概要
コングファミリーの長老的存在。物知りで冒険に役立つアドバイスをしてくれるが説教癖がある。
SFC~N64期のレア社製作品では、同じ場面においてもセリフをいくつも用意し、ランダムに異なるパターンを出すことによって、繰り返しプレイしてもセリフにバリエーションが出る工夫がされている。
そして、クランキーコングはその極致とも言えるキャラであり、この仕様を目一杯使うことで大量のテキストを使っての長い説教と説教を聴いた人にだけ送る攻略ヒントという独自のカラーを作り上げた。
その説教の端々から、当時の同社が得意としていたメタ発言量産キャラクターの一角でもあるが、SFC版の日本語バージョンではこれでもメタ発言は抑えられたほう。原版/GB版(ドンキーコング2001)/GBA版では自分のゲーム上でのグラフィックを指して(現役時代の1981年を基準に)表現に容量的な無駄が多すぎる指摘をかますなど、自身がゲームキャラクターであることを自覚してなければ成立不可能な話ばかりする。
(スーパードンキーコングGBが外伝作のような位置づけからメタ100%の物語背景になっていて、日本語版の説明書のストーリーだけ並べるとレア社のシリーズ作品ですら頭一つ抜けて浮いているが、原版のセリフを参考にすると彼のメタ説教の延長線であるからだろう。公式イラストではドンキーとディディーが彼の眼前で説教に対して堂々と耳を塞いでいるものがあったりするが、そりゃまあ納得。)
レトロスタジオにシリーズ開発が移って以降はコングたちの長老という性格だけが引き継がれ、態度こそ厳しいが優しい爺さんに落ち着いている(毒舌自体は健在)。
作品ごとの活躍
『スーパードンキーコング』では、ボタンを押して説教を飛ばしてもいいし、その場合はヒントしか寄越さなくなるが、寄越すヒントは限られる。ボタンを押さずに気を長くして説教を聴かないと出てこないヒントは多い。
オープニングデモでは手回し式蓄音機を鳴らして音楽鑑賞をしていた(この時流れるBGMは、FC版『ドンキーコング』タイトル画面のもの)ところ、ドンキーコングがラジカセを持って乱入。ドンキーがノリノリになっているところにTNTバレルを放り込むという容赦ない一面を見せている。
また、GBA版ではボスを撃破すると現れて一言コメントした後に次の目的地を示す役回りも担当しているが、なぜか『3』では出番がなくなった。
『スーパードンキーコング2』でも説教はあるが、こちらはヒントが別口になっているため聞かなくてもOK。ただし放っておくとかなり長い説教をする点は変わりない。
ヒントは、ボーナスステージに関するものや操作テクニックなど。特に、普通の発想では気づかないようなボーナスステージの入口情報まで知っている点は大きい。以下に例を挙げる。
- ボ〜ナス部屋から、さらに次の部屋へ行ける所もあるそうじゃ。 - 『1』のオイル工場
- 1つは見つけても、2つあるかもしれんのう。 - 『2』のゴーストコースター
GBA版ではクランキーの小屋でヒント以外にミニゲームの「エクスプレッソのレース」をプレイ可能。ステージが進むごとにコースが変化し、ライバルの能力も向上するためステージに落ちているハネコインを使って能力を鍛える必要がある。この辺もクランキーの担当になった。
『スーパードンキーコング3』では、スワンキーコングのテントにて、的当てゲームの対戦相手として登場する。かなりの負けず嫌いなのか、負けると「インチキをした」など難癖をつけてくる。逆に勝った場合はディクシーはともかく赤ちゃんに過ぎないディンキーに対して煽るなどかなり大人気ない。その台詞のバリエーションは妙に豊富。
GBA版では、主人公復帰のために道場を開いてトレーニングをしているのだが、この道場は何を考えて作ったのか入り口は神社の鳥居。どう見ても日本の世界観を勘違いして作った昔の洋ゲーです、本当にありがとうございました。こちらもミニゲームになっており、クランキーが持っている盾で飛んでくる敵を防御する。
『ドンキーコング64』では、白衣を身に纏いコングクルーに新しいアクションを覚える薬を開発している。所謂マッドサイエンティストのようなキャラクターになったのは、この作品だけである。
ラスボス戦では一度制限時間を超えてしまうとお叱りに登場。説教を垂れつつ手本を見せようとするも、ギックリ腰で倒れてしまう。
『ドンキーコング ジャングルクライマー』においてもサポート役は変わらないが、各地に拠点を構えていたこれまでとは異なり、ドンキー達の旅に同行しステージ内でのレクチャーやストーリーイベントに参加したりとその存在感を発揮している。
そして長らくサポートに徹していた彼も『ドンキーコング たるジェットレース』では遂にプレイアブルキャラとしてデビューした。全ての能力が星4つの平均を超えた高水準の性能で参戦。杖を武器に使うのもこの作品から。
更に2014年発売の『ドンキーコングトロピカルフリーズ』では本編アクションゲームにおけるプレイアブルキャラとして昇格するなど、活躍の幅を広げている。ダッシュもジャンプも軽快にこなし、杖を用いたアクションで駆け抜けていく。飛び道具は入れ歯を投げつける「デンタル・ポップガン」。
