紅殻のパンドラ
こうかくのぱんどら
概要
角川ニコニコエースで連載中の漫画作品。
『攻殻機動隊』や『アップルシード』などで有名な士郎正宗が原案を『エクセル・サーガ』など知られる六道神士が漫画を担当している。
元々はアニメ制作会社の発注に準じて作られた企画だったが、諸事情により、この企画は休眠状態になってしまった。その後、六道氏の手によって漫画化される運びとなった。
攻殻機動隊やアップルシード等と同じ士郎正宗原作世界のSF作品でありながら、六道神士のライトな作風と数々のパロディギャグによって非常に明るいテイスト(六道氏曰く「サイエンスふんわり」)の作品となっている。
9巻より六道氏の体調の都合で作画のみ春夏秋冬鈴氏に交代した。シナリオ、構成は引き続き六道氏が務める。
義体技術や電脳技術などの技術、大日本技研、セラノ・ゲノミクス、剣菱重工等の企業、秘密結社ポセイドンや「アポルシード計画」といった言葉が作中で登場するなど攻殻機動隊やアップルシード、仙術超攻殻ORIONとの関連性が見受けられる。
士郎正宗「原作世界」と同じ世界の物語であるが攻殻機動隊のスピンオフではなく、あくまでも独立した別作品(14巻巻末より)である。攻殻機動隊とアップルシードのような関係と言ったら理解しやすいだろう。単行本巻末の士郎正宗による設定解説は、攻殻機動隊本編で語られなかった設定やイラストなども公開されていてファン必見。(特に22巻には人形使いの本来の姿や人形使いと融合した素子の姿なども公開されている)
アニメ版の紅殻のパンドラは設定がかなり変更(削除)されており攻殻機動隊やアップルシード等との繋がりはないので混同しないように。大事なことなので繰り返すがアニメ版は士郎正宗の世界とは関係ない。
略称は「紅パン」。
ストーリー
時は近未来。技術先進国ではサイボーグや自律ロボットが一部ではあるが一般に出回り始め、世界各地で自然災害が頻発し、大国は技術や資源を奪い合い、
貧富の格差が拡大した混迷の時代。
誰もが無意識に免罪符を求めてさまよう出口のみえない過渡期・・・
これはそんな時代に全く関係なく彼女が彼女に出会う物語
脳以外、全身を機械化した「全身義体」の少女・福音(ねね)は、施設から親類の崑崙八仙拓美(ころばせたくみ)に引き取られ、拓美のいる人造リゾート島「セナンクル・アイランド」へ向かう。しかし、その道中で、謎の科学者「ウザル・デリラ」と、美少女型アンドロイド「クラリオン」に出会い、巨大自律型掘削機ブエルをめぐる騒動に巻き込まれてゆく。
登場人物
主人公
主人公。幼いころの事故が原因で、脳以外をすべて機械化した、世界でも稀有な「全身義体」の少女。義体技術が開発途上にある作中の時代では珍しく、義体を自由自在に操ることが可能な、いわゆる「適合者」である。
性格は明るく素直。同性ながら、クラリオンの可愛さに惚れている。夢は世界平和。
もう一人の主人公。ウザルの所有する戦闘用アンドロイド。
現在は福音に所有権が譲渡され、福音と行動を共にしている。
体内に「パンドーラ・デバイス」を始めとする多数の非合法の機密プログラムを保持している。
主人公の関係者
女科学者。ブエルを製作した全ての元凶とも言える愉快犯的な人物。
表向きは「レアー財団」の代表を務める実業家にして慈善家。一方で国際指名手配犯サハル・セヘラという裏の顔を持ち、アクロスを名乗る秘密組織を率いる等、謎多き女性。
電脳マーケティングを牛耳る「崑崙八仙財団」の総帥で、ウザルとは友人。福音の遠縁の親類で「適合者」である福音に興味を持ち、福音を施設から引き取った。作中の時代では珍しい電脳化した人間。極度の対人恐怖症で、本人は自宅のシェルターに引き籠っており、体を動かすのも面倒くさいらしく、身の回りの世話はすべてゲルコマにさせている。語尾に「だや」と付けて話す。
紅殻のパンドラ劇場アニメ記念byとらう | ブエルbyしぐ |
本体(背後の目玉の付いた球体) | 中枢制御ユニット |
