概要
自らを『異端児(ゼノス)』と称するモンスターの一派。
通常のモンスター達と異なり、高い知性や心といった理知を備えているのが最大の特徴で、人間の言葉を理解し話す者もいる。また、容貌が元の種と大きく異なる者もおり、特に性別が女性(メス)となるモンスターの場合は、並の人間よりも美しい外見をしているケースも少なくない。
迷宮(ダンジョン)でモンスターが産まれない「安全階層(セーフティポイント)」を『隠れ里』として拠点にしている。
なお、彼らの『異端児(ゼノス)』という呼称はウラノスが付けたもので、神々の言葉で『異端』を意味している。(ちなみに「ゼノス(Xenos)」はギリシャ語で「客」「外国人」「異分子」「不思議」「異邦人」等の意味を持つ)
通常のモンスター達からは「裏切者」という認識になっており、見つかったら命を狙われる身となっている。
それ故に、冒険者の遺品となる武器や防具で武装したり、同じ異端児(ゼノス)同士で集まり助け合い生き延びてきた。また、通常のモンスターを倒して得た魔石を喰らう事で強化種にもなっており、そこに知性が加わる事によって多くが上級冒険者以上の戦闘力を持っている。
中でも異端児(ゼノス)のまとめ役であるリド、グロス、レイの3人はLv.5相当の実力者で、新入りのアステリオスに至ってはLv.7相当という作中最強クラスの実力を有しており、異端児(ゼノス)の総戦力はオラリオの大派閥にも引けを取らない。
本編よりおよそ16年程前、当時ウラノスと深い繋がりがあった派閥によって、初めてその存在が確認された。
ただし、フェルズによると、30年以上前には最初の異端児(ゼノス)である『原初の異端児(ファースト・ゼノス)』が誕生したらしく、現在その異端児(ゼノス)の消息は不明となっている(フェルズはおそらく死亡したと判断)。
異端児(ゼノス)の存在を確認したウラノスとフェルズに保護されて以降は、ダンジョン内を巡回しつつ同胞を探したり、ダンジョン内で起きている異常事態(イレギュラー)を秘密裏に解決すべく動いており、それ以前よりは比較的に安全が保たれている。
ただし、単に保護されているだけでなく、ウラノスやフェルズからの協力要請を受ける事もあり、『ソード・オラトリア』にて描かれた下層となる30階層における『宝玉の胎児』の回収や階層主級以上の脅威となるジャガーノートの出現の阻止等、犠牲を払いながらも奮闘し続け、現在の異端児(ゼノス)の数は40体程との事。
何故、異端児(ゼノス)が迷宮(ダンジョン)から生まれたかは不明だが、前世で強い憧憬を持って事切れたモンスターの生まれ変わりである事は判明しており、自身が通常のモンスターだった頃の時代、つまり前世の記憶を夢に見る事があるらしい。
アステリオスを除く全員に共通して地上や人類に対する強烈な憧憬を持っており、いつか地上で生きる事や人間と共存する事を夢みている。
また、モンスター達からは狙われる反面、共通の『母』となる迷宮(ダンジョン)にとっては排除対象では無いらしく、事実、異端児(ゼノス)達はモンスターしか入れない特異な領域である最淵(カシオス)に入る事も許されている。
むしろ「新たに異端児(ゼノス)達が生み出す為の『場』」として、迷宮(ダンジョン)の深層37階層に大量のモンスター達が生まれては殺し合う『闘技場(コロシアム)』が設けられる等、迷宮(ダンジョン)の意思は新たな異端児達(ゼノス)達が産まれて来る事を望んでいる節さえもある。
ウラノスとフェルズは、異端児(ゼノス)の存在が人間とモンスターの途方も無い年月を経た戦いの歴史に変化をもたらす希望として期待しているが、その存在意義等は現在の所証明出来ておらず、人間はおろか神の中にも、ヘファイストスやヘルメスの様に人間にとって「害」にしかならないと断じている者もいる等、前途多難な状況となっている。
この為、異端児(ゼノス)の存在はギルドにも公にする事が出来ておらず、あくまでも「武装したモンスター」という認識しか広まっていない。作中でヘスティアを通じて異端児(ゼノス)の事を知ったロキも、「彼等(異端児)の存在が明らかになれば世界全体を揺るがしかねない異常事態(イレギュラー)にもなり得る」と評し、ただでさえ【闇派閥(イヴィルス)】の問題が解決していない状況である以上はウラヌスが止む無く隠し続けていたのも当然と納得している。
