概要
種族 | 月人 |
---|---|
二つ名 | 神霊の依り憑く月の姫 |
能力 | 神霊の依代となる程度の能力(仮) |
登場作品 | 東方儚月抄 |
テーマ曲 | 綿月のスペルカード ~ Lunatic Blue(姉と共用) |
綿月依姫は、月の都の防衛と地上の監視などを請け負う「月の使者」のリーダーの一人。
また、八意永琳によると彼女の遠い親族であり、「人間風に言えば」依姫は永琳の又甥夫婦の息子の嫁になるらしい。ちなみに永琳の又甥の嫁=豊姫。ほぼ元ネタである神話通りではあるのだが、つまり「姉の息子の嫁」というややディープな事になっていたり。まあ「人間風」だから仕方ない。
月の使者となる玉兎の戦術指南と、戦闘力を生かした侵入者の捕縛などが仕事。天真爛漫な姉とは対照的に、生真面目な性格である。八意永琳を師に仰いでおり、彼女が行方不明となった後もその信頼は損なわれていない。月の使者としての役目は、千数百年前(竹取物語の頃)に師匠であり先代の月の使者であった永琳が地上で行方不明になる前に、永琳から姉と共に受け継いだもの。
神話的解説
神話を詳しく掘り下げると、豊姫(豊玉毘売、豊玉姫、トヨタマヒメ)の夫とは邇邇芸命の次子である山幸彦(ヤマサチヒコ、ヤマヒコ、彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)、火遠理命(ホオリノミコト)とも)であり、依姫(玉依毘売、玉依姫、タマヨリビメ)の夫はその息子であるウガヤフキアエズノミコト(鵜草葺不合命、盧茲草葺不合尊)である。そして海に帰った豊玉姫から乳母として遣わされた玉依姫とウガヤフキアエズノミコトの息子こそが、本朝初代神武天皇(神倭伊波礼毘古命)である。さらに敷衍すると、皇族である豊聡耳神子ともかなり希薄ながら血縁関係があることになる。
玉依毘売は神話において綿津見神の娘とされており(実際は孫娘か)、「綿月」の苗字は「綿津見」(海の神霊の意)からと思われる。玉依毘売の詳細については該当のページを参照。
容姿
薄紫色の長い髪を、黄色のリボンを用いて、ポニーテールにして纏めている。瞳の色は赤。
服装は、白くて半袖・襟の広いシャツのようなものの上に、右肩側だけ肩紐のある、赤いサロペットスカートのような物を着ている。
ボタンが前面中央にあり、膝上くらいからそのボタンを空けているので、スリットのようになって生足が拝める。
ちなみに姉である豊姫は、同様の服装だが色が赤ではなく青で、肩紐も左側だけ、となっている。二人の服装の色合いを合わせると、師匠である永琳のカラーリングとなる。意識したのだろうか。
腰に斜めに巻いているベルトのバックル部分には、剣の紋章があしらってある。月の満ち欠けの内の三日月を示すものであろう。姉である豊姫は、同様のバックルに鏡と思われる紋章があしらってあり、これは依姫との対比として満月を示すものであると思われる。また、右腕に金色のブレスレットを二つ着けている。
尚、誤って肩紐が両方あるデザインに描かれてしまう事がある。
書籍版では姉と同程度の背丈だが、設定画では頭身が小さめに描かれており『姉よりちょっと子どもっぽい』とされている。『古書型ノートブック』なるものを持っているらしいが、劇中で使用した様子はない。
能力
神霊の依代となる程度の能力(仮)
神降ろし。八百万(非常に多い事の意ではなく文字通り8000000らしい)の神を自分の体に宿らせ、力を借りて使役する事が出来る。通常巫女は「正式な手順」を以ってして神を降ろすものだが、そのような手順を用いず素早くあらゆる神を降ろせる能力のようだ。
使用した神
「祇園様の力」 | 正式には「女神を閉じ込める祇園様の力」。依姫が持っている刀を地面に突き刺すと、捕縛対象の周囲に無数の刃が突き出て取り囲む。下手に動くと「祇園様の怒りに触れる」らしい。捕縛以上の事はしていなかったので、それ以上の能力は不明。祇園は牛頭天王こと須佐之男命。 |
---|---|
「愛宕様の火」 | 依姫の腕が火そのものと化す。この火は「小さく見えても全てを焼き尽くす火」「地上にこれほど熱い火はほとんどない」という。愛宕様は秋葉様こと火之迦具土神。 |
「火雷神」 | 雨を降らせた後に雷を落とし、その雷が七頭の炎の龍(七柱の兄弟)となって敵を焼く。 |
「金山彦命」 | 金属を分解・再構成して操る。咲夜のナイフを分解して再構成し、彼女に向けて放ち返した。ちなみにこの神は東方茨歌仙のストーリー中で霊夢にも呼び出され、パラジウム合金をつくり出した。 |
「天津甕星」 | 魔理沙の「スターダストレヴァリエ」と「イベントホライズン」をかわしきった後に「密度が薄い」と言い、「大気に遮られない本来の星の輝き」を魔理沙達に見せつける、として使用。使用中のシーンが一切描写されなかった為概要は不明だが、使った流れからして星やその輝きを用いた技なのではないだろうか。 |