ウザルが作り上げた、真希少金属を採掘するための巨大な「自律型採掘機」。本体は一つ目の黒い球体のような姿をしている。強力な兵器である「荷電粒子砲」を有しており、その戦闘能力は核兵器をも凌ぐとされている。現在、中枢制御ユニットは福音たちが持っており、本体は休止状態にある。
中枢制御ユニットは、5本の山羊の脚と獅子の頭を持つぬいぐるみのような姿。
尊大な物言いや変態発言をするため、クラリオンからぞんざいな扱いを受けている。
ウザルの部下たちの中でもリーダー格の女性。登場時、ウザルの趣味によってバニーガールの格好をしていたため、福音からバニーさんと呼ばれるようになった。処刑されそうになっている自身と仲間を救うため、クルツの使い走りを買って出る。エンジニアとしては優秀だが、バレバレな尾行を行うなど基本的にへっぽこで、ウザルによくおちょくられている。
- ウザルの部下たち
ウザルの率いる謎の組織の構成員達。ウザルに強制されて全員がコスプレをしている。ウザルのパワハラ・セクハラに耐えかね、彼女を裏切りブエルを奪おうとするが、ウザルの策略によってブエルが暴走してしまい、島軍にテロリストとして拘束される。その後、口封じのためポセイドンに身柄を奪われ、あわや処刑の危機に。
セナンクル島の住人
毎回冒頭に登場する、ティターンTVの新人リポーター兼売れないアイドル。名前が出るたびに何らかのアクシデントが起こったり、何かにさえぎられ、「ブリ(ン)」以降が言えない。報道畑からバラエティを経て、女優への2段変身を狙い、仕事の時はよくツインドリルのカメラマンと、長髪の音声担当と共に行動している。福音達の事件に毎回巻き込まれており、自身も気づかぬ内に(ウザルを除く)作中の誰よりも事の真相へ近づいている。
福音達がオクタクタ義体総合病院で知り合った右足を義体化した少女。性格は元気かつ活発で、他の子供たちからオヤブンと呼ばれ、慕われている。また、ブエルによる市街地破壊の被災者であり、やけにファンキーな祖母と共に避難生活を送っている。
福音達がヴァルカン港記念公園で出会った老婦人。右手の義体化に加えて人工臓器を装着しており、脚は動かないため車椅子を使用している。オンラインで管理されていた人工臓器が通信障害により不具合を起こし、一時危険な状態となるが、福音がパンドーラ・デバイス「救急救命士」を使用したことで一命を取り留めた。
実は世界有数の銃器メーカー「セブロ社」の創始者エルナンド・デ・セブロの後妻アンナハルナ・デ・セブロである。搭乗していた飛行機が墜落し、夫を失ったうえ自身は重傷を負い義体化を余儀なくされたのだが、福音達にはそのことを教えず「療養中のただのおばあちゃんアンナ・マルーカ」として接している。親族としてエルナンドと先妻の息子で現セブロCEOのアントーニョと自身の息子でビール工場経営者のガウスがいる。
- プロセルピナ・クラフトキエル(cv:津田美波)
ブリ…の後輩にあたるティターンTVの新人リポーター。素直で裏表のない性格で、ブリ…とは異なり功名心や出世欲はなく、着々とキャリアを伸ばしつつもそれを鼻にかけない。
ケリュケイオンによるソ連工作員襲撃を目撃し消されそうになった際にロバートに助けられたことがきっかけでロバートに好意を抱く。
セナンクル島警察(CPD)
- ロバート・アルトマン(cv:稲田徹)
元セナンクル防衛軍(CDF)の警察機構に所属する大尉。セナンクル島警察発足後は警部となりセナンクル島警察署長を務める。性格は紳士的で正義感が強く、困っている人を見たら助けないと気が済まない性分。
カラテ流ジュー・ジツの使い手であり、生身でフィアーと渡り合う程のワザマエを誇る。ケリュケイオンとの戦いで重傷を負い、公には死亡扱いとなる。
- ティム・バートン(cv:酒井敬幸)
ロバートの部下の黒人男性。警部補。ロバートがいなくなった後のセナンクル島警察署長代理を務める。
- クレール・ドニ(cv:水落幸子)
ロバートの部下の黒人女性。警部補。情報収集力に長け、通信の動きなどからクラリオンの襲撃で混乱状態にある米帝の動きを察知した。
- ジョー・ライト(cv:三木眞一郎)
ロバートの部下の白人男性。巡査。
- マイケル・カーティス
ロバートの部下の白人男性。巡査。