先の見えない状況となっていた異端児(ゼノス)達にとって大きな転機となったのが、【ヘスティア・ファミリア】のベルとダンジョンで新たに生まれた異端児(ゼノス)であるウィーネとの出会いである。
19階層で遭遇したベルが、彼女を保護したのを機に、【ヘスティア・ファミリア】と異端児(ゼノス)が交流が始まる事になり、人類にとって『絶対悪』と言うべきモンスターでありながら人の心を持つ彼らの存在は、ベルを含めて多くの者の運命を変えていく事になった。
フェルズによると異端児(ゼノス)の存在を知り、同情をした人間は今までもいたらしいが、結局最後は我が身可愛さに全員彼らの前から姿を消したとの事。その為、グロスやラーニェといった異端児(ゼノス)の三分の一は人間に対して不信感を持っており、人類との共存にも否定的だった。しかし、【イケロス・ファミリア】の暴挙によって異端児(ゼノス)が地上進出して窮地に陥った際に、オラリオ中を敵に回してでも自分たちを救おうとしたベルの決意と覚悟は彼らの心に大きな影響を与え、異端児(ゼノス)全員がベルに対して強い信頼と好感を抱くようになる(地の文によると好感度が限界突破しているとの事)。
本編当初は、彼らの存在を知っていたのは【ヘルメス・ファミリア】と【ガネーシャ・ファミリア】の一部ぐらいだったが、【ヘスティア・ファミリア】と接触して以降は、彼等の存在を知りながらも受け入れてくれる者達が増えていく事になるなど、少しずづだが状況に変化が生まれていく事になる。
【ロキ・ファミリア】や【闇派閥(イヴィルス)】を交えた騒動後は、「異端児(ゼノス)達を利用していく」というフィン・ディムナの方針によって【ロキ・ファミリア】と共闘する事になり、【闇派閥(イヴィルス)】との決戦である『狂乱の戦譚(オルギアス・サガ)』の『第一次クノッソス攻防戦』に参加。攻略ルートは異なれど、タナトス率いる【闇派閥(イヴィルス)】を追い詰める事に貢献。
一方で、遠征中となっていたベルが、アクシデントの数々に巻き込まれて窮地に陥った事実を知った際は、リドやグロス、ウィーネ、フィアを中心とする一部の異端児(ゼノス)達がベルを救出すべく迷宮(ダンジョン)へ向かい、階層主であるアンフィスバエナを辛うじて撃破した【ヘスティア・ファミリア】を中心とする遠征隊と合流。その後のマリィから得た情報でベルがリュー・リオンと共に深層にいる事実を知った後は、遠征隊の深層にまでの進行に一役買い、辛うじて生き延びていた二人と無事に合流させる事に成功している。
そして、『第一次クノッソス攻防戦』の終盤、影の黒幕であるエニュオの仕掛けた『祭壇』が発動した際には、レイの決死の行動によって『祭壇』の緑肉に飲み込まれる寸前であったフィンが救出され、結果的に【ロキ・ファミリア】は壊滅・解散してしまう様な事態にはならず、『第二次クノッソス攻防戦』において辛くもオラリオの冒険者側が制する事になっている。
残念ながら、この事実は公になる事は無いが、当事者達…特に【ヘスティア・ファミリア】や【ロキ・ファミリア】からは、異端児(ゼノス)に対し公平な目線で見る事にはなったと思われる。
世界のどこにも居場所がない異端児(ゼノス)達を救う事は、ベルにとって英雄になる以上の最大の悲願となっていると言っても良いが、フェルズによると人類と異端児(ゼノス)の共存を果たすには、「ダンジョン最下層の攻略」が必須であるらしいが、理由は現状不明。
主なメンバー
本作のヒロインの一人。竜女(ヴィーヴル)の異端児。
赤緋色の鱗と雄黄の瞳が特徴的な蜥蜴人(リザードマン)の異端児。異端児のリーダー格。
毛先が青みがかったくすんだ金髪と青い瞳が特徴的な美しい相貌をしている歌人鳥(セイレーン)の異端児。
人間を信用していなかった石竜(ガーゴイル)の異端児。
黒い猛牛(ミノタウロス)の異端児。新参ながら異端児で最強の実力を持つ。
人魚(マーメイド)の異端児。下半身が魚であるため、ダンジョン下層の「水の迷都」から離れられず留守番をしている。