「つえジャンプ」は棘の付いた物や敵の上を跳ね回ることができるため、一帯が棘に覆われたエリアなど一部では必須となってくる。
「つえアタック」は水中を速泳ぎすると同時に前方に杖を振り回して攻撃する。キラングィやトゲーニといったスイムスピンの効かない敵に有効。
必殺技は敵をコインに変える力を持っているため、フライ・アンド・バイによく訪れるプレイヤーは積極的使うとお得。
意外なところでは、『スーパードンキーコングGB』のバックストーリーにてキングクルールにバナナを盗ませた元凶という一面も持つ。
また、ドンキーコング64の101%クリアで見られるオマケ映像では、彼がディレクターでドンキーコングがオーディションを受けているという、本作の舞台裏を描いたものが見られる。オマケなので意味はないと思われるが、他の作品も実は劇だったりするのかもしれない。
家族
現在のドンキーコングは彼の孫にあたる。妻にリンクリーコングがいたが、『3』~『64』の間に先立たれてしまったため、現在は再び独身の身となっている。
また、影が薄いが息子のドンキーコングJr.(ジュニア)がいる。このジュニアが孫のドンキーと親子かどうかは不明。
ただし、本山一城による漫画版『スーパーマリオ』(ゲームボーイ版『ドンキーコング』編のみ)と、2023年のアニメ映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』では2代目ドンキーコングの父親という設定になっている。(ただしJr.と2代目が同一人物だとはっきり明言されているのは前者のみ)
さらに、かつて「Jr.が初代ドンキーの息子」「2代目が初代の孫」と解説されていたニンテンドーオンラインマガジンの公式サイトが、映画の日本公開直前の2023年4月26日をもって閉鎖・ページ削除されてしまった。
2代目ドンキーとの仲
ドンキーからはその博識ぶりを非常に頼りにされていると同時に口煩さをやっかまれている(ドンキーに対してだいぶ辛辣な物言いをするため無理はないだろうが)。
しかし互いに嫌いあっているというわけではなく、『64』のエンディングではドンキーがバナナ倉庫で最後のゴールデンバナナを運んでいる最中、足の遅いクランキーを居眠りしてしまうまで待ち続けており、それを見たクランキーは密かに労うかの様に頭を撫でている。その後はドンキーが嫌がるクランキーを肩車し出口へと猛ダッシュしていった。
『2』でドンキーが攫われた際は諦めかけた上に、単独で助けに行くと言ったディディーに「身の程をわきまえろ!」と叱責していたためなんだかんだで頼りにはしていた模様。
『トロピカルフリーズ(Switch版)』では、待機モーションの一つにてドンキーからコントローラーの片方を差し出されゲームに誘われるが、この時は手持ちの新聞で顔を隠して断っている。そのまま隣でゲームを大音量で続けられたため折り畳んだ新聞で引っ叩いた。必殺技発動時はノリノリでグータッチしあっている。
正体=初代ドンキーコング
実はクランキーコングはマリオのデビュー作である『ドンキーコング』に登場した初代ドンキーコングであり、若い頃はマリオのペットだった。しかしマリオにレディという恋人ができて自分に構ってくれなくなったため、嫉妬心とイタズラ心から彼女を拉致してしまう。これがマリオと初代ドンキーコングが戦う経緯である。
続編『ドンキーコングJr.』ではマリオに捕まって檻に閉じ込められ、息子であるドンキーコングJr.の助けを待つという役割で登場する。檻の中に閉じ込められていたために活躍はほとんど無い。第3作『ドンキーコング3』では植物園に出現。花を荒そうとしていたが、スタンリー青年の活躍で退けられている。その他ゲーム&ウオッチ『ドンキーコングホッケー』『ドンキーコングサーカス』など、任天堂コンピュータゲーム初期においてマリオと相対するキャラクターとしてたびたび活躍している。
なお、ゲームボーイ版『ドンキーコング』では設定が変わっており、マリオに一旦懲らしめられた後もポリーンを攫って逃げ続け、息子のJr.と共に妨害を続けながらついにはキノコ王国の方まで行ってしまうという、『スーパーマリオブラザーズ』の前日譚となっている。どうやらキノコ王国の付近にドンキーコングの故郷があるそうな。その後の経緯を見る限り、現在ではこちらの設定がベースになっている感がある。
ちなみに後年、2代目ドンキーコングも『マリオvs.ドンキーコングシリーズ』にて、可愛さのあまりミニマリオを盗んだり、初代と同じくポリーンを攫ったりしている。血は争えないという事だろうか。
ただ、マリオが全く老けていないのに初代ドンキーコング=クランキーコングは大きく老け込んでおり、あまつさえ若いままのマリオが2代目ドンキーコングと共演しているため、時系列はかなり謎なことになっている。
更に『SMBムービー』のインタビューにおいてクランキーは元々れっきとした地球生まれのゴリラとして作られた事が示唆され、世界設定および時系列設定が更にややこしくなっている。ただそのインタビュー内では「マリオシリーズ最初期の設定では地球とキノコワールドは異なる世界で、土管で行き来可能」という事が示されており、その設定を踏まえてスタンリー青年に退けられたクランキーのその後をある程度考察する事は出来る。