- パヤオ・ミヤザキ
ロバートの部下の高齢の男性。巡査部長。「捜査しねぇCPDはただの豚だ…」と思っている。
- 李安
ロバートの部下のアジア系男性。巡査。
- ジェーン・カンピオン
ロバートの部下の白人女性。巡査。
セナンクル島議会
セナンクル島議会議長。F県F市の某博士にとてもよく似た外見をしており、献金につられて一企業を優遇するなど腹黒い人物。また、公費横領等の汚職の噂があり、その豪華な私生活や所有する豪邸は海外メディアを通じて批判されている。
しかし、基本的には島や島民を第一に考えている上、政治的に複雑なセナンクル島の舵取りを行えるなど政治家としては優秀な人物である。
- ピーチ・ロード(cv:中西裕美子)
ノース議長の秘書。議長に対しては忠実ながら毒舌な一面も有する。スタンガンを携帯しており、議長に対し取材を敢行したブリ…を気絶させたこともある。
オクタクタ義体総合病院
本作の時代ではまだ珍しい義体専門医師。通称「トト先生」。オクタクタ義体総合病院に勤務し、福音とエイミーの担当医を務める。メガテク工業が最高の頭脳を結集した「NNRプロジェクト」にも義体の専門家として参加している。
クラリオンとフォボスのことを福音と同じ全身義体の適合者だと思い込んでいる。
メカにはシッポを付ける派。
- サマンサ(cv:橘U子)
オクタクタ義体総合病院に勤務する黒人看護婦。
秘密結社ポセイドン
米帝から派遣されたセナンクル島特別軍事顧問の米帝軍大佐。ウザルの部下たちの裏切りを手引きした黒幕で、ブエルの奪取を目論んでいる。他人に厳しく、無駄な時間を嫌う。
力による世界秩序の構築を目論み衰退しつつある帝国を見限りポセイドンと手を組んだ。自身を世界を統べるに相応しい天才と豪語していたが、組織からは大して期待されておらず、ウザルからも道化と評される。そしてブエルを巡る一件で福音たちに敗北し、米帝軍基地と共に最期を迎えた。
- フィアー(Fear)
クルツの護衛のコートを着た巨漢の大男。その正体はラブリュスがクルツに与えたポセイドンの戦闘用アンドロイド。数世代先の技術が搭載されており、金糸鋼製の強力な爪に加えて熱光学迷彩まで使える。クルツは最先端の兵器だと思い込んでいたが、実際には試作品であり、ラブリュスはより高性能なアンドロイドを開発していた。
高い戦闘力により福音とクラリオンを苦しめるが、原作では思いもよらないものを利用して撃破される。
- ラブリュス
ポセイドン科学技術部門大幹部の女性で、クルツの後任としてセナンクル島を訪れる。ウザルとは因縁があるようで顔の傷もその時つけられた。フィアーなどの戦闘用アンドロイドを開発した技術者。
- ケリュケイオン
アイギスと共にラブリュスの護衛を務める戦闘用アンドロイド。フィアーが備えていたものに似た金属製の爪と熱光学迷彩を駆使して戦う。ラブリュス曰く「最強の矛」。
ケリュケイオンとアイギスはフィアーの後継機で、試作機であるフィアーよりも小型になっている。また、命令を実行するのみだったフィアーとは違い、主人に進言するなど高性能のAIが備えられている。単独で任務にあたっていることもあるが、アイギスと連携させるのが本来の運用法である。
ソ連工作員襲撃に絡んでロバートと交戦し邪魔建てされたことに腹を立て、自己評価を満たすためにラブリュスの指示もなしにロバートを暗殺しようとする。
- アイギス
ケリュケイオンと共にラブリュスの護衛を務める戦闘用アンドロイド。熱光学迷彩で姿を隠し金糸鋼製の盾でラブリュスを守護する「最強の盾」。武装として、左掌にマシンガン・右腕に強力なパンチを繰り出すギミックが搭載されている。また、パンドーラ・デバイスを備えており、「小火器上級」や「対物及び近接戦闘」を使用することができる。
ソロモン級29番艦「アスタロト」及びその中枢神経的ユニット。自動陸上戦艦「アスタロト」は自己改修・補給を行いながら地雷処理用マイクロマシンを製造・散布する地雷処理マシン。
