War…war never changes.―――人は、過ちを繰り返す。
概要
1997年にInterplay社の発売した第一作目『Fallout』に端を発するRPGシリーズ。
ゲーム中の物語の主な舞台となるのは、核戦争によって荒廃し弱肉強食の掟が支配する過酷な暴力の世界となったアメリカであり、現実の年代で換算して22~23世紀頃の近未来を描いている。
現在、第六作目『Fallout76』をシリーズ最新作とする。
作品内容
マッドマックスや北斗の拳などに代表される所謂『世紀末』(ポストアポカリプス)モノの一種だが、本作の世界観は「核戦争によって崩壊する前の世界」が1940年台~50年台に思い描かれていた未来世界を基に構築された、いわゆる『レトロフューチャー』となっている。
また、世界情勢やアメリカの風俗・体制・思想・核への認識のいい加減さなども当時の水準を元にしている。随所にそれらを揶揄・風刺したブラックジョーク的なネタが組み込まれており、作中に残されている核戦争前の遺物からはその不条理さを感じ取る事ができる。
物語の本筋となるメインクエストのシナリオ自体は、シリアスかつ重厚な内容となっているが、サブクエストを始めとして各所にジョーク要素や細かいパロディネタ、メタネタといった小ネタがギッチリ盛り込まれており、いわゆるバカゲーとしての側面も持つ。
シリーズを通して極めて自由度の高いゲームデザインも特色の一つで、困った人々を助ける正義の味方になることもできれば、道行く人や訪れた先々の集落を片っ端から討ち滅ぼす人類の敵になるのもすべてプレイヤー次第。
また、クエストやトラブルの解決方法も戦闘だけでなく、話術や交渉技能といった手段で解決・回避することができる場面も多い。
キャラクターのビルド(育成)もプレイヤーのこだわりや自由が利く仕様となっている。あらゆる種類の銃器を使いこなすワンマンアーミーになるもよし、誰にも見つからずスリ・潜入・窃盗を働く泥棒キャラにもなれるし、ハッキングスキルと口の上手さで生き抜く詐欺師キャラにもなれる。どこぞの世紀末救世主よろしく己の肉体と鉄拳のみを武器に、並み居る荒くれ者や危険生物達を殴り倒していくのもまた一興。
Perks(レベルアップ時、基本ステータスの上昇とは別に取得できる特殊スキル)もバラエティに富み、作品によっては「放射線障害を自然治癒させ、人間の死体を食って体力を回復し、時折通常の三倍以上の速度で動く」というワケ分からん生き物になることも可能である。
作品の経緯
本シリーズの発端は1988年にInterplay社が開発し、エレクトロニック・アーツより発売された『wasteland』である。
発売元であるエレクトロニック・アーツから『wasteland』の版権を買い取れなかったInterplay社がその精神的後継として作り上げたのが本シリーズである。
当時はInterplay社がTRPGのコアルールセット『GURPS』のライセンスを受けていたこともあり、企画段階ではGURPSを使って「タイムマシンで過去に戻って恐竜と戦い、魔法の力で現代に戻って彼女と結婚する」という筋立てのファンタジーゲームとなる予定だった。しかし、これは社長のブライアン・ファーゴに速攻で却下され、代わりにファーゴ社長の過去作品である『wasteland』にスポットが当たったという。
その後、『Vault13:A GURPS Postnuclear Adventure』というタイトルでリリースされる予定で開発が進められたが、色々とすったもんだあってGURPSのライセンス切れ前に完成させることができず、さらに本作のバイオレンス要素が似つかわしくないということでライセンシング延長もさせてもらえなかったため、結局GURPSをアレンジした独自のルールセットが採用され、発売5か月前の時点でテスト版をプレイしたファーゴ社長の鶴の一声で『Fallout』という名称に決定された。
ちなみにルールセットの変更時に盛り込まれた新ルールがPerksである。これはリードデザイナーのクリス・テイラーが、社長の「なんか物足りない」という言葉を受けて苦し紛れに発案した概念だったのだが、当時としては非常に画期的なアイデアで、Falloutシリーズだけでなく後年の他社のゲームにも採用される等、ゲーム業界に絶大な影響を及ぼすことになった。