「石凝姥命」 | 魔理沙の「ダブルスパーク」に対して降ろし、三種の神器の一つ・八咫の鏡を現れた石凝姥命が掲げる事により、「ダブルスパーク」を反射し撃ち返した。 |
「天宇受売命」 | レミリアの「クイーン・オブ・ミッドナイト」に対して発動。天宇受売命が降りた依姫は光を帯び、踊るような動作でレミリアの弾幕を全て避けきった。また、その後の「天照大神」の始動技でもあったようだ。この流れは天岩戸の神話の流れを汲んでいるものと思われる。 |
「天照大神」 | 降ろす事により、圧倒的な光が辺りを強く照らした。光以外の効果は不明。だが、吸血鬼であり太陽の光に弱いレミリアは太陽神たる天照大神の光を食らう事で一発KOされ、ノビていた。 |
「伊豆能売」 | 霊夢が「大禍津日神」を降ろして撃ち出した穢れの塊を弾幕としたものを、この神を降ろす事で一斉に浄化した。ちなみに巫女姿の神様。 |
これらのような多数の神を降ろす能力を用い、ロケットで辿り着いた博麗霊夢らを迎撃・捕縛した。依姫を力を前にした魔理沙は、依姫には全く隙がなく、霊夢と同じ能力であるが力の差は歴然でまともに戦っても勝てる訳がないと評している。降参した魔理沙の提案により、彼女らを送り返すまでの暇潰しとしてスペルカードでの疑似戦闘を了承した後、その持ち技のバリエーションと判断力を以って咲夜、魔理沙、レミリア、霊夢の順に戦い圧勝する。要らぬ殺生は行わないとし、その後全員を豊姫の能力により地上へと送り返した。
なお、神降ろしの能力以前に本人の能力も高いようで、魔理沙の弾幕を難なく掻い潜ったり「ファイナルマスタースパーク」を「光を斬るのは水を斬るよりずっと容易い」として刀で斬ってしまったり、レミリアの高速体当たりを吹き飛ばされつつ受け止めたりしている。神降ろしの能力も、瞬時の判断力と無数の神から適切な神を選び出す思考速度、そしてあらゆる神に関する知識がないと使いこなせないものなので、思考能力や判断力・記憶力も高いのだろう。
ちなみに依姫は儚月抄にて、反逆の嫌疑がかけられてしまっていたが、その原因は霊夢が地上で神霊を自分に宿らせる練習をしていた為である。この時霊夢が八雲紫に教わりつつ練習していた神降ろしは、依姫とほぼ同じ手順の神降ろしであった事に起因している。月の民はそんな事ができるのは依姫だけだと考えていた為、手順を踏まず勝手に神々が降ろされる事態から、噂レベルではあるが依姫が疑われたようである。
余談ではあるが、日本の八百万の神々には創造神(伊邪那岐命)から破壊神(神須佐能袁命)までありとあらゆる属性を有した神々がおり、天照大神を召喚できることからも八百万の神々でも最高峰の三貴神以上を召喚できることが想像できる。しかも状況によって使用する神々を変えられる上、代償などを必要としないことから、総合的な力でいえばそこらへんの上級神よりも強力な存在であることが窺い知れる。例えば大国主命を降ろせば力自慢の鬼であろうが英傑であろうが腕力で勝てる。天目一箇神を降ろせば最高の鍛冶屋となり、田道間守を降ろせばとても美味しいお菓子をつくる職人になれる。つまり彼女と対峙するということは事実上、八百万の神々を敵に回すと同意義だと考えてよい。
また作中ではなかったが、その気になれば八百万の神々の一柱である八坂神奈子や事実上の上司にあたる「月夜見」らも使役可能であった可能性がある。この万能さ加減が「依姫無双」と呼ばれてチート扱いされる所以である。
性格
姉と比べ、非常に生真面目。プライドも高いようだ。戦いの際には油断せず余裕を持つ事を心がけているという。自分にも厳しいようだが他人にも厳しいようで、彼女の訓練を受けている玉兎の一羽であるレイセンは「稽古は厳しい」「怠けていたりするときついお仕置きが待っている」と述べている。同時にレイセンが見た限りでは「常に危機感を持ち、八意様の意思を継いで月の都で役に立とうと考えているようだ」とも評価されている。
ただ、師匠であり尊敬している永琳が相手だと話は別なようで、永琳から手紙が届いた時は頬を赤らめ、手紙を読み始める時には姉と一緒に「わくわく」していた。また、4コマでは豊姫について地上に訪れるが、その訪問理由について最初は「一人だとお姉様がいつまでも戻ってこないだろうから」と述べていたものの最終的には「だってお姉様だけ八意様に会うとかずるいじゃないですか」と白状した。ツンデレだろうか。ちなみに永琳からは「非常に頭が切れ、私の言う事を何でも吸収していった」と高い評価を得ている。良かったね。
誰に対しても、基本的には丁寧口調で話す。ちょっと意外かもしれないが、霊夢ら地上人を露骨に見下したり嫌悪しているような様子はほとんど無い。ちなみに強さ故に怖いものなど無さそうだが、4コマでは都に亡霊の噂(実は幽々子の事)が流れた頃に、寝ている所を豊姫に亡霊のフリで脅かされて盛大に驚いたよう。戦闘ではともかく、日常ではややイジられ役気味?
