「おじさん しまキングなのよ だから 相手しなよ」
「あるのかい 覚悟 ってやつ」
概要
「ポケモンSM」の登場人物のひとり。
名前の由来はアカネ科クチナシ属の植物の梔子。英名のNanuはハワイ語でクチナシを意味する。
猫背でくたびれた雰囲気の、目の周りにクマが出来ている冴えない中年男性に見えるが、歴とした警察官。一人称は「おれ」だが、時々「おじさん」と自称することもある。
初めて登場するのは、スカル団に占拠されたポータウンに続く扉の前。主人公にスカル団と関わるにあたっての覚悟があるかを問うてきて、覚悟があると答えれば閉ざされた扉を開いてくれる。
その後グズマが数人の精鋭を率いてエーテルパラダイスに向かった際、グラジオと共にマリエシティの港から彼らを追って出航しようとしていた主人公を直前で引き留め、その時に初めて自分がウラウラ島のしまキングであることを明かす。
(ちなみに、大試練の開始前にバトルを断るとちょっとあざとい言葉が聞ける。)
元より、ポータウンのイベントを経て主人公の度胸とバトルの実力を認めていたクチナシは、しまキングの一人としてウラウラ島の大試練を与えた後、これまでの無表情はどこへやら、非常に満足気に笑いながらポケモンを回復してくれる。また、Zクリスタル継承のときにはいまいち微妙なゼンリョクポーズ(本人は大真面目)まで披露する(この時のグラジオの表情にご注目を)。
立ち去り際、主人公へ大試練達成の祝いの言葉を述べる一方、スカル団の用心棒を務めているグラジオには「強くなりたいのならスカル団を頼ってどうするよ?」と忠告した。
普段はポータウン近くのポー交番に勤めており、大量のアローラニャースを保護している。マップ中には登場しないので訪れることはできないが、アセロラとのやり取りから自宅もポータウンにあるとみられる。スカル団に占拠されたこの街にわざわざ住んでいるのは、本人曰く「家賃が安いから」とのことだが、アセロラはスカル団の見張りをするためだと考えている。また、彼女からは「(家賃に困っているなら)保護しているポケモンをエーテル財団に預ければいいのに」とも言われたが、クチナシは自分でニャースたちの面倒を見ることを選んだようだ。
主人公のことは男の子なら「あんちゃん」、女の子なら「ねえちゃん」と呼ぶ。その他の相手への
二人称は基本的には「おまえさん」あるいは呼び捨てだが、同じしまキングのハラのことは「ハラのだんな」、かつての同僚だったハンサムのことは「テメー」と呼ぶなど、間柄によって使い分けているのが確認できる。
四天王への勧誘もあったそうだが辞退している。代わりに四天王に就任したアセロラの話によれば「カプに選ばれたならともかく、人に選ばれての四天王はごめん」とのこと。
「静かに暮らしたい」などとこぼし派手な所は苦手としているのか、SMにおいて主人公がチャンピオンになった際のお祭りでは、他の参加者の輪に加わらず物陰でゼンリョクポーズをしてから主人公の前に姿を現し、彼(彼女)に何やら告げて会場を後にする
(ただしUSUMでは物陰にはおらず、他の参加者同様舞台の上でゼンリョクポーズをしており、前作の彼のポジションにはマツリカが収まっている)。
一見ドライで人嫌いなように見えるが、リラからは尊敬され、スカル団の面々やアセロラにも信用されていたり、プライドが高くワガママと言われているアローラのニャースやペルシアンを手懐け、何よりカプから島の王に任命されていたりする辺りを見ると、人望はかなり厚く、本人も人情派な性格のようだ。SMの殿堂入り後のウルトラビースト編でも色々と協力してくれる上、ストーリーを進めていくとグラジオやプルメリにZリングを与えたのもクチナシだと判るほか、USUMにおいてはポニ島の先代しまキング亡き後(恐らくハプウのしまクイーン就任まで)、ポニ島の大試練も代行していたことがマツリカの口から語られるなど、面倒見の良さを示すエピソードも少なくない。
なお、彼はゲームのポケモンに於いて初めて明確に登場した「警察官」である。一応、赤緑の頃から警察官の設定は存在し、モブトレーナーとしてもちょくちょく出てきているが、アニメのジュンサーのように組織として機能しているような描写はなかった。ちなみにアローラの各所には交番があるが、アニポケのように女性警察官の姿は見られず主に男性警察官が働いているようだ。
