概要
ネクロゴンドに居城を構え、世界を支配しようとする魔王。
カバと プテラノドンを合わせたような肥満体の外見をしているが、その姿を滑稽と笑った者たちは皆瞬きする間に塵にされてしまうという。『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』の石田和明氏が描いた漫画の中に、バラモスが勇者たちからカバに間違われて、倒されても勇者たちに気づかれなかったというネタが特に有名である(下のイラストは、本人がpixivに描き下ろしたリメイク絵)。
表立った魔王としての彼の活動は、居城付近のテドンの村を滅ぼし、他には全く無関係な人間のカップルに呪いを掛けるなど、一見するとスケールが小さいように見える。
その一方で、サマンオサとジパングの統治者を自身の精鋭である部下達とすり替え、内部から隠密に侵攻を進めるという、なかなかの策士ぶりを披露している。
人々からの知名度も低く着実に動いてるにも拘らず王やその側近、勇者と言った一部の人間しか存在を知らない。
ゲーム中盤(表の世界攻略時)までは諸悪の根源として扱われているが、実際には大魔王であるゾーマの手下の一人に過ぎない。
しかし、ゾーマの存在はバラモスを倒すまで表沙汰にはならない上に、バラモス自身はその巧みな侵略手段から人々に大きな不安感を植え付け、世界の様々な場所で恐怖の対象となっている。
死してもなおバラモスゾンビとしてゾーマの城の関門に配置されるなど、ゾーマからの信頼は厚かったと思われる。
作中人々を襲う魔物はバラモスに操られているらしく息の根を止められた魔物の一部は断末魔に「バラモス」と言うらしい。
魔王としての実力など
ゾーマに表の世界侵略を任された魔王の名に恥じず、「メラゾーマ」「イオナズン」「はげしいほのお」といった、冷気系を得意とするゾーマとは対照的に火炎系の強力な技を使いこなす。打撃の威力も高めであり、これらを最大2回連続行動で駆使してくる。さらに「メダパニ」「バシルーラ」といった、下手な即死呪文よりも厄介な妨害を仕掛けてくる事もある。
さらに自動回復を備えており、スーパーファミコン版ではHPを始めとしたステータスが上方修正され、多少のダメージをものともしない。
このように表の世界に登場するモンスターとしては、圧倒的な戦闘力を誇る敵として君臨している。上記の通りラスボスではなくその前座なのだが、初見では間違いなくラスボス戦そのものな激戦を繰り広げることになる。
耐性も強力な上に火炎系を連発するため、実はファミリーコンピュータ版の格闘場で闇ゾーマと戦うとバラモスの勝率は8割を超える。
『ドラゴンクエストⅢ』以外での登場
他のナンバリングタイトルやその他スピンオフ作品への出張も多く、破格の扱いを受けている。
ナンバリングタイトル
宝の地図(魔王の地図)のボスとして登場。
作中のモンスター図鑑では、彼の容姿について上記の通り「滑稽な外見」とネタにされている。
クリア後、天の箱舟で行けるようになる島でのクエストでレベル1の地図を入手可能。本編クリア後であれば割とすぐに手に入る。配信なし、かつ確率に寄らず確定入手できる魔王の地図はこのバラモスの地図のみ。
(ただしグレイナルの地図やこの地図の周回によって他の魔王の地図も一応入手可能)
地図のレベルによって能力や行動が変化するが、行動自体は最初(レベル1)は1〜2回行動、レベル16から完全2回行動になり、41以降は3回行動になる。
レベル1時点での行動は「メラゾーマ」や「イオナズン」、「しゃくねつ」と概ね原作通りなのだが、何より怖いのが「つうこんのいちげき」。
クリア後すぐに挑んだ場合パーティの平均レベルは45程度で50を超えないくらいなのだが、ただでさえHPデフレが特徴の『ドラゴンクエストⅨ』で、レベル1でも「つうこんのいちげき」で400ダメージ近くを叩き出す。
当然後衛が喰らえばほぼ即死、前衛でもまともに喰らえばHPが半端だと瀕死にまで追い込まれる。
「しゃくねつ」も全体100〜120ダメージ程度は与えてくるので、無対策だと「つうこんのいちげき」の後に「しゃくねつ」で焼き払われてパーティ半壊、なんて事もけして珍しくは無い。
こんな火力なので持久戦は安定しないのだが、HPもレベル1の時点で6500、守備力も400と凄まじいものになっているので生半可な攻撃ではまずこの圧倒的なHPを削り切れない(参考までにラスボスである堕天使エルギオスのHPが4800、攻撃力248、守備力278なので明らかに格が違う)。
これらの要素が重なって『ドラゴンクエストⅨ』においてはかの黒竜丸やギュメイ将軍に並んで全滅報告が多いボスであり、『ドラゴンクエストⅢ』でバラモスを魔王たらしめた風格を存分に見せつけている。
もっとも、最初(厳密には竜王の地図を最初にすることも可能だが)に手に入るというだけあって同じく登場する魔王格の中では最弱ではあるが、やはり魔王の一角だけあって手強いモンスターである。
魔法の迷宮のコインボスとして登場。
Nintendo 3DS版及び『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めてS』の冒険の書の世界、伝説への祭壇になんと本物がボスとして登場。
『ドラゴンクエストⅢ』の勇者によってバラモスが倒された後のバラモス城でキングプリーストが甦らせようと復活の儀式をするが、主人公一行により倒されて阻止された...