それでも結局、2代目ドンキーがマリオと共演する、ゲームボーイ版『ドンキーコング』の舞台でもある「クランキーが生まれたキノコワールド」での彼の経緯があやふやのままとなってしまうが…(寿命と考えようにも、現実におけるゴリラの寿命は35~40年と言われており、意外と長命{動物園などで飼育されている場合は50年を超えて生きている個体も存在する})。
沢田ユキオの漫画『スーパーマリオくん』でも、クランキーコング=初代ドンキーコングネタが使われており、クランキーはマリオを懐かしがり元祖ライバルであることを明かしている(この時、ベロベロと顔を舐めていたが後述の通りクランキーはマリオが構ってくれないのが理由で暴れるぐらいマリオが好きなのである)。マリオとクランキーが共演する貴重なシーンであった。ちなみに、ヨッシー曰く「マリオさんは歳をとらないんですね」らしい。『ウホウホドンキーくん』でも若い頃のクランキーはタル投げの名手であり、ヒゲオヤジと対決したことがあると語っている。
ワリオランド編では若い時の姿で登場。シャーベッ島のボスのヒンヤリを倒したり、パセリの森ではゼニスキーにロボに改造されて敵として立ち塞がる(実は内部に脅されたワリオが入り込んで操作していた)。メカドンキーの敗北後は、怒ったゼニスキーにスクラップにされるという末路を辿った。
なお、ロボに改造された後にヨッシーアイランド編でクランキーの姿で出ているので一応元に戻してもらえたようである。
しかしワリオランド編でのクランキーはマリオのライバルという面が強調されており本来の設定とはかなり違っている。
『ドンキーコング64』では、なんとゲーム内でこの初代作品「元祖ドンキーコング」をプレイする事が可能。つまり若かりし頃のクランキーの姿を、ゲーム内のゲームを通して見られるという、懐かしいんだかシュールなんだかネタにあふれたシーンとも言える。
この元祖ドンキーコングは、タイトル名に似合わず主役はマリオ・敵が初代ドンキーなので、最終的に(プレイヤーがあきらめない限り)初代ドンキー=クランキーが負けるシーンを見ることになる。プレイしているキャラクターはクランキーの孫である現役ドンキー。普段、耳にたこができるほど説教を聞かされている祖父が実は無残な負け姿をさらしていたことを知ることになるわけで、その心境はいかばかりか···。
アニメ版
CV:中尾隆聖
CVがCVだけにばいきんまんボイスが特徴的。厳しいが、ドンキーが大切なことに気付いたりした際には優しくなるなど、心の底ではドンキー達を誰よりも暖かく見守っているなど概ねゲーム版と性格は同じ。だが、本作のコングファミリーの例に漏れず目の前の事しか見ていない日和見主義者で、クルールの策略にまんまとはまってドンキーを追放し、ピンチになると都合良く「戻ってこい」と言ったり、クビになってさまよっているクランプをドジなのを理由に追い出すなど、総合的な人物評価や物事の本質を冷静に見極める能力に欠けている。
叔母にブラウチーなる者がいる。
その他
マリオ+ラビッツ_キングダムバトル
ドンキー達の前に突然現れたクランキーコングそっくりなラビッツ。タイムセンタクキのパーツ集めに協力するが、頑固な一面はクランキーコングと変わらず。
フィールド上ではビーポに跨って移動する。
手持ちの杖を変形させた「ブームボウ」が武器。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
スピリットで登場。
通常の姿とポリーンを豪快に鷲掴みしている若かりし頃の姿が出ている。
クラスは前者が星3つのACE、後者が星4つのLEGENDとなっている。
マリオと何度も戦った全盛期の強さは最早言うまでもないが歳を取ってもランクの低下が1つな辺り
「老いても実力は然程衰えていない」のかもしれない。
なお前者を呼び出すのに必要なスピリッツは妻とラブラブカップル。そういう仲だったんですか?
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
「だからやめろって」
ジャングル王国の王かつ現ドンキーの父親という立場になっており、マリオとの因縁はバッサリ削除されている。
愛想が悪いらしく簡単に他国と同盟を結ぶ事は無く、マリオ達がクッパ軍撃退の協力の要請に来た際にも彼らに非常に厳しい条件を突き付ける。その条件である闘技場でのマリオとドンキーの戦いでは、マリオの力量を図るためか、あるいは彼をおちょくるためか、パワーアップアイテムと同時にパワーダウンアイテムを混ぜていた。
設定ゆえデザインは王様らしいものに変更されている。
ジャングル王国は文字通り国中森で覆われているが、カートやバイク等の開発をしているハイテクな技術も持っている。
声優
ゲーム:長嶝高士
開発元が任天堂となって以降担当しており、ドンキーコングと同じ人である(声優的な意味で)。
アニメ:中尾隆聖
映画:フレッド・アーミセン(原語版)/楠見尚己(特別日本語版)