警察(官)に付きものの動物といえば一般的には犬(ポケモン世界でならガーディ等)というイメージが強いが、クチナシは何匹も保護していたりエースとして用いたりしているところから見て、猫モチーフのアローラニャースの系統が特にお気に入りなのだろう。USUMにおいては、島めぐりをしたいという少年に、性格の違う3匹のアローラニャースから1匹をパートナーとして選ばせるところに主人公が出くわすサブイベントも発生する。
外見
灰色の短髪に、常夏のアローラ地方にはそぐわないほど青白い肌をしており、据わったような目からは不自然なほど赤い瞳がのぞいている。
警察官の制服を着用しているが、ジャケットの下に赤いキーネックシャツを着ており、Zクリスタルと思しきペンダントを身につけていたり、靴ではなく突っかけサンダルを履いていたりするなど、他のモブ警察官と比べるとかなり大胆に着崩しているのがわかる。また、制服ジャケットの左側の襟には謎の切れ込みが入っている。
過去
元・国際警察の捜査官であり、リラのかつての上司。
現在は国際警察を引退し、単なるいち警察官ではあるが、かつてはハンサムに匹敵するエリート捜査官だったと言われている。
ハンサムの事情を考えると、クチナシの方が先輩であると思われるが、彼からは「テメー」呼ばわりされたり「昔少しな…」と言葉を濁されたりしており、リラに比べるとやや複雑な関係の様子。
国際警察を辞めた理由は不明だが、リラの扱いについての発言を見る限り、組織の体質に不信感を抱いていた節が見られる。「静かに暮らしたいんだがな」という呟きは、そうした壮絶な過去の経験から来るものなのかもしれない。
かつてのスカル団は、しまキングを中心とした集団だったという情報から、何らかの形でクチナシも関与していたのではないかと推測できる。
詳しくは → グズマ
手持ちポケモン
サン・ムーン
シリーズ4人目となるあくタイプ使い。
彼とはSMならストーリー中の「(島めぐりの)大試練」と、殿堂入り後の「ウルトラビースト捜索イベント」の計2回戦うことになる。
初回
2回目
ウルトラサン・ウルトラムーン
ポケモンUSUMでは、ウルトラビースト編が無いため殿堂入り後に戦う機会がない。ムーン版でのみ、マツリカの試練の一環で大試練に加えてもう1度バトルすることになるが、サン版で彼と戦う機会は大試練が最初で最後となる。
初回
- ヤミラミ(Lv.43♀)
- ワルビル(Lv.43♂)
- アローラペルシアン(Lv.44♀)
2回目(※UMのみ)
- ヤミラミ(Lv.52♀)
- アブソル(Lv.52♂)
- アローラペルシアン(Lv.53♀)
警察官の肩書に似合わない手持ちと思われるかもしれないが、「善悪があるのはポケモンではなくトレーナーである」という証明とも考えられる。 第7世代初出のポケモンは出してこないが、そもそも新規のあくタイプはガオガエンとアクジキングだけである為、御三家やUBを手持ちにするわけにはいかなかったのだろう。
なおSM・USUMを通してチャンピオン防衛戦やバトルツリーにはいずれも登場しない。また、所定のイベントを終えた後は、他のしまキング・クイーン3人とは異なり再戦の機会が一切無くなる。
アニメにおいて
CV:相沢まさき
サン&ムーン第73話にて初登場。過去作のあくタイプつかい達はいずれもアニメには登場していないため、実にアニポケ放送開始21年目(あくタイプが原作ゲームに追加された年から数えれば19年目)にして初のあくタイプ専門トレーナーの登場である。
警官兼ウラウラ島のしまキングを務めており、アセロラと親しい間柄という点は原作通りの設定とキャラクターになっている。彼曰く「親のいないアセロラの面倒を見てやってる」らしいが、試練をサボろうとしたことを咎められタジタジとなるなど、何だかんだ彼女には頭が上がらない様子。尚アニメディア6月号で組まれたアセロラとの特集では彼女に対して「面倒くさいが大切」と思っていると表記されており、お互い相手を想う愛情の深さは本物のようだ。
原作との最大の違いと言えるのが、ロケット団のボス・サカキとは旧知の仲というアニメ独自の設定が追加されていること。電話で久々に話した際も、彼が名乗らなかったにもかかわらず即座に気付いたほどで、因縁浅からぬ仲であることを示唆する描写が見られる。その他の差異としては、交番に原作の倍ほどの数のアローラニャースがたむろしていたり、暇つぶしと称してけん玉を弄んでいたりする点が挙げられる。
更に、勤務中なのに交番を抜けて昼寝をしようとする、他ならぬ自分自身を探している人にしまキングは不在だとウソを教えるなど、原作と比べてややちゃらんぽらんで面倒がりな一面が強い。表情もよく動き、第74話Cパートではニャースたちの注目を浴びながら技を成功させまんざらでもなさそうに笑っていたほか、第76話ではサン&ムーン名物(?)の変顔もしっかり披露している。
