概要
全ポケモンシリーズ、つまり現在確認されている地方すべてに存在する。
主人公に代わってポケモンを預かりレベルを上げてくれる施設で、主人公が一歩歩くごとに1経験値が入る仕組み。預けたポケモンを引き取る際は(上がったレベル+1)×100円分を支払わなければならない。
…と、このようにレベルを上げたいポケモンを手軽にレベルアップさせるために利用される施設。
ただしそれは第1世代だけの話。
ポケモンのタマゴ
おお!あんたか
あずかっていた ポケモンを
そだてていたら…… なんと!
ポケモンが タマゴを
もっておったんじゃ!
どこから もってきたか わからんが
あんたの ポケモンが もっていた
タマゴ なんじゃ
やっぱり ほしいじゃろ?
第二世代から新たにポケモンのタマゴなる新要素が登場。また、個々のポケモンに性別も追加される。
これは同じタマゴグループの異性同士を掛け合わせれば、♀の種族のポケモンのタマゴを作ることが出来るというもの(ニドラン♂やバルビートの例外もいるが)。♂のみの種族や無性別もメタモンと預ければタマゴを作れる。
これに伴い二世代以降は2人以上の経営となっており、2匹同時にポケモンを預けられるようになっている。
タマゴを産ませることで、草むらでは進化系しか出ないポケモンの進化前や一般的に野生に出現しないベイビィポケモンなどを入手することが出来るため、図鑑を埋めるのには欠かせない。
だがそんなものはポケモンを知る上での序章に過ぎない…
ポケモンのタマゴを産ませる真骨頂はやはりわざや個体値が遺伝できる点にあるだろう。
ポケモンによってはガブリアスのげきりんやマンムーのつららばりなど遺伝でないと覚えられない重要な技が存在する。そのため、タマゴから産ませないと対戦で本領を発揮できないポケモンもいるのだ。
また、タマゴは育て屋に預けた両親の個体値からランダムで最大3つまで遺伝する。極端な話、両親が両方とも6V(全個体値MAX)だった場合、タマゴから生まれるポケモンは遺伝が1つなら1V以上、遺伝が3つなら3V以上は確定というわけである。さらに世代が進むごとに道具を使って遺伝する箇所を固定したり、増やしたりすることも可能となっている(後述)。
このように対戦用ポケモンを厳選する際に非常に重要な施設であるため、強い技・個体値を持ったポケモンを求めて育て屋の前で理想個体のタマゴを只管孵しまくるポケモン廃人が続出している。また、タマゴが生まれるまで一定の歩数歩く必要があるため、主人公(廃人)が自転車で疾走する育て屋前の道路を巷では廃人ロードと呼ぶ。
ちなみに最近のポケモンシリーズではタブンネ狩り、デルパワー、ジョインアベニュー、Oパワー、がくしゅうそうちといったシステムで楽々レベルが上がる仕様になっているため、本来の用途である育て屋でレベル上げする必要性はほとんどなくなっている。
そのため、現在育て屋は育て屋というより孕ませ屋と化してしまってるのは言うまでもない。pixivでもこのタグが付くイラストにはR-18タグが付いている事が多い。
世代ごとの育て屋の変遷
育て屋の歴史は同時にポケモンの厳選環境の歴史でもある。
第一世代
RGB
共通してハナダシティ真下の5番道路に存在。
この頃は性別やタマゴの存在がなかったため、老人一人のみの経営となっている。
また、段差(草むらあり)の間という変な場所にあるため、レベルがどれくらい上がったかを聞くのも一苦労する。
第二世代
GSC
コガネシティ真下の34番道路に位置する。
老夫婦で経営しており、お婆さんが世話をし、お爺さんがタマゴを預かっている。
この世代限定でタマゴから生まれたポケモンをタマゴが生まれた場所でレベルアップさせるとなつきやすくなる仕様があった。
ちなみに5番道路にあった育て屋は一般的な民家になっており、住人も全くの別人にすり替わっている。
第三世代
ルビー・サファイア
キンセツシティとシダケタウン間の117番道路に存在。
第二世代とほとんど仕様は変わらないが、特性と性格が新たに追加された分厳選は困難になっている。
FRLG
初代リメイクなので5番道路に存在するが従来通り一匹しか預けられない。
