※本記事は映画のネタバレを含みます。というか存在そのものがネタバレです。
もしかして→メカ・グラードン
概要
CV:小西克幸
『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ』のラスボス。原作ゲームには未登場の、アニメオリジナルのキャラクター。
その出自からポケモンはおろか生命と言えるかすら怪しく、正確にはグラードンのデータを基に作り出されたクリーチャーの失敗作とも言える。
バトラーがマグマ団にいたころ、破片の化石を使ったグラードンの復活実験を実行したが、失敗に終わり大恥をかいた彼は追放された。
それを見返すべくファウンスでジラーチを通して千年彗星から齎されるエネルギーを用いることでグラードンの復活を目論んだのだ。
しかし反対・抵抗したサトシ達を下していざ実行し、装置から放たれるレーザーでグラードンの地上絵を描き、そこから生み出されたのはグラードンを模した異形の怪物であった。
山もかくやという巨体を持つ怪物で、推測されるそのサイズはグラードンの数十倍。更にその体は、マグマの身体を持つゲンシグラードンとも違う質感で流動していた。
加えて他者のエネルギーを吸収する性質を持っており、歩くだけでファウンスの森の生命力を奪い取って枯らし、爪や棘を変化させた流体の触手でファウンスのポケモンを吸収。更に人間も吸収の対象であり、ロケット団、ダイアン、タケシとハルカすら吸収していった。サトシ、マサト、ピカチュウはジラーチの瞬間移動で難を逃れたため最後まで無事。
(むしろジラーチが瞬間移動させない限り触手に捕まった者は皆吸収されてしまった。触手もトロピウスやボーマンダといった大型ポケモンも一吞みするほどの大きさである)
吸収された者は体内の気泡の様な物に閉じ込められてしまい、その様子は外から透けて見えサトシ達も戦慄していた。
作中の描写から分かるようにポケモンや登場人物が内部で暴れてもびくともしないため、ここから自力で脱出するのは不可能であると思われる。
防御力もピカチュウの10まんボルト(実際のグラードン相手だとタイプの関係上効かないが)だけでなく、ボーマンダのかえんほうしゃとフライゴンのはかいこうせんでもせいぜい触手を払う事しかできない程高く、攻撃によりその肉体が損傷することはなかった。
このような結果になったことついてはバトラーも「私が復活させたかったのは、こんなモノじゃない…。」「あんな悍ましいモノがグラードンの筈がない!」と漏らしていた。
なぜグラードンではなくこのような怪物が産み出されてしまったのかは不明。考えられるとすれば、バトラーの考案した方法、若しくは用意されていたグラードンの化石が偽物だったか、確かに超古代ポケモンという分類とはいえグラードン、カイオーガ、レックウザは現在の時代でも生きており目撃例もあるため、化石自体が偽物だったという可能性が高い(あれが本物の化石なら性質が化け物でもグラードンの能力たる日照りや地面技の一つも一切使用しないのは可笑しな話である)。というよりも劇中での様子を見るに本当にポケモンの化石だったかどうかすら怪しいレベルである。
最終的にはバトラーの頼みでサトシとジラーチが作戦に協力し、復活に用いた装置のエネルギーを逆流させたことで弱体化、体が溶けていきながらもなお千年彗星の力を得たジラーチを吸収せんと迫ったが、最期はジラーチの「はめつのねがい」によって空高く打ち上げられて滅され、吸収されたポケモンや人間たちも無事に解放された。
アニメシリーズ全体を見ても、『時を超えた遭遇』に登場したセレビィゴーレムや『XY&Z』の巨岩ジガルデと並び、シリーズ最大最凶最悪の敵の呼び声が高い存在。
脅威度で言うならば「世界が滅亡する」と地の文で明言された超巨大隕石が随一ではあるが、このメタ・グラードンは生命に対する倫理観的な意味で全く別次元の脅威と言える。
吸収されたキャラクター
ファウンスに生息するポケモン達
アブソルはメタグラードンが出現してすぐ攻撃を仕掛けたが全く効かず、爪が変化した触手に吸収されてしまう。それを皮切りに、ファウンスのポケモン達は速く走ろうが空を飛んで逃げようが尽く吸収されてしまう。
しかしフライゴンは逃げ切っていたのか途中サトシ、マサトを助けてメタグラードンに立ち向かう。しかし最後は吸収されてしまう。
気球でメタグラードンの惨状を目の当たりにし、逃げる事を考えるがすでに手遅れで、気球に乗る3人を触手が正確に捉え、「やなかんz…!」といつものセリフを言い切る前に吸収されてしまう。
※漫画版だと気球ごと触手に捕まりメタグラードンの口から丸呑みされている。
メタグラードンの惨状に呆然とした様子のバトラーを触手から庇って捕まってしまう。咄嗟にバトラーが手を掴み助けようとし彼女も抵抗する。しかしジワジワと触手に呑み込まれていき、自身が助からないと悟った彼女は「貴方を本当に愛していたわ…」と伝えて自ら手を離し吸収されてしまう。