ブエル同様中枢神経的ユニットの表層基礎設定(パーソナルデータ)の設定はウザルの手によるものであるため、ブエルとよく似た性格の持ち主で、ブエルからは「心の友(マブダチ)」と呼ばれるほどの仲である。一方で拓美が表層基礎設定を行ったベルゼブブとはソリが合わず、アスタロトの方からアプローチしても無視されてしまっている。
サハラ砂漠の地雷処理を行っていた最中ひょんなことからブエルの撮影した拓美のフトモモ画像を手に入れ、ブエルに会いにセナンクル島を訪れるも、中枢神経的ユニットが従えている金属を「食べる」マイクロマシンによって島に騒動を引き起こしてしまう。
中枢神経的ユニットのデザインの元ネタは六道神士の過去作『Holy Brownie』の主人公フィオ。
ソロモン級1番艦「ベルゼブブ」及びその中枢神経的ユニット。巨大自動空中戦艦「ベルゼブブ」は自己改修・補給可能な放射能除去マシンであり、高空を浮遊し放射能除去マイクロマシンを内蔵したドローンを投下・回収することで放射能除去を行う。東京の放射能除去を行っていたが、これが完了したため現在はソ連に向かっている。
アスタロトとはソリが合わないらいしく、アスタロトから送られてきた「たまには2人であそぼーよ」とのメッセージに「仕事しろ」とそっけなく返した。
中枢神経的ユニットのデザインの元ネタは六道神士の過去作『Holy Brownie』の主人公ピオラ。
ラブリュスと共に島に来訪した、クラリオンの姉妹機。と言ってもラブリュスの手下というわけではなく、「お母さま(ウザル)」の居場所を探るという目的が一致したためポセイドンに協力していたに過ぎない。
クラリオンと同等か、それ以上の戦闘能力を有する。本人はことあるごとにクラリオンに優越した存在であると主張している(曰く「妹より優秀な姉などいない」)。外見は真っ白だが内面は腹黒く、自由奔放かつ好戦的な性格で、上品な振る舞いを好む。
クラリオンとの交戦後、福音達の元に身を寄せるが真意は不明。過去にクラリオンとの間に何かあったようで、クラリオンからは恐怖と警戒の対象となっている。
ブルックリン家
医療関係で名を馳せたブルックリン財閥の長。軍需産業に進出し、命を商売にしていることから「死の商人」との陰口をたたかれることもある。最近ポセイドンに勧誘された。
長年にわたり生命維持装置「クレイドル」の研究に心血を注いでいるが、これは病のために脳のみとなった娘シリルのためである。
もはやシリルは死んでいるのではないかと疑念を抱いていたが、パーティーで知り合った縁から邸宅に招待した福音とクラリオンの手によりシリルと邂逅を果たした。
もともと無愛想な顔つきであったがシリルと暮らすようになって笑顔の作り方を覚えた。
キース・ブルックリンの妻。偽装空間における仮象感覚の開発を行う現役の研究員でもある。
ブルックリン夫妻の娘。6歳だが「普通に産まれることを許されなかった」ために生身の身体を持ったことがない。シリルは本来男性名だが、あわてんぼうのキースが誤って名付けてしまった。
生まれてからずっと生命持装置「クレイドル」内部で脳のみの状態にあり、にもかかわらず外部の情報を取り込み自我を養ってきたのだが、外部の人間には姿も声も届けられない状態にあった。
唯一シリルのことを知覚できた福音がクラリオンと協力し、「クレイドル」のシステムを書き換え、シリルの全感覚の変換プロトコルを一から構築することで、両親との邂逅を果たした。
元は士郎正宗の成人向け画集『PIECES2 PhantomCats』に登場するキャラクター。名前の由来やブルックリン財閥総裁の娘といった設定も共通している。
その他
- P-2501
電脳空間でポセイドンを観測していた謎の存在。クルツの作戦失敗の要因が福音とクラリオンにあると考え2人に対する観測を開始する。テンションの高いしゃべり方をするが、これは福音達に用に構築した性格であり、そもそも人格や個性といったものは存在していない。その正体は日■の外■■■課で作ラレた情■■■■■用のプ■■■■■の幼少期。福音からの愛称は「ニコちゃん」で、本人も気に入っている。
- ペードロ
