概要
駅名標等に書かれている、その駅(またはその地名)を表す名前である。
一般的に所在地、またはその駅の周辺の地名から取られる場合が多いが、例外もある。以下はそれを説明する。
駅名の成因の一覧
※これから挙げるものはあくまで一例です。他に駅名をつける基準がありましたら各自で編集をお願いします。
地名をそのまま付ける
駅の所在する地名をそのまま駅名に適用するという、最も駅名では一般的なやり方。
また、その駅名が所在地の都道府県や市区町村の名前と一致している場合、その自治体の中心駅である場合が殆どである。(例:東京駅、新宿駅、大阪駅など)
市名と駅名は一致しているが、必ずしも市の中心駅ではない場合もある。萩駅などがそれに当たる(例:山口県萩市の中心駅は隣駅の東萩駅)。
なお、読みにくいなどの理由で地名の一部または全部が平仮名や平易な字にされることもある(塩釜駅(←塩竃)、勝どき駅(←勝鬨)、あかぢ駅(←赤地)など)。
複数の地名を合体させて付ける
駅の所在地あるいは周囲の地名を複数つなげて駅名にするやり方。駅付近が地名の境界にある場合、駅名を巡って自治体や住民の要望が紛糾すると妥協案でつけるケースが多い。[関目高殿駅]]、清澄白河駅などが該当。
なお、明らかに一方の地名がもう一方に比べて所在地にそぐわない(遠く離れている)、あるいは広範な地域を示す地名である場合もある。この場合は、前者の名前の方が知名度が高く観光客誘致や誤解防止などの観点からこのようにされているケースが多い。特に近年(2010年代~)にできた駅名に多く、黒部宇奈月温泉駅(宇奈月温泉は駅所在地から10km以上南に位置する)や、梅田駅から改称された大阪梅田駅(外国人を中心に大阪市の中心であるという認識のない利用者が多かった)などが該当する。
更にここに後述するような方角や会社名をのっけるパターンもある(新函館北斗駅など)。
変わったところでは国立駅(国分寺市+立川市)などもここに含まれるか。
周辺の地名を宛てる
その場所にもちゃんと地名があるにも関わらず、他の周辺の地域から地名をとって付けられているパターン。いくつか種類がある。
- 「周辺の地名にした方が利益が大きい/分かりやすい」パターン。太刀洗駅(所在地が福岡県筑前町だが、大刀洗陸軍飛行場の真ん前に設置されたため隣の大刀洗町の名前をとった)など。
- 「元は駅名と所在地が合致していたが、何らかの事情で変わった」パターン。品川駅(品川県→東京都港区)などが有名である。
施設や名所等の名前を付ける
施設や名所の名前をそのまま付ける場合と、語尾に「前」「口」「入口」等を付ける場合がある。
前者では国立競技場駅や成田空港駅、後者では明治神宮前駅や三越前駅などが該当。全国によく見られる市役所前駅や県庁前駅もこの類である。
少ないが、施設名に方角が付く駅名もある。(瑞穂運動場東駅と瑞穂運動場西駅など)
最近では高輪ゲートウェイ駅もこのパターンの亜種に該当(駅周辺を「グローバルゲートウェイ品川」として再開発する一環として設けられた駅である)。
更に、地名と施設名を合成させたり(駒場東大前駅など)、施設名同士を合成させたり(等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅)という例もある。
なお、当該施設のすぐ近くにあるとは限らず、よみうりランドまで数kmある読売ランド前駅、当該施設が閉園してしまったスペースワールド駅、当該施設が移転し現在ははるか遠くにある都立大学駅などの例もある。
地名に方角などを示す文字を付与する
地名の最初または最後に「東」「西」「南」「北」のいずれかを付けるパターン。
四方位の付かない駅のすぐ隣にある場合が多数を占めるが(日暮里駅-西日暮里駅など)、北千住駅と南千住駅のように本来の駅(千住駅)が廃駅になり、四方位のつくだけの駅が残ったり、あえて改称して四方位の駅が対になる駅(例:東舞鶴駅はかつて舞鶴駅を名乗ったが、改称して西舞鶴駅と駅名が対になった)もある。