2→3への進化と変化
『Fallout2』まではPC用ゲームとしてInterplay社名義で発売されていたが、同社が経営破綻の末にゲームの製作を行っていた元傘下のベセスダ・ソフトワークスにシリーズの全権利を売却、『Fallout3』以降はベセスダで開発が進められている。
これに伴い、ゲームジャンルが見下ろし視点RPGから、同じくベセスダ社の『The_Elder_Scrolls』シリーズ同様のオープンワールド型の一人称視点RPGに変更された。また、日本語化及びコンシューマ機移植も「3」から行われた。pixivでの投稿もそのような事情から「3」以降のものがほとんどである。
「3」以降のPC版ではTESシリーズ同様にMOD作成ツールが公式から無料配布されており、ネット上のコミュニティでは有志達によって作成された多種多様なMODが配信されている。「4」ではコンシューマ版でも限定的ながらMODの使用が解禁された。
旧作(Interplay製作)
Fallout:A Post Nuclear Role Playing Game
シリーズ第一作目。1997年Interplay社発売。日本語版はなし。作中年代は2161年頃、舞台はかつてのロサンゼルス等西海岸。
主人公は核シェルターVault13の住人で通称『Vaultの住人(Vault Dweller)』。Vault13の生活用水の浄化に必要なウォーターチップが故障、その代替品の探索のために住民を外部への探索へと派遣、主人公もその中の一人であり、冒険はそこから始まった。スーパーミュータントを率いて、核戦争後の生き残った人類の末裔であるウェイストランド人を駆逐しようと企む『ザ・マスター』との死闘がストーリーの大筋として描かれている。
既述の通り、この頃は『GURPS』の影響を色濃く受けたシミュレーションRPGであり、FPS風RPGとなった「3」以降の作品とは異なるゲーム性だが、バイオレンス性の強さ・成長システム・自由度の高さ・V.A.T.Sシステムといったシリーズの根幹部分は既に確立されている。
Fallout2:A Post Nuclear Role Playing Game
シリーズ第二作目。1998年Interplay社発売。日本語版はなし。作中年代は2241年頃、舞台は引き続き西海岸。
主人公は前作の主人公の孫にして、彼が作ったアロヨ村の住人である通称『選ばれし者(Chosen One)』。今作の敵は、戦前のアメリカ政府の末裔とも言える武装組織『エンクレイヴ』であり、海上油田に本拠地を置き、戦前からの技術を発展させたものを戦力として用いる非常に強力な集団。自分たち以外の全てを殲滅しようと企むエンクレイヴとの死闘がストーリーの大筋として描かれている。
前作と比較するとイベント量が豊富でテキストの内容も前作以上に作り込まれているなど、シナリオ面が大幅に強化されている。その一方、前作以上に金!暴力!SEX!が前面に押し出された退廃的な世界観となっており、ジョーク要素にも下ネタが満載。
当時のPCゲーマー達の間でカルト的な人気を博し、今なお有志によってバグの修正パッチやMODが作り続けられている。
反面、ゲーム的には少々バランスが不安定で、キャラ育成の方針を間違えれば普通に詰みかねず、高難度のゲームが巷に溢れていた当時の洋ゲー界隈でも「最もクリアが困難なゲーム」の一つに挙げられるほどであった。
番外編・制作中止
- fallout:tactics――シリーズ初のシミュレーションタイトル。「2」後の時系列となる。日本語化なし。
- fallout:Brotherhood of steel――アクションRPG。「1」後、「2」前の時系列。PS2にて日本語化されているが翻訳の都合、「3」以後のタイトルとは用語が食い違う。
製作中止
- fallout online――interplayが開発していたが、ベセスダと訴訟(和解成立)の後、権利売却に伴い製作中止。
- van buren――同じくinterplayが開発しており、デモ画面を発表できるほど進行していたが、経営破綻のため製作中止。完成していればこのプロジェクトが「fallout3」になる予定であった。