第73話では、Zリングを手に入れるためウラウラ島のしまキングの所在を訊ねようと交番を訪れたムコニャに、当初は"ああいう騒がしい連中とは関わりたくない"との思いから「(彼らが捜しているのが他ならぬクチナシ自身であるにもかかわらず)しまキングさんは武者修行とかで旅に出ちまってる」と大嘘を伝え体よく追い返す。
だが、その後ムコニャに誤って封印を解かれたいたずら者のゲンガー・”ほしがりラプー”が暴れて彼らと対峙しているところにアセロラに連れられ到着。彼女から事情を聴いてコジロウにZパワーリングを投げ渡して授け、彼らはZワザを放ちラプーのKOに成功する。
この一件の収束後、アセロラの言葉で嘘が発覚してしまい、騙されていたことを知り怒った三人組が自らの正体をばらしてしまうも、リングを取り上げはせずそのまま彼らに譲った。
第74話では、大試練挑戦のため訪ねてきたサトシと対面を果たすも、「しまキングは自分ではなくもう1人の同僚のことだが今はパトロールに出て不在」とまたも怠慢からの嘘を吐く。しかも、その架空の同僚が戻るまで交番のニャースたちと遊んでやってほしいとサトシに頼んでバックレてしまう。
ちなみに、サトシのことは原作ゲームで男の子主人公を呼ぶ時と同様「あんちゃん」と呼んでおり、また後輩のジュンサーからは「クチナシ先輩」と呼ばれていた。
なお、サトシが訪れる直前のサカキとのやり取りから「かがやきさま」すなわちウルトラネクロズマについて知っていることが判った(もっともロケット団にその情報を渡すつもりはないようでしらばっくれていたが)。更にアセロラの話によれば、その正体がウルトラビーストではないかと考えているという。
その後、アセロラに“人質”として持ち出されたけん玉を取り戻しに現れたところで再びサトシと出くわすも、試練に挑戦させてほしいとせがむ彼とルガルガンを一瞥し「お前さんたちにはまだ早い」と一旦は断る。しかしアセロラとミミたんに「また試練をサボるつもりか」と咎められたことに加え、予備試練として挑戦する実力があるか試してはどうかとの提案を受けたことで、ようやくサトシとのバトルを渋々ながらも行うことに。
バトルにおいてはそれまでの気だるげな雰囲気は一変。ワルビアルを繰り出し、全体を俯瞰しつつ相手の出鼻をくじきまくるような戦いでサトシ達を終始手玉に取る。そして冷静さを失ったルガルガンをカウンターで沈め余裕の勝利を収め、雪辱を誓うサトシに「勝手にしろ」と告げ去って行った。
第76話では、ロケット団にサトシの居場所を訊ねられ、スーパー・メガやす跡地にいるとまたしてもウソを教えて煙に巻く。その直後に大試練挑戦の依頼に来たサトシに、スーパー・メガやす跡地にいるミミッキュ連れのトレーナー(=ムコニャのこと)を倒すという条件を達成すれば受けて立つと言い渡し、アセロラにはサトシに同行して審判を務めるよう指示。そして紆余曲折を経ながらもロケット団に勝った彼に、今度こそ本当に大試練を行うことを約束した。
なお、現時点では原作のように元国際警察だったかどうか、リラやハンサムとも面識があるかどうかは言及が無いため不明である。
アニメの手持ちポケモン
サトシとの予備試練でルガルガンと対戦し、わざとルガルガンを怒らせることでサトシの指示を封じ、暴走したルガルガンの攻撃を軽くいなしながら耐え抜き圧勝した。
使用技は「すなじごく」「どろかけ」「カウンター」「かみくだく」。
余談
ウラウラの大試練後、マリエシティの料亭ローリングドリーマーで「Zカイセキ~オチムシャ~」(4,000円)を注文すると、1日1回限定でクチナシが奢ってくれる上にハートのウロコを8枚も手に入れることができる。
一部では某映画監督に似ているといわれている。ウルトラムーンの再戦時のカットインでのみ見れる左肩を微妙にあげる仕草は特にそれっぽいとも。
CV担当の相沢氏は、過去作においてアオギリおよびゲーチスも担当していた。
2018年に『ニンテンドードリーム』誌上で実施された人気投票「アローラ総選挙」の登場人物部門では第7位を獲得。ちなみにアオリ文は「人気ナンバーワン中年!悪(あく)で悪(わる)を討つ警察官」だった。同じウラウラ島に住み、本編でも親しいアセロラと併せての投票が多かったとの事。
ボールを投げるスタイルは「ニヒルなスタイル」である。
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