メガテク工業が「NNRプロジェクト」のために集めた「世界最高の頭脳」の一人。理凰の協力を得ながらトトとイルカ型義体の共同研究も行っている。名前、外見、口調すべてがF県F市の外国人労働者そっくり。「イシちゃん」という新妻がいる。
- 荒巻理凰(アラマキ・リオ)
福音たちがコロバセビーチACT2で出会った日本人少女。アンナが遭遇したのと同じ飛行機の墜落により瀕死の重傷を負ったため全身を義体化している。しかし適合者ではないため、義体化してから5年経つものの未だに自由には動けない。福音と同じ施設にいたことがあり、精密操作の練習として同じ病室の男の子と折り紙をしているところを福音に目撃されていた。
すごく大事な仕事をしているのでいつも変装してお見舞いに来るおじいちゃんがいる。
トトとペードロによるイルカ型全身義体の研究に協力して海中を泳いでいたところ義体トラブルに見舞われ、福音に制御を手伝ってもらった結果不思議な現象に陥る。
用語
セナンクル・アイランド
物語の舞台となる島。最高級リゾート島であり、かつ、最新設計の技術都市で、有名企業が数多く居を構えるシリコン・アイランド。しかし21世紀入ってから新たに生まれた火山島であり、一般人の入植が始まって5年しか経っていないため人口は4.2万人にとどまっている。
前述した通り新しい島であるため、生態系はほぼ人為的に持ち込まれたものである。河川が発達しておらず、雨量も少ないため自然に得られる真水は少ない。こうした事情により食料や真水の多くは大日本技研ファームランドのプラントで製造している。
どの国にも属さない独立自治区であり、独自の法、議会、行政府が存在している。ただし、その独立は大国の利権と結び付いているからこそのものである。このため、作中でたびたび米帝軍事顧問団の内政干渉を受けている。
セナンクル防衛軍(CDF)
セナンクル島が保有する軍隊、通称「島軍」。軍隊といってもその規模は小さく数カ国相手の安全保障条約がなければ役に立たない程度の戦力しかない。セナンクル島自体が国家として複雑な状態にあるため警察が存在せず、このCDFの一部が警察の役割を果たしているが、手が全く足りておらずブエル騒動後の島の治安悪化についていけていなかった。
セナンクル警察(CPD)
ロバートが議長との政治交渉によって(実際は汚職の証拠を突き付けて半ば無理やり)設立させた警察組織。クルツ大佐に他国の軍が手を出すのは国際問題になりかねないため、警察組織へ転身(と同時に外交交渉によるクルツ大佐の軍籍剥奪)することによってそれを乗り越えた。テロ事件以降は着々と治安の回復に成功している模様。
ちなみに、現在までに登場している警官の名前はすべて映画監督に由来する。
パンドーラ・デバイス
本来は人型ロボット用の動作補助アプリケーションとして開発されたもので、様々な技術をプログラム化したもの。その内容は近接戦闘から料理など多種多様。開発方法が1ダースくらいの国際法に触れ、お蔵入りになった。そのため、外部に漏れないように使用期限が存在する。
元は大日本技研が日本政府からの要請で開発したもので、当時ポセイドンの研究員だった386号(サハル)が開発を担当した。
義体
義手や義足と同様、広い意味での人工の身体部の呼称。"劇中の時代"では発展途上の技術である。過酷なリハビリを通じてようやく不器用な動作が可能になることがほとんどであり、義体に適合できず死に至る事例さえある状況である。一方、体質や才能によっては義体を生身以上に自由自在に操る者もごく少数ながら存在し、「適合者(アプデタ)」と呼ばれている。適合者は、全世界でも数件しか報告されておらず、全員が10代以下の年齢であるほかは公表されていない。
非適合者向けのより扱いやすい全身義体として、イルカ型義体の研究等も行われている。
電脳化
神経細胞とマイクロマシンを結合させることにより神経細胞と外界を直結する技術。この時代では行政や人権団体等がもめており、電脳化する者は少なく、電脳化率の高いセナンクル島ですら3%、全世界的には0.1%の普及にとどまっている。
また、義体技術が発展途上であるため電脳化で得られる利便性がそこまで高くなく、一般人にも広まってないが大企業や公的機関は将来を見据え密かに電脳化を推奨している。