そのため追加要素である4の島に新たに(ポケモンを二匹預けられる)育て屋が設けられた。
後述のORAS発売までは一つのソフトに育て屋が二ヵ所存在するのはこの作品のみで、唯一タマゴを作る目的以外のポケモンのレベル上げと厳選を同時進行する芸当が可能となっている。
ただし、ホウエン地方のようなマッハじてんしゃがないのでスピードが遅く、4の島自体が孤島というのもあって廃人ロードもないため厳選をする上での環境は最悪。さらに半年後に出たエメラルドが革新的だったために厳選の舞台で使われることはあまりない。
エメラルド
RS同様117番道路に位置するが、118番道路にあった障害が引っ込み廃人ロードが延長。シダケタウンまで一直線に疾走可能となった。この頃からあからさまに廃人を意識した仕様になる。
まず手持ちに「ほのおのからだ」「マグマのよろい」を持ったポケモンがいると孵化歩数が半減。さらに、預けたポケモンの♀(メタモン)にかわらずのいしを持たせれば50%の確率で♀の性格を遺伝するようになり、極めつけは育て屋爺さんがタマゴを発見した瞬間、性別・性格・特性が固定される仕様(通称「爺前固定(セーブ)」)が追加。
また、バトルフロンティアにはどの個体値が最も高いかを教えてくれるジャッジのひな型ともいえるNPCも登場。
これにより一気に厳選効率が改善され、手持ちにマグマッグを入れて育て屋前を爆走する廃人が増加した。
第四世代
DPt
ズイタウン左側に位置する。
エメラルドでの恵まれた厳選環境はそのままに育て屋爺さんがタマゴを見つけるとNPCの向きが前→右に変わる仕様に。
さらにポケッチのアプリ「育て屋チェッカー」で離れた場所にいてもタマゴの発見が確認でき、「万歩計」で歩数を逆算する事で厳選しにくい任意の場所(「やりのはしら」など)での孵化も最小限の歩数で効率よく行う事が出来る。
この世代からめざめるパワーのタイプを教えてくれるNPCも登場したため、めざパを考慮した育成も幾分楽になった。
ちなみに、ハードマウンテンで比較的高確率で野生のマグカルゴが出てくるため、入手のしやすさから孵化歩数半減要員にマグカルゴを使用するプレイヤーが多かった。
この頃、ディレクターの増田順一氏のブログで「国籍の違うポケモン同士を預けると色違いが出やすくなる」事が明らかにされたため、厳選以外にも色違い目的で育て屋を利用するものも増えだした(通称「国際孵化」)。
HGSS
金銀同様34番道路に位置する。だが金銀と違い遠くに離れていても育て屋爺さんがタマゴを発見したらポケギアで知らせてくれるようになった(任意で切り替え可能)。
ポケッチはなくなってしまったが、代わりに別の方面でパワーアップしている。
かわらずのいしによる性格遺伝が♂にも適用されるようになった他、バトルポイントを集めてもらえるパワー系の能力に応じて親が遺伝する個体値の能力を一つ固定する事が可能に。たとえば素早さVの親にパワーアンクル(素早さの努力値が多くもらえる)を持たせタマゴが産める組み合わせで育て屋に預けるとそのタマゴから生まれるポケモンは100%素早さ個体値がVで生まれてくるわけである。固定される個体値がVである必要はないためトリパやジャイロボールを意識した最鈍も楽に厳選できるようになった。
第五世代
BW
物語序盤の3番道路にあるが、2匹預けるにはライモンシティでプラズマ団に襲われている育て屋爺さんを助けるまでお預け。なお、育て屋の左側には保育園があるが…
HGSSの厳選環境が恵まれていたせいか爺前固定が廃止され、第三世代初期同様育て屋爺さんからタマゴを受け取る際に全ての能力が決まる仕様に戻った。そのためパワー系を入手しないと厳選が難しくなってしまった。
デルパワー(タマゴふかパワー)を用いた孵化歩数のさらなる短縮や多様な廃人ロードなど一応HGSSも優れている点はあるものの、基本第四世代以前は夢特性、追加されたタマゴ技にめぼしいものがなければ厳選はHGSSで推奨されやすい。
逆に諸々の事情で乱数調整には最も適した環境であるため、乱数調整を用いた厳選を前提とする場合はこちらが推奨される。