現行作品(ベセスダ製作)
Fallout3
2008年発売のシリーズ第三作目。本作よりベセスダ・ソフトワークスの製作販売となる。
作中年代は2277年頃で舞台はかつてのワシントンD.C。汚染と荒廃はシリーズ随一。
日本語化は家庭用ゲーム機版のみ(有志による日本語化MODが存在する)だがローカライズ版は規制が強く、PS3日本語版に至ってはとあるクエストそのものが削除されている。
Fallout:Newvegas
シリーズ第四作目。2010年オブシディアン・エンターテイメント開発、ベセスダ・ソフトワークス販売。
作中年代は2281年頃。舞台はネバダ州南部、かつてのラスベガス「モハビ・ウェイストランド」。
現在満足なプレイがXBOX360版以外では非常に困難で、PS3日本語版は不具合が異常なことになっている。
PC版は「3」同様日本語未対応の上、Windows10のアップデートによりMODなしでのプレイが不可能になってしまった。
Fallout4
シリーズ第五作目。2015年ベセスダ・ソフトワークス販売。
「TES5 Skyrim」の技術的続編であり、クラフト要素が大幅に強化されている。
作中年代は2287年頃で、舞台はかつてのボストン。
Fallout76
2018年11月14日、ベセスダ・ソフトワークス販売。作中年代は大戦から25年後の2102年であり、シリーズ中では最も古い時代を扱った作品となる。舞台はかつてのウェストバージニアであるアパラチア・ウェイストランド。
「4」のアセットも流用しつつ製作された、シリーズ初のオンラインマルチプレイ専用作品。一つのワールドにつき最大32人までのプレイヤーがログイン可能で、プレイヤーは他のプレイヤー達と協力、或いは競い合いながら、プレイヤー達の行動次第で様々に変動するウェイストランドでのサバイバル生活を送ることになる。PvP要素もあるが、参加するかしないかはプレイヤーの自由裁量に委ねられる形式。
プレイヤーからのフィードバックを基にアップデートがおこなわれ、追加コンテンツも無料配布の予定とのこと。
FalloutShelter
核シェルターVaultを発展させていくソーシャルゲーム。
リリース当初はスマホアプリのみで日本語版もなかったが、現在はPS4などに存在する。
FalloutShelterOnline
上のスマホ版をオンライン対応させ独立したソシャゲにした作品。2020年6月サービス開始。Fallout4で登場した組織が登場する。
あるVaultで主人公は前任の責任者からVaultの管理を任されるが、その次の日にテラフォーミング装置(後述のG.E.C.K.と似た様なものと思われる)を持ち去り行方不明になってしまう。主人公たちは彼の行方を追いつつ、Vaultの発展を行なっていく。
基本設定
世界観
- ウェイストランド
直訳すると荒野だが、本作では専ら核戦争によって荒廃した北米大陸の事を指す。
荒れ方は地域差があるが、汚染が特に重篤な地域(多数の攻撃を受けた首都であるワシントンDCなど)では
そこかしこに重度の汚染地域があったり、汚染されていない水はほぼ無いなど非常に厳しい環境。
文明社会が崩壊した為、大小の組織がその勢力圏の拡大を図っているが基本的にその外側は完全な無法地帯。
また、戦前から漏出していた強制進化ウィルス(Forced Evolutionary Virus、略称FEV)と
核戦争による放射能汚染の合わせ技で生物も様々な突然変異を起こしており、武装したならず者集団達だけでなく野生動物も人間に牙を剥くまさに弱肉強食の世界である。
ウェイストランドに住まう人間たちの事は「ウェイストランド人」と呼ばれる。
核戦争が勃発して100年~200年以上経っている作品がほとんどのため、かつての土地の名前とは異なる名前で呼ばれている場所が多い。
なお、俗に「アメリカ」という名前は完全に忘れ去られているとされる事があるが、これは誤認。ウェイストランドにも戦前の組織を母体としており、崩壊する前のアメリカの資料を保有している組織や会話の中で古き良きアメリカの話を引き合いにだす人も居る。
- グレート・ウォー
作中年代2077年10月、世界が滅ぶ切っ掛けとなった世界規模の核戦争。
