「壊れた幻想」とは、TYPE-MOONのゲーム『Fate』シリーズにおける、いわゆる必殺技の一つである。
概説
訓みは『ブロークン・ファンタズム』。
宝具によっては本来の威力を越えたダメージを与えるが、使用するということは「わずかしか持たない切り札の破壊」と同義であり、加えて宝具の修復は困難であるため、まず使われることはない手段である。
使用者
第五次のアーチャーがこれを得意技とし、平気で使えるのは『無限の剣製』の特性によるもの。
キャスターのギルガメッシュの宝具『王の号砲』は、砲台に装填した財宝を「壊れた幻想」で威力強化し射出する物となっている。
『王の財宝』によって無数の宝具を持つ彼だからこそできる攻撃である。
とはいえ財宝全てが替えの利かない一点物である為流石に断腸の思いではあるらしいが。
東方の大英雄・アーラシュの宝具『流星一条』は、逸話になぞられてアーラシュの霊核さえも対価とする正真正銘の自爆宝具。
一度の現界で一度しか使えず、また自身も消滅する二重の「壊れた幻想」となっている。
三国無双の腹心の軍師の宝具『掎角一陣』も、性質は『流星一条』とほぼ同様。
唯一違うのは、超小型の魔術装置で対象の魔術回路を過剰に活性させ、暴走させた末に自爆に至らしめるという人道を無視した極めて悪質な特攻戦術である点。
つまり、自爆するのは自分ではなく別の誰かである。
さらに突き詰めると魔術回路さえあればなんでもいいという疑惑さえあり、手駒を無数に用意できるならこのえげつない攻撃を乱射することさえ可能らしい。
疑似的な「壊れた幻想」
宝具そのものに魔力を過剰供給して破壊するのではなく、現界に必要な魔力さえすべて宝具解放に注入するという方法で、疑似的に「壊れた幻想」を再現することも可能。
当然だが現界は保てず、霊核も魔力不足によって崩壊を起こす。
ただしその際の宝具出力は、場合によっては神霊クラスの強敵にさえ一矢報い得る力を発揮する。
存在そのものを最大火力に転換する、いえば「宝具による特攻」といえる。
例として
FGO第2部2章におけるナポレオンの『凱旋を高らかに告げる虹弓』
が挙げられる。
この方法を使用するサーヴァントは、生前に得た武器が昇華した宝具ではなく、生前に得た秘術や生き様そのものを宝具として昇華させた者が多い。
類似宝具
- 紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)
- 百合の花舞う百花繚乱(フルール・ド・リス)
- セイバー「シュヴァリエ・デオン」の宝具。百人居れば百人が見つめ、千人居れば千人が心奪われる花を舞わせる宝具。自身の全魔力と引き換えに放つ奥の手である。
- 磔刑の雷樹(ブラステッド・ツリー)
- バーサーカー「フランケンシュタイン」の宝具。「乙女の貞節」を地面に突き立て、聳え立つ大樹のような強烈な雷撃を放つ。全リミッターを解除した最大出力で放った場合、使用者は消滅するが、低い確率で近くの死体などに伝播し第二のフランケンシュタインの怪物を生む可能性がある。
- 記別・旃檀功徳(きべつ・せんだんくどく)
- 訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの(アルス・ノヴァ)
- 三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)
- セイバー「鈴鹿御前」の宝具。愛剣、顕明連を朝日に当てる事で三千大千世界……あらゆる世界、並行世界すらも太刀の中に作り出し見渡す事が出来る。早い話が疑似的な千里眼である。ただし、展開中は徐々に元の姿(立烏帽子を被った姿)へと戻ってしまい、果てはサーヴァントとして存在できなくなり、消滅してしまう。
- 魔王回天・曼殊沙華(まおうかいてん・ひがんばな)
- 嗚呼、この惨たらしくも優しい現実を(トリステ・スアペ・アロンソ・キハーノ)
- 灰燼の叡智(ソーテール)
- アーチャー「プトレマイオス」の宝具。彼が持つ二つの宝具と自身の霊基とを合体させ、その全てを純粋な光の砲撃に転化し使い潰すという「三重の壊れた幻想」の続例。
TYPE-MOON作品内における類似例
- 魔眼蒐集列車
- 魔法使いの夜、ロード・エルメロイⅡ世の事件簿、FGO×事件簿コラボイベントなどで登場した列車。商品として陳列している魔眼を1回きりで焼き切らすのと引き換えに数百~数千倍の威力で行使する、魔眼大投射という機能を持つ。
- ファンタズム・オーバーロード
- ロード・エルメロイⅡ世の冒険で登場した考古学科のロード、カルマグリフ・メルアステア・ドリュークの奥の手。焼け付いてしまう勢いで秘宝を過剰駆動させることにより、焼け付くまでの束の間に神代以上の力を発揮させる。壊れた幻想と同じく自壊前提のように見えるが、秘宝が焼け付くのは『多くの場合』であるとされているため、秘宝次第では連続使用ができてしまう可能性が高い。
- 静希草十郎
- 魔法使いの夜の登場人物。『究極の献身。もしくは捨身』『人体合理の極北』と称される、自己保存を顧みないことを前提とした超人的な体術の使い手。作中で使用した際に彼の左腕は筋肉繊維がはじけ散り、右腕側も肩の筋組織まで破裂し、左足と内臓はそれ以上の損傷を負うこととなった。翼を失った鳥と同様の『生きるためのカタチを捨てた、終わった命』と形容されるほどに酷い容態だが、当の本人はこうなることを承知の上で苦悶一つ漏らすことなくこの体術を行使した。