概要
バイオハザードシリーズに登場する寄生生物であり、バイオハザード4より初登場し、『4』『5』で物語の中核を担った。
RESIDENTEVILの主題歌「Praga」。
名称はスペイン語で「害虫」を意味する「Las Plagas」に由来しており、『4』の舞台であるスペインのある地域を統治していたサラザール家の城の地下に封印されていたが、ロス・イルミナドス教団の教祖オズムンド・サドラーに付け入られた現城主のラモン・サラザールにより解き放たれ、ミイラ化していたプラーガが放った微細な胞子を村人が吸い込んだことで復活した。
この生物に寄生された人間はガナード(家畜)と呼ばれ、その後に改良され正式B.O.W.と認可されたプラーガを植え付けられた者はマジニ(悪霊)と称された。
シリーズ最初のフルモデルチェンジに伴い、従来のT-ウイルスの感染によるゾンビではなく、武器を使いこなしたり、仲間同士でコミュニケーションを取って襲いかかるなど、人間的な知性を限りなく残していながら、狂気的な殺意を持って襲い来る姿に、登場当初はプレイヤーたちを驚愕させた。
見る人によっては、寄生虫にとって元々の宿主の肉体はもはや着ぐるみ(魂の器)の様に扱われている様に思うかもしれない。
実際、バイオ4開発スタッフが監修した『バイオハザード4 解体真書:改訂版』に収録されている短編小説では、レオンが
- 「すべてを掌握しているつもりのサドラーでさえ、気づかぬうちにプラーガという未知の寄生生物に利用されていたのかも知れない」
- 「サドラーの肉体は、さながら羽化した虫に捨てられた蛹(さなぎ)の抜け殼のよう」
と回想している(451ページ「EPILOGUE:Dawn of the Life」)。
RE:4ではその方面を突き詰めたかのような性質を持っている。
生態
寄生生物でありながら真社会性生物でもあり、何らかの生物に寄生した上で、他のプラーガとコミュニケーションをとり、緻密な社会を構築する。寄生された生物は以前の知能を維持するが、元々の人格は消え、その行動の主導権はプラーガに移る。
外敵に対して攻撃的である上、寄生した生物の運動能力を上昇させる。また、体内で成長したプラーガは、特に宿主の脳が何らかの要因で機能停止した場合はプラーガ自体が激しい変異を起こし、巨大な触手を表出させ宿主を制御しようとする。
一部のプラーガは「支配種」と呼ばれ、プラーガが構築する社会を支配する。支配種に寄生された生物は知能はもちろん自我も失うことなく、通常のプラーガ(従属種)に寄生された他の人間たちを使役できるようになる。この性質上、『4』以降の敵は、知能を失ったゾンビではなく、人間としての知能をある程度維持し、時には支配種の指示で連携して襲い掛かってくるテロリストのような存在となった。
上述したスペインの田舎にかつて生息していたようで、ラモン以前の当主たちによって封印され続けてしまい、ほとんどのプラーガはその過程で死滅・ミイラ化したが、一部の個体が胞子のような姿で眠っており、サドラーが教祖となったロス・イルミナドス教団によって発掘され、その際に作業に駆り出された村の村人の体内で復活を遂げた。さらにはエイダを経由してウェスカーの手に渡り、新たな生物兵器として猛威を振るうようになった。
ちなみに支配種は従属種と比べると個体数が少なく、宿主の自我が残る故に反乱のリスクがある。そのためか、支配種を与えられる者は幹部クラスに限られており、部下をあまり信用しないサドラーは支配種の扱いに対しては慎重であった。
また、支配種を宿した者は従属種のプラーガを操ったり、それらを宿したガナードやB.O.W.以上の力を有するだけでなく、力を解放する事で圧倒的な戦闘能力を有する肉体へと変異するが、それ即ち人間としての姿を捨てて名実ともに悍ましい怪物になる事に等しく、作中で明言されたわけではないが十中八九、一度力を開放してしまったら人間の姿に戻る事はできない。
