「見たか、このテング様の強さを。儂こそ、世界一の妖怪なのだ!」
CV:岸野一彦
概要
妖怪の1体で、自称「世界一強い妖怪」。
天狗は今も昔も威張ったり得意になると鼻が伸びるのは変わらないが、現代の天狗は鼻ピアスを付け、帽子を被ったりしているとされる。服装も原典のような山伏ではなく、筋骨隆々な上半身を露出させて下に青いジーンズと言う洋画に出て来そうな屈強な出で立ちで、先述した帽子も頭巾からギャングハットと西洋じみたアウトローのそれと、徹底的に現代化されている。
それでも原典通り赤い団扇を所有しており、人間を操る妖術や両目からの光線と言った技を持つ。
天狗らしく自尊心が高く、劇中では、妖怪世界の雑誌と思しき『週刊妖怪』の「強い妖怪ベスト10」上位にランクインしていない事に不満を抱き、ユガミ博士と共謀してカクレンジャーを倒し、ベスト1の栄冠を手にしようとした。
活躍
ピエロに扮したドロドロが子供達を黒い玉に取り込む中、本拠地の館で「儂は子供の泣く声が大好きじゃ」と嘯くユガミ博士の元に現れ、彼が行っている研究の進捗を問う。
世界一強い妖怪を自称しているテングは、自分が雑誌『週刊妖怪 No.124』の「強い妖怪ベスト10」で第3位以内にランクインしていない事に憤慨しており、ベスト1に輝く為に自身の妖術とユガミ博士の発明でカクレンジャーを打倒しようとしていたのだ。
某所の街の住民を妖術で操りカクレンジャーに嗾けると、5人に助けを求めて来た少年の正夫が彼等から離れた所でピエロ姿のドロドロが黒い玉に取り込む。
やがて黒い玉に取り込まれた正夫の声を追ってカクレンジャーが採石場へやって来ると、ユガミ博士と共にドロドロを率いて姿を現す。ユガミ博士が黒い玉に謎の液薬を掛けると、其処からカッパ、モクモクレン、オボログルマ、アズキアライ、ヌリカベの5体を妖怪レプリカとして生み出し、レッド達をそれぞれ圧倒。
やがてテングも痺れを切らし、妖怪エネルギーの落雷を妖怪レプリカと共に浴びて巨大化する。
負けじと隠流巨大獣将之術で獣将化して巨大戦を繰り広げるカクレンジャーだったが、それぞれの武器を取り出した時にテングは残酷な事実を自慢気に語る。
「止めろ!子供達の命がどうなっても良いのか!?正夫だけじゃない。これまでに誘拐した子供達が、妖怪レプリカの体内に1人ずつ入っているのだ!つまり、貴様らが妖怪レプリカを倒せば、子供達も一緒に死ぬという寸法だ!」
妖怪レプリカの触媒となっている黒い玉には子供達が取り込まれている為、倒せば子供も道連れとなってしまう。それはまさしく無関係な子供達を人質にも使える戦いの道具に仕立て上げると言う、下衆の極みと言うべき悪計であった。
子供達を人質に取られたも同然の状況の中、テングは妖怪レプリカと共に一方的に五獣将を痛め付けてKO。5人を外に放り出し、変身まで解除する程の大ダメージを与える事に成功する。
尚もテングは追撃を止めず、止めとばかりに両目から光線を発射してサスケ達を蹂躙して追い詰める。だが、サスケ達の心は折れていなかった。子供達を救いたいと言う強い想いで立ち上がる5人。
「俺達には……俺達には正義を守る為の、無限の忍法があるんだ!」
その想いと共に5人はドロンチェンジャーのメダルから獣将ファイターを召喚。巨大戦第2ラウンドの火蓋が切って落とされる。
妖怪レプリカと共に獣将ファイターを迎え撃つテングだったが5体の5体の素早い動きに翻弄され、逆に押されてしまう。やがて五獣将が無敵将軍に忍者合体すると、単身立ち向かうも結局は火炎将軍剣で鼻を斬られ、「ベスト1の妖怪になりたかったのにぃ……!」と言う断末魔と共に爆散した。
テングの敗北後、妖怪レプリカも消滅し、取り込まれた子供達も助かるのだった。
戦いを総括する限り、テングがカクレンジャー相手に優位に立ち回れたのは妖怪レプリカを生み出したユガミ博士の助力による所が大きく、彼だけの力ではカクレンジャーを倒す処か追い詰める事も難しかっただろう。何にせよ、プライドだけで中身が満足に伴っておらず、誰かと共謀している時点でベスト1=最強の妖怪と呼ばれるには程遠い小物だったのは間違い無い。
余談
妖怪モチーフは天狗の他、ギャングも含まれる模様。スーパー戦隊シリーズに於いて天狗がモチーフの怪人は『大戦隊ゴーグルファイブ』のテングモズー以来の登場となった。
因みに『百化繚乱[上之巻]』のデザイン画では、右手に銃を装備した造形になる予定だった模様。
原典の天狗は鬼や河童と並んで日本三大妖怪に数えられる程のメジャーな妖怪である。一般的な姿は背中に翼の生え、顔が赤くて鼻の高い山伏姿の魔人か、鳥人其の物と言うべき鴉天狗が良く知られている。深山幽谷に住み、神として祀られる一方、外法様と呼ばれて人を悪しき道=魔道に導く悪魔的な存在ともされる。
元々は中国において凶事を知らせる流星の事を天狗(あまつきつね)と呼んでいたのがルーツとされ、飛鳥時代に編纂された日本書紀にもその記述が有る。因みに「山海経」にも同名の妖獣が登場し、「獣がいる、そのかたちは狸のようで、白い首、名は天狗。その声は榴榴(未詳)のよう。凶をふせぐのによい(西山経三の巻)」と伝えられている
本格的に妖怪としてその存在が確立したのは平安時代からで、空海や円珍と言った僧が密教を広めた影響で山の神として神格化される様になり、此処から昨今我々が良く知る天狗像が成立した。
即ち天狗は時代と共に姿が変化して来た妖怪の1つなのだ。
『五世戦隊ダイレンジャー』以前まで、怪人の声優の名前はOPでクレジットに表記されなかったが、このテング以降は表記される様になる。
声を演じる岸野氏は『恐竜戦隊ジュウレンジャー』にてドーラミノタウロス、ドーラコカトリス2号、ドーラエンドス、強化ゴーレム兵、ドーラシルキスと言った怪人達の声を複数担当していた。次の出演は3年後の『電磁戦隊メガレンジャー』におけるカマキリネジラーの声である。
関連タグ
忍者戦隊カクレンジャー 妖怪軍団 妖怪(カクレンジャー) 天狗
テングモズー:『大戦隊ゴーグルファイブ』に登場する天狗繋がりの先輩。
イサギツネ、天狗のヒッ斗、妖怪テング:後のシリーズに登場する天狗モチーフの後輩達。
ズノー陣:『仮面ライダーBLACKRX』に登場する中の人繋がりの怪人。同じく第12話に登場した。
テング(魔化魍):『仮面ライダー響鬼』に登場する天狗繋がりのライダー怪人。
ボイラーデスパー:『イナズマンF』に登場する中の人繋がりの怪人で、こちらも第12話に登場。