※漫画版ではバトラーを庇った後「人間が己の欲望だけでポケモンを生み出してはいけない…」と言い残し吸収されてしまった。
ダイアンのこの行動がバトラーの改心のきっかけとなる。
・映画版
ダイアンが吸収された直後、触手がバトラーとAGパーティを狙い出す。AGパーティは走って逃げるが、サトシの咄嗟の判断でマサトを抱えて横に大きく飛んで触手を避ける。しかしハルカは背後から回り込んできた触手を避けきれず悲鳴をあげながら捕まってしまった。攫われながらまだ吸収されていない右腕を必死に伸ばし、「マサト!逃げて!」と叫ぶハルカだがなす術なく吸収されてしまう。
※余談だがAGパーティが触手から逃げる際よくみるとハルカがマサトの方へ視線を向けており、この状況でも弟の心配をしているのが分かる。また、メタグラードンが現れる直前、マサトに「アンタに何かあったら…私…!」と涙をこぼして抱きしめたハルカがマサトを残し吸収されるのは…
・漫画版
メタグラードンが出現しポケモン達やロケット団を吸収する中、AGパーティも触手から逃げる。しかしハルカが転んでしまい、自身が助からないと察した彼女は「だめっ!あたしに構わず逃げるのよ!」とマサトに叫んだ。その直後迫っていた触手に捕まり、抵抗することさえ出来ず吸収されてしまった。
※漫画版ではハルカはダイアンを含めた味方キャラの中で最初に吸収されてしまう。
・映画版
メタグラードンに狙われた際、ハルカ共々背後から回り込んできた触手を避けきれず正面から捕まってしまう。攫われる中、必死に抜け出そうと力を入れるが抵抗虚しく触手に呑み込まれてしまった。
その後、メタグラードンの内部で他の犠牲者達と同様にハルカと一緒に気泡に包まれた状態で捕らわれており、何とか抜け出そうと気泡の内側を叩いて抵抗している様子が見られた。
・漫画版
ダイアンがバトラーを庇って吸収されたのと同じ頃、マサトとタケシに触手が迫るがジラーチの瞬間移動でマサトは逃げきれた。しかしタケシは間に合わず触手に捕まり、そのまま吸収されてしまう。
※漫画版でも吸収されたキャラたちの様子が描写があるが、ダイアンとハルカは「にげ…て…!」「マサト…逃げなさい!」とそれぞれの大切な人を思っているがタケシとロケット団は「サトシーっ助けてくれー!」「ここから出してー!」と前者2人と比べてかなり情けないことになっている。そりゃ、あんな正体不明の化け物に吸収されて取り乱さすなという方が無理な話なので仕方ないだろう。
サトシ達の協力により装置を逆流させてメタグラードンを弱体化させることができたが最後の悪あがきでジラーチを狙った触手から庇う形で吸収されてしまう。吸収される直前、自身の起こした事について、「みんな、すまなかった…」と謝罪し吸収されてしまう。漫画版だと触手に叩きつけられて気絶するという形になっている。
また、彼の持つボーマンダも上記のフライゴンと同じタイミングで吸収されてしまっている。
最終的にはメタグラードンが消滅し、吸収されたキャラは皆生還している。
類似キャラクター
このメタ・グラードンのモデルは、ジブリ映画『もののけ姫』終盤で、奪われた自身の首を探すデイダラボッチ(シシ神の夜の姿)と噂されている。
枯れる森、触手や不規則に発光する肉体、終盤での熔け落ちてくる等の描写がよく似ており、ジラーチを探すメタ・グラードンの挙動も首を探すデイダラボッチと似ている。
ただしデイダラボッチは最終的にアシタカとサンによって首を取り戻すが、メタ・グラードンは上記の通り完全に倒されている。またメタ・グラードンの触手に吸収されたポケモンやハルカたちは無事生還したが、デイダラボッチの触手や体液に触れた者は残らず死亡している。
また、任天堂作品、青い体液によって内部に捕らわれたポケモンや人間が赤く見える、終始緊迫した状況や仲間のパーティ構成から『MOTHER2』のギーグを思い出す人も多い。余談であるが、映画公開日の約1か月前に『MOTHER1+2』が発売されたため、連想を思わせるのはこれだったということもある。
同じポケモンのタイアップ作品『電撃ピカチュウ』におけるオリジナルキャラクターであるブラックフォッグと言う個体のゴーストは通常個体とは比較にならないほど巨大、イレギュラーなポケモン、生命力を食らい尽くすと言う所が似ている。
漫画『ポケットモンスターSPECIAL』ではカイオーガに似た怪物、通称「海の魔物」が登場している。
こちらも誕生にジラーチが関わっている為、映画のオマージュである可能性が高い。
劇中でサトシたちは本物のグラードンと対峙することはなかったが、一応、本物のグラードン自身も映画の冒頭でマグマ団が観る映像の中で登場している。