『4』では胞子(卵)が体内に入っても個人差で発芽まで時間がかかるという生物兵器としては致命的な難点も持ち合わせており、卵の段階なら専用の薬で除去が可能かつ効能が持続中なら再度注入されても侵食を防ぐことが可能。もし孵化した後でも一時的に成長と侵食の抑制は可能で成長しても幼虫かつまだ宿主の意識が残っている状態であれば特殊な放射線で除去が可能。(成虫になっていたら宿主ごと死亡する)
なお、この放射線除去は宿主の神経に繋がり始めているプラーガを通じて宿主本人に相当な苦痛を与え、なおかつ除去後に重篤な意識障害の後遺症のリスクまで孕んでいるが、この装置で除去を行なったレオンとアシュリーは幸いにも後遺症が残る事は無かった。
『5』ではその難点を改良したタイプ2が登場。更に各プラーガごとに繁殖能力も付加され自身で仔となる新たなプラーガをさらに次の人間へ植え付けることも出来る。
その植え付け方は、既に発芽し人間の拳ほどの大きさに成長したプラーガを無理矢理飲み込ませるというやり方である。体内に侵入されるとプラーガは宿主の食道を食い破りつつ中枢神経に取り付き、わずか10数秒で宿主を支配する恐怖の兵器となっている。
『5』ではこの性質ゆえ舞台となったアフリカ大陸で凄まじいスピードでマジニが大量増殖している。
その後、更に身体能力の強化をコンセプトに従属種のプラーガに支配種の因子を組み込んだタイプ3も存在する。これにより脚力(跳躍力)は目を見張る進化を見せたものの、支配種の持つ変異性が強く作用してしまい皮膚の変色や壊死、一部の宿主が巨大化、更には女性や子供は寄生に耐え切れず男性しか定着しないという、プラーガの優位性を損なうとして失敗作の烙印を押された。
普段は人間のように暮らしているが、その生活はかつての記憶をなぞっているだけに過ぎず、基本的に従属種のプラーガを宿したガナードやマジニに衛生概念は皆無で、身なりは常に薄汚く、ガナードの暮らす家では腐った料理や、蝿が集った生肉、果ては人間のものと思しき骨や髪の毛が混ざった料理がテーブルに置かれていたりする。
(re4に置いては便所を利用している個体が存在するため、一応「排泄は特定の場所でするもの」というペットの躾的な刷り込みは残っているらしい)
プラーガに寄生されていない生物を発見すると即座に排除行動に移る。
文化性は失っているものの、人間としての知能は維持しているため、道具を用いて襲ってくるほか、互いにコミュニケーションをとり、敵が高所に逃げれば協力して梯子を用意したりする。しかし、前述通り宿主の記憶をトレースしているに過ぎないためか学習能力は無いようで、他の仲間を巻き込んだり自分たちの罠に掛かったりと、T-ウイルスに感染したゾンビと比較し“あくまで完全に本能に呑まれているゾンビらと比べれば知能が高い”に過ぎない。(理性と行動原理がムシケラと同レベルというだけで前述通り知性そのものは人のまま、使いこなせないだけである)
『5』での改良されたタイプ2でもその根本の性質は変わらないが、支配種とは別系統の制御方法が確立され、平時は凶暴性を低く抑制する事で社会潜伏もしやすく、衛生面も前作に比べれば格段に改善された。
さらにより大規模な集団で襲いかかったり、運動神経の向上によってバイクを巧みに乗り回すなどして襲撃してくる。
特に雇われの傭兵たちが寄生された時は、ガナードでは一部でしか扱いきれなかったロケットランチャーどころかアサルトライフルを正確に撃ってくる、逆に相手の射線は側転や物陰に隠れて回避する、さらに物陰に隠れた相手に手榴弾や閃光手榴弾も使うなどさらに知能が高くなっている。