かに見えたが、「その後のバラモス城」にてキングプリーストの怨念を吸収し復活してしまう。(キングプリーストのいるバラモス城と、バラモス復活後のバラモス城は前者がバラモス城、後者はその後のバラモス城と別マップとなっている)
また本編には、バラモス城が元々はギアガの大穴を監視する民達が作った城だと示唆されるシーンがある。
ドラゴンクエストモンスターズシリーズ
- ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド
????系の中では簡単に作れる方で、能力と攻撃特技耐性は平凡だが補助系特技への耐性が高い。
それでも、本当に能力が低いりゅうおうやハーゴンに比べると相当優秀。
レベル30~50の期間は全能力が10以上伸びるなど、並の魔物に比べるとかなり強力な方。
反面レベル50以降はMP以外5以下しか伸びない早熟なので、配合を繰り返す事で強くなる典型的なモンスター。
- ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵 イルの冒険・ルカの旅立ち
『テリーのワンダーランド』と同じ配合方法で生まれる。
高位のモンスターをカギの世界で入手できる為、終盤は簡単に作れる。
他媒体での登場
小説 ドラゴンクエストⅢ
「ゾーマ八魔将」の一人で、精霊ルビスを封印した張本人。この功績からゾーマより魔王としての地位と力を与えられ、上の世界の侵略を任された。
最終的に勇者アレル達に敗れた事で、ゾンビとして再び蘇る事も無く、用済みとゾーマに処刑されてしまった。
ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー
勇者、アリーナ、ヤンガス、テリーの連続の攻撃によって1分位で瞬殺されている。ライブだからなのかどうかはわからないが、魔王としてその扱いは酷すぎる気が……。
関連モンスター
この手のボスクラスのモンスターには珍しく色違いや亜種が何体か存在している。
バラモス本人がゾンビ化したモンスター。だが、外見はスカルゴンの色違いとも言える姿である。
詳細は個別記事参照。
本家バラモスの色違いである同属モンスター。名前からして、長らく本家バラモスの兄弟かそれに近い存在と推察されていたが、『ドラゴンクエストⅩ』においてバラモスの実弟である事が判明した。
詳細は当該項目を参照。
- バラモスエビル
リメイク以降に登場する、同じく本家バラモスの色違いである同属モンスター。本家バラモスやブロスとの関連性は不明であるが、『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー3 プロフェッショナル』においてゾーマの支配が及んでいない未開の地へ派遣される尖兵であった事が判明。天界に出現していたのはそのためであろう。
隠しダンジョンの闘技場フロア(固定エンカウント)に登場する事がある他に、それ以外のフロアにおいて通常戦闘でも登場しており、当然ながら最強クラスの難敵である。
使用する攻撃は通常攻撃・「メラゾーマ」・「イオナズン」・「こごえるふぶき」と、バラモス兄弟に劣らないレパートリーであり、補助呪文に強い耐性を持つ。しかし、判断力が低いようでこちらに「マホカンタ」が掛かっていてもお構いなしに呪文を使う(しかも自身はこれらの呪文に無耐性)上に、何故か「バシルーラ」が確実に効く。その為に、危険を感じたプレイヤーに容赦無くすっ飛ばされるという、シュールな光景が展開される事も。
スーパーファミコン版においては最大MPを上昇させる「ふしぎなきのみ」を落とす唯一のモンスターであった為に、手間隙と危険を冒して狩りに勤しむ猛者が多かったとかなんとか。おかげで何匹のバラモスエビルが遥か上空の天界から「バシルーラ」ですっ飛ばされた事か…
他作品では上述した『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー3 プロフェッショナル』以外にも、『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』や『星のドラゴンクエスト』、『ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード』、『ドラゴンクエストライバルズエース』にも登場。特に『星のドラゴンクエスト』では珍しくボス格のモンスターとして登場している。
担当声優
- 佐藤正治:『CDシアター ドラゴンクエストⅢ』
- 土師孝也:『ドラゴンクエストライバルズ』
- 同氏は『ドラゴンクエストⅪS』の魔竜ネドラを演じたほか、アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(2020年版)では大魔王バーン(老バーン)も担当している。
余談
アニメ『ドラゴンクエスト(勇者アベル伝説)』にも同名の魔王が登場しているが、容姿などは大きく異なっている。担当声優は渡部猛。古代人の怨念「ゾーマ」が生み出した魔王であり、世界を「死せる水」によって覆い、魔物が支配する世を創ろうとしている。後にゾーマを取り込む事でパワーアップ、更に伝説の竜の血を呑むことで絶対的な存在になろうとした。ちなみに『ドラゴンクエストⅢ』のバラモスそっくりの容姿のモンスターも「デスゲーター」という名前で少しだけ登場。こちらでは魔王バラモスの部下で、他の幹部達と共にバラモスの前に集い、各地への侵攻を命じられていた(主人公達との対決は無かった)。
ドラゴンクエストシリーズにおいて、初めて「魔王」として君臨した存在である。また、本人は「大魔王」を名乗っている。
また、「表向きの黒幕の裏に真の黒幕がいる」という展開は今ではよくあるパターンとなっているが、バラモスはその草分け的な存在の一人と言える。
ストーリー内ではひかりのたまをまだ使っていなかったり、伝説の装備が手に入っていなかったり、これで終わりではないという伏線は存在している。
一方、バラモスに挑む頃には既にワールドマップをほぼ踏破していたり、バラモスを倒すとエンカウントがなくなったり…と、『ドラゴンクエスト』や『ドラゴンクエストⅡ』のラスボスに共通する性質も備えていたため、確信に至れたプレイヤーは少なかったことだろう。これも、強いインパクトを残した要因と言える。