また稽古の際準備運動がフルマラソンだったり、レイセン達に出した「開かぬ扉を開けろ」という課題では正解が「力ずく」だったりと、天然なのか苛めなのか分からない行動もとっていた。また稽古のシメの手合わせにおいて二人をノシた後、てゐが掘って放置されていた落とし穴に引っかかってノビていた。···やっぱり天然かもしれない。
他キャラとの関わり
綿月豊姫
姉であり、最大の理解者。姉の桃の食べ過ぎを心配したり、運動不足を諌めたりしつつも、互いに信頼しているよう。
八意永琳
師匠であり尊敬する相手である。前述のように、彼女が関わるとかなり態度が緩む。
レイセン始め玉兎兵達
部下。厳しく指導しているが、怠け癖には手を焼いているよう。また、レミリアに対して怯えて逃げ出した彼女達に対し「圧倒的に実戦経験不足···」と嘆いている。なお、元部下で月から逃げ出した鈴仙に対しては「才能があった」と評価している。連れ戻すには時効だとしているが、4コマ版で再会した時にはレイセン共々稽古をつけ直してみたりしていた。
博麗霊夢
事件後に月の都にて依姫の疑いを晴らす為に二人で都を行脚し、霊夢に神降ろしを披露させて依姫の疑いを解いていった際、行われた踊りに対して投げ込まれた小銭を拾おうとした霊夢を咎めたり、食事の時に物を口に含みながら喋った霊夢を叱ったりと、妹キャラでありながら姉のような態度を取っていた。また、その為に数日一緒に過ごした仲でもある。
『儚月抄』の後それぞれの住まう月と地上へと分かれて以後も霊夢が月をイメージする際は依姫や豊姫が連想されるようで、例えば『東方茨歌仙』や『東方鈴奈庵』にてそれぞれ月や月の民の話題となった際にはそのイメージとして依姫もまた描かれている。前者の作品では豊姫と、後者の作品では豊姫と稀神サグメがともに描かれている。これ以外でも豊姫、サグメらと共に月勢力の象徴として描かれる機会があるなど、作品全体としても月とのつながりを連想させるキャラクターとして位置付けられている。
二次設定
徐々にではあるが二次設定やカップリングが出来つつある。
姉である豊姫や師匠である永琳の他に、短い間ではあるが共に過ごした霊夢とのカップリングも少し存在していたりする(依霊)。
また、元ネタで姉の息子(甥)と結婚している事からショタ好き属性が付く事も。
「高貴な身分」「剣士」「生真面目」といった要素が揃っているためか、擬似的な姫騎士属性を見出される事があり、それ系の需要も一部では発生している模様。
戦闘が絡む場合はともかく日常ものの二次創作においてはイジられ役比重がやや高め。真面目キャラの宿命か。
備考
新しいキャラクターが、既存の人気キャラクターを圧倒的な実力差で返り討ちにした一連の展開は依姫無双と呼ばれて語り草となった。「フェムトファイバー」や「紫土下座」と並んで儚月抄に対する評価が分かれる一因となっている。とは言え、儚月抄作中の出来事は依姫(と豊姫)が月の都に起こった「異変」を「解決する側」であった事に加えて、本編中に霊夢や魔理沙が述べたようにある意味霊夢達が「悪い」側ではあった為、話の流れとしては仕方ない事でもあるのだが(依姫自機説)。
東方求聞口授にて、神主直々にチートキャラだと言われてしまった。ゲーム媒体だと彼女の強さを表現できないために漫画にしか登場しないのだとか。
ちなみにファンからのあだ名は「よっちゃん」。イカは関係ない。
関連イラスト
関連タグ
原作・本人関連
神霊の依り憑く月の姫 女神を閉じ込める祇園様の力 愛宕様の火
主な人間関係
綿月豊姫 / 豊姫 八意永琳 / 永琳 レイセン 鈴仙・優曇華院・イナバ / 鈴仙
二次創作関連
よっちゃん 姫騎士 弾幕を食べる程度の能力 綿月姉妹の紺珠伝
イラスト・デザイン関連
カップリング・グループ関連
東方キャラの日