概要
キングクルールが率いる悪の組織。団員は主にワニ達で構成されており、イニシャルが「K」から始まるキャラクターが多い。
ほとんどは二足歩行であり、四足歩行の「ワニそのもの」である者はその種類がかなり少ない。公式CGでは武器を持っている者もいるが、ゲーム内では基本的に武器はあまり使用しない傾向がある。しかし、軍団の技術力は中々のもので、飛行船や潜水艇はおろか巨大な工場や戦艦などの大規模なもの、戦闘ロボットや洗脳電波といった近未来的な科学兵器、それらを制御するコンピューター等の複雑な機械を難なく使いこなし、果ては島一つを丸ごと破壊してしまえる程の兵器を開発する等、現実世界と比べても引けを取らないどころか部分的には上回ってすらいる(コング達にもクランキーやファンキーのように個人で高い技術力、科学力を持つ者はいる)。
ワニ族以外の連中は「地元のワルたち」という位置づけであり、軍団には組み入れられていない。但し、ミツバチのジンガーの親玉としてクイーンB・キングBがおり、ワニ族ではないにもかかわらずボスキャラクターとしての待遇を持っている。もしかすると、一部のワニ族以外の連中が軍団員として活動をしているのかもしれない。『スーパードンキーコング1』でのクランキーコングの話によると、敵キャラクターは全てワニ族の親玉であるクルールの手下であると語られていることからも、これらが団員に組み込まれている可能性があり、そして団員に組み込まれていない地元のワルたちも一時的に雇われた手下であることは想像できよう。
また、タイトルによってはコング達に敗れて死んだ(と思われる)メンバーが幽霊と化して襲いかかってくるが、『64』で裏切ろうとした部下を始末するクルールのやり方を見る限りだと、死後もクルールに忠誠を誓っているというよりも、コング達への私怨で襲いかかっている可能性もある。
ちなみに『1』や『64』のヘルメットをかぶった団員のクランプはウホウホドンキーくんやアニメ版ではキングクルールの側近として登場している。
作品ごとの違い
『1』『2』では総入れ替えになっているものの、共通点の多い外見になっており、同じ種族同士である可能性が高い。例えば、目つき・体格などの目立つ点に顕著に現れている(『1』の格下団員であるクリッターと、『2』の格下団員であるクロンプを比較すると、そっくりな点が多い)。
ところが『スーパードンキーコング3』になると、ガラッと様相が異なる。目つきや体格が揃いも揃って様変わりしており、動きをつぶさに観察して見ると、それまでの作品の団員とは共通点がまるで無い。全体的に筋骨隆々とした者が多く、元がワニであることを思わず忘れてしまいそうになるワニ族がかなり多いのである(例えば四足歩行のクリンプなどは、四足歩行である点を除けばワニらしい動きをしていない)。尻尾がバネになっている者や、明らかに不自然な体勢を取っている者など、これまでの作品との共通性の無さ以前に、全体的に異質さを感じさせる。
異質さは地元のワルにも現れており、それまでの「踏んで倒せない敵の代表格」だったミツバチも、ジンガーが「背中に針が数本追加された程度」だったのに対し、今回登場しているバズは「背中部分が電動丸鋸に改造されている」のである。他にも、火炎弾を発射する大砲を持った梟、ピエロのようなメイクをしている魚など、明らかに自然の生態系に存在しないであろう出で立ちの者が増加しているのである。
さらに、軍団をまとめるクルール自体の性格も大きく異なっている。『1』『2』のクルールは、悪事を行ったときに必ず証拠などを残しており、クルール一味の仕業であることがハッキリとわかるようになっていた(『2』では置き手紙を残していた)。ところが『3』では一味違い、ドンキーとディディーを攫った犯行の跡を一切残しておらず、攫うためのやり方も強襲などではなく寝ている間に何らかの形で金縛りに遭わせて連れ去ったのである。
犯行声明を残していない点もさることながら、軍団のボスが自分であることすら明かしておらず、作り物の人工人格を搭載した兵器「カオス」を表向きの親玉に仕立て上げていた。本当にその姿を見せるのは、一度逃亡したカオスとの再戦に勝ってからである。カオスを作って秘密裏に世界征服をたくらみ、その隠れ家を本拠地のクレミス島の奥地にひっそりと隠していた。それだけでなく、地下深くに眠る小島「クレマトア島」の湖深くに潜水艦まで用意していた。そうかと思うと、この島にいる強大な女王鳥「バナナクイーン」を固く封印していたなど、穏やかな島に身を隠しながらいくつもの悪事を同時に行っていたことになる。
これらに登場するキング、キャプテン、バロンクルールは旧レア社HPなどでの扱いからすべて同一人物であり、『 ドンキーコング64』にもそれを示唆する内容が書かれている。
が、『大乱闘スマッシュブラザーズX 』のフィギュア名鑑ではなぜかキャプテンクルールがキングクルールの兄であると書かれてしまっている。これは恐らくSFC版の一部の攻略本に兄説が記載されていたからだと思われる。
この軍団はスピンオフ作品『ディディーコングレーシング』にも出演しており、そのプレイヤーキャラクターである「クランチ」は、クリッター族と思われる中では相当に体格が良く、スパイ活動をかなり積極的に行っていた。仲間との連係も欠かさず、かなり根は真面目ではないかと思われる(この時のスパイ活動は相方らしき人物がいたが、乗り気ではなかった点が対照的である)。
