概要
大宮駅(埼玉県さいたま市大宮区)から川越駅(川越市)を経由し高麗川駅(日高市)までを結ぶ。総延長30.6km。
1940年開業。もとは東北本線と八高線のバイパスとして計画された路線で、軍事的用途もあって計画提示から僅か6年で全線同時開業に至ったという異色の経歴を持つ。川越線とは言うが川越は途中駅で、終点ではない。
戦後暫くの間はこの路線単独で都心に行けないことが災いしてテコ入れが一切行われず、タラコ色をした3~4両の気動車が田園風景の中をゴトゴトと音を立てて長閑に走り抜けるという、タラコ以外は現在の八高線非電化区間同様の光景が広がっていた。
(イメージ図。路線は異なるがだいたいあってる)
ちなみにこの頃から八高線との直通運転は部分的に行われており、東飯能駅まで乗り入れる列車が数本あった。八高線の状態も川越線といい勝負だった。
また、その昔は大宮工場が近くにあったことから、新型気動車の試運転に同線がよく使われていた。
だが1985年に埼京線が開業すると同時に全線電化され、川越駅以東は同線と(現在はさらに伸びてりんかい線、相鉄新横浜線及び相鉄本線とも)直通運転を行うことで都心輸送の一翼を担うことになった。
また、埼京線及び川越線電車の車両基地である川越車両センター(旧川越電車区)が沿線の南古谷駅~指扇駅間に設置された。
川越駅以西については1996年に八高線の八王子駅~高麗川駅間が電化されて以降は同区間との直通運転を行う電車が多く、事実上川越駅を境に別系統化している。
余談だが、大宮駅-高麗川駅間を通しで運行していた定期列車は1989年をもって終了している。
尚、川越東線に関しては単線区間では最も利用者が多い区間となっている。
その為、複線化する計画などがあるが埼京線の混雑や費用対効果などが理由で進んでいない。
しかし、2023年(令和5年)3月2日に起きた指扇駅~南古谷駅間で発生した単線区間の同時侵入によって単線区間の拙さが露呈された格好となった。
どこからどこまでが川越線か
川越線という名は知っているが、その正確な区間を答えられる人は中々いないようだ。
無論正解は上記の通り「大宮-高麗川」なのだが、
- 「大宮-川越」が川越線、「川越-高麗川」は八高線
- 「川越-高麗川」が川越線、「大宮-川越」は埼京線
と、直通運転先の路線と混同しているケースが利用者の間で見られる。
川越線のみを運行する列車が殆どないのもそうだが、「川越線というんだから川越が終点なんだろう」という連想がしやすいのも原因の1つとみられる。
駅一覧
使用車両
現在の使用車両
- E233系7000番台:大宮〜川越
- 209系3500番台:南古谷〜高麗川
- E231系3000番台:南古谷〜高麗川
- 東京臨海高速鉄道70-000形:大宮〜川越
この他営業運転では使用されていないが、相鉄12000系が大宮〜川越間で入線実績がある。
過去の使用車両
- キハ10系:大宮〜高麗川
- キハ20系:大宮〜高麗川
- キハ35系:大宮〜高麗川
- 103系:大宮〜川越
- 103系3000番台:大宮〜高麗川
- 103系3500番台:南古谷〜高麗川
- 205系0番台:大宮〜川越
- 205系3000番台:南古谷〜高麗川
- 209系3000番台:南古谷〜高麗川
- 209系3100番台:南古谷〜高麗川
- 201系0番台:川越〜高麗川
※豊田車両センター所属。2003年に103系の車両故障による車両不足に伴い一時的に運用に就いた。
- 115系300番台:大宮〜川越
※豊田車両センター所属。2013年に臨時快速「おさんぽ川越号」で入線。
- E531系:大宮〜川越
※勝田車両センター所属。2014年に臨時快速「おさんぽ川越号」で付属編成が入線。
- E231系1000番台:大宮〜川越
※小山車両センター所属。2015年に臨時快速「おさんぽ川越号」で付属編成が入線。
- 651系0番台:大宮〜川越
※勝田車両センター所属。2015年に臨時快速「ぶらり川越号」で基本編成が入線。
川越線デッドロック
令和5年3月2日22時前、指扇駅〜南古谷駅の単線区間に、大宮行きと川越行きの上下列車が、両端から同時侵入し、距離600mまで接近するニアミス事故が発生した。
安全装置が作動したため正面衝突には至らなかったものの、この影響で同線の埼京線直通区間はおよそ3時間わたって運転見合わせとなり、乗客が車内に取り残された。
このニアミス事故は、SNS上で「#川越線デッドロック」もしくは「でっど・ざ・ろっく!」の名で話題となり、また事故当該の2列車のうち1本が「ラブライブ!」スピンオフ作品のコラボ列車であったことから、同作品のファンにも注目を集めることとなった。
事故直前、川越線はこの区間にある荒川橋梁で制限を超える強風が観測されたため、2時間半以上に渡って運転を見合わせ(埼京線内の折り返し運転)ており、運転再開時に通常のダイヤとは異なる車両のやりくりをしたことが一因となったと考えられる。実質6時間にわたってストップする事態となった。