概要
クレムリン軍団の最高司令官。コミカライズ作品ではボスと呼ばれることが多い。近年はクレムリン軍団の総帥と紹介されることも。
王冠と赤いマントを身につけている二足歩行をする、左目が血走った大柄なワニ。
シリーズの多くではラスボスとして登場している。
一人称は主に「オレさま」。
作品によって体格が異なりドンキーコングよりやや大きい程度だったり、ドンキーコングの数倍以上の大きさになっている時もある。
レア社が生み出したキャラであるが、そのレア社が2002年にマイクロソフトへ買い取られ、現在はディディーコング等と同様に任天堂所属のキャラクターとなっている。
2005年から新たなデザインが描き起こされ、2007年には3Dで描かれる際のデザインが固まっていった。主な変更点は以下の通り。
- 左目の充血が控えめに。
- 王冠は小型化。
- マントを束ねる宝石が緑から青系統の色となった。
- 腹部の光沢感と尻尾が無くなった。
- 色彩は鮮やかに、質感も柔らかなタッチに。
- 手指に鋭い爪がある(64のゲーム画面でも爪があったがアートワークではない)。
なお、デザイン変更後の本家への登場が一年足らずでストップしてしまっているため、10年越しにリファインされて登場した大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALでは旧デザインを混えつつ質感が飛躍的な進化を遂げている。
ボクシング形式の最終決戦を仕掛けたり、相撲を意識した動作をするなど、格闘技が好きな所も垣間見える。
本編作品
スーパードンキーコング
初登場作品。手下をけしかけて倉庫番をしていたディディーコングを退け、コング達が持つバナナを盗み出した。
特技は死んだフリと大食い。その死んだフリだが、初出の『スーパードンキーコング』で早速披露しており、偽のスタッフクレジットまで仕込む徹底的な演出で、ガチで騙されたプレイヤーもいた。
当然ながらその後待っているのは不意打ちである。
ただこの偽クレジット、よく見ると「"Credit"ではなくて"Kredit"」「スタッフとして表示される人名がクレムリン軍団構成員の名前ばかり」「"THE END?"という意味深な表記」「そもそも短すぎる」とツッコミどころ満載。スタッフロールをしっかり見ていれば見破ることも可能、ではあるのだが……
王冠で頭を守っているためか、王冠を投擲する攻撃中しかダメージを与えられない。そのため基本的には相手の王冠投げ待ちになるが、突進・大ジャンプでサイドを変えながら大砲の弾を上から落下させたりと牽制攻撃も多彩。
上記死んだフリの後は、新規攻撃パターンの小ジャンプ移動を繰り返すようになり、偽クレジットの混乱覚め在らぬ初見が警戒して間合いを離した所を狙ったかのごとく踏み殺しに来る。
タイミングこそパターンがあるものの、そのタイミングがシビアであり、中々の強敵として立ちはだかる。これら攻撃をかいくぐったのちに、上記の死んだふりでもろに騙され絶望したプレイヤーも多い事だろう…。
リメイク作品の『ドンキーコング2001』(GBC)ではミニゲーム「ガリオンガンマン」にも登場し、所有する船の大砲を撃ってくる。GBA版には台詞が追加されており、続編について匂わせる発言をしていた。
後日談に当たる『スーパードンキーコングGB』では、ゲームボーイでもプレイヤーを楽しませられるか試そうと考えたクランキーコングに依頼されて再度バナナを盗むことに。
スーパードンキーコング2
キャプテンクルールとして登場。詳細は個別記事を参照。
スーパードンキーコング3
バロンクルールとして登場。詳細は個別記事を参照。
ドンキーコング64
64特有の荒いグラフィックが元々大きく血走っている左目を更に悍ましくさせており、プレイヤーによってはトラウマになりかねん形相となっている。
今作では移動要塞ブラストマティックを用いてDKアイランドもろとも消し飛ばそうとしたものの、計画の直前で不慮の事故によって砲台が故障、修理の時間を稼ぐためにドンキー以外のコングを誘拐しゴールデンバナナを盗み出した。また、人魚姫からパールを盗んでいたりと本件とは別の悪事も働いている。ブラストマティック砲はゲームオーバー時のムービーで稼働するが、発射直前で画面が切り替わるため最後まで発射される描写を見ることはできない。