また、これまではマグカルゴなどの孵化歩数半減要員とは別に育て屋(廃人ロード)からジャッジのいる場所に移動するためのそらをとぶ要員が必要だったが、この世代から孵化歩数半減特性+そらをとぶを掛け持ち出来るウルガモスが登場。これによりタマゴを5個分までストックできるようになった。
BW2
同じく3番道路にあるが、前作とは逆に育て屋に行けるのはクリア後。しかもかなり先に進めなければならない。
かわらずのいしの遺伝率がついに100パーセントになり、厳選効率は前作よりマシになったが、今回は爺さんがタマゴを発見した時点で全ての能力が決まってしまうためセーブをした状態での厳選はできない。
この作品以降その地方の図鑑を埋めればタマゴが見つかりやすくなるまるいおまもりがもらえるようになる。さらに図鑑をすべて埋めれば色違いが見つかりやすくなるひかるおまもりがもらえるため、国際孵化の円滑化にポケモン図鑑完成を狙ったプレイヤーも少なくない。
育て屋の左手に保育園があるのは同じだが、どうやら園児はよからぬ事を学んでしまったようだ。
第六世代
XY
7番道路上に位置し、これまでと違って若い男女が育て屋を経営している。同延長線上では小遣い稼ぎスポットバトルシャトーもある。
第五世代の厳選環境の悪さから一転、HGSSとは違ったベクトルに環境が改良される。
何とあかいいとに個体値を5つ遺伝する仕様が追加。この仕様により、かつては雲をつかむような話であった6V入手が現実的なものになっただけでなく、個体値指定が複雑だっためざパ炎なども厳選しやすくなった。
乱数調整のやり方は現在確立されてないが、「ここまで良ければ別にいらない」というほどの快適さである。
さらに今作ではミアレシティのプリズムタワーの外周をボタン押しっぱなし、且つ自転車で走れるようになっており、手持ちがタマゴで埋まったあとはここに飛んで孵化作業をする人もいる。
また、OパワーというBWのデルパワーに該当するものも登場。勿論タマゴふかパワーも存在し、最大LvのタマゴふかパワーLv3とほのおのからだを合わせれば孵化歩数5120歩のタマゴ5つをたった3分で孵化可能に。おまけにデルパワーよりも断然使いやすく、Lv3まで上げるのもそこまで難しくはない。
さらに♀からもタマゴ技が遺伝が可能になった他、レベルアップでタマゴ技が上書きされてもハートのウロコでの思い出しが可能になったり、夢特性を♂からも引き継げるようになったり、果ては♀側が収まっているボールを遺伝出来るようになるなどかなり太っ腹なテコ入れがなされている。
また、前作のデルパワーに当たる孵化歩数半減パワーポジはOパワーに変更、ウルガモスの後継者には入手も容易なファイアローが登場した。
ORAS
ルビー・サファイアのリメイクなので、当然117番道路にあるが、キンセツシティ全体が建物になってしまった関係上廃人ロードは大幅に短縮してしまった。
しかしORASではエンディング後に行ける「バトルリゾート」にもあり、FRLG以来の2拠点体制になった。しかもリゾート外周は一度マップを切り替え方向を決めてしまえば押しっ放しのまま走り続けられるという素敵仕様に。
更にリゾート内にあるポケモンセンターの中にジャッジまで居る完璧仕様。
しかもリゾート内にいるパラソルおねえさんに話しかける事でBGMを変更することまで可能に。なお、選べるBGMはチャンピオンロードに関係する音楽になっている。
余談だが、育て屋を営んでいるのが子供になっており、一部の人が歓喜したとかしてないとか。
第七世代
SM
今作ではオハナ牧場にある施設が育て屋…と思いきやなんと育て屋は存在せず、代わりに預かり屋というものに変わっており、育て屋と違ってLvは一切上昇しない。
つまりただ単にポケモンを預かる施設になっており、完全にタマゴを産ませるだけの施設と化してしまっている。
引き取り料金は500円と割高だが、釣りや落石の破壊、ポケリゾートの探索でアイテムを換金させれば問題ないレベルではある。
だが、孵化厳選効率は過去最高レベルと言ってもよいものになっている。