アメリカと中国が枯渇した石油資源を巡って戦争をする最中(米中戦争)、どこかから突如として核が発射され、世界は核の炎に包まれる事となった。
一方、意外にも核の爆風による破壊は主要都市を中心とした局地的なものであったため、生き残った人々もまた多かった。
しかし、放射能汚染や漏れ出した化学兵器の影響によって環境や生態系が狂い、動植物が恐るべきクリーチャーへと進化する要因となってしまう。現在の状況に落ち着くまでに数十年の期間、ありとあらゆる生物、人間同士による過酷で悲惨極まる混沌の生存競争が展開されていたという。
- Vault
核戦争を予期した当時のアメリカ政府がVault-Tec社に開発させた大規模な地下核シェルター。
核攻撃をただやり過ごすだけのシェルターではなく、内部には様々な設備が設けられており核戦争後も数百年は文明的で安定した暮らしが出来る…という触れ込みだったが、実際にVault-Tec社がこうしたVaultを建造した本当の目的は社会実験の為であった。
Vault毎に様々な実験テーマが設定されており、一例として『中毒者を集めて治療した後再び依存物を出したらどうなるか』『全く異なる信条を持つ人間を集めたらどうなるか』という比較的意義のあるものから『放射能を防ぐ為のドアが完全に封鎖できない』などの全滅必至の非人道的なもの、『ギャンブル依存症者だけを集める』『20人の男性と10人の女性と一頭のヒョウをとりあえず入れてみる』など実験の意義がよくわからないものまで幅広く存在する。
また、これはVault-Tec社の意図したところではないのかもしれないが、経年による故障の発生率も高く、上記の実験に由来した壊滅、故障が原因の壊滅、内乱による壊滅など、様々な理由でこの実験用Vaultは壊滅してしまったものが多い。
これらの実験用Vaultの実験データを監視するためのVaultもあったりするが、こちらの方も壊滅しているものがほとんどなのがなんとも皮肉である。逆に失敗するだろうと思われていた前述の『ギャンブル依存症者だけを集めた』Vaultはある意味平和的な統治で独自の発展をしたのもより皮肉を効かせている。
「1」「3」「4」の主人公もこのVaultの居住者である。また、vaultにおける制服である「vaultジャンプスーツ」はシリーズの象徴的装備のひとつであり、全主人公の初期装備である(vaultと無縁なはずのNewvegas主人公『運び屋』ももらえる)。
- キャップ
戦前に一世を風靡した瓶入り炭酸飲料ヌカコーラのボトルキャップ(王冠)。どういうわけだかウェイストランドでは通貨として流通している。
詳細な経緯は明らかになってはいないが、グレート・ウォーによって文明や国家が崩壊して戦前の紙幣は「今じゃケツを拭く紙にもなりゃしねってのによぉ!」になってしまったため、どうやら紙幣並みに流通というか各家庭に溜め込まれていたヌカコーラのキャップに目がつけられたようである。
「NewVegas」の舞台のモハビ・ウェイストランドでは別の炭酸飲料であるサンセット・サルサパリラのボトルキャップも使用されている。
なお、ゲームの主人公は膨大な量のキャップをメイン通貨として持ち歩くが、特定の勢力圏内ではその勢力の通貨(NCR圏内におけるNCRドル、シーザーリージョン圏内における金貨・銀貨など)が使われている事もある。
- 人は……過ちを繰り返す……/War,war never changes.
シリーズを象徴するキーワードであり、各シリーズはこの言葉に始まり(オープニング)、この言葉に終わる(エンディング)。
訳については、非常に端的な言い回しをうまく音節内に収めた名訳とも、ニュアンスを十分に汲み取れていないとも賛否両論。
「4」では初めて作中のキャラクター(主人公)がこのセリフを口にする。
人種・生物・組織
- ウェイストランド人
ウェイストランドに住まう人々の総称。見た目はほぼ人間だが、グレート・ウォー勃発以前から地上で漏出していたFEVの影響下にあり、更にその後のグレート・ウォーの勃発以降に残された汚染により、遺伝子が改変されている者も少なくない。
そのため、純人間主義の強い一部の組織からはミュータントの一種として露骨に嫌悪される。
