姿で人々を魅了し続けることだろう。
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