これ以降、キングクルール率いる軍団の出で立ちは大きく様変わりするようになり、クランチの「黒シャツにドクロマーク」の衣装が『ドンキーコング64』では下っ端の団員であるクリッターに採られるほか、ロボットの団員・変装をする団員など新たな戦力の方向性を探ったり、島1つ程度なら丸ごと吹き飛ばす破壊兵器「ブラストマティック」を開発するなど、大規模な軍事増強に余念が無い。こうした戦力拡大の動機としては、これまでクルール軍団が何度も敗れてきたことでコング達への徹底的な復讐を企てたことも大きい。
更に言うと団員の中に(そもそも邪心はないが)大怪獣並の巨体のクランジーも在籍(日本版ではクルールの弟だが、原語版の公式設定では普通の団員)など超常的な団員も加えており、そのクレムリン軍団のカラーがGBA版『2』に逆輸入されたのか、巨体に加え炎を操るケロゾーンが在籍している。
世界各地に別々に本拠地を構えているようだが、似たようなポジションのクッパ軍団は各地に似たような本拠地を構えているのに対しクレムリン軍団の本拠地の様相が場所によって異なっており、キングクルールのふね、クレムリン島、カオスの隠れ家、ブラストマティックを搭載した要塞島、キングクルーザーⅢ、クールホット島にあるドック及びそこで建造されたキングクルーザーⅣとバリエーションが多く、カントリーファクトリーなど本拠地以外の拠点も所有している。マッドファクトリーとゾゾゾ~キャッスルはクレムリン軍団が所有しているのか不明。
外伝的なエピソード
このような「宿敵」としての性格が強い軍団ではあるが、一方でコング達と完全な敵対関係でしかないのかと言うと、そうも単純ではない。『スーパードンキーコングGB』では、ゲームボーイというプラットフォームでも充実した冒険活劇ができるのかとドンキーに問うクランキーの姿があるのだが、実はこの時のクランキーは裏でキングクルールと結託しており、「それができるのならもう一度バナナをクルールに盗んでもらおうか。新しい罠や仕掛けも用意させるぞ」とまで言っている。クルールも戦う動機が「コング達の度胸を試すため」であり、ここでは完全にクランキーコングこそが黒幕、クルール率いるクレムリン軍団は引き立て役だった。
また『ドンキーコング64』では、達成度MAXのエンディングにて、今回の冒険活劇が全てクランキー監督による映画撮影であることが明らかとなり、ドンキーとクルールが休憩時間に仲良く遊んでいるシーンもある。そう、またしてもクランキーが発端なのである。
シリーズを知っている人はよく思い出してみよう。クランキーはなぜ、小さな小屋でアドバイスをする役割でありながら、軍団のかなり詳しい情報まで知っていたのだろうか。それも普通の発想で到達することがかなり難しい隠し部屋のありかまでサラリと言ってのけるほどである。そして、その妻のリンクリーコングも、学校経営をしている老婆でありながらクレムリン軍団のボスの情報を何故か事細かく調べており、あまつさえ「キャプテンクルールちゃんは元気?」などと衝撃の発言をする。クルールさえ生徒としてこの学校に通っていた事実。どう見ても本当の軍団のボスはこの老夫婦です、本当にありがとうございました。
ただ、これらはメタ発言等の楽屋ネタのプロであるレア社らしいギャグなので、シリーズが本家任天堂に移籍してからは、このようなネタは見られなくなった。
メンバー一覧
クルール
スーパードンキーコング
スーパードンキーコング2
スーパードンキーコング3
ディディーコングレーシング
たるジェットレース
クレムリン軍団と共闘するキャラ
版権について
レア社が売却された後はコングファミリー同様に任天堂に権利が移り、以降のドンキーコングシリーズにも出演している。
しかし、主に活躍していた外伝作品が総じて知名度が低めなことに加えて2010年以降に発売された久々の本編作品である『リターンズ』や『トロピカルフリーズ』に登場していないこともあり、今も尚「レア社、もしくはMicrosoftが権利を所有している」という誤解が広まっている。ドンキーコンガシリーズやパオン(現:パオン・ディーピー)が手掛けた3作品、クレムリン軍の一員が出演したことのあるマリオシリーズ等のスタッフクレジットに目を通してみると分かるが、RareとMicrosoftのそれぞれの社名は載っていない(レア社製ドンキーコングのリメイクや移植、大乱闘スマッシュブラザーズシリーズで採用されたBGMの作曲者の表記を除く)。
2015年07月31日に『大乱闘スマッシュブラザーズfor』のDLC第3弾でキングクルールのMiiコスチュームが配信され、公式ホームページのラインナップのページにおいてコピーライトに「Nintendo」と表記されている。(参照)。
2018年8月8日に公開された『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』の続報ではキングクルールが参戦。参戦ムービー終盤に表示されるコピーライトに「Microsoft」が追加されたのは、バンジョー&カズーイの参戦発表時からである。
任天堂が彼らを所有しているという証明に、近年の資料としてこれらを参照するのが妥当か。
余談
本来の「クレムリン」は、ロシア語で「城塞」を意味する単語であり、特にモスクワの宮殿が有名で日本で「クレムリン」と言えばそこを指す。
ところが一方で、そこにソ連共産党の中枢が設置されたことから、現在でもロシア政府の代名詞としても用いられることも多い。
ロシア政府は反対勢力や失敗した部下の弾圧や、巨大兵器の開発、近年の敵国侵略など過激で残虐な一面が目立つが、皮肉なことに奇しくもドンキーコングのクレムリン軍団がしていることと似通っている。
ただし、あちらと違ってこちらのワニたちは裏ではドンキーたちとまぁまぁ仲良しで、少なからず間抜けな面を隠さないなどお茶目。
関連イラスト
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