生活レベルは地域やコミュニティごとにまちまちで、廃墟でガラクタを拾って物々交換で日々の糊口を凌いでる者から、キャラバンによる交易を営む者、傭兵や用心棒として生きる者、戦前のハイテク施設を独占して優雅に暮らす者など様々。
綺麗な水が比較的潤沢に手に入る汚染度の低い地域では農業で自給自足の生活を確立している者達もいるが、中には完全に文明を忘れて石器や骨角器で狩猟生活を送る集団までいる。
共通するのは、とにかくみんな逞しく生きている。
北斗の拳で言うところの『ヒャッハーさん』たち。詳細は該当記事参照。
- 部族(或るいは「トライバル」)
どちらかというと西海岸に多い人々。ウェイストランド人の中でも、
独自のルールや宗教観を持ち、かつての人類のように血縁や氏族単位で纏まって生活する人々。
部族によってその性格は大きく異なり、近隣の街と積極的に交易を行っている友好的な部族もあれば、旅人を見かければ問答無用で襲い掛かって追い剥ぎを働くレイダー同然のものまで様々。
ただし、作中では曖昧な概念を持った呼称であり、単に閉鎖的なコミュニティを指して「部族」と呼ぶこともあれば、部族をまとめてレイダーとして揶揄する人物もいたり、そのまま「トライバル」という名称の敵キャラが登場したりしてかなりややこしい。
- スカベンジャー
荒野や廃墟を彷徨き、使えそうな物を拾っては商人に売ったり自分で使ったりして日々の糧を得ている人々のこと。ある意味、主人公の同業者とも言えなくもない。
基本的に戦闘能力はそれほど高くない個人事業主が多く、レイダーやその他の危険生物、暴走ロボットなどが徘徊する地域に入り込んで、そのまま黄泉路に直行する者も少なくない。
一方で、スカベンジで得たキャップを元手に用心棒としてレイダー崩れ等を雇入れ、ガラの悪い軍団を形成しているスカベンジャーも居る。
Fallout3では基本的には彼らの獲物を横取りしたりしない限りは無害だったが、Fallout4では一気に縄張り意識と凶暴性が増して近づくと攻撃してくるグループが出現するようになった。
放射能でゾンビのような姿に変異してしまった人間。脳まで被曝し、理性を喪失した似て非なるクリーチャーがフェラル。完全に近い放射能耐性と200年以上の寿命を持つ。
ある意味、世紀末世界に最も適応した人種(と生物)。詳細は該当記事参照。
人間の比ではない身体能力と引き換えに高い凶暴性を持つアボミネーション。
詳細は該当記事参照。
- バラモン
シリーズを通して登場する双頭のミュータント牛。野生・家畜問わずウェイストランド各地に棲息している。
非常に大人しい性格で、荷物持ちや農耕作業といった力仕事の他、糞は肥料に、肉と乳は食料に、骨と革は生活資材になるという万能家畜としてウェイストランド人に飼育されており、バラモンによる酪農業やキャラバンで財を成した者も珍しくない。
なお、力は強いが闘争本能が弱いせいか、ゲーム中ではしょっちゅう他の危険生物達の餌食にされているところをよく見かけることになる。
かつての米軍を母体とした、テクノロジーの管理と保全を目的とした軍事組織。
詳細は該当記事参照。
戦前の政府高官と軍産複合体を母胎とし、戦前からアメリカ政府を裏で操っていた秘密結社。
詳細は該当記事参照。
- 新カリフォルニア共和国(NCR)
グレート・ウォーから100年近く経って「建国」されたカリフォルニア及びネヴァダを拠点とするウェイストランド人による連邦・民主主義共和国家。秩序や法治、民主主義、貨幣経済といった旧世界の価値観や制度の復活を目指している。
元々はVault15の生存者達が中心となって築いたシェイディ・サンズという交易キャラバンと農業を生業とする小さな集落だったが、「1」の時代にVaultの住人に助けられたことを切掛に建国を宣言。
「2」の時代に選ばれし者の助けで勢力を大きく拡大し、アメリカ南西部全域を治めるほどにまで成長した。
「NV」の時点では70万以上の人口を抱え、技術力こそエンクレイヴやBoSに劣るものの、きちんと整備された常備軍をも備えるという、単純な規模と物量においてはアメリカのウェイストランドでは最大の勢力を誇る。しかし税金が恐ろしく高いうえ、派閥争いや組織的フットワークの重さといった民主主義国家特有の諸問題も抱えている。
エンクレイヴとは勿論、エリート主義のBoSとも仲が悪く、各地で散発的な小競り合いを繰り返しながら、長らく緊張状態にある。
