この記事には星のカービィディスカバリーの核心的なネタバレを含みます
おのれェ…
あれは一体、なんダ…？
あまたの 空間カラ
つかエルモノを 引きヨセタガ…
あんな ジャマモノガ まざってイタトハ…
マァ ヨィ…
モハヤ… サクを ネルノモ メンドウダ…
スベテ 喰ロウテ クレヨウ…！
概要
肩書きは「侵略種 フェクト・フォルガ」。
本作の黒幕であり、獣王レオンガルフが司令室にした廃研究所「ラボ・ディスカバール」の最奥に保管されていた生命体。
元々は『新世界』『忘れられた大地』とも呼ばれる同作の惑星の外より、単身で飛来してきた謎の侵略者(インベーダー)であり、コードネームは『ID-F86』。
本種は別個の名称を持つ多数の形態に変容する為、ガチャルポンなどでは統一してこのID-F86という名称が用いられている。
襲来してからは多くの原生種に対し侵略活動を続けていたが、多大な力と凶暴性を危険視したその世界の原住民たちによって研究対策チームが組織され、無力化・捕獲に成功。研究対象として保管される事になる。
特筆すべきは異空間を意のままに操る力を持っている点で、異なる時空へ容易に移動できるだけでなく、思念自体が一つの異空間として成立したり、全力を出せば異なる世界同士をぶつけて破壊してしまう事も可能という、恐ろしい力を秘めている。
その一生物が持ってよい域を超えた力から「究極の生命体」とも称され、原住民たちはその能力を解析・研究した末に、惑星間へのワープ技術を普及させる等、躍進的な発展を成し遂げた模様。
しかし捕獲から30年経った際、より大きなワープ実験を試みて失敗した結果、その存在は二つに分かれてしまい、片方はそのまま施設から脱走して行方不明に。
残った本体も本来のカタチを保てなくなり、以降観光名所にされるほど深く長い休眠状態に陥ることとなった。
そして人々は得た技術で手狭になった星を捨てて移住し、誰もいなくなった施設に残されること幾星霜。近年になって漸くある程度力が使えるまでに回復して目覚め、同様に残された動物の子孫であるビースト軍団を夢を見たまま思念波で誘導し、復活に向けて暗躍を始めた。
その為には体内から分離した片割れ、彼の侵略の野心から分離した小さな博愛の心…『ID-F87』フェクト・エフィリンと、大量の電力(エネルギー)が必要であり、使えそうな資源や労働力をかき集めるべく、数多の異世界とこの世界を繋いだ事が本作の発端であった。
全ては本来の力と姿を取り戻し、再び全てを喰らう蹂躙者へ返り咲くために。事実、完全体になった後は、他の星へ侵略しようと目論んでいたらしい。
このように、最近のカービィシリーズでは珍しい純粋悪の敵ボスである。
戦闘
幼体
培養カプセルの中に浮かぶ、胎児とエフィリンを合わせたような不気味な姿。普段閉じている瞼を見開くとギロリとした不気味な青色の目が現れる。
半身を失い、強大な力を支える肉体が維持できなくなった変質形態らしく、その体はカプセルの外に出るとドロドロに溶けたスライムの様になってしまう。
暴走形態
憑依したレオンガルフが倒されると本性を現し、肉体を維持するためにそのまま彼やビースト軍団の戦闘員達を液状の触手で取り込んでカービィ達に襲い掛かる。
その姿は、青緑のスライムからレオンガルフ達ビースト軍団の顔が浮き出し蠢いているという、SAN値直葬レベルの悍ましさである。
というか、もはやバイオハザードなどのホラーアクション作品に出るべき見た目である。
なお、クロコガブルやポイズンゲロムなど描写上では取り込まれていない団員のパーツも確認できる。
画面奥から狭い通路を強制スクロールの様に迫り、時節噛み付いたり、自分の体の一部を投げつけてくる。
そのため、フェクト・フォルガから逃げつつ、立ち止まったところを攻撃するのが戦闘の流れである。
なお、今作のボスは接触ダメージがないものが多いが、このボスでは接触ダメージがある（本来は触れたらアウトな類いであろうが、実際はダメージで済む。なお、戦闘中にコピーできる敵が出現するが、彼らがフェクト・フォルガに触れると一撃で倒される。取り込まれるよりマシとは言えるが）。
ラスボスの前哨戦としてそこまで強くはなく、ダメージを気にしないならあえて逃げずに接近し、コピー能力でゴリ押す事で素早く倒せられる（というのも、ラボ・ディスカバールにはミッションがないので、条件を気にしないで戦える）。
ただし、倒したと同時にダメージを受けるとコピーが剥がれ、その後のムービーでコピーが消えてしまう事もあるので注意。本編ならばその後にコピーの元が勢ぞろいしているが、コロシアムで戦った場合は控え室で同じコピーの元が置いてなければ回収不可能なのであしからず。
また、他のボスと異なり、ファイアで火だるまにならないし、アイスで凍らないので注意。体に火が付くものの炎を当て続けても火は大きくならず、アイスで若干動きは遅くなるが完全に停止せず、氷が割れた時のダメージがない。その代わり、床に火柱や氷塊を作って相手に踏ませる戦法が効果的。
さらに、戦場となる通路は、戦闘が長引くと行き止まりに行き当たるが、即死になるわけではなく、フェクト・フォルガが立ち止まり、ゲル飛ばししかしてこなくなる。
完全体
倒されると隙を突いてエフィリンを取り込み、屋上に移動して真の姿へと変化する。
余談
名前の由来はPerfect(完全)とForgotten(忘れられた)を合わせたものと思われる。英語版での名前は「Fecto Forgo」。Fectoもまたスペイン語で完全を意味する。