また、逃げ帰ってきたアーミィ・ジローに激怒したり、監視員を放ってブラストマティック砲を強制労働同然で修理させたり、逃げ出したボディガードを刺客を放って粛清したりと冷酷な面が際立っており、部下に対する当たりも強い暴君そのものであり、他の作品と比べて良くも悪くも悪役らしさが増している。作中の台詞も「オレさまは失敗が嫌いだ」「死ぬ前に、何かリクエストはあるか?」などと大ボスらしい凄みを見せている。計画のリーダーだったスナイドは信頼せずに解雇しているが、こちらはコング達が好機を掴む結果となっている。
終盤ではボスキーを置いてバトルクルーザーで逃亡するものの、解放されたクランジーにはたき落とされ墜落。
最終決戦ではクルーザー内で5匹のコングクルーに対し、「キング"クラッシャー"クルール」の異名キャッチコピーで参戦し、グローブとチャンピオンベルトを身に着け「ヘビー級ボクシング対決」をする。しかし、その内容は終盤を除きボクシングとはいえない戦いであった。本作はSFC時代以上の巨体(特に理由は明かされていない)ということもあり、コングクルー側はタル大砲による体当たりや巨大化からのメガトンパンチなど相応の手段で対抗してくる。…のだが、一部コングからの攻撃手段はどこか容赦がなく、照明を頭に落とされたり、照明が外れないままバナナの皮で転ばされたり、靴に入り込まれ足指へ羽を撃ち込まれる羽目になる。更に上記の巨大化メガトンパンチを受けるのはこれらの後なので、真っ当な対抗手段と言えどもさすがにたまったものではないだろう。通常のボクシングとは異なり勝者側が交代する仕組みとなっている。ちなみに靴に入り込んだ際の足指は本来3本のところ何故か4本に増えている(ムービーでは従来通り3本)。
クルール自身はヒップドロップからの衝撃波や、ブーメランのように投げつけるグローブ、自身を透明化してリング中を駆け回ったりと、より自由な戦いっぷりを見せた。
最後はワニのくせに異種であるキャンディーコングの色仕掛けに嵌り背後からそのままファンキーコングの兵器で吹っ飛ばされた挙げ句その先にいたクランジーに叩きのめされる等やはり詰めの甘さが目立つ。
一方で、パーフェクトクリア時の撮影裏現場ではドンキーと仲良く遊んでいた。
リメイク等を除くと本作が正当な本編作品への最後の出演となり、以降は外伝での活躍がメインとなる。
スピンオフなど
ドンキーコンガ
初めてレア社以外が手掛けるドンキーコングシリーズに出演した。
オープニングムービーではディディーにタルコンガを彼の罠ではないかと警戒されており、その辺りはさすが宿敵といったところだろうか。しかしミニゲーム「沈め!クルール!」では鉄の樽でぶん殴られたり、フリーセッションでは仲良く踊っていたりとコミカルさも健在である。
ぶらぶらドンキー
本作の一人称は「わし」。
より多く獲得した者がジャングルのヒーローになれるというウィナーメダルを盗む。盗み取る際にヒーローは自分だと言い切っているのだが、本当にヒーローになりたかったのだろうか…。
1戦目はパネルトッテを登っていき、先にゴールした側の勝利(勝利すると、「今のは練習だ!」と言い訳する)。
2戦目はアタックで相手のライフを0にすれば勝利。姑息な手を一切使わないため歴代で最もシンプルなバトルと呼べる。
条件を満たすとジャングルピック内で操作が可能。本作をもって初のプレイアブル化となった。ストーリー上のグラフィックをそのまま使い回しているため他のキャラクターよりも一回り大きく、更に性能はジャンプ1、アタック5と極端なパワータイプ。
ドンキーコングたるジェットレース
全性能星4つの隠しキャラとして登場。珍しく爪を使った攻撃ができる。たるジェットは基本的に腰に装着する物なのだが、クルール専用のたるジェットは大型のタルの中心をくり抜いた様な乗り物である。
本作から声を土屋トシヒデが担当。『64』のドスのきいた声とはまた違ったボスらしさを感じさせる。