Fポート
正式名称「Finger tip Port」マイクロマシンをつかった生体多機能端末。Fingerと言っても指に付けなければならないわけではなく、他の場所に付けることもできる。国際個人認証システムとして開発され最も安価で安全なシステム、デバイスとして普及している。電脳化と違いあくまでネットワークを媒介するための端末にすぎないが一般人にはまだまだ違いが伝わっていない。
光学迷彩
ホログラムで背景を投影し視覚的に対象を透明化する技術。福音がパンドーラデバイスを使用する時には変装のため光学迷彩を応用し服を着替えさせ変身した様に見せかけている(まったくの別人に姿を変えたこともある)。あくまで可視光線のみを欺瞞するものなので、赤外線センサーや感圧センサーによって居場所を察知されてしまう欠点を抱えている。
開発途上の発展技術として、赤外線センサーをも欺瞞する「熱光学迷彩」が存在するが、現時点で完成品を保有しているのはポセイドンのみである。
自立型歩脚汎用ロボット・ゲルツェコマ
通称ゲルコマ。ウザルと拓美が開発した自立型AIロボット。卵のような形状をしている。機構のユニット化により簡便なオプション変更ができ、あらゆる事態に対応して性能を調整できる。
アニメ
2016年1月8日よりテレビアニメが放送決定。TOKYOMX、テレビ埼玉、千葉テレビ、tvk、三重テレビ、岐阜放送、サンテレビなどの角川UHFアニメ常連局9局に加え、KBS京都でも放送される。
これに先んじて2015年12月5日より角川シネマ新宿他全国3箇所にて2週間の期間限定イベント上映形態として50分の劇場アニメが先行公開された。
主題歌
オープニングテーマ … 「hopeness」/ 作詩・作曲・編曲 - ZAQ/ 歌 - ZAQ
エンディングテーマ … 「LoSe±CoNtRoL」/ 作詩・作曲 - ZAQ/ 編曲 - TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND/ 歌 - 七転福音(福 沙奈恵)・クラリオン(沼倉 愛美)
第4話挿入歌 … 「EX-librist」/作詞 - Yohei Matsui/ 作曲・編曲 - Tomohisa Ishikawa/ 歌 - TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.佐咲紗花
攻殻機動隊ARISEとの関係・裏話
紅殻のパンドラは当初「GHOST URN」という名で企画され、初期プロットでは攻殻機動隊ARISEと世界観を同一にしていた。初期プロットでは、ウザルは攻殻機動隊ARISE第3話及び第4話に登場するサイードと同一人物であり、彼女やクラリオン、試作型ブエルが攻殻機動隊ARISEに登場することになっていた。また、攻殻機動隊ARISEに登場するクルツも元々はGHOST URNのキャラクターであり、紅殻のパンドラのクルツ大佐の位置のキャラクターであった。同名なのはその名残である。
単行本巻末に掲載されている企画初期のイラストでは、クルツ大佐以外にもサイードを護衛していたサイボーグやホヅミ・ナミ大佐など、ARISEの登場人物の原型となったと思われるキャラクターが掲載されている。
ウザル達は攻殻機動隊ARISEの事件後セナンクル島に移住し、それから数年後の世界がGHOST URNの舞台になる予定であった。しかし、GHOST URNのアニメ企画が諸般の事情で中止になりKADOKAWAが漫画として企画を再始動させるのに当たり、設定とキャラクターの再構成が行われた。それにより世界設定は攻殻機動隊ARISEの時代よりも前ということになり、同一人物であったGHOST URN側のキャラクターと攻殻機動隊ARISE側のキャラクターが分離され、題名も紅殻のパンドラ-GHOST URN-となった。
結論を言うと現在の両者の世界観は別物である
「攻殻のパンドラ」は士郎正宗の漫画版原作と同じであるが「攻殻機動隊ARISE」はアニメ独自の設定となっている