- シーザー・リージョン
『NV』に登場する「シーザー」と呼ばれる一人の指導者に率いられる軍事国家。
登場は同作のみだが、元アリゾナ州フラッグスタッフを本拠地に80以上もの部族とモハビ・ウェイストランドに至る広大な領域を支配下に置く。極端な軍事国家でありながら経済管理もなされており、NCRにも劣らない勢力を誇る立派なアメリカ後継者候補の一角である。
徹底的な強権的・全体主義的男尊女卑社会であり、弱者は死ねと言わんばかりの過酷な労働環境で奴隷として使い捨て、未婚女性については性奴隷としても扱い、占領先では熾烈な弾圧と快楽殺人ゲームめいた処刑による統治を行う等、様々な悪評がある。
一方、ウェイストランド中で蔓延している麻薬には死刑で報いる潔癖な法が敷かれているが、これは戦前のテクノロジーを悪しきものとして否定する反科学主義に因るものであり、彼らはスティムパックのような有用な薬物の使用まで禁じている(薬草などを使った自然由来の治療薬や精神高揚薬は許可されている)。
ちなみに意外にも同性愛には寛容。
- チャイルド・オブ・アトム
『3』及び『4』に登場する新興宗教集団。他の呼称としては「CoA」や「アトム教団」等。
放射能その物を「アトム」という呼称で神聖視するという、ある意味Falloutらしい教団。
グレートウォーによる世界の崩壊は「アトムが争いにより歪みつつあった世界を放射能により『分界』し、リセットした」と定義付けている。
発祥は「3」の主要都市の一つメガトンであり、クロムウェル上級聴罪司祭というリーダーの元でアトムの教義を穏便に説きつつ、彼の人望もあって信者らを得ていたが、やがて信者の中からは独善的・暴力的な方法をもってしてもアトムの威光を広めんとする、所謂「タカ派」「過激派」が現れてしまう。
「4」でコモンウェルス各地に存在するのはクロムウェル上級聴罪司祭の手法を生温いと断じて勝手に分派したこのタカ派や過激派が大半だが、極僅かにではあるものの彼のやり方を倣って静かにアトムの教義を実践する分派も一応は居る。
敵として戦う場合はガンマ線銃やヌカグレネード等、超高濃度の放射能ダメージをもたらす武器を容赦無く向けてくる厄介な相手。
- ミニッツメン
『4』に登場する民兵組織。モデルがあり、アメリカ独立戦争時代に実際した同名の組織で当時のイギリスの脅威に対抗すべく結成された民兵組織が由来。
かつては連邦に暮らす人々をレイダーを始めとするならず者やスーパーミュータント等のアボミネーションから守り名を馳せていたが、やがて組織の巨大化に伴う派閥化やそれが原因の腐敗の横行、内部抗争の繰り返しにより瓦解し、信頼を殆ど失ってしまう事になった。
それでも連邦の人々にとっては希望の象徴であった為、人々の中には今も尚一縷の望みを掛けてミニッツメンに助けを求め、瓦解しても尚ミニッツメンとしての信念の元でそれを受け活動する僅かな生き残りもまた存在している。
- レールロード
『3』で名前と構成員が登場し、『4』で本格的にその活動を知る事になる地下組織。
こちらもミニッツメン同様、アメリカ独立戦争時代に迫害されていた黒人達の逃亡を手助けしていた解放組織「アンダーグラウンド・レイルロード」がモデル。構成員の役職に対するコードネームもそのレイルロードが実際に使用していたものである。
「3」では、101のアイツがアンドロイド≒人造人間の情報を探る情報をどこからか聞きつけて警告する(しかもどこにでも現れる、VR空間やエイリアンの宇宙船にも)という恐るべき諜報力を見せつけた。
「4」では連邦最大の謎にして脅威とされるインスティチュートが地上の人間達に紛れ込ませる「人造人間」、中でも生身の人間とほぼ変わらない体組織・体構造、更には自我や高い知能まで持つ「第三世代」の人造人間の中でインスティチュートの手を逃れ、自由を求める個体をその手助けをすべく秘密裏に活動を行い、時には奪還の為に派遣されるインスティチュートの戦力と一戦交える事も。
その活動が目立つようになってからはインスティチュート側からも要警戒の対象とされ、最近では連邦各地にあった秘密の拠点を悉く壊滅させられてしまい、残るのは旧ボストン市街の何処かにあるとされる本部だけと風前の灯火にまで追い詰められているらしいが…?