ドンキーコングジャングルクライマー
本作に限り一人称は「わがはい」で、語尾に「じゃ」を付けることが多い。
バナナ星人からスーパーパワーを秘めたクリスタルバナナを盗み取り、その力を使って世界征服を企む。計画遂行の為にとある場所へ向かうが、さんさん島へバカンスをしに来ていたドンキーコング一行に偶然にも発見されてしまい、後に協力関係となったコングファミリーとバナナ星人から追いかけ回されることになる。
本作はクレムリン軍団の技術を存分に活かしており、異空間への入り口を開くワープ装置や大型ロボットメガンプ、宇宙戦艦キングクルーザーⅣ等もはやSFじみた兵器や発明品で度々追跡を逃れていった。キングクルーザーⅣ完成直後は宇宙征服へと野望が拡大した。
戦闘時は初戦のスピードが速く、ダメージを与える度に一時的に無敵状態となり、壁や地面で跳ね返る回転攻撃を仕掛けた後にトゲ付き鉄球で地上の足場を埋めてくるため厄介。
最終決戦では自らクリスタルバナナを飲み込んでビッグキングクルールへとパワーアップし、腕による押し潰しや火炎放射、強風を巻き起こしたり隕石を落下させるといったこれまでに無い攻撃で襲いかかってくる。
ドンキーコングシリーズへの出演は現在本作で最後となっている。
スーパーマリオスタジアムファミリーベースボール
マリオシリーズにクルールが登場した唯一の作品。いつものマント姿とは異なる衣装で参加している(アートワークは「ジャングルクライマー」の画像を加工したもの)。
パワーは全キャラクター中一二を争うほどの実力だが、スピードは全キャラクター中最も遅い。特殊アクションはレーザービーム。クリッター以外にもキングテレサとは相性が良い。
ストーリー上にてスカウトミッションをクリアすれば自軍入りし、野球の試合中のみという条件ではあるものの、初めてドンキー達に協力している。ちなみにミッションに失敗したままフィールドに戻るとDKジャングルをクレムリン球状に変更しようと企む。
コングファミリーが鳴き声の後に()の内に台詞が書かれるというものに対し、こちらはクリッター含め普通に喋っている。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
リターンズ以降には登場しておらず、ザ・スノーマッズやティキ族など新キャラたちに敵キャラとしての立場を譲っており、他の作品では名前が小ネタとして仕掛けられていたり(しっかりKROOLと書かれている)、Miiファイターコスチュームに面影を残す程度で、完全に出番が無くなってしまったキングクルール。
しかし『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』で、フィギュアであって本人ではないが実に10年ぶりのゲーム出演を果たした。
詳しい解説はキングクルール(ファイター)を参照。
…その後、ドンキーコングがマリオと共に映画やテーマパークに進出するなど大躍進の活躍の場を見せているが、クレムリン軍団共々キングクルールの出演は無いようである。
今後の彼の出演は果たしてあるのだろうか。
名前
デザインはレア社所属のデザイナーのGregg Mayles氏によるもので、名付け親でもある。名前の由来は「Cruel」(残酷な)から来ている。ドンキーコングたちを邪魔する残酷な王様と意味合いでつけられたらしく、本人曰く5分そこそこで考えた名前だそうだ。
ちなみに名前に1文字入っている"K"の文字はおそらくクレムリン軍団のKであると思われる。(クレムリン軍団の全員のイニシャルはKで始まる為)
なお、日本名では繋げて書かれるものの、本来の英字表記は「King K. Rool」であるため、
彼の名前をより正確に表すならば「キング・ク・ルール」である。ちなみに英語圏の人々からは「キング・ケイ・ルール」と言った発音もされる。
2018年発売の国内版スマブラではナレーションが「キング・クルール」と発音しているため、「キング・ク・ルール」が完全な正式発音ではない、という解釈で良いと思われる。
兄弟?