チョッキと時計を付けた一角兎(アルミラージ)の異端児。性別はメス。
- レット(CV:竹田海渡)
赤帽子(レッドキャップ)を被ったゴブリンの異端児。
ガネーシャが唯一見たことのある異端児。
冒険者で例えるとLv.4の実力。
丁寧な口調で、『ミスター○○』などと呼ぶ。
半人半鳥((ハーピィ)の少女。
ベル達を『地上のお方』と呼び好意的である。
- ヘルガ(CV:清水彩香)
黒犬(ヘルハウンド)の異端児。
アルルと共にアステリオスを呼びに行った。
地上ではアルルと共にカサンドラに保護されていたため、彼女の匂いがのちに役立った。
- ユーノ
一角獣(ユニコーン)の異端児。
地上で戦う際に殺傷能力を落とすために切り落とした角の先端をヴェルフが加工してベルのナイフ『白幻』に使った。
- ラウラ(CV:浜崎奈々)
半人半蛇(ラミア)の異端児。
片言で会話できる。ベルが好意を抱くレイをイジっている。
- グリュー
木竜(グリーン・ドラゴン)の異端児。
20階層の隠れ里の『番人』の役目を担う。
- シルバ
野猿(シルバーバック)の異端児。
かろうじて単語で会話出来る。
- トロル
トロールの異端児。
言葉は喋れず、雄叫びで会話する。
- カール
カーバンクルの異端児。
深層編でベルと戦い死んだジャガーノートの異端児。ベルへの強い殺意から異端児として復活した。強い殺意にリドやフェルズも生かしておくことに悩んだがベルの判断によりカールに封じられる形で生存させることが決定した。
犠牲者
作中の中で既に犠牲となった異端児(ゼノス)達。
甲冑を着た人蜘蛛(アラクネ)の異端児。グロス同様に人間を信用していない。
【イケロス・ファミリア】に重傷を負わされ、辱められる前に自害した。
- フォー(CV:前田弘喜)
獣蛮族(フォモール)の異端児。
リド、レイ、グロスに次ぐポテンシャルを誇り冒険者で例えるならLv.4ぐらいの強さらしい。
図体に反して性格はとてもやさしい。
【イケロス・ファミリア】のディックスに殺された。
- オード
戦影(ウォーシャドウ)の異端児。
甲冑のような形状をしている。言葉は喋れない。
【イケロス・ファミリア】のグランに殺された。
- クリフ
馬鷲(ヒッポグリフ)の異端児。
【イケロス・ファミリア】に殺された。
- バーバリアンの異端児
ベルがダイダロス通りの孤児院の地下で遭遇した個体。当時Lv.3だったベルが苦戦するほどだったが既に傷だらけであった。その場は最終的にシルの護衛として居合わせたアレンにより倒される。実はディックス達が以前捕らえていた個体が隙をついて逃げ出し地下に身を潜めていたことが後に彼の口から明かされる。
余談
メモリア・フレーゼにおいて
本編ではシリアスな話が多い異端児(ゼノス)だが、『メモリア・フレーゼ』のイベントでは、バレンタインにチョコを冒険者に配って騒動を起こしたり、フェルズの実験のせいで性格が改変したりと、ギャグパートが多い。地上の住民も彼らのこんな姿を見れば、モンスターだからと頭ごなしに否定するのも馬鹿馬鹿しくなるかもしれない。
シリアスな話も当然あるが、そちらでは【ロキ・ファミリア】と共闘する事が多く、リド達もベル達以外の人間と肩を並べる事が出来るのを嬉しく思っている。
異端児(ゼノス)を発見したファミリアについて
異端児(ゼノス)を最初に発見したファミリアについての詳細は現状何も明かされてないが、ウラヌスと繋がりを持っていたという事や、今はもう存在しないというフェルズの発言から、【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】ではないかという考察が出ている。もしこの考察が正しかった場合、彼らの最初の理解者になったのが、ゼウスとヘラの眷族を両親に持つベルだったのは運命だったとも言える。ちなみに上述にある通り、人類と異端児(ゼノス)の共存を果たすにはダンジョン最下層の攻略が必須と言われているが、言い換えれば異端児(ゼノス)を救うには神時代最強と謳われた【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】を超える事が必須とも言える。