また、本来の駅が現存する場合でも、元から間に駅があって隣同士ではなかったり、間に新駅ができて隣同士ではなくなったり(高岡やぶなみ駅が間にできた西高岡駅など)、上述の例のように利便性向上の為により有名な地名を付けるべく本来の駅から離れた駅が改称したり(陸前中田駅から改称した南仙台駅など)、そもそも本来の駅と全く関係なく方角を冠している(北広島駅など、但し北広島市と広島市は関連あり)といった理由で、本来の駅と隣同士ではないパターンも多い。
更に、この方角も実際の経緯度と矛盾するものが付いていることもある(北品川駅が品川駅より南にあるのは有名)。
また、関西などによく見られる四方位に更に「口」(西宮北口駅)を付けるパターンをはじめ、
等、亜種は多い。
旧国名(令制国名)を冠する
こちらも全国に見られる例で、主に遠隔地の同じ地名や駅名との混同を防ぐ為に用いられる。旧国名は原則として1869年以降(陸奥国・出羽国が分割された後)のものが用いられる。
かつては荷物/郵便/貨物輸送が頻繁に行われたため、駅名区別の必要性が高く、古い駅名ほどこのパターンにする傾向がある。
例として神奈川県にある武蔵小杉駅は、富山県の小杉駅(北陸本線)との混同を避ける為武蔵とつけている。
北海道の場合は、「蝦夷」が広大すぎるため代わりに支庁名(現在の振興局名)が用いられる(石狩金沢駅、十勝清水駅など)。
また、浦和駅の隣に位置する武蔵浦和駅、土佐穴内駅(同じ高知県内に穴内駅があるが、離れている)など特殊な例もある。
武蔵→武州、播磨→播州など○州とつけるパターンもある(播州赤穂駅など)。
また、旧国名の代わりに都道府県名が付けられるパターンもある。岩手県や群馬県に多いが、後者に関しては旧国名「上野」(こうづけ)が上野駅と紛らわしいという理由が大きいだろう。
事業者名(鉄道会社名)を冠する
旧国名と同じく同盟回避のために付けられるパターンだが、旧国名とは異なり、すぐ近くに位置する他事業者の駅と区別するために付けられるケースが多い。JR難波駅、京急蒲田駅、京阪山科駅など。
最初ではなく最後に付けるパターンもある(三条京阪駅や野田阪神駅など)。
人名を冠する
一部の私鉄に見られる例。主には地域への貢献を果たした郷土の偉人の名が冠される。JRの場合、国鉄時代は「人名は相応しくない」とされていたが、レトリックを用いて、その基準をかいくぐり人名を冠された駅がある。例として方谷駅(由来は幕末期の学者である山田方谷。国鉄時代には高梁市の「西方の谷」だから「方谷」だと地元民で示し合わせて架空の地名をでっち上げた)が挙げられる。他に人名を冠した駅としては吉備真備駅(吉備国の真備町にある事から地名から取られたと勘違いされがちだが、実際は奈良時代に遣唐使として活躍した人物)や智頭急行の宮本武蔵駅が挙げられる。
他には天幕駅(廃駅)も鉄道工事のための路線調査を行った役人を助けた天幕三次郎にちなんで命名されている。
さらには埋立地を走るJR東日本鶴見線は埋立工事の出資者や功労者の名に因んだ駅名が多い。大川駅(製紙王・大川平三郎)、浅野駅(鶴見線の創始者・浅野総一郎)など。
所在地にもその近くの地名にも存在しない駅名を付ける
これは「人名を冠する」の項にも少し被るところがある。ごく稀な例であるが北海道の駅名ではたまに存在する。
非常に特異な例
北朝鮮の鉄道の駅名にあるように、スローガンが駅名になっていることもある。「樂園駅」「戦勝駅」などと言われても、地名そのものからかけ離れているため、どこがどこだかわからない。「建設駅」に至っては建設中なのか出来上がってるのかというツッコミ所にも見える。
日本でも学業成就のために五和駅から改称した合格駅などがある。