ガナード、マジニ共に、中にはバリケードを突き破りチェーンソーを振り回したり、ガトリングを乱射してくるなど危険な奴も。
『ダムネーション』では従属種をB.O.W.に植え付けて、支配種を自ら取り込んだ人間がそれをコントロールする事によって、今まで制御が難しかったリッカーを操る事に成功している。
(この為、今まで聴覚でしか相手を探す事が出来なかったリッカーが、的確に相手を選定して攻撃する事が可能になった)
また、黒幕の勢力の技術によって(ロス・イルミナドスでは不可能とされた)支配種の大量生産を実現させている。
『4』のリメイクであるRE:4ではさまざまな新設定が追加される一方、各プレイヤーの作中ファイル解読の方法違いやオリジナルと混同することもあって、現時点プレイヤーの間によく見かけた推測に食い違い点が多い。例えば:
- 支配種持つのサドラー自身も聖体と呼ばれたプラーガの苗床に従う節があるから、彼も精神汚染されて操られたと推測
- 品種改良された上位種も存在する。その内容からプレイヤーからオリジナル版支配種相当と推測されやすいが、こちらはレオン編時点ファイルは変異能力無しの代わりに知能への影響が皆無(ただし教団への狂信と忠誠が植え付けられる)かつ量産可能な代物で、確定に使われたのは頭脳担当の幹部や教団の味方にしたい敵方の人間(アシュリーやレオンなど)。ルイスに投与されたのもこの上位種と思われる。
同じく新規キーワードとして、プラーガの成長を加速させる黒い水が追加された。この黒い水はU-1やU-2、そしてU-3の作成にも必須である模様。変異したサラザールやサドラーがゲロ攻撃で吐き出していたのもこの黒い水と思われる。
またリメイクに際して、何処ぞの金属生命体や何処ぞの知的生命体限定の寄生虫、そして何処ぞの機械化生命体や何処ぞの生者を殺して仲間にする死体の様なハイヴマインドとしての特性まで追加された。
上述の母体はプラーガ・ハイヴマインドの中枢を担っており、母体が死亡すると従属種プラーガやそれに寄生された生物などは混乱状態に陥り、行動不能になる(支配種に関しては、宿主がその時点で全員死亡していた為、不明)。
後のエイダ編ファイルでは「クラウザー変異が上位種にアンバーよる強化」とされ、サドラー以外ネームドキャラが上位種の可能性が再び浮上したが、『5』あるいは推測中のリメイク版に繋げるために追加された設定の可能性もある。(ウェスカーの目標も支配種というよりはアンバー)
ネタバレの余談だが、エイダの寄生はプラーガではなくその刺客の体組織であるためか、最終的には刺客の完全撃破で解決される。
実写版
実写映画6部作では「プラーガ寄生体」と呼ばれるアンブレラの生物兵器という設定であり、ガナードに相当するプラーガ・アンデッドが生み出されている。
支配種と従属種の特徴を兼ね備えているようであり、劇中で投与したある人物が人間の姿を保ったまま超人となる等、タイプ3の完成形とも呼べる仕様であった。
関連タグ
特異菌:こちらと線虫を組み合わせたカドゥはプラーガと特性が酷似しており、RE:4では支配種の性質が特異菌そのものに非常に近くなった。
NE-α:シリーズにおける寄生生物繋がり。こちらは逆に高度な知能を宿主に与える性質を持ち、『ダムネーション』と同様に制御が難しいB.O.W.に寄生させる事が前提となっている。
マラコーダ:ウイルスで突然変異した現生種の寄生虫。
フラッド:HALOシリーズに登場する生物兵器。寄生した宿主を怪物に変異させる、集合精神的な要素持つという共通点を持つ。ただし、寄生する対象は知的生命体に限られる。
マーカー:『マーカーを神の遺物として崇拝する教団が存在する』『周囲の人間を精神汚染という形で異形の怪物に変貌させる』『the moonと呼ばれる集合精神の母体が存在する』等とリメイク版では多くの共通点を持つ。