- インスティチュート
『4』に登場する、連邦を根城とする組織の中では最大にして最も謎に包まれてるとされる組織。その本拠地やメンバー、目的などほとんどが不明であるが、実在する事だけは全連邦で認められている。その技術力は戦前同等、一部分野ではそれ以上とも唄われている。唯一確かな存在の証拠であるのは人造人間であり、ごく稀に連邦で姿を見かけることがある。
人造人間は、優れた製品では人類と全く見分けがつかない。しかも過去にこの人造人間が連邦で正体を隠して恐ろしい惨劇を起こしたことがある。これが原因で連邦の人々の間では些細な疑いですら殺し合いに発展してしまう程の互いに対する強い不信感を抱かせており、人造人間を送り込むインスティチュートはアメリカの都市伝説「ブギーマン」の様な恐怖の対象として畏れられている。
アイテム
- Pip-Boy
Vaultの居住者が10歳から死ぬまでその身に装着を義務付けられる機械端末。
「3」の主人公がそう言及しているため、バイオメトリクスシールにより
神経と接続されており、死ぬまで外す事が出来ないと思われる事が多かったが、
普通に外している人も多いためこのあたりはモデルによって違うのかもしれない。
そもそも腕輪型ではなく、タブレット型で腕に装着していないケースもある。
体調管理及びアイテム管理機能やマップ、GPS、懐中電灯、ラジオ、ホロテープ再生、ガイガーカウンター、通信装置など様々な機能が搭載されており、便利で幅広い多機能性を誇る。また、戦闘向けの支援機構として「V.A.T.S.」システムも搭載されている。歴代主人公は全員がこれのお世話になっており、シリーズの顔役とも言えるガジェットの一つとなっている。
- Vaultジャンプスーツ
別名vaultスーツ。vaultの居住者すべてにその着用が義務付けられた制服。
青く染められたレザー調のジャンプスーツに、金のラインが入ったデザイン。
基本的には背中にそのVaultの番号がデカデカと刺繍されている。
作品によって微妙に差異があるが、「1」コンセプトアートなどでは身体にぴったりとした近未来的なデザインとなっている。
ゲームがVaultからスタートする場合はこれが初期装備になるが、主人公がVaultの住人でない作品では
ゲーム内で手に入れる事が出来るが初期装備ではない。
なお、「1」の主人公の活躍が伝説となっている「2」では聖衣のような扱いになっており、
試練を乗り越えた主人公が袖を通す事になる。
フュージョンコア(核融合電池)によって動く、米軍が開発・運用していた軍用パワードスーツ。
膠着した米中戦争の戦線を一気に動かした最新鋭兵器であり、その性能は「単機で街一つを地図から消し去るほど」とまで言われる。
Vaultスーツと並んでFalloutシリーズの顔であり、タイトル画面にも採用される。
ナンバリングタイトルではその作品の方向性を定める為、真っ先に新規デザインされる法則があり、
「1」ではT-51、「2」ではエンクレイヴ・アドバンスドパワーアーマー(当時はこう呼ばれていた)、「3」ではT-45、
「4」ではT-60がそれぞれタイトル画面に採用されている。
- G.E.C.K.
Garden of Eden Creation Kit(エデンの園作成キット)。シリーズにたびたび登場するキーアイテムの一つで、アタッシュケース程の大きさながら、都市一つ分の土地の放射能汚染を完全に浄化し土壌を耕作に適したものに作り替えるトンデモ装置。
Vault-Tec社が核戦争後の地表を再開発するために製造したが、全てのVaultに配備されたわけではなく
ごく一部のVaultにだけ配備された。
「じゃあ1個でも見つかったらそれでどこも再生すればいいじゃん」と思いきや、
そう都合の良いものではなく一度使用すると凄まじいエネルギーを発し、環境の浄化と引き換えに分解されてしまう事もあるらしい。
ちなみに「3」と「NV」ではMOD制作用のエディタとして同名で開発ツールと全く同じものが無料配布されており、
プレイヤーが望めば自力で新たなマップや装備を作り出す事が出来る…と、
ベセスダのユーモアとサービス精神溢れる事になっていた。