概要
現在ではフィクションなどでその名を聞くことが多いが、19世紀よりも前の時代において実際に傭兵というのは需要が高いものであり、戦いの度に、貴族や王族、時には国家が傭兵を雇うことが少なくなかった。
正規の軍人とは違い、国家に対する忠誠心を持たないがゆえに侮蔑の対象として嫌われる事もあるが、その一方で特定の国家と専属契約を結ぶ傭兵、あるいは傭兵団も存在した。
フィクションでは、報酬次第で元の雇用主を裏切り安易に鞍替えを行うような表現がなされる場合もあるが、些細な事が生死に直結する戦場で最終的に物をいうのは傭兵同士や雇用主との信頼関係であり、それを決定的に損なう寝返りはあまり多くは無かったと見られている。そのため技量は元より人の和も重視され腕はあっても人付き合いを嫌ったり、自分の流儀に固執する人間は避けられたらしい。
一部の新聞記事では「雇い兵」と称されており、「傭」という漢字が常用漢字及び新聞漢字表に含まれない。
歴史上、特にヨーロッパ史上においては、多くの傭兵の存在が確認できる。
特にスイスの傭兵と、ドイツの「ランツクネヒト」は有名どころと言ってよい。
また戦後、脱植民地化が進むアフリカで傭兵が活動していた。最も有名なのは「コンゴ動乱」で政府に雇われた第5コマンドー、第6コマンドー、第10コマンドーといった白人傭兵による外国人部隊であり、第6コマンドーと第10コマンドーによる叛乱を含めてコンゴの内戦を一時的とはいえ左右した。
また、現ジンバブエのローデシアも正規軍の外国人兵士や用心棒を雑誌「ソルジャー・オブ・フォーチューン」で募集していたと言われている。
現代においては、1989年の国際連合総会において傭兵を禁止する条約(ジュネーブ条約追加議定書 第一追加議定書第47条)が採択された事により、一般的には傭兵制度そのものが過去のものとされているが、実際には中東やアフリカ等の紛争地域で今なお傭兵は存続し続けている。
金銭で雇われる以外に、自身が支持する勢力に義勇兵として加勢する例もある。(支持勢力が掲げるものが正当かどうかは別の話であるが)
ジュネーブ条約追加議定書 第一追加議定書第47条は要約すると「紛争に参加する為に雇われている」「主に私的利益が目的」「雇用した紛争当事国の同種の者(職種・階級)より高額な報酬を得ている」「紛争当事国の国民ではない」をすべて満たす者が傭兵なる。
「軍に雇われる外国人兵士」という部分のみで傭兵を見た場合、フランス軍の外国人部隊やイギリス軍のグルカ兵、アメリカ軍の外国人兵士などの正規軍に属する者であってもも傭兵に相当するものとして見ることも出来る。
バチカン市国は一切の軍事力を持たないため、スイス人傭兵である市国警備員によって警備が賄われている。
また、警備会社の延長上にある民間軍事企業(PMSCs)もまた傭兵同様に戦力を商品とする面もあるため、傭兵と同一視される場合もある。
(あくまで武装警備員に過ぎず、ジュネーヴ条約に沿って傭兵と扱われないようにしているが、軍事的知識に乏しい者やPMSCsを批判する側からは傭兵として扱われる事が多い)
通常の警備会社であっても軍の基地の警備等を請け負っている場合、一部のものは警備員を傭兵と呼ぶこともあり、忍者や浪人も傭兵に該当する。
ファンタジー小説など、中世・ルネサンス期の世界観を持つ作品を中心にフィクションにおいては傭兵が屡々登場する。
剣や槍などを扱う中世系と、銃などを扱う近代系に大きく分かれているようである。
作品にもよるが、民間の依頼を遂行するような戦闘だけに留まらない便利屋のようにみなされている作品もあり、傭兵ギルドのようなものが存在する作品もある。
クラス(職業)として登場する作品
ファイアーエムブレムシリーズ
幻想水滸伝シリーズ
テイルズオブシリーズ
メタルギアソリッドシリーズ
傭兵を題材にした作品
エースコンバット1,2,ZERO
アーマードコアシリーズ