IDの中にある86という数字も、おなじみHAL研究所が元ネタと思われる。
宇宙の星々を破壊・搾取・同化して回る事自体を目的とした「侵略種」と呼べる存在は、様々な作品に時折登場しており、カービィシリーズならばダークマター族がそれに近い。
しかしここまで強大な存在でありながら、侵略先の住民には完全敗北を喫している異例な経歴の持ち主（類例としてはデデデ大王によって夢の泉ごと封印されたナイトメア、何者かによって宝箱に封じられていたダークゼロか）。
よっぽど当時の人々の技術が優れていたのか、それとも単に慢心してドジを踏んだだけなのかは、明言されていないため不明。
ちなみに、デデデ大王を洗脳してビースト軍団の幹部にしたのもこいつのテレパシーによるもの。…つくづく憑依や洗脳に縁のある男である。
逆に精神に隙がなく、己が精神との闘いに打ち勝ったメタナイトの洗脳には失敗したらしく、彼はワドルディの町の防衛を担う事となった。
ただし、メタナイトに関しては洗脳は失敗するものの彼の思念体そのものをこっそりと作り上げており、それはクリア後の終盤に姿を現す。
発売までは一部のファンから前例のように裏切るのではないかと疑われたエフィリンだったが、実際はフェクト・フォルガの中に僅かにあった博愛の精神であり、黒幕の一部ではあるが、純粋にカービィの仲間であるという珍しい立ち位置であった。
後にカービィによって救われたエフィリンは、カービィと共に世界を滅ぼそうとする本体に立ち向かっている。
冒頭の台詞はレオンガルフが口にしたのだが、描写を見るにフェクト・フォルガがレオンガルフを操り、彼の口を介して会話していたと見られる（角川つばさ文庫の小説版ではフェクト・フォルガがレオンを操って言わせたと明記されている）。
ただし、一部ではレオンガルフ戦前のレオンガルフの台詞もフェクト・フォルガが言わせたと捉えるユーザーもいる。もしそうならフォルガが自分で自分を美しいと賞賛した事になるのだが、公式で真相が未だに語られていないため、想像の範疇である事を留意しよう。
なお、ラボ・ディスカバールのロゴマークの新世界文字を解読すると、なんとHAL研究所(HALLAB)の文字が現れる。このロゴは道中の作業場ステージにもあるが所々掠れている。
更に、新世界の企業であるホラインコーポレーションやアライブルホールディングス、ライトロンワークスカンパニーの頭文字を取ると、HALになる。奇しくも、ガチャルポンの看板フィギュアの並びも上述のとおりである。
また、ワドルディシアターで鑑賞できる本作スタッフクレジット(＝HAL研究所スタッフ)のBGM名は「宇宙へと旅立った人々より」。
さらに、ID-F86の研究開発開始からワープ実験事故が起きるまでの30年という年数は、本作『星のカービィディスカバリー』が発売された2022年に星のカービィシリーズが30周年を迎える点と一致している。
もちろん、これらはただのネタである可能性もあるので留意しよう。
小説版
角川つばさ文庫による小説版では、ラボ・ディスカバールを探索したメタナイトとデデデ大王によって当時の資料が発見された。
それによると、フェクト・フォルガは空間転移能力を使って星々に飛来し、その星のあらゆる生き物を食らって力を蓄えて完全体になろうとし、すべてを食らい尽くしたら他の星へ向かうことを繰り返していたことが判明した。
このことを知ったデデデ大王は「究極の生物になったところで、周りに誰もいなくなったら意味がない」と呆れ、メタナイトは「侵略しなければ生きていられない存在なのだ。たとえ、全宇宙に自分しかいなくなっても」と推測している（その推測にデデデ大王は「哀れなやつだ」とこぼしていた）。
なお、フェクト・フォルガを見世物にし、あまつさえ放置して移住した原住民に、デデデ大王は「ID-F86よりタチの悪い連中」「どうしようもないヤツら」と不満をぶつけていた。
関連タグ
ショゴス：無数の目と口を持つ、流動体の怪物。相手を捕食しようと触手を伸ばすのも、暴走形態と共通している。
G生物、カーラ・ラダメス、エヴリン：バイオハザードシリーズに登場するボスキャラクター。暴走し、周囲を取り込みながら迫ってくるボスとして共通する。
ミュウツー、闘神レオソード：似たような設定のキャラクター。善の片割れも存在する。
パルキア：空間を自在に操る能力が類似している。神とも称されているので、ある意味では究極の生命体とも言えなくもない。
ギーグ：マザーシリーズに登場する宇宙人。マザー１では外宇宙から飛来し、自身はカプセルの中に閉じこもりつつ、自身のPSI能力を使い地球を侵略しようとするのが共通している
またマザー２でも登場するが１とは全く異なる姿で登場しており、こちらは完全に暴走している。
前者は古代種に対し侵略活動をして星のエネルギーを食らいつくそうとする・一度人類に捕獲されて研究対象となる・星の生物に取り憑いて侵略の手先とする、など。後者は星自体に寄生し、力を蓄えてから地上を破壊してテリトリーを形成するなどかなり悪質な侵略行為をしている。またどちらもその時代に君臨する勢力から研究対象とされ利用されているのも同じ（ただし、フォルガと違って、実際は逆に利用して暗躍していたのが正しい）。
じーさん：星のカービィとのコラボ回にて、フェクト・フォルガを彷彿とさせる姿になってしまったことがある(『なんと!』11巻を参照)。
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