SFC版『スーパードンキーコング2』の一部の攻略本や当時の小学館の児童向け漫画、『大乱闘スマッシュブラザーズX』国内外共にフィギュア名鑑における説明文では、キャプテンクルールがキングクルールの兄として解説されていた。
しかし、ドンキーコングシリーズ本編内では日本版・英語版ともに基本的に同一人物のように扱われているため、上記の方が誤っている可能性が高いと思われる。また、英語版では元海賊と言う同一人物説を裏付ける裏設定がある。
ゲーム本編やレア社の旧公式サイトではキャプテンクルールやバロンクルールと同一人物のように描写されている事が多く、特に英語版ドンキーコング64の説明書では「馬鹿馬鹿しい変装」ともあり、GBA版『スーパードンキーコング2』冒頭でも日本語英語両言語共にそう語られている。
スーパードンキーコング・スーパードンキーコング2・ドンキーコング64のゲームデザインを担当したGregg Mayles氏がファンからの質問された際には、「それは誤りです、すべて変装した同じワニです」と、キングクルールの兄弟設定を改めて否定している。
また、日本語版『ドンキーコング64』に登場するクランジー(K. Lumsy)はキングクルールの弟と明言されている(参照)。
しかし、英語版でのクランジーはクレムリン団員の1人とされ、特に血縁関係は語られていない。ただし、日本版の設定を受けて現在では英語圏のファンの間でも弟設定が浸透している模様。
アニメ版・漫画版
声優は小杉十郎太が担当。
容姿はゲームと少し異なっており、上述したように尻尾が無い他、マントも非常に短くなっている。原作で特徴的である目の充血も無し。
こちらはゲーム版より詰めが甘くマヌケな面が強調されており、アニメ版ではドンキーコングが最強なため、彼の前ではクルール自身が無い尻尾を巻いて逃げる、ドンキーのパンチで吹っ飛ばされる様が何度もあるなど情けない場面も多かった。
しかし戦闘力や残忍さが減った分、陰湿な悪知恵を働かせる事が多く、幾度もコングサイドの仲違いを煽ったり、ドンキーがいないもしくはバナナ不足などで戦えない状態を狙い襲撃するなど、悪役らしい姿も健在である。
何より肝心の部下たちが非常におバカなので、頭を抱えながらツッコミを入れる姿もしばしばで、自らの手でガイノイドや監視衛星を開発する等、技術力にも秀でている。
また、年に一度の祭りの際は家族と一緒に過ごさす為部下全員に休暇を出す、結婚式などめでたい日は敵味方関係なく祝う物など、どこぞの大魔王のような寛大さを見せることもたびたびあった。
見かけに寄らずダンスが非常に上手であったり、いつか子供が出来た時の為にベビーカーを用意していたり、ワニのくせに泳げないなどコミカルな面でも存在感が大きい。
日本未公開で事実上の最終話である40話は、ドンキーと最終決戦を繰り広げるはずが、ラストで手紙の宛主を勘違いしたドンキーの間抜けさにクルール一味含む全員が愛想尽かして帰ってしまったというオチとなっている。余りに酷い内容だったので日本では放送を見送られたという話もある。
(以下、漫画版)
『スーパーマリオくん』や本山一城版では、『ファミリーベースボール』や『スマブラ』に先駆けてマリオとの対決が描かれている。
- ウホウホドンキーくん
連載初期のボス(黒幕)として登場。
基本的にドンキーたちの相手は部下に任せているが、盗んだバナナを奪い返されそうになったことを怒り自ら動き出す。
- スーパーマリオくん・スーパードンキーコング編
登場時期は14巻~15巻。キング・クルールとも表記されたことがある。
ゲームと同じくバナナを盗んだことでマリオ&ドンキーたち敵対する。ボケもノリツッコミもこなすがボスとしてのプライドは高い。
- 本山一城版スーパードンキーコング
二部構成となっており、第一巻はゲームは準拠だが第二巻からオリジナルストーリーとなっている。
- ドンキーコング(コロコロミック)
アニメ版の設定をもとにしたコロコロコミック版にも登場。作者はひじおか誠、宮本茂。ほぼアニメ版準拠の設定。
余談
・王でありながら直接城を所有している描写はないが、キャプテンやバロンと同一人物設定と照らし合わせると、間接的に城を持ち(それも二城)という設定がされている。世界各地に本拠地を構えているのだろうか?ちなみに64版に登場した『ゾゾゾ~キャッスル』も彼の城なのか不明。
64においても『キング・クラッシャークルール』と名乗り、衣装替えしているが、王冠を被ったままなうえ、名前に『キング』とある時点で正体を隠していない。こちらはむしろ変装と言うより勝負服と言った所だろうか。
・初期の設定では「コマンダークルール(Kommander K. Rool)」であり、元々は王様ではなくて司令官だった。スパドン1における偽スタッフクレジットに「Kommander」の役で掲載されているのは十中八九この名残。
・開発中止となった『ディディーコングパイロット』ではプレイアブルの一人として参戦が予定されていた。
・ちなみに、現実のワニのお腹は柔らかく、弱点の一つであるとされている。野生ではカバに胴体を噛まれて命を落とすこともあるほど。しかし、キングクルールはその弱点を克服して金属化しており、スマブラではスーパーアーマーやカウンターの効果の付いた装甲となっている。だが、使いすぎると壊れて気絶するあたり、ちょっと硬くなっただけもしくはただ装備を着ているだけなのだろうか。
関連イラスト
関連タグ
関わりの多い構成員
デデデ大王:様々な共通点が多い、任天堂の動物キャラ繋がり。
yooka-laylee : レア社スタッフが開発に携わっているゲームで、最終ボスのキャピタルBのデザインに、片目の充血が取り入れられている。