まず、今作から手持ちが埋まっている状態でもタマゴを受け取る事が可能に。受け取った後ボックスに送るか、手持ちのポケモン(またはタマゴ)と交換することができる。
さらに預かり屋の中にめざパ判定人がおり、めざパのタイプがすぐに判定可能。しかも今作からはパソコンでジャッジが出来るようになった。
また、ポケモンのLvが上昇しない事によってワザが書き換えられる事故が無くなったのも大きい。
そして今作ではまるいおまもりが非常に簡単に入手可能に。なんと殿堂入り後にゲームフリークのモリモトに勝利するだけで貰えてしまう。
さらに、ひかるおまもりはアローラ図鑑の完成だけで貰えるように。国際孵化による色違い厳選も多少楽になるだろう。
そして今作では今までとは全く違う厳選のやり方になっており、主に2つのやり方が開発されている。
回転して孵化歩数を稼ぐ方法
今作は自転車が存在せず、代わりにポケモンライドというシステムが存在しケンタロスに乗って移動する事が出来るのだが、預け屋から少し下に行った場所に何故かケンタロスがギリギリ1匹入ることが出来る位狭い空間が存在する。
そう、つまりこの空間の中でケンタロスに乗ってひたすら回り続けるだけなのである。 この狭い空間でケンタロスがその場で爆走しながら回り続ける絵面は正にシュール。
しかし、こんななりでも効率は非常に良い。
どれ位かというと、ほのおのからだ込みで孵化歩数5120歩ポケモンのタマゴが1分と少しで孵化してしまう程。
さらにこの狭い空間の中で回転しながらでもタマゴをくれる預かり屋さんはちゃんと見える。そう、つまり孵化歩数を稼ぎながらタマゴが出来た事をすぐに確認できるのである。
しかし、この方法でも満足できない廃人が存在したのである…。
突進して孵化歩数を稼ぐ方法
先の回転する方法では不自然な狭い空間に入る際に一旦ケンタロスから降りなければならず、狭い空間からタマゴを受け取る場所まで少し距離もあった。そのため、タマゴが出来たと判明してから受け取りに行くまでに少し手間がかかっていた。
…が、それを解決するのがこの方法である。
既に大体察しはつくと思われるが、その名の通りひたすら突進しながら歩数を稼ぐ方法である。 やはりこの方法も絵面はとてもシュール。
基本的にはタマゴをくれる預かり屋さんに向かって突進しながら歩数を稼いでいく。つまりこうする事でタマゴが出来たと判明してすぐにタマゴを受け取ることが出来るのである。
と言っても若干コツが必要であり、どの向きでもいいから適当にタマゴをくれる預かり屋さんに突進したり、ただひたすらに突進していても普通に止まってしまい上手くいかない。
やり方としては、タマゴをくれる預かり屋さんとその横にいるミルタンクの間の隙間に向かって突進し、そのままゆっくり左右に動き続けるのが基本的なやり方。突進しながら動き続けることで止まらずに突進することが可能。
また、預かり屋の建物とタマゴをくれる預かり屋さんの間の隙間に向かって突進し続けるやり方もある。 自分のやりやすい向きに応じてやり方を変えよう。
また、この方法の欠点としてやり辛い事が挙げられる。一方向に突進させているとスライドパッドを操作している指が段々と移動してしまうなど、意外と綺麗に突進させ続けるのは難しく、慣れないと頻繁にケンタロスが止まってしまう。
また、比較的壊れやすいスライドパッドに常に一方向から負担がかかるため、スパイドパッド的にはあまりよろしくない。割りと力みやすいのもネック。
やりやすさとスライドパッドにあまり負荷がかからない回転する孵化方法、回転するより高効率だが少し難し目の突進する孵化方法。上記2つの方法どちらを取るかはプレイヤー次第である。
しかし今作では6世代以前と違い十字キーを使った移動ができず、指を常に動かしてないと行けないため「指が疲れる」や「放置しながら孵化作業が出来ないのは残念」といった意見も見受けられる。
また、ORASのようにBGMを変更することも出来ず厳選中にエリア移動をすることも基本無いため、ポケモンライドのBGMをずっと聞き続ける事に。
これらの難点を払拭するくらい効率は良くなっているので、今後の作品の